ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

国立大学財務・経営センター研究部廃止にあたって

2012年03月30日 | 科学

 今日のブログでは、国の方針により、国立大学財務・経営センターの研究部がこの3月31日をもって廃止されますので、読者の皆さんにご報告しておきます。

  「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」(平成24年1月20日閣議決定)における国立大学財務・経営センターに関係することとしては

 ・大学入試センター及び大学評価・学位授与機構については統合し、大学連携型の成果目標達成法人とする。

・国立大学財務・経営センターについては廃止し、その業務のうち当面継続されるものについては、統合後の法人に移管する。

と記載されています。

  法人の統合は2年後を目指すとされています。当面継続される事業とは、国立大学の建物修繕費を中心とした交付事業と、国立大学附属病院の建物や医療機器購入に必要な資金の貸付事業の二つです。この二つの事業については、各大学や附属病院から継続が強く要請されています。

  なお、貸付事業の財源の一部は、当センターが発行している債権にもとづいていますが、2年後に当センターが廃止されたとしても、新法人に確実に事業が承継されますので、投資家の皆様におかれましては、どうぞご安心ください。

 さて、去る3月23日には、センター研究部の最後の事業となったシンポジウムが開催されました。私も、そこでプレゼンをさせていただいたのですが、その内容は追々お話していくことにして、今日のところは、平成16年度以降のセンター研究部の業績を簡単にまとめた小冊子「国立大学財務・経営センター研究部の足跡」の挨拶文を私が書かせていただきましたので、ブログの読者の皆様にも紹介させていただくことにします。

 国立大学財務・経営センターは廃止されることが決まっており、今回の研究部廃止により、その機能が大幅に縮小