祈り(作品第一〇八八ノ三)
倒れた稲を追ひ(い)かけて
これからもまだ降るといふ(う)のか
一冬鐡道(てつどう)工夫に出たり
身を切るや(よ)うな利金を借りて
や(よ)うやく肥料もやつた稲を
まだくしやくしやに
潰(つぶ)さなければならぬのか
電氣會社(でんきがいしゃ)が
ひなかも點(とも)すこのそらのいろ
田ごとにしめも張りわたし
かながらの※弊さへたてゝ
稔(みの)りある秋を待つのに
無心よ暗い雨ぐもよ
(「宮沢賢治詩集」より)
※神前に備える布帛(ふはく)
倒れた稲を追ひ(い)かけて
これからもまだ降るといふ(う)のか
一冬鐡道(てつどう)工夫に出たり
身を切るや(よ)うな利金を借りて
や(よ)うやく肥料もやつた稲を
まだくしやくしやに
潰(つぶ)さなければならぬのか
電氣會社(でんきがいしゃ)が
ひなかも點(とも)すこのそらのいろ
田ごとにしめも張りわたし
かながらの※弊さへたてゝ
稔(みの)りある秋を待つのに
無心よ暗い雨ぐもよ
(「宮沢賢治詩集」より)
※神前に備える布帛(ふはく)