すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

日連(ひづれ)アルプス

2020-12-15 21:33:53 | 山歩き

 「アルプス」とついていると何処の高峰かと思うが、相模湖の南、最高点が鉢岡山460m。中央線の藤野駅から歩いて藤野駅に戻る全行程3時間半ほどの、老人には手ごろなハイキングコースだ。時節柄、バスを使わないのも好ましい。相模湖を渡る日連大橋から正面に見える山並みがそれだ。アルプス、とはよくぞ名付けたものだ。
 「鎌倉アルプス」(大平山192m)というのもあるし、伊豆には「沼津アルプス」(鷲頭山392m)、六甲には「須磨アルプス」(横尾山312m)もある(六甲には行っていないが)。「~アルプス」というのはどれも、地元の山歩き愛好家たちに親しまれて四季折々に登られている山なのだ。
 駅から20分ほどで金剛山登山口につく。「杉峠入り口-杉峠間は昨年の台風19号による崩落で通行止めです」という立て札がある。まだあちこちの山が通行止めになっているのだ。相棒と「はて、杉峠入り口というのは通らないはずだが?」と首をかしげる。「まあ、行ってみてダメだったら引き返せばいいよ」ということにする。これもいつものことだ。
 緩やかな登りだ。ところどころ、カエデの紅葉が美しい。天気が良いので陽を浴びて真紅に燃えている。このコースの魅力は展望だ。木の間越しに麓の集落、枝分かれした相模湖、藤野の市街、中央道や中央線、その向こうの陣馬山塊などがくっきりと見えて、登るにつれてだんだん低くなる。正面は三角形のスッキリした大室山と西丹沢の山々だ。登山口から30分ほどで急登になって、「通行禁止でここを引き返す場合は足元に気をつけなくちゃな」と思いながら登る。急斜面に枯葉が積って地肌が見えないので下りは滑りやすい。
 ほどなく、金剛山の山頂だ。金剛山神社がある。小さいがしっかりした社だ。栃木の古峰神社の分社のようだ。すると防災の神様だろうか。疫病退散を願ってお参りをする。
 南に向かっていた道がここからは東に向かう。けっこう下って登り返すと分岐があり、左に入ると大展望が開ける。「峰」だ。ここでお昼ご飯にする。朝の通勤時間をさけて出てきたので、もう昼の時間だ。風は冷たいが、日差しは暖かく、気持ちが良い。北に、陣馬から三頭山まで続く笹尾根が近い。西に高いのはたぶん大菩薩の山並みだ。
 縦走路に戻り先に進む。小さな上り下りがあって杉峠だ。登山口にあった通行止めは、北の集落に下山する道だった。ほっとする。
 ここから右に分かれて山腹の広い道をたどると林道に出て、さらに進むと本日(昨日)の最高峰、鉢岡山だ。午後から曇りの予報だったが、急に日が陰ってきて寒くなってきた。鉢岡山までの道も日差しがあったら最高に気持ちの良いのんびりコースなのだろうが、残念だ。また新緑のころにでも来よう。山頂からの展望はない。「烽火台跡」という杭と小さな送電施設のようなものがあるだけだ。
 杉峠に引き返し、さらに道を続ける。ちいさなアップダウンを越えていくと日連山。さらに小さなアップダウンで宝山。この山並みは面白いことに途中は展望が美しいのにピークはどれも無展望だ。ここから下り。最初は普通の急なくだりだが、その先にロープを張られた急降下がある。若い頃は、意地でもロープや鎖につかまらずに何とか上り下りするのがスリルがあって楽しかったのだが、この歳になったらもう足元が怖くてだめだ。安全に降りることにする。
 下りきると水平道だ。沢に出会い、その沢沿いに下るとお墓に前に出て集落だ。後は舗装道路を駅まで30分ほどだ。のんびりとした山裾の集落だ。この辺りは近年、画家や陶芸家をはじめとするアーチストがおおぜい移住してきて活動をしているはずだ。それらしい家はないかときょろきょろしながら歩いたが分からなかった。
 高尾山域から少し足を延ばすと、冬の低山歩きに適した山がたくさんある。雪のある時に来るのも楽しいかもしれない。でも、もう少しきついところにも行きたいものだ。

コメント
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