音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

R指定 (クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ/2000年)

2012-07-22 | ロック (アメリカ)


最近、せわしさにかまけて、さぼり気味であんまりアルバムレビューを書いていないのだが、やはりできるだけ時間にあるときに書いておかないと。特に、このブログでも度々書いているが、2000年以降、ロック音楽は再び勢いを取り戻して、質が高く、また1900年代より多様化し、なにより面白いものになっている。どうしても1960年代音楽をリアルで受けたちょっと先輩の方々は残念ながらこういう音楽はあまりお認めにならない。しかし、我々の代はそもそも「ノンポリ」(死語??)でもあるし、あの散々だった70年代、産業ロックが台頭したヒットチャート至上主義の人間だから「自己否定」することなく新しいものを認めることは結構容易い。だから、(勿論、70~90年代もいいが)2000年代の新しいムーブメントにはちゃんと意見しておこうと思うし、ご存知ない方々には紹介をする使命が自分にはあると思う。

このクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ、長いから勝手に「クイーンエイジ」と言っているが、彼らは1997年にセルフタイトルでアルバムデビューした。しかし、やはりこのグループの音楽性を象徴しているのはこの「R指定」と次の「ソングス・フォー・ザ・デフ」であろう。そもそもはカイアスというカリフォリニアのストーナーロックバンドのギタリストだったジョシュ・オムが結成したバンドであるが、ストーナーロックというのはどうしても「麻薬」との結びつきが想起させられるため、ジョシュは自分のギターのリフが「機械的に繰り返し」することが多いことから「ロボット・ロック」と言っている。なんというか、それもどうかと思うので、私は大きな括りで彼らを「オルタナティブ」に入れているが・・・。ストーナーロックに関して少し書くと、'stoner'とは麻薬を意味し、ハードロックのジャンルの一つであるが、初期のサバスや同時代のサイケデリック・ロック、ガレージ・ロックに影響された、グルーヴ感に富む分厚く荒いブルースサウンドが特徴である。だが、ドゥーム・メタルなんかとも似ている。そしてこの分野ではカイアスと並んでかなりの代表格になっている。グランジにも近い。この作品では、いきなり冒頭で「ニコチン、ヴァリアム、ヴィコディン、マリファナ、エクスタシー、アルコール、コカイン」という呪文みたいなことを歌っているがこの辺りが「R指定」という洒落なのか、それとも全体を通してこの懲りに凝った上質なサウンドは「おこちゃまにはわからんよ」と言っているのか、いずれにしても中々風刺が聞いていて愉快だ。だが、ハードでガンガン押してくる曲がある一方で、脱力感を与えるようなコーラスを演じてみたりしていてこれは、やはり全く1900年代のロックにはなかった感覚だ。それと、この作品ではカイアスで一緒だったニック・オリヴェリが参加していることが大きい。やはり彼のサポートはジョシュのギターをより一層引き立てているし、ジョシュもバックに関しては殆ど気を遣わずに自分のサウンドに集中しているのが、この作品をと通してわかってくる。やはりいい仲間、音楽で繋がっている輩はいいものだと、そんな事まで感じてしまう作品だ。

しかしバンド名、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジとは「石器時代のおかまたち」という意味だが、最初に活動した際の「ガンマ・レイ」という名義がジャーマン・メタルのバンド(カイ・ハンセンがハロウイン脱退後に結成したバンド)にあったので改名を余儀なくされたらしいが、こういうバンド名も中々ないだろうと。まぁ、私は「産業ロック」の代表格なのでそんなに好きではないがあの「クイーン」の2000年版として益々活躍して欲しいと思う。


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