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田舎の道草

田舎の道草徒然日記

鈴の茶屋

2011-10-10 | まち歩き

ふと私は、「鈴の茶屋」という小さな甘味処を想い出していた。

今から10年程前、東京の下北沢にあった小さな店で、仕事の帰りに

よく立ち寄っていたお気に入りの店である。

単身赴任で池ノ上に住んでいた私は、渋谷駅から井の頭線で帰宅

するのに、わざわざ遠廻りをし、池の上の次の駅下北沢で下車を

していたほどである。

新装開店したのも私が丁度着任した頃だったように思う。小さなショーケースには、

出来立ての、みたらし団子などの和菓子が並んでいて、京都出身の

店主が、作務衣姿で一人できりもりをされていた。

2~3人も入れば、いっぱいになってしまうほどの小さな店で、

椅子に腰を掛け、悠長な京都弁を聞きながら甘味を口にするのが、

とても癒される楽しい時間であった。

「みたらし団子の5個は、五体を現していること。」

「かき氷は、自然氷にこだわっているので、かき氷が溶け難いこと。」

「あんこは、北海道産の小豆にこだわっていること。」

「海外勤務の御経験があったこと。」

「子供の頃は、京都の太秦で遊んでいたこと。」

「御先祖様から背中を押されて生きていること。」

「熱中症で倒れられたこと」などなど、他にもいろいろな話をして

くれたことを想い出す。

夏には、美味しいかき氷が食べられる。自然氷にこだわり、抹茶と

北海道の小豆にこだわった宇治金時のかき氷は絶品であった。

そんな「鈴の茶屋」が一躍有名になったのは、かつて、関口宏、

三宅裕司が司会を務めたTV番組「どっちの料理ショー」で、その

かき氷が取り上げられてからだった。

メジャーデビューといったところであろうか、一頃の店の静寂さが

一転、行列の出来る店となった。

今は、店を閉めてしまったが、「鈴の茶屋」かき氷復活を願う声は、

インターネットを駆け巡り、サーバーに影響を及ぼしたという話は、

「鈴の茶屋」かき氷の人気の高さを窺い知ることが出来る。

今、その伝説のかき氷だけは、「しもきた茶苑大山」という店に伝承

されているとのことである。

「鈴の茶屋」というかつての小さな甘味処が、店主と、店の雰囲気と、

静寂さがとても好きで、懐かしく想い出されてならない。


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