私はご存知のようにオーストラリアからの帰途でしたので、このニュースを知ったのはサンフランシスコに降り立ってからでした。会社の事務所はサンフランシスコ郊外で、乗り継ぎ時間が4時間くらいあったので、出張の報告と今後の対応についての相談をかねて上司に空港に来てもらえないか、パース出発前にメールで打診していたので、その回答が入っているかと思って携帯の電源を入れてメッセージをチェックしたら、夫から「日本で大きな地震があって大変なことになっている。日本の家族は無事か」というメッセージが入っていました。
その瞬間血の気がさーっと引きました。夫がこのようなメッセージを残すくらいだから、この数年でも何度かあった大きな地震よりももっと大きいのではないかと、直感で思いました。
「飛行機から降りてみたら惨事のニュース」、というのはあの9月11日を思い出しました。あの日と、全く同じ喪失感と深い悲しみを感じながら入国審査と通関を終えて、ターミナル内のニュース番組にしばらく釘付けでした。上司とも連絡が取れて、ほかの用事で会えないけれども、日本の会社の人たちは皆無事だったとのこと。それでだいぶ安心しました。皆その日は電車が止まって帰れなくて、会社に泊まったそうです。これは父もそうだったようで、東京で働いていた人の多くはそうだったのではないかと思います。
惨事が起きて電車が止まって家に帰れないと言うのは私のWorst Nightmareの一つでしたが、実際にそんなことが起こったとは。それでも東京はほとんど無事だったようなので、それだけなら悪くないほうでしょうか。
日本の家族はどうなっているのかと心配だったので、朝早いのを承知でまず実家に電話してみましたがつながらず。母の携帯に電話したら呼び出し音が変なのであれ?と思ったのですが、母は香港に旅行中だったのでした。なのでもちろん無事とのこと。父や弟も無事だったということなのでそれで安心しました。
サンフランシスコ空港ではちょうど日本からの飛行機も到着したらしく、沢山の日本人がいましたが、皆悲痛な表情ではありませんでした。皆観光客らしく、ツアーの中年男女や、卒業旅行らしき女の子たちとか。聞いてみたら、皆関空から到着のようでした。祖国が緊急事態のときによく観光気分になれるなあと思いましたが・・・アメリカンやデルタは欠航になったそうですが、その日金曜日はユナイテッドは成田行きも定刻どおり出発していきました。母も香港から無事戻ってきました。
それにしても私は強い喪失感を感じながらフィラデルフィアに戻り、深夜家に帰ってきて、それからはインターネットで日本のニュースに釘付けでした。それでも2時には寝ましたが、時差ぼけと心配でなかなか寝付けませんでした。
翌朝長男が起きてから、どうしようか迷いましたが、長男はもう、少しは理解できる年齢だろうと思い、テレビのニュースを見せて、日本で大変な地震と津波が起こったこと、じいじとばあばとおじちゃんは無事だったけれども、沢山の人がなくなって、今も沢山の人が困っていること、を説明しました。彼なりに理解してくれたようです。
補習校に行ってみると、皆その話をしていましたが、暗い雰囲気でもなく。今日は卒業式・終了式だったので、校長先生の式辞の前に、黙祷でもするのかと思ったけれどもそれもなく、ちょっと拍子抜けと言うか違和感がを感じました。まあ一人で次男と三男を連れていて、式に最後までいたわけではないので、私がいなかったときにやったのかもしれませんが・・・やらなかったとしたら、子供たちに心配をかけまいと思ってやらなかったのか、卒業式のようなおめでたい日に暗い話題を避けようとしたのかもしれません。
午後家に帰ってきてからは、インターネットで生放送が見られることがわかり、ずっとNHKのニュースを見ています。午前中に記者会見されていた枝野さん、ツイッターでも評判よかったですが、私もはきはきと明確に質問に答えている姿に好感を持ち、民主党を少し見直しました。ツイッターでは、「次期総理大臣候補だな」「枝野さんいいね」「管さんよりしっかりしてる」など声が聞かれていました。
自然災害というのは本当に怖いですね。こんなに技術が発達した現代でも、目の前で人や車が流されているのをみていても、止める術がないなんて。
生き延びた被災者の方々のご無事と、亡くなった方々のご冥福をお祈りします。また危険を覚悟で救助作業や原発の処理をしている人たちの安全を祈っています。
さっきもたぶんお子さんや奥さんと離れ離れになっている人のインタビューを聞いて本当に涙が止まりませんでした。今も関東地方でも余震?なのか、震源地が南下して他の地震が起こってるのか、いずれにせよ本当に怖いと思います。早く収まってほしい。被災地で避難している人たちに何かできないかなあとずっと考えているのですがいいことが思い浮かびません。母親の一人として、小さい子供がいる人たちに、ミルクやオムツを届けてあげたい、とか思いますが、物理的にも無理だし・・・
こんなことを言うのもなんですが、私は日本国の、日本人の底力を信じています。長い歴史の中、何度も災害や戦争ですべてを失っても、そのたびに復興して今まで以上に繁栄してきた国です。こんなに大きな災害だったにも関わらず、日本人はほかの国ではありえないレベルの秩序と良識を持って最適な対応をしていると思います。アメリカのニュースでも、特に大きな混乱がなく普段どおりの生活をしようとしている日本人に大きな賞賛をしています。がんばって日本!