ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

つぼやきツイッターが議論の場作りに役立つことを期待して

2010年05月13日 | 日記
昨日のブログに対する“しみず”さんからのコメント「先生のこのサイトを、大学関係者、病院関係者、そして関心を持ってくださる多くの方々に、もっと見ていただく工夫、議論の場とする工夫はないものでしょうか。」

私も、“しみず”さんの主旨に大賛成です。私がブログで書くことも、間違っていることがあるかも知れませんし、皆さんからもっと素晴らしいアイデアをいただきたいし、もっと多くの皆さんから気軽に議論をしていただけるような何か良い工夫はないかなと思います。

ところで、きのうの12日に大学教育をメインとした通信誌の「文部科学 教育通信」を発行している“ジ アース教育新社”のインタビューを受けました。

このインタビューは、事業仕分けの前から予定されていたもので、新しく財務・経営センターの理事長に就任した私の将来の抱負や夢などを中心として、記事を掲載しようというのが、そのねらいだったと思います。ところが、時期的に、事業仕分けの結果を色濃く受けるものとなってしまいました。

インタビュアーは、私のブログにもちゃんと目を通しておられ、私が今回お話した内容も、ブログで書いた主旨とほぼ同じです。そして、例のパネルについても、写真を掲載していただけるとのことでした。

終わりかけの質問で、スーパーコンピュータについては、国民の直感に訴えることができたのでパブコメが15万件集まったが、財務・経営センターは地味であり、国民に訴えることが難しく、どのように広報をしていけばいいと考えるか、と聞かれました。

まったくおっしゃるとおりで、財務・経営センターは間接的に国立大学や附属病院を支える役目で、その存在すらご存じない人がほとんどなので、国民にご理解いただくことは、ほんとうに難しいと思います。

皮肉なことですが、今回事業仕分けにかかったことで、当センターの名前や、国立大や附属病院のたいへんな状況を国民にはじめて知っていただけたのは、むしろ良い機会であったのかもしれません。

そして、インタビュアーの問いに対しては、情報発信の媒体としては、私のブログを通じてテレビの密着取材が始まったことからも、一つの媒体だけではなく、さまざまな媒体をミックスして情報発信することが大切であると説明しました。

そしたらインタビュアーから、“ぜひ、ツイッターも始めて下さい”と強くアドバイスされました。さまざまな媒体をミックスすることが大切ならば、ツイッターも当然はじめるべきですね。政治家の皆さんにもツイッターをやっている方々がたくさんおられます。

そんなことで、さっそく今日ツイッターに登録してみました。これが“しみず”さんのコメントにあった議論の場を作ることに役立つことを期待して。

一人でも多くの皆さんにフォロワーになっていただき、また、ブログのコメントにもご意見を気軽にお寄せいただけたら幸いです。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私の名前“豊田長康”が国会の質疑で出された

2010年05月12日 | 日記
昨日5月11の衆議院・決算行政監視委員会で、自民党の柴山議員が質問し、枝野大臣が答弁された中で、私の名前が出されたようなので、読者の皆さんにご報告をしておきます。柴山議員は、どうも仕分け直後の新聞報道を見て、質問をされたようです。

以下は、衆議院のホームページのビデオから拾い上げたものです。

柴山議員:枝野大臣は、この28日に実施された事業仕分けで、大学病院などに資金を貸し付ける国立大学財務・経営センター、これについて議論されましたけれども、8事業のうち7事業が廃止と判定され、残る1つの東京連絡所の運営も別法人と統合を求められました。これは事実上センターの廃止と言う結論だと私は思う訳なんですけれども、元三重大学の豊田長康理事長はそもそも民主党政権における公募で選考されて、この4月に就任されたばかりなんです。仕分け後に、大学と病院の役に立つことが地域住民のためと張り切っていたのに大変残念だ。過去のことが話題になって、私のプランニングが仕分けの作業の中で話題にならなかった、と嘆いていた。こんなことになるんだったら、なぜ選考のための金と時間を使ったんですか。

枝野大臣:ご指摘のとおり公募によって新しい理事長が4月1日付けで任命されました。これは従来の官僚天下りというポストというものが問題であることから、公募というシステムによって、より透明性の高い形で独法の役員を選んでいくという方針に基づいているものです。当該法人が廃止になるかどうかと言うのは、4月1日の段階でも廃止という議論が出ていたわけでもありませんし、当然のことながら、内閣として決められたルールに基づいて文部科学省で公募されたと理解しております。さらに申し上げますと、事実上の廃止ということをおっしゃられましたが、当該法人の事業仕分けの公表を既にされていると思いますけれども、評価の結論のところを申し上げますと、例えば、一番主たる業務だと思いますが、貸付事業でございますが、評価者からは、各国立大学の自立が重要であり、独自にファイナンスする方式にできるだけ早く改めるべき、基本的に民間金融機関で対応できるよう国としてもバックアップすべき等のコメントなどに基づいて、当該事業は廃止、ファイナンスに関し各大学の自立を促進、と結論いたしております。いま読み上げましたコメントでもおわかりのとおり、現状で直ちに廃止をしたら、各国立大学病院のファイナンスについては十分に機能しないということも議論の中で十分に出た上で、こういった結論を出しているのでありまして、仮に廃止するとしても、それに代わってしっかりと各大学病院がファイナンスできるような仕組み作りに一定の時間とエネルギーをかけなければならない。なおかつ、先ほど申し上げましたとおり、すべて100%同じことをやるかどうかということでは、この事業仕分けではありません。最終結論ではありません。新しく公募で選ばれた理事長さんのご意見を聞きながら、主体的には文部科学省を中心にして、この仕分け結果を踏まえて、それぞれの事業の在り方、そして組織の在り方について、最終的な結論が時間をかけて導かれます。ちなみに申し上げますと、前政権において、独立行政法人、特殊法人の改革等をした場合にも、組織そのものが変わるまでに議論を始めましてから5年間がかかっています。わたくしどもは、4年間の任期のうちに組織改革を含めた独立行政法人の改革を前政権よりスピードアップして行おうと思っております。

