これが私の生きる道

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イキウメ「天の敵」

2017年05月22日 18時40分20秒 | 演劇
イキウメの舞台は今回を含めて7回ほど観ていますが
まず外れがない。
舞台を観に行ったことがない人に勧めるとしたら
自分は間違いなくイキウメを勧めます。
話自体、野田秀樹みたいに理解できないことはなくて
むしろ分かりやすい方に入ると思いますが
観終わった後も色々考えさせられることも多くて
それを毎回、繰り出してくる脚本力には脱帽です。


あらすじ

ジャーナリストの寺泊 満(安井順平)は、菜食の人気料理家、橋本和夫(浜田信也)に取材を申し込む。
きっかけは妻の優子(太田緑ロランス)だった。
寺泊は難病を抱えており、優子は彼の為に橋本が提唱する食餌療法を学んでいた。

当の寺泊は健康志向とは真逆の人間だが、
薬害や健康食品詐欺、疑似科学や偽医療の取材経験も多く興味があった。
優子がのめり込む橋本を調べていく内に、
戦前に食餌療法を提唱していた長谷川卯太郎(松澤 傑)という医師を知る。

寺泊は長谷川と橋本の容姿がよく似ていたことに興味を持ち、ある仮説を立てて取材に望んだ。
寺泊は、プロフィールに謎の多い橋本は長谷川卯太郎の孫で、菜食のルーツはそこにあると考えた。
橋本はそれを聞いて否定した。
実は橋本は偽名で、自分は長谷川卯太郎本人だと言う。


今回は伊勢さんと岩本さんという2人の女性劇団員が退団して一発目の舞台で
イキウメのテイストが多少薄まるんじゃないかなぁ、と不安感もありましたが
全くの杞憂に終わりました。
おそらく両名が在籍していたら、太田さんの役を伊勢さん、
村岡さんの役を岩本さんが演じていたと思うんですが
お二人ともしっかりなじんでいて、
違和感を感じることはありませんでした。

ヒロイン役の小野ゆり子さんもイキウメの雰囲気に合っていました。
清楚なんだけど狂気的な部分も持ち合わせていて
こういう配役のうまさも作品の質を保つ秘訣なんでしょう。

また今回も御他聞に洩れずとても面白く興味深い内容でした。
あらすじを読んだときは、長谷川が宇宙人とか未知の食物を発見した、
とかそういう話かと思っていましたが
その上を行く展開でした。
自分が長谷川と同じ立場だったらどうするか、考えてみました。
今のある程度健康の状態だったら絶対飲まないと言いますが
例えば末期のがんに侵された状態ならば
おそらく手を出すんじゃないか、と思ってしまいます。

別に長生きをしたいわけではありませんが
死がより現実的に目の前に迫ってきたら
おそらく生き延びたい、と願ってしまうそんな弱い人間なのです。
本当人間って不思議なもので、日曜の夜はいつまでも起きていたいと思うものなのに
月曜の朝にはいつまでも寝ていたと思ってしまう困ったものです。

現代の科学で自分のクローンをつくって不老不死のようなことをしている人たちがいて
馬鹿々々しいと思っているわけですが
もし自分にそうするチャンスがあったら
絶対しないかと言われればそれを100%否定することはできないものです。
死後の世界なんて信じていないですけど
生まれてきた以上、例外なく間違いなく死ぬというのは
残酷なものですね。


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