夢発電所

21世紀の新型燃料では、夢や想像力、開発・企画力、抱腹絶倒力、人間関係力などは新たなエネルギー資源として無尽蔵です。

POEM  無所有

2011-01-15 10:43:10 | 創作(etude)
いつか読むかもしれないって
書棚はどんどん膨らんでいく
でも読んだためしがない
それと同じように
書類も
いつかまた使うかもしれないと
どんどん
書類入れの箱が
満杯になって行く
かといって
書類ケースは
20ケースもあるのに
もう何も入る余地がない


ぼくは
突然すべての物が
煩わしくなって
書棚にあるすべてを
床にぶちまけた
書棚も
いらないって
部屋から追放した
あるから迷うんだなあって
何もないところにこそ
豊かな創造の
芽がふくらむ
そんな気がする朝

ぼくは
こころのなかに
自分を捨てたい
そんな自分がいることを
言葉には出さずに
いままで心に
飼っていた
そんな気がしている
生まれたとき
物を持っては
生まれてこないのに
死ぬときだって
何かを持って
いくことなどできないのに

所有するということの
不自由さ
多いということが
豊かさに見える
幸福感を
ぼくは
疑っていると
いままで口には
出せずにいた
たとえば
この言葉ですら
多く語ることが
すべてを
語りつくせやしないと
いつだって思っている

あるということの
存在感は
目の前のものではなく
心の裡の
思いであると
きょう強く思っている
しかし
それはまた
数秒後には
あったかも知れぬという
空想めいた
疑念に変わる時もある
でも
ぼくは
かさばらないことの
自由さや
気軽さを
いま
うれしく思っている

小鳥たちは
きょうも
くちばしに
自由を
加えて
枝から枝へ
空から
森へ
歌いながら
風を楽しみながら
生きている
そんな小鳥たちの
無所有の
豊かさを
ぼくは
願っている