夢発電所

21世紀の新型燃料では、夢や想像力、開発・企画力、抱腹絶倒力、人間関係力などは新たなエネルギー資源として無尽蔵です。

POEM/ラーメン屋にて

2008-02-25 22:52:14 | 創作(etude)
 
 いらっしゃい!
 ラーメン屋は
 どんな客が
 顔を見せても
 威勢が良くて
 暖簾をくぐれば
 初めての客も
 なじみのような
 気分にさせる

 ラーメン屋で
 自分が何を食うのか
 考える時だけが
 創造のときかもしれない
 こんな時に
 決め付けたかのように
 相手方から
 醤油よね!って
 言われたくない
 正直な自分がいる

 ようやく自分が
 味噌!と言えた時に
 ホッとする自分がいて
 回りの客の顔や 
 相方の人々の
 関係性が
 見えてくる
 たったいっぱいの
 ラーメンを食うのに
 幸せだったり不幸せだったり

 隣の椅子に座った
 二人の夫婦
 年のころは65歳
 こんな店に
 来るんじゃなかった
 お前のおかげで
 こんな嫌な昼飯だと
 なだれのように
 イスに座った
 相方の顔は曇ったままだ

 どんな夫婦なんだろう
 毒づいた厭味を
 こんなに自然に表現できる
 親父の顔をしげしげと
 俺は見ていた
 黙ってそれを
 らーめんの湯気のように
 自然に受け流す
 相方の女の
 人生が聞こえていた

 一杯が
 たったの525円の
 味噌ラーメンを
 何で幸せそうに食えないのか
 俺はそれが他人の間柄でも
 なんだか無性に許せなくて
 ラーメンの麺の
 啜る音を怒りの表現で
 ずずっと立てて 
 奴を攻撃していた
 
 そしてその相方の
 無表情な虚ろな瞳
 その投げている先の
 人生の長さを
 思いやっていた
 相方さんよ
 あんたのほうが
 二枚も三枚も
 人格が上だわ
 ふとそう思えて来た

 ことばなんて
 何の意味もない
 言いたいことを言う
 それをこれまで
 ずっとこの親父から
 狂える月の晩も
 疲れた満月の晩も
 幾度聞かされてきたことか
 ため息とおんなじで
 聞き流すしかない

 ラーメンは
 なんで威張らないんだろう
 嬉しい人も
 悲しい人も
 不安な人も
 明日ない人も
 たった一杯の
 麺を啜るだけで
 その後には
 満足しかない
 

 

POEM/歌いたい気分

2008-02-25 18:38:46 | 創作(etude)
 
 誰に気遣いもなく
 自分で楽しむ
 自分の声で
 自分が聴衆で
 自分が演者
 

 歌は自分らしさを
 あまねくあらわし
 二度とないのは
 その場の気分
 二度ない感性

 こんなに楽しく
 伸び伸びと歌えても
 こんなに厳しい野次もある
 自分であって
 自分でもない

 観客がないことほど
 聴衆がないことほど
 こんなに厳しい舞台もない
 こびるような歌でもなく
 おもねるような魂もない

 この歌が人生なのだから
 この歌が私なのだから
 嘘をつくべき誰もない
 虚栄張るよな意味もない
 歌いたいよな気分です