夢発電所

21世紀の新型燃料では、夢や想像力、開発・企画力、抱腹絶倒力、人間関係力などは新たなエネルギー資源として無尽蔵です。

ブリザードな一日

2008-02-14 08:19:00 | つれづれなるままに
 終日横殴りの雪である。風も冷たく、古くなった車のバッテリーではエンジンのかかりも悪くなる。こういう悪天候の中も、あうんのスタッフは利用者の自宅を巡って送迎をしているのだ。スリップ事故や突然の地吹雪で前が一瞬見えなくなるなどの緊張感で、神経もくたくたになるだろう。雪国の宿命とはいえ、辛く厳しい季節がこの1ヶ月に集約されている。
 そんな中を昨日はRさん(45歳)が、移送サービスを利用して明るい笑顔で片道30分の距離をやって来た。Rさんのきょうの活動目標は、パソコンの練習と年賀状のお年玉当選番号を照らし合わせること、そして車椅子の新調について話し合うことである。昼食も含めて3時間でこれをこなすのはかなりきつい。
 しかしRさんはパソコンの腕もめきめきと上達している。よくここまでひとりでできるようになったというのが率直な感想である。彼女は多少の漢字は読めるが、基本的にはひらがなしか読めない。それに長い文章は難しいらしい。パソコンにはひらがなのシールを貼り読めるようにしているので、「えんたあ」などと標記されている。彼女の文章は会話調での文章なので、急ぐとおかしな文体になってしまう。彼女がPCで書いてきた文章を、私がもう一度読み返して校正をしながら書き直して、印刷をして手紙を出すところまでを手伝うのだ。昨日は2通の手紙を、昔かかわりのあった学校の先生に書いている。彼女の交友範囲は広くて、住所録も私のパソコンで管理しているのだが、全部で50人近くに年賀状を出している。だから当然それくらいの年賀状が、彼女の元に来ている。当選番号を二人で照らし合わせ、1枚切手シートが当たっていた。大喜びである。
 いろいろな活動も彼女の楽しみには違いないが、結局日々に感じている施設でのスタッフや施設管理者への不満を思う存分喋ってすっきりして帰るのである。
 彼女はあうんのケアホームができるのを、一日千秋の思いで待ち続けている。お父さんにもその希望を伝えているらしいが、少し気が早いのではないかと思う。何しろ目標は2年後なのだ。しかし、毎日の暮らしの中で感じるケアの不満を思えば、それもまた無理からぬことだろう。せめて、彼女の思いを共感理解で受け止めてくれる方がひとりでもいてくれればどんなに気持ちが安らぐのだろう。
 お昼過ぎにお迎えの車が到着して、笑顔の彼女がおひな祭りの予約をして帰っていった。ブリザードな日ですら止むことがあるのだ。せめて彼女の気持ちにも雪融けの日が一日でも増えることを望まずにいられない。