すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

かりん酒

2020-12-11 21:50:09 | 自然・季節

 今年も花梨を焼酎に漬けた。
 花梨は12月の初めに小石川の植物園に行って貰ってくる。受付の前に箱の中にたくさん置いてあって、「ご自由にお取りください」と書いてある。7年ほど前にいちど漬けてみたらなぜかものすごく苦いお酒になってしまって、しばらく敬遠していたのだが、一昨年恐る恐る再挑戦してみたらほろ苦く美味しくできたので、去年も浸けた。手元にあるレシピ本には書いてないのだが、レモンのスライスを入れると苦みが抑えられるようだ。
 今の時期の小石川は紅葉がほぼ終わりを迎えて、でも入り口の近くのメタセコイアがオレンジ色に空に向かって燃え上がっていて美しい。日曜日に行ったのだが、紅葉の盛りが過ぎたせいか、静かに散策する家族連れや老夫婦がちらほらいるくらいで好ましかった。花梨園の花梨の実はほとんど落ちて、なぜか2本だけまだいっぱいに実を残した木があった。
 花梨の実は硬くて生食はできない。表面が蜜でべとべとしているからビニール袋に入れて持ち帰って、洗ってザルに上げて3日ほど置いてから、氷砂糖と一緒に焼酎に漬ける。ザルに上げている間は、台所行くと花梨のさわやかな甘い香りがして気持ちが良い。
 「一か月ぐらいから飲める」、とレシピには書いてあるが、3か月か半年くらい我慢して待っていたほうが芳醇になって美味しさが増すようだ。
 今年は一昨年昨年の成功に気を良くして欲張って沢山もらってきたので、2瓶になった(ちょっと、ほかの人の楽しみを奪ったかな、と、気が引けているのだが、毎日たくさん置かれているのだと思う)。片方は、飲んでしまわないで何年か寝かせておいてみよう。「ぼくが死んだら、10年目まで取っておいてね」と言ったら、家族が「へっ?」と言っていた。「智恵子抄」の「梅酒」に倣ったのだ。
 無論、10年後に無事、自分で飲むのに越したことはない。もし途中で死にそうなことにでもなったら、その前に飲んでしまうことにしよう。酔っぱらって旅立つのも悪くない。

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