柴山議員:一旦、理事長は前職を退職しているんですよ。民主党のこの間のプロセスとしては、極めて見通しが甘かったと言わざるを得ません。




コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

施設費交付事業の廃止は国立大学に重大な影響を与える

2010年05月11日 | 日記
さて、財務・経営センターの業務や組織が廃止された時に生じる影響を、具体的に、数字で示すように、との鈴木寛文部科学副大臣のアドバイスでしたが、これから私が改革をしようとしていたことが実施できなくなる場合の損失も計算して、正確な数字でお示しすることは、実はたいへん難しいことです。かなりの仮定を想定しなければなりませんし、また、数字で表せないけれども、大きな影響が生じうるということもあると思います。

しかし、たいへん難しい面があるものの、財務・経営センターの業務や組織が無くなった時に生じるかもしれない影響を、出来るだけ皆さんにわかりやすく、具体的に、そして、その中で、幸い数字で表せるものがあれば数字でお示しするということを試みたいと思います。

まず、財務・経営センターの施設費交付事業についてなのですが、これは、国立大学等が移転などの時の土地の売却益の一部を財務・経営センターに集めて、それを全国の国立大学等に施設費交付金として交付しているものです。

実は、国立大学の建物を改修して維持するためには、毎年2200億円必要と試算されているのですが、平成22年度はわずかに907億円しか措置されておらず、大幅に不足しています。財務・経営センターの交付事業では平成21年度は約55億円を各国立大学等に交付し、大幅に施設費が足りない状況で、各大学はたいへん助かっているのです。

また、資産を最初から持っている大学と持っていない大学の間で、その差を均等化するという役割も重要です。

さらに、財産の管理・処分・有効活用に関して慣れていない大学の現場に対して、財務・経営センターの職員が協力・相談・助言活動をして、たいへん役立ってきました。このような相談事業を民間に頼めば、それだけ、各国立大学等は出費がかさむことになります。

仕分けの場では、この施設費交付事業を一般財源化して、必要な予算であれば、概算要求で勝負すればいいではないか、というご意見をいただきました。しかし、今までは、いくらお願いしても、一般財源からは全く足りない金額しか措置されませんでした。今後、ますます財政が逼迫する中で、果たしてその金額分を増やしていただけるかどうか、保証はありません。

本日、学長さんの集まりである国立大学協会で、経営支援委員会という委員会の中の財務・経営小委員会という委員会で、財務・経営センターの仕分けの結果についての意見交換がありました。

ある教育系大学の学長さんは、この施設費交付事業からもらっている3500万円が、大学の死活に関わる貴重なお金であるということで、施設費交付の継続を強く望んでおられました。教育系大学などは、法人化後続いている運営費交付金の削減等で、相当厳しい状況に追い込まれているということが、学長先生の真剣な表情から伺われました。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三重テレビのインタビューで、地元の皆さんの応援に期待

2010年05月10日 | 日記
週末に地元に帰った機会を利用して、地元の独立系テレビ局である三重テレビが取材を申し込んできたので、お受けしました。

お話をした内容は、ブログで書いたことや東京のテレビ局にお話した内容とよく似ているのですが、仕分けの結果が残念であるということに加えて、まだ、最終決定された段階ではないので、これから財務・経営センターのような国立大学や病院の経営を支援する第三者組織の必要性を当局に強く訴えていくつもりであることを強調しました。

また、地元のテレビ局だけあって、財務・経営センターが無くなると、いったい地元にどういう影響が出るのか、という質問をいただきました。

財務・経営センターは、国立大学や附属病院を間接的に支えている組織なので、ご説明しにくい面があることをお断りした上で、財務・経営センターが無くなることにより、大学病院の経営に支障が出ることになれば、たとえば、高度な医療機器の購入や更新が困難になり地域医療に影響すること、教育や研究に支障が出て、産学官連携にも影響が出て、今の政権の重要政策である医療・福祉による成長戦略にもマイナスとなることなどをご説明しました。

