フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 




  リュブリャナ(スロヴェニア)の書店に置かれた村上春樹本

 先日、「トルコの書店に日本文学はない?」というブログを書きましたが、その後、本来の目的地であるリュブリャナ(スロヴェニア)とその隣国の首都ザグレブ(クロアチア)の書店に行ってみました。いずれも村上春樹本だけでしたが、日本の小説が置かれているのを見てくることができました。

 本来の目的についてはまた後日書きますが、リュブリャナの中心街にあるインフォメーションセンターで、市内で一番大きな書店を紹介してほしいと言ったところ、写真の書店を教えてくれました。大通りに面した場所が文房具屋さんのように見えるので、私は最初素通りしてしまったのですが、その文房具屋さんから階段を上っていくと、下からは想像できないような大きな書店が広がっていました。
 そこには、村上春樹の『海辺のカフカ』と『1Q84』が平積みになっており、さらにその間にエッセイ集『走ることについて語るときに僕の語ること』が1冊はさまれていました。平積みになっているのは売れ筋の本である証拠ですし、その本が『海辺のカフカ』と『1Q84』であるというのも、たいへん妥当な(村上春樹の代表作として妥当な)配置状況だろうと感じました。

 一方、ザグレブの書店はリュブリャナの書店ほど大きくはなかったのですが、こちらも目につくところに村上春樹本が数冊置かれていました。表紙が見えるように置かれていたのは『ねじまき鳥クロニクル』です。1990年代の作品ですし、リュブリャナに比べると、今の売れ筋という扱いではない感じがしましたが、ともかく、このくらいの小規模書店にも村上春樹本が置かれているということが確認できたのは収穫でした。


  ザグレブ(クロアチア)の書店に置かれた村上春樹本


 翻訳書とは少し異なるのですが、ザグレブのホテルで夜テレビをつけていたら、そこから日本語が聞こえてくるではありませんか。海外で日本のアニメ作品を見ることは珍しくありませんが、ザグレブで放送されていたのはなんと日本未公開の映画『MISHIMA,A Life in Four Chapters』(1985年)でした。ちょっと驚きました。
 この作品はポール・シュレイダー監督の映画作品で、三島由紀夫の生涯を追いかけながら、その作品も4部構成で紹介する独特の映画です。作中では三島自身を緒形拳が演じています。
 諸事情があって日本では公開されておらず、私も見ていない作品でした。放送していることに気づいたのが映画の途中からだったのは残念ですが、この映画をザグレブで見ることになるとは思いませんでした。


 クロアチアで放送されていた映画『Mishima,A Life in four chapters』



 



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )