そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

6月8日(金)手塩にかけた…

2012年06月08日 | 公開

 昨日は帰宅すると、K元助手から著書が届いていた。献本をしてくれた旨メールをもらってはいたが、実際に手にとってみると、感慨深いものがある。一人の研究者を育て上げるには、実に十年を要する。「あとがき」には、なかなか泣かせることが書いてあるではないか! 博士号を取らせ、その学位論文をもとに著書を出させる…K元助手の場合、いまだ教育研究の専任ポストを得ていないので、道は半ばと言うべきかもしれないが…。これほどりっぱな著書があれば、状況も必ずや好転するに違いない。ただ、人前で上手に喋る修業を、もう少し積み重ぬべし。もともと対人恐怖症だったんですとか、居直るんじゃありませんぞ。

 この御仁は2テンポほど、何でもかんでもスピード感がずれるのだが、そこがそれ、人物の美点と言えぬこともない。今までにずいぶんと、尻をぶっ叩いてきた気がするなあ(この本だってもう半月早く=学会シーズンに間に合うよう刊行されていてしかるべきだった)。彼がまだE学部の学生さんだった頃、大学内に自分のやりたい分野の専門家はあんたしかいない云々かんぬんと、突然メールを寄こしてきてこのかたの付き合いだ。やたら「…興味深い」とか、論文にアホなことを書きたがるので、弱ったものだった(ねこさんは少ない根拠で乱暴に論を立てるし、S君は突如として不機嫌になるし…汗)。まあ今年は、なにくれ面倒をみてきた元院生諸君のうち、2人就職できて、1人が本を出せたことになるから。ひと区切りがついた気がするわい。

 そしてこの秋、私もつひに極位極官に達する次第だ。そうだ、梅ちゃん先生のご論文を、ご添削申し上げにゃならんのだった。おのおのその志を遂げ、院生をして倦まざらしめんことを要す…だからな。まあ、来年度修士課程に入ってくる?代あたりまでは、しっかりと育て上げなければならんか。

 K君、藤谷和歌集のご架蔵写本については、ご本の中では触れなかったんだね? 口絵写真にでもすればよかったのに。本日は新興古書展だ。阿波国文庫旧蔵本そのほかを、一応押さえてある。ボーナス払いにしてもらうつもり。他にも私が押えて、図書館に頼んだのや、院生のIさんが購入することになった写本もある。楽しみ、楽しみ。


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