地元へ帰ると、私をテレビで見た、という人に大勢お会いしました。たくさんの皆さんから異口同音に「たいへんでしたね。ぜひ、頑張って下さい。応援していますよ。」という暖かいお言葉をいただきました。やはり、TBS、報道ステーション、フジテレビという視聴率の高い番組で報道されたことの影響は、すごいものがありますね。大勢の地元の皆さんの暖かい心を肌で感じた帰省でした。

今回は、地元のテレビ局でも私の主張をさせていただくことができて、ほんとうに良かったと思います。地元の皆さんの応援が、ますます高まることを期待しています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鈴木寛文部科学副大臣からのアドバイス

2010年05月09日 | 日記
前日のブログで鈴木寛文部科学副大臣室へ、例のパネルを持参して説明にいってきたことをお話しましたね。鈴木副大臣は、国立大学や大学病院について、もっともご理解のあるお方であると思っています。

鈴木副大臣からは、重要ないくつかのアドバイスをいただきましたので簡単にご説明しておきましょう。

事業仕分けはアンティテーゼが投げかけられたということであり、それをアウフヘーベンすることを考えないといけない。

そのために重要なことは、一つは財務・経営センターの事業のあり方が変わったり、組織が無くなった場合に、いったいどのような影響がでるのか、具体的に、数字(金額)で示すこと。

もう一つ重要なことは、前回の仕分けで復活したスーパーコンピュータでは、パブコメを15万通いただいたことが大きかった。財務・経営センターの場合どれくらい国民からパブコメが集まるのか?


まったくその通りで、もっともなアドバイスなので、私は今から、この2つのことに注力したいと思っています。

パブコメについては、ブログの読者の皆さんにお願いしなければなりません。試算ができあがりましたら、その数字を見ていただいた上で、皆さんにはぜひともパブコメをよろしくお願いいたします。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日経ビジネスの取材は“敗軍の将、兵を語る”のコラム記事であったが、“殿軍の将、巻き返しを語る”を希望

2010年05月08日 | 日記
昨日のマスコミの取材というのは、日経ビジネスの記者さんの取材でした。すでに、私がしゃべる内容は、ほとんどブログでご紹介しましたね。記者さんも、私のブログをお読みになっていたので、インタビューはスムースに進みました。

しゃべり終わった後で、どういう記事にするのか始めて知らされたのですが、“敗軍の将、兵を語る”というコラム記事に載せるという。日経ビジネスで、もう30年以上も続いているレギュラーコラムですね。ホリエモンや野村監督など、たいへん有名な方々が取り上げられています。最近の記事としては、宇宙飛行士の 毛利 衛 さんが、事業仕分けで日本科学未来館の予算削減の判定を受けて、それに対する反論を大いに語っておられます。

30万部を発行している日経ビジネスの人気コラムに取り上げられるのは、たいへん光栄なことです。ただし、確かに事業仕分けでは、財務・経営センターのすべての事業が否定されてしまったのですが、最終的にどうなるかの決着は、これからのことであり、まだ“敗軍”が決まったわけではありません。その点に少し違和感を持ちました。

ただ、事業仕分けの場ではすべての事業が否定されてしまったのですから、一つの戦に負けたことは事実です。それで、私の状況をより正確に表現すれば、“殿軍の将、巻き返しを語る”ということになるのではないかということをお伝えしました。“殿軍”という言葉は私も今までは知らずにいたのですが、ニュースで私の状況を知った、家内の恩師からのメールで、ご主人には殿軍の将としてがんばっていただくように、というメッセージが送られてきたのです。

“殿軍”をウィキペディアで調べると

殿(しんがり)とは、後退する部隊の中で最後尾の箇所を担当する部隊を指す。後備え(あとぞなえ)、殿軍(でんぐん)ともいう。本隊の後退行動の際に敵に本隊の背後を暴露せざるをえないという戦術的に劣勢な状況において、殿は敵の追撃を阻止し、本隊の後退を掩護することが目的である。そのため本隊からの戦闘加入を受けることもできず、限られた戦力で敵の追撃を食い止めなければならない最も危険な任務であった。このため古来より武芸・人格に優れた武将が務める大役とされてきた。

と書かれています。

本隊が壊滅してしまったら、次の反撃ができなくなるので、本隊を守って撤退させることが役目の殿軍は、次の巻き返しを図るために、なくてはならない存在であったということでしょう。

殿軍の将としての行動として、さっそく、この日の夕方、高等教育担当の鈴木寛文部科学副大臣に、財務・経営センターの大切な役割をご説明にいってきました。もちろん、例のパネルを持参して。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

インタビューの準備(その4):“地域医療の最後の砦”が崩壊しないように経営支援組織の機能を強化せよ!

2010年05月07日 | 日記
さて、今までのブログで、長々とインタビューの準備を書いてきましたが、もうすぐインタビューに臨むにあたっての私の主張をまとめておきましょう。

1)国立大学と附属病院の経営危機を打開するためには、少なくとも危機的状況を脱して、健全で自立できる経営環境が整うまでの間、実効性のある経営支援組織の存在が必要不可欠である。

2)実効性のある経営支援組織にするためには、融資・交付機能、分析・研究機能、相談・提言機能を有機的・一体的に持たせるべきである。

3)経営支援組織は、民間でもなく、国でもない、中立的で融通性のある第三者機関におくことが最も実効性がある。

4)上記条件を満たしている財務・経営センターのような経営支援組織を、現場の状況を考慮しない論理でもって現時点で壊してしまうことは、ほんとうの意味での効率化につながらず、国立大学と附属病院の経営環境をさらに悪化させ、地域住民や国民にとって不利益を生じさせる危険がある。

5)今、緊急に行うべきことは、国立大学と附属病院の経営支援組織を弱体化させることではなく、その機能を強化することである。

国立大学、特に“地域医療の最後の砦”である大学病院が崩壊しないように、この主張を最後まで貫きたいと思っています。

今からインタビューが始まります。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

インタビューの準備(その3):融資交付・分析研究・相談提言機能を一体的に機能させる支援組織が必要

2010年05月06日 | 日記
さて、5月7日のマスコミの取材に向けての私の頭の中の整理の3回目です。何度もしつこく断っておきますが、ここに書いたことがらは文部科学省とはまったく関係のない私個人の意見ですし、また、皆さんのご意見によって修正することもありうるということです。

それに、今日はずいぶんと文章が長くなってしまって、ブログというよりも論説になってしまいましたね。でも、明日のインタビューに間に合わないので、今日、書いておくことにします。


仕分けでは、財務・経営センターの融資機能・交付機能は全面的に否定されました。仮に財務・経営センターで行わないとするならば、国立大学附属病院長会議が緊急声明を出したように、国は別の形で、それまでの融資と交付をきっちりと担保していただきたいと思います。

しかし、私は、融資交付事業、分析研究事業、そして相談提言機能は、それを有機的・一体的に機能させて始めて、有効な経営支援機能を発揮できると考えています。

まず、適切な融資や交付を行うためには、大学病院の経営の適切な評価や審査が必要です。民間の金融機関でも、融資の機能と、経営評価・審査は一体化して行っていますね。これをばらばらにしたのでは、適切な融資はできないというのが常識だと思います。したがって、融資機関は大学病院の経営に関する分析・研究機能を一体的に持つべきであると思います。

大学病院は民間金融機関から借りればいいではないかというご意見もあるのですが、私は反対です。その理由は、そもそも低利長期の融資が困難であるという問題が第一点。それから、大学病院の経営に関して、十分なデータを持ち合わせていない民間の金融機関が大学病院の使命の達成機能まで含めて、適切な経営判断ができるとは考えられないからです。

私は、さらにもう一つ逆の視点からの問題点が起こりうると考えています。それは、民間金融機関は償還可能性を第一義的に考えて融資の可否を決定するので、大学病院のような今まで100%の償還実績があり、暗黙の国の信用保証があると考えられる病院には、その経営状態にかかわらず現場の希望どおりの融資をする可能性が高いのではないかという懸念です。これは一種のモラルハザードだと思います。

しかし、それでは、将来、大学病院が立ちゆかなくなる可能性があり、私はそれを危惧しています。病院再開発に過度の投資をしてしまうと、結局、その償還のために現場が疲弊をしてしまって、教育・研究・高度医療・地域医療の支援といった、大学病院の大切な公的使命が損なわれてしまう危険性があるからです。現に、過去の過大な借金を背負って、“我々は借金を返すためだけに診療をしているのか?”というような現場の声も出るような状況で、日本の医学論文数は激減をしてしまいました。

また、承継債務の問題だけではなく、法人化後に再開発をした大学病院においても、今後、過大な借金の償還に苦しむことになるのは、火を見るより明らかです。

そして、”地域医療の最後の砦”という、あまりにも大きな公的使命の故に、結局大学病院をつぶすことはできない、ということになれば、税金を投入せざるを得ないことになります。


各大学病院には、再開発の投資額を適切な金額にコントロールしていただく必要があると考えています。ただし、投資額を抑制しすぎて安かろう悪かろうの大学病院を作ったのでは、逆に、教育・研究・高度医療・地域医療の支援という大切な使命機能が十分に果たせなくなります。

つまり、大学病院の再開発については、使命機能を十分に発揮できる大学病院であり、なおかつ過度の投資を抑える必要があります。この妥当な投資額がいったいいくらかという点については、今後、分析・研究を続ける必要があるのですが、それと同時に、再開発投資の妥当な金額について、指導的な助言機能を持つ機関が必要であると考えています。

このような相談から一歩踏み込んだ指導的な助言まで行うとなると、これは、融資や交付の権限を持っている機関でないと困難です。

実は、財務・経営センターは、当初“研修”機能を有していたのですが、前政権下において、国立大学協会という国立大学の集まりにおいても研修をやっているので重複するという理由で、“研修”機能を外されてしまっていたのです。

これは、あまりにも短絡的な発想ですね。“研修”を行うにしても、融資や交付の権限を持っている機関が行う場合と、持っていない機関が行う場合とでは、その効果に雲泥の差があることは明白です。財務・経営センターの現場は、“研修”事業が否定されてしまったのですが、“勉強会”という形で、全国の若手の職員を集めて、経営相談事業を粘り強くやってきたのです。

