3月11日にオーストラリアから帰ってきてから2週間ほど、私の頭は地震・津波・原発のことで頭が一杯でした。私だけでなく日本在住の皆さんや在外邦人の人々も同じだった人が多かったと思います。震災後10日ほどは、NHKのニュースのライブ映像を24時間ストリームで見られたので、私の日課は朝と晩は少なくともチェックすることでした。日本とアメリカはちょうど時差が反対なので、日本が昼間であるアメリカの夜は心配でなかなか夜寝付けず、朝起きたときは、寝ている間に最悪の事態になっていないことを祈ってインターネットをチェックする毎日でした。地震・津波が起こってから3月17日くらいまでは、私は今考えると祖国が滅亡してしまうかもしれないという絶望の淵にいて、精神状態もおかしかったと思います。深夜官房長官とか首相が泣きそうな顔で会見していたのは、国家の非常事態としか思えないですよね。あの時は、少しでも希望を持とうと、あちこちで原発や放射能、チェルノブイリやJCO事件のことなどを読み漁りました。おかげでこの件については、我ながらかなり詳しくなったと思います。
原発のことについては、このような事故が全くなければよかったけれど、起きてしまった-というか地震国日本では起こるべくして起こったように思われます-からには、この事故から学び、2度とこのようなことは起こらないようにするのは現在の私たちが将来の世代にできることの一つだと思います。これは日本だけではなく地球環境にとって重大な事故であることは、明らかであり、いろいろな国の政治的思惑はあるにしても、米国やフランスを筆頭に、諸外国もかなり心配して協力してくれているということが事の重要性を物語っています。
今まで、「つぶやき」などで、同じように心配している皆さんに参考になるような専門家のリンクなどを流してきましたが、最近一番よく読んでいるのは、中部大学の武田邦彦先生のブログです。全部読むと膨大な量ですが、最近1週間分くらいだけ読んでも、どうやって被爆量を計算するかとか、何を心配して何を心配しなくてもいいか、よくわかります。武田先生は基本的に政府や東電の立場や姿勢には反対の立場です。安全委員会の委員もやっていたそうで、当時規制を強めるような意見を強硬にでも通さなかったことを非常に悔やまれているようです。とにかく、私が彼の意見を信頼できると思うのは、彼は真っ向から「福島・茨城の農産物・海産物は今のところ食べてはいけません」「福島の子供たちは退避させるべき」など科学的根拠を持ってはっきりと言っていることです。彼のブログを知らない日本の方は、特に読んで欲しいです。彼は心配すべきところと心配しなくて良いところをはっきり言ってくれているのがいい。現時点での最新・そして現状を踏まえてのまとめはこのページ。http://takedanet.com/2011/04/post_651c.html
彼のアドバイスを踏まえると、私の家族や友人は主に千葉・東京・神奈川の首都圏ですので、福島・茨城産の食べ物と、雨などに気をつければ、皆さんは問題ないと思います。しかし残念ながら実家のある千葉の海産物もこれからしばらくは食べられないと思います。あとお医者さんなどは非難されるのを恐れてかはっきり言いませんが、放射能の影響が出るのは30年とか40年たってからが多いようですから、50歳以上の人は多少「被曝」しても問題ないでしょう。でも子供がいる人は注意をしてもらいたいと思います。
それとどちらかというと「あまり心配しないで」というメッセージが強いと感じますが東大の放射線医学チームのブログも参考になります。http://tnakagawa.exblog.jp/
購読しているメルマガで、ギリシャ在住の日本人の方が、地元にギリシャ人たちから「日本は放射能汚染をして酷い国だ。どう責任を取ってくれるんだ」と迫られたというのを読んで、ひどい話だと思いました。ギリシャの人たちはチェルノブイリで被害にあったので恐怖症になっているようですが、それを一個人に責めるのは間違っていますよね。その他の国でも工業製品まで放射能汚染のチェックを求められているというような話をきくと、本当にばかげた話だなと思います。
今回の事故はこのようなレベルの地震や津波が来る可能性があるとわかっていながら備えておかなかった日本政府と東電の責任だと思いますが、外国でも原発は安全に管理されているか私にはとても疑問です。調べたら私のアメリカの家の周りにはたぶん80km圏に原発が何箇所もあります。夫に言ったら「ここは地震が来ないから大丈夫だ」と言っていましたが、地震がなくても他の自然災害、テロ、人災などはいくらでも考えられると思います。特に日本人よりずっと大雑把なアメリカ人・・・本当に本当にきちんと管理しているのでしょうか。これは他の国でも同じだと思うのです。
以下おまけ・・・
もとライブドア社長の堀江さん(彼は頭が良く話が面白いので時々ブログを読んでいます)は、人類は火を扱うことを学んで発展したのだから、原子力も使いこなすべきと言っていましたが、今のところ使いこなせているとは思えません。人類が原子力を使いこなせる日が来るのでしょうか。そんな中「キュリー夫人」のことを思い出しました。昔子供伝記シリーズで本を持っていたので部分的に覚えていましたが、印象に残っていたのは「貧乏で不幸が多い一生だった」ということ。でも気になったのでウィキペディアで見直してみました。彼女は一生を放射能の研究に費やした人です。彼女は1934年になくなっていますが、遺体や遺品は今でも放射能を発していて、近寄るのには防護服が必要だそうです。知らなかったのですが彼女の長女も放射能の研究でノーベル賞をもらっていて、同じく60代で被爆による白血病で亡くなっています。彼らのように一生のほとんどを放射能の研究に費やしてさらされていても意外と長生きできるんだなと、ちょっと不謹慎かもしれませんが思ってしまいましたが、とにかく一般人の生活であまり心配ばかりして生活しても仕方ないと思いました。ちょっと話がそれてしまいましたが。キュリー夫人は娘が二人いて、同じワーキングマザーで、フランスにいながらも母国のポーランドを強く思いながら暮らしていたというところが、今大人になって同じような立場にいるので親近感が沸きました。機会があったら伝記をもう一度読んでみたいと思います。