すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

分かれ道

2022-09-21 20:03:45 | 山歩き

稜線から逃れると
ダケカンバが新しい緑の芽を吹き
ミヤマザクラが下向きに
ひっそり咲いていた

独りの山歩きを
久しぶりに残念に思う

ダケカンバは雪の重みで道に迫り出していて
頭を何度も幹にぶつける
バランスが悪くなったので
つい足元が気になるのだ
動体視力も失せ
視野も狭くなっている

ぼくの生の中にはすでに衰えと
幾らかの死が混じっている

それが新緑を
薄紅色の花を
行く手の斜面の幾筋もの雪渓を
いっそう美しくしているのだ

ついさっきまで稜線では
直射日光が殴りつけるようだったが
ここは雪を渡る風が優しい

これからあの空の下の鞍部に
かすかに見える
小屋のところまで登って行かなければならない
はるか遠くに思えるが
ゆっくり歩いていけば案外近い
(これは天国の比喩ではない
そういうものを信じてはいない)

踏みしめる一歩があるだけだ

付記:最近の山ではなく、6月末のメモの再構成。先月末に膝を少し痛めて、山に行けていない。ほぼ治ったようだが、慎重に再開しないとまた痛める可能性がある。

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