さらに、病院再開発の投資額に関係することがらとして、公費投入額の妥当性の問題があります。国立大学病院の場合、建物建設費の10%が教育研究相当額として国費が投入されていますが、実は、自治体病院では公的な使命に相当する金額として50%公費が投入されているのです。

大学病院が教育・研究・高度医療・地域医療の支援という大切な使命を果たすためには、どうしても一般病院よりも高額の再開発費がかかります。しかし、その使命に係わって高額となった投資額について、現行の診療報酬がカバーしているわけではありません。診療報酬でカバーできないとなると、公費でカバーしていただかないことには、病院はやっていけません。果たして再開発費の何パーセントが公費投入額として妥当なのか?私はこのようなことについても分析・研究をして政策提言をおこなう第三者機関が必要であると考えます。

次に、大学病院の経営危機(たとえば資金繰りに行き詰まった時など)に対するセーフティーネットの仕組みづくりが必要であると考えていますが、現時点は存在しません。資金繰りに困った病院で行われていることは、総合大学においては他の学部の教育・研究費でもって一時的に凌ぐことです。しかし、安定的に確保されるべき教育・研究費で病院の経営の浮沈を補うということは本来あってはならないことであると私は考えますし、規模の小さな大学では不可能です。

国でセーフティーネットの仕組みがつくれるかというと、これも困難であると想像します。それは “赤字”は各大学病院の経営の怠慢なのであるから、それを国民の血税で補填することはとんでもない、といった議論にすぐになってしまうからです。実際のところは、個々の病院によって差はあるかもしれませんが、基本的には大学病院の怠慢ではなく、患者数や手術件数を増やし、毎年4%もの増収を積み重ねているにもかかわらず、国の交付金削減が激しすぎたために赤字になっていると考えられるのですが・・・。

私は、セーフティーネット機能を、融資や交付機能を活用して財務・経営センターに付与するということが、一つの解決策になった可能性があるのではないかと考えています。

以上、ずいぶん長々とお話してきましたが、このようなことから、大学病院に対する融資交付機能・分析研究機能・相談提言機能を有機的・一体的に機能させて始めて、強力な大学病院経営支援組織を形成できると考えます。そして、それを担う機関としては、私は民間でもなく、国でもなく、いろいろな面において融通性のある第三者機関で行うことがベストであると考えます。

私は、国立大学・財務経営センターは、融資交付機能・分析研究機能・相談提言機能を有機的・一体的に機能させることにより、大学と大学病院の危機的状況を救うことが出来る最善の組織構造を持っていたと思っています。ところが、残念ながら、事業仕分けによって、各事業ごとにバラバラに必要性を検討される手法により、すべの事業の廃止という結論が出てしまいました。仕分けの議論では、各事業を有機的・一体的に機能させることによる効率性や効果性について、いっさい議論されなかったことはほんとうに残念でなりません。

私は、国立大学と附属病院の危機的状況を打開するためには、財務・経営センターのような大学経営支援組織の存在が、少なくとも危機的状況を脱するまでは、必要不可欠であると考えます。仮に財務・経営センターの組織そのものを否定されるのであれば、それに代わる第三者機関の設立が必要と考えます。

事業仕分けで、財務・経営センターのすべての事業が廃止という結論になりましたが、最終的な事業や組織のあり方については、これから検討されるということなので、全国の国立大学や附属病院の皆さん、そしてその恩恵を受ける地域住民や国民の皆さんのために、最後まであきらめずに頑張りたいと思っています。

皆さんからの応援をよろしくお願いいたします。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

インタビューの準備(その2):なぜ大学病院経営の分析・研究は、大学や国と異なる第三者機関が最善か?

2010年05月05日 | 日記
前回のブログでは、財務・経営センターの相談業務の観点からの私の考えをご説明しました。今日は、分析・研究機能の観点からお話をしたいと思います。ただし、何度も断っておきますが、このブログで書いていることは、私個人の考えであり、国の考えとはまったく関係がありませんし、皆さんのご意見をお聞きして修正するべきものと思っています。

前回、大学病院の危機的状況を救うためには、各大学病院に対する適切な経営相談だけではなく、国に対しても政策提言を行うことが必要であると述べましたが、そのためには、大学病院の詳細なデータに基づいた分析・研究が必要不可欠であり、相談業務や政策提言と分析・研究機能は一体的に行うことが不可欠であると考えます。

実は、私は、国立大学法人化と同時に始まった大学病院の経営改善係数という予算削減政策に対して、国立大学の現場の立場から、国に対してその不適切性をデータに基づいてずっと訴え続けてきた人間なのです。しかし、当事者が訴えるというのは、当事者の利益を主張していると受け取られがちであり、なかなか難しい面があると感じています。日本医師会がいくら正しいデータを示しても、自分たちの利益を主張していると国民から思われてしまい、説得力を失ってしまうのと同じですね。

このような理由で、大学の利害に関係する研究については、当事者以外の組織、つまり大学ではない組織が分析・研究するのが望ましいと思っています。また、大学は本来研究者個人の自由な発想にもとづいて研究が行われるので、このような相談業務や政策提言に直結しなければならない分析・研究は大学になじまないということもあります。

