暗い岩のトンネルのような所を歩いている。そう狭くはないし、天井はそう低くはない。だが、どこまで続いているかわからない。ぼくのすぐ前をがっしりした男が一人歩いている。黙々と、ぼくに背を向けたまま歩いていて、いちども振り返らない。それがぼくの案内人なのか、獄卒のようなものなのか、それとも同じ運命の赤の他人なのかはわからない。
その場所をぼくが「トンネルのような」と感じるのは、「洞穴のような」でないのは、「そのはるか先にきっと出口があって、光あふれる場所が広がっているはずだ」とも感じているからだ。
そのトンネルは、ぼくに与えられた試練、あるいは罰、のようなものかもしれない。煉獄のような、浄化のための場所かもしれない。だがそうだとすれば、ぼくに罰を与える主体は、ぼくの罪を浄化する主体は、いったい誰か?
ぼくは神のような存在を信じてはいない。ならばそれは、ぼく自身? あるいは僕の倫理? でも、ぼくの倫理を形成しているのは、社会の倫理のはずだ? ならば、社会?
…などと訝しく思いながら、暗いトンネルを、先を行く男の後ろを、黙々と歩き続けている。
その場所をぼくが「トンネルのような」と感じるのは、「洞穴のような」でないのは、「そのはるか先にきっと出口があって、光あふれる場所が広がっているはずだ」とも感じているからだ。
そのトンネルは、ぼくに与えられた試練、あるいは罰、のようなものかもしれない。煉獄のような、浄化のための場所かもしれない。だがそうだとすれば、ぼくに罰を与える主体は、ぼくの罪を浄化する主体は、いったい誰か?
ぼくは神のような存在を信じてはいない。ならばそれは、ぼく自身? あるいは僕の倫理? でも、ぼくの倫理を形成しているのは、社会の倫理のはずだ? ならば、社会?
…などと訝しく思いながら、暗いトンネルを、先を行く男の後ろを、黙々と歩き続けている。