すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

クマに遭遇!

2021-11-26 18:52:21 | 山歩き

 先日道が良く分からなくて挫折した(11/09「秋山の・・・」)浅間峠から先の尾根を歩こうと思い、今日は正しいバスに乗り、「新山王橋」で降りた。登山客は何人かいたが、そこで降りたのはぼく一人だった。バス停の前は道が複雑に分かれていて道標はないので、2万5千分の1地図とにらめっこして見当をつけ、歩きはじめたら10分ほどで古い木の道標を見つけた。
 「うん、合っている。今日は大丈夫」と気を良くして進むと、さらに10分ほどで車道は大きく左にカーブし、使われていなさそうな林道がまっすぐに沢沿いに入っている。これが登山道の入り口なら、ここには道標が欲しいところだ。ちょっとためらったが、地図上の道は沢沿いについているし、車道をたどれば大回りをして「甲武トンネル」を抜けて奥多摩側に出てしまうので、その林道に入ることにした。
 「やれやれ、やはりこの間の二の舞かな?」と思いながら更に5分ぐらい行ったところで、「クマ鈴をつけなくちゃな」と思い出した。いつもは歩きはじめる前につけるのだが、今日は最初から道の判断に気を取られていたのでまだだったのだ。
 リュックを下ろし、鈴とストック一本を取り出し、ついでに何か食べておこうと思い、鈴はザックの肩ベルトに取り付けたペットボトル・ホルダーの紐につけるので、背負ってからつけるつもりで右手に持ったまま、まずお茶を一口飲み、草餅を取り出して一口食べ、食べながら前方を見たら、30mほど先の谷側の茂みが一か所だけ揺れている。他は揺れていないから、風ではない。
 「もしや?」と思い、右手の鈴を大きく鳴らしてみたら、その茂みからクマが頭を出した。その鈴の音で「何事だろう?」と警戒したのだろうか? それともその前に、食べ物の匂いに気が付いて出てこようとしたから茂みが揺れたのだろうか?
 この時期のクマは冬眠の前で餌を探している。餅を狙って襲われてはかなわない。大急ぎで残りを頬張り、かたわらに置いておいたストックを取り上げ、ピックのプロテクターを外して構え(襲われたらこんなもの役に立たないだろうが、何もないよりは威嚇になるからマシかもしれない)、セオリー通りクマを見つめながらゆっくり後ずさりした。クマの頭は再び茂みに隠れた。襲ってくるだろうか? それとも断念したのだろうか?
 道の曲がり角までそのままゆっくり後ずさりし、それから前を向いて急いで下った。追いかけてはこないようだ。車道まで戻れば、木の道標のあった手前に3軒ほどの家がある。そこまではすぐだ。
 家のところに着いた。クマの出没を知らせるべきだろうが、人はいないようだ。バス停から少し上野原寄りに郵便局のあったのを思い出した。そこまで戻り、クマに遭遇したことを知らせた。近隣には局から情報が行くだろう。
 郵便局を出たらホッとして力が抜けた。もう今日は道を変えて登る気はしない。戻るバスの時刻表を見たら、幸い午前中たった一便だけのバスが40分後に通る。そうでなければ上野原の駅まで歩き通さなければならないところだ。空は真っ青で陽はうららかで、あたりの山は終わりはじめの黄葉でまだ美しい。30分ほど歩き、途中から乗った。まだ朝の10時半なので、せめて高尾山にでも回ろうかな、とも思ったが、あのほんの短い間の出来事でひどく疲れた。バスと電車で眠り続けて帰宅した。
 この時期、人のあまり通らない道を独りで登るのは避けるべきかもしれない。ぼくはラッキーだったと言えるだろう。あの時立ち止まって鈴を取り出していなかったら、もっと至近距離で突然の遭遇をしていた可能性は高い。
 あと、この時期はクマ避けスプレーを携行したほうが良いだろうな。強烈な唐辛子スプレーだそうなので、クマも迷惑だろうが、やむを得ない。

コメント
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