史跡訪問の日々

幕末維新に関わった有名無名の人生を追って、全国各地の史跡を訪ね歩いています。

「幕末維新秘史」 伊東成郎著 新潮文庫

2009年01月29日 | 書評
 新選組研究家として知られる伊東成郎氏の書き下ろし。四十七編の秘史が紹介されている。ただ残念なことに一編一編が短く奥行きに欠ける。それに秘史と言い切るほど、私の琴線に触れる話はそれほど多くない。その中で興味をひいたのは、坂本龍馬暗殺の実行犯、見廻組今井信郎の証言を追った小編である。伊東氏によると、今井信郎は生涯複数の証言を残している。その最初は明治三年(1870)、最後はそれから三十年を経た明治三十三年(1900)のことである。初期の証言では、今井自身は階下で待機していたことになっているのに対し、晩年の証言では直接現場で手を下したことに変化しているという。恐らく明治初年の段階ではとても本当のことを世間に明かせる状況ではなかったのであろう。
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