考えるための道具箱

Thinking tool box

小説はやっぱりおもしろい。

2004-10-20 23:09:14 | ◎読
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(1)『新・それでも作家になりたい人のためのブックガイド』
 (スガ秀実・渡部直己、太田出版).

(2)『ビッグコミックオリジナル 11.5』(小学館)
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(1)青山ブックセンターで、15日発売予定の『ことばのために 大人にはわからない日本文学史』(高橋源一郎、岩波書店).は、結局見つからなかったものの、わかりやすく平積まれていた『新・それなり』を発見。ひさしぶりに、両名の吐く毒を愉しもうと思った。

いちおう「改訂版」らしい。前作が手元になく差分を確かめられないのだが、綿矢、舞城、桐野、平野啓一郎、中原昌也、『海辺のカフカ』、『シンセミア』、『カンバセーション・ピース』、『博士の愛した数式』などにもふれているので、じつのところは新版だろう。

あいかわらず、ほめられる小説は徹底的に持ち上げられ、けなされる小説は徹底的に貶められている。その選球眼は、おおむね受容性と納得性が高く、有効な小説技法のバリエーションの正しい使い方/あやまった使い方がかなり網羅的に解説されているところこも有益だ。前作同様まさに、なんらかの形で小説に強い関心をもっていたい人にとって重要なブックガイドとなっている。
いっぽう『セカチュウ』やロッカー辻を読まずに非難していた人にとっては、引用された彼らの一節に触れることができるという、それだけでも、お買い得だ。

対談やあとがきでは、小説を書く/作家になるために必要な「ディシプリン(規律/訓練)」の不在が強調されている。「ディシプリン」なしに「誰でも作家になれる」時代が到来し、そんなバカバカしい時代において、「それでも、作家になりたい人」の書くものこそ「私が読みたい」、と切実な期待感をもっているところは、登攀ルートは違えども大塚英志に通底する。もちろん、本書でも大塚の基本姿勢は好意的に解釈されている。

(2)あいかわらず、つまらんので、ついつい『PLUTO』.の話になる。今回は連載のない号だが、それでも巻頭に「単行本発売記念特集」をもってくるあたり、実際に『PLUTO』におんぶにだっこというところか。「豪華版」も重版が行われたようで、店頭でみかけるようになった。なお「豪華版は初回限定ではありません。2巻以降も、豪華版・通常版の2種類で発売になります」とのことで、これにて買い倦ねていた人の背中がおされたかもしれない。
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
http://spaces.msn.com/members/hotaru83/ (kensuke)
2004-11-07 22:18:51
スガと渡部、ニューバージョンだしたんですね。うーん、これ読むとへこむんですよね。でも読んでみよう。
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『それなり』 (urat2004)
2004-11-08 13:48:00
旧版との差分を確かめていなかったのですが、コメントをいただき、いそいで調べたところ、やはり、ほとんど変わっていました。同じ作者でも引用される作品が違っているところなどをみると、作者のこの10年の過ごし方もわかり興味深いです。

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私自信、年嵩は高いですが、kensukeさんが紹介されているような、現代日本文学と現代アメリカ文学をこよなく愛するものなので、ちょくちょく訪問させていただきます。
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