一方国が分析・研究を行う場合に懸念されることは、最初に一定の政策の方針が決められている場合、その政策を支持する分析・研究がなされる可能性が否定できないことです。医師数が過剰になると言い続けてきた医師の需給に関する報告書の件をとっても、医師を抑制するという政策が最初にありきというような環境では、分析・研究結果に何らかの影響を与えた可能性も否定はできないと私は感じています。

また、財務省は基本的に予算を削減することが使命ですから、予算を削減することだけを念頭におき、それを支持するデータだけを示すことになりがちであり、各省庁は予算を獲得するために、予算を削減してはいけないということを支持するデータを示すことになります。これは、財務省が悪いと言っているわけではなく、国の財政が逼迫する状況においては、予算決定過程の必要なプロセスなのだと思います。ただ、このことから国が行う分析・研究についても、必ずしも客観的な分析・研究がなされるとは限らない素地をはらんでいるということを念頭におく必要があると思います。

このようなことから、私は、地域住民や国民の視点からの客観的なデータの分析・研究は、当事者ではなく、また政府からも一歩距離をおいた中立的な第三者機関で、優秀な研究者を集めて行うことが現時点では最善であると考えます。

ただし、国において、最初から定められた政策ありきの下での分析・研究ではなく、現場の状況やデータを正確に把握できる部署で、ローテーション人事ではなく優秀な研究者を集めることができ、現場の立場にも配慮した客観的な分析・研究が担保されるのであれば、国で分析・研究することも可能だとは思います。私が、仕分けの場で、国でも研究が可能と発言したのは、そういう前提があっての話です。しかし、前提が担保されなければ、国で分析・研究をするべきではありません。

そして、分析・研究機能だけを切り取って考えれば、一定の条件を満たすことを前提として、国でも分析・研究が可能かもしれませんが、経営相談機能から分析・研究機能を分離してしまうことになれば、経営相談事業な成り立たなくなります。もし、国で経営相談事業を行うことがなじまないとするならば、第三者機関において、分析・研究機能だけを切り取らずに経営相談機能と分析・研究機能を一体化して事業にあたることが最善であると私は考えます。

そして、私は融資・交付機能についても、この第三者機関が、経営相談機能と分析・研究機能とともに有機的・一体的に持つべきであると考えているのですが、その理由は次のブログで説明することにいたしましょう。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

インタビューの準備(その1):なぜ大学病院経営の適切なコンサルテーションは民間では限界があるのか?

2010年05月04日 | 日記
これからのブログで、5月7日のインタビューに向けての私の考えをまとめておくことにしましょう。ただし、私の考えが絶対的に正しいということではないと思うし、思い違いもあるかも知れないので、皆さんからのご意見をもとに、より良い形になるように修正したいと思っています。なお、個々に書かれていることは文部科学省の見解とは何の関係もない私個人の考えであることをお断りしておきます。

まず、最初は、財務・経営センターの大学病院経営相談業務(コンサルテーション)の観点からの議論です。

仕分け人から、大学病院は自立的な経営を目指すべきであり、経営のコンサルテーションは民間に頼めばよいという主旨の発言がありましたが、その意見に対して私は若干の反論をしました。しかし、時間もなく十分に答えられませんでした。

仕分け人に指摘されるまでもなく、大学病院の経営のコンサルテーションを民間会社に頼むことは、すでに多くの国立大学や大学病院で行われてきました。しかし、私の経験からは、個々の案件の問題解決には役だったと思うこともありましたが、高い金額の割には、概して失望を感じるものが多かったと感じています。おそらく、他の大学病院もそう思っている人が多いと思います。

その理由の一つは、大学病院の経営というのは単に採算がとれるということだけでは不十分で、教育・研究・高度医療・地域医療の貢献という、公的使命を果たして始めて、経営がうまくいったと言えることにあります。つまり、採算がとれても、教職員が疲弊し、医学論文数が減っているようでは、経営が良いとは言えないわけです。大学病院の特殊性まで考慮した適切な指導をしていただける民間のコンサル会社は果たして存在するのでしょうか?

もう一つの理由は、民間のコンサル会社は、大学病院の詳細なデータを持っていないことがあげられます。そのためにベンチマークをとることができず、一歩踏み込んだコンサルをするには限界があると思われます。また、適切なコンサルに必要な分析・研究も、詳細なデータを利用できないので、不十分になると考えます。

大学病院のデータについては、国立大学病院の財務および詳細な診療機能を中心に、教育・研究機能まで加えようとしているデータベースを私と私の仲間が中心となって約2年前に作りあげました。そして、今、ようやく大学病院経営の多面的な分析が可能となったところです。このようなデータベースは世界中を探してみても他には存在しません。

さらに、大学病院の健全で自立的な経営と、住民や国にとって大切な使命機能の達成を両立するための政策提言を行う必要があります。現場に対して健全で自立的な経営を促しつつ、同時に、国に対しても政策提言を行う機能を、民間企業が果たすことは困難ではないかと思います。

私は、財務・経営センターのような中立的な第三者機関に、民間も含めて外部から有能な人材を集めてチームを作り、大学病院の貴重なデータベースを活用した分析・研究を行うとともに、その結果を経営相談と政策提言に活かすことが有効な方法であると考えています。仕分けでは、財務・経営センターにプロのコンサル人材がいないことを指摘されましたが、しかし、民間にも大学病院の経営をほんとうの意味で指導できるプロはいないと思っています。大学病院経営を指導できるほんとうのプロ人材の育成はこれからです。

また、これは仕分けの場でも説明をさせていただきましたが、結局は職員の経営意識や知識の底上げをしないと、大学病院経営改善の根本的な解決にならないと思われ、現在、財務・経営センターが行っている、全国から若手職員を集めた勉強会は有効な手段であると考えています。

これは、全国の国立大学と病院間のネットワーク機能を活かした取り組みです。ネットワーク機能は、コンサルテーションにおける強力な武器であると考えています。民間会社ではこのようなネットワーク機能を活用したコンサルテーションは困難です。

また、財務・経営センターに外部から有能な人材を集めた経営支援チームをつくることができた暁には、各大学から出向している職員たちにも勉強になるはずです。つまり、財務・経営センターに各大学からローテーションで職員を出向させること自体が、能力開発になり、そして、彼らが大学にもどれば、それぞれの大学で経営の中核人材として活躍することが期待されます。こんな、全国の大学の職員が、財務・経営センターに僕も私も出向したいと思っていただけるようなセンターに改革することが私の夢でした。

なお、民間でもなく、第三者機関でもなく、国がこのような業務を行うことも考えられますが、民間を含めた有能な経営人材を集めてチームを作るなどの機動的な人事を行うことは困難と考えられ、ローテーション人事が適用されるのであれば、大学病院の経営を指導できるプロを育てることは非常に難しいと思われます。

まとめ

民間では
・大学病院の使命機能の達成まで含めた経営の相談・助言は困難
・大学病院の詳細なデータを持ち合わせていないので、ベンチマーキングができない。
・大学病院の詳細なデータを持ち合わせていないので、適切な経営相談や政策提言に必要な分析・研究ができない。
・大学病院の現場に即した職員の能力開発は困難
・ネットワーク機能を活用したコンサルテーションは困難
・コンサル料が高額で、財務的に困窮している大学病院では困難
・国に対する政策提言機能を持たせることは困難

なお、これは民間のコンサルテーション会社の役割を否定しているのではなく、大学病院の経営相談において、もちろん民間も役に立っていただいているのですが、それだけでは不十分であるということを主張しています。

国では
・有能な外部人材を集めてチームをつくるなどの機動的人事が行いにくく、ローテーション人事が適用されれば、大学病院の経営指導のプロを育てることは困難。

大学病院の経営の危機的な状況を打開するためには、民間ではなく、しかし国からも一歩離れた融通性のある中立的な第三者機関において、有能な外部人材を集めて大学病院の経営支援に特化したチームを作り、現場に即したデータを分析・研究しつつ、ネットワーク機能を活用した、健全かつ自立的な経営と使命機能の達成の両立を促すための相談・助言機能を持たせ、同時に国に対する政策提言機能を持たせることが最善の方法と考えます。

なお、第三者機関に相談・政策提言および分析・研究機能に加えて、融資・交付機能を持たせることによりさらに強力な経営支援組織になることは、次回以降のブログで説明したいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「大学病院が第二の夕張にならないように・・・」という表現では不十分だった。

2010年05月03日 | 日記
5月7日にマスコミからインタビューを受けることになっていることを先日のブログでお話しましたね。どのように評価されるかは別にして、正直に私の考えていることをお話しようと思っています。

仕分けの場で私が発言をした「大学病院が第二の夕張にならないように・・・」は、仕分け人の方々も少しはびっくりした表現だったと思いますし、また、ニュースでもこの発言が流れたようです。

実は、私は「大学病院が第二の夕張にならないように・・・」という表現では不十分だったと思っています。

その理由は、平成16年の国立大学法人化の時に、それまでの1兆円にものぼる巨額の債務を、何の清算もされずに、大学病院が引き受けさせられたからです。

それまでは、政府の中での借金のやりとりであったので、現場は借金をしているということはまったく意識をしておらず、突然借金を返せと言われてびっくりしてしまったわけです。病院セグメントだけをとってみれば、貸借対照表で大幅な債務超過の状態で法人化が始まったことになります。

つまり、最初から夕張状態で大学病院が法人化されたということです。ですから、「大学病院が第二の夕張にならないように・・・」という表現では不十分であり、「夕張状態で法人化を始めさせられた大学病院を救うために・・・」という表現をするべきだったのです。

債務超過というのは、民間企業では破産状態であり、デフォルトされてもおかしくない状態ですね。

仕分け人は大学病院が自立的な経営をするべきであるとおっしゃいましたが、私は時期尚早であると述べました。誰が考えても無理な話だと思います。

各大学病院は毎年約4%もの増収を達成して、必死に経営改善に取り組んでいます。しかし、それでもおっつかず、現場は疲弊をして、大学病院として果たすべき、教育、研究、高度医療、地域医療支援という、地域住民にとって、そして国民にとって大切な使命が損なわれつつあります。

やはり、大学病院が自立的な経営ができるまでには、自立的経営のできる環境が整わなければ無理だと思います。自立的経営を可能とする環境を整えるために、私は、少なくとも次の4つの財務的な重要事項が明確化されることが必要と考えています。

1. 約9000億円もの多額の負債の処理をする道筋
2. 大学病院への教育・研究・高度医療・地域医療支援という公的な使命機能達成への妥当な公費投入額
3. 大学病院の妥当な再開発費
4. 大学病院の妥当な診療報酬

これらのことは、現在のところ、納得性のある根拠を持って決められているわけではありません。

また、財務的なこと以外にも、大学病院医師の低い給与や労働時間などの労務問題や、教育・研究・高度医療・地域医療への支援機能といった使命機能の回復・向上など、解決するべき問題は山積しています。

今は、どれだけ頑張っても自立的経営は不可能だと思います。そのためには、危機を脱するまでの間、大学病院を支える何らかの仕組みが必要です。その一つが財務・経営センターであったと私は考えているのですが、それが仕分けで否定されてしまいました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ご家族からの応援メッセージ(その2)

2010年05月02日 | 日記
4月27日にご紹介させていただいた、ある三重大医学部生とご両親様から、仕分けの結果をご覧になっての心温まるメッセージを再度いただきましたので、ご紹介します。


***************************************

大仕事ご苦労様でした。テレビでも豊田先生を拝見しました。本当にお疲れ様でした。これからも一ファンとして応援させていただきます。

両親からのメッセージも添付させていただきます。貧者の一灯とお受け取りいただけますとありがたいです。

三重大医学生の父母より

きのうの仕分けの結果は、とても残念でした。私共市囲に暮らしていますので高まいな立場には、縁はありませんが、国の有様をかってに決めている為政者のふるまいについては、節目の折々で、あきらめ切れなく、言いようのない思いを再び思わされることとなりました。これからも先生には、静かに、そして粘り強く、将来ある若者と日本の医療のためにも、ご尽力を続けていただくようお願いします。

****************************************

注)貧者の一灯
長者の万灯より貧者の一灯。金持ちの多くの寄進よりも、貧しい者の心のこもったわずかの寄進のほうが功徳が大きい。形式よりも真心が大切であるということのたとえ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

仕分けの場での私の主張を聞いて、次の朝の議論が必要と感じた人がいる!

2010年05月02日 | 日記
事業仕分けの短時間の議論の場で、私は言いたいことの半分も言えなかったのですが、多少なりとも自分の意見を主張させていただきました。

結果はすべて否定されてしまったのですが、そのやりとりを聞いていたマスコミの方から、もう少し詳しく聞きたいという取材を申し込まれました。それで、5月7日にインタビューに応じる予約を入れました。

あの仕分けの場で、私の主張を第三者の客観的な立場からお聞きになって、短時間の場では議論が十分に尽くされておらず、もう少し詳しく現場の意見を聞く必要があると思っていただけたことは、ほんとうにうれしく思います。

事業仕分けのいわゆる“劇場的”な場面が終われば、それ以後はニュース価値がなくなると考えて報道をしなくなるマスコミが多い中で、きっちりとほんとうに正しいことは何かを追求しようとしているマスコミが存在するのですね。

もちろん、私の主張することが正しいか間違っているかは、取材の結果をもとにその報道機関が判断することなので、取材を受けても果たして報道していただけるのかどうか、まったくわかりません。でも、私の考えていることを正直にお話ししたいと思っています。

そして、そのことが、危機的状況にある国立大学と病院を救って、地域住民や国民への損失を食い止めることに何らかの形でつながれば、私の目的を達したことになります。

夫婦げんかでは次の朝文句をいっても、もう遅いと言われているのですが、果たして、事業仕分けの場合には、次の朝の議論をどれくらい真剣に検討していただけるものなのでしょうか?


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まぼろしのパネルも無駄にしない

2010年05月01日 | 日記

事業仕分けのためにせっかく準備したのに、直前に使うことができなくなったパネルを皆さんにお見せしておきましょう。そのいきさつは、4月27日のブログで説明したように、文科省との最終的な調整によって私の冒頭の挨拶が中止になったために、使えなくなったからです。

国立大学と病院の危機的な状況と、財務・経営センターの役割を、簡潔にまとめて4月21日に、枝野大臣の視察の時にお見せしたパネルを、さらに簡潔に、また、少し離れたところからも字が判読できるように大きくしたものです。私のまぼろしの冒頭の挨拶の趣旨を簡潔に図で表したものが、このパネルだったんですね。F係長が精魂込めてこのパネルを作ってくれたんです。

このパネルは今後も理事長室に飾っておきます。そして、職員が働いている各部屋にも、このコピーを張ります。職員には毎日この絵を見て、地域住民と国民を第一に考えて、国立大学と病院を支えるために、ぎりぎりまで日常業務に取り組んでほしい。この理念は、この組織が将来廃止されるかどうかに関係なく、不変であるからです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする