地の文章は無く、テレビ番組、新聞や雑誌の記事だけで物語が進行していくと言う構成。
同じような小説をいくつか読んだけれどみんな実験的な感じだったのに対して、本作は完成度が高い。
有名人の心中事件の真相に迫ると言う謎解きミステリで、徐々に事実が明らかになって(というか複雑化して)いくんだけど、途中に素人探偵、素人解説者、興味本位の一般人、そしてイエロージャーナリズムなどのネットの書き込みが入ってくる。
これらは物語の進行には全く関係無いけれど、この部分が「ルーマーズ」として著者が描きたかったところなんだろうな。
小説としては読み易く纏まっているけれど、実際のBBSなんかは各人が勝手なタイミングで勝手な内容を投稿するから、こんなに綺麗に会話のように纏まることはない。
で、肝心の謎解きのほうは堂場瞬一らしくない結末だけど、この小説はそちらがメーンテーマではなく、問題提起が目的のようだからこれで良いのかも。。
2024.5.30
河出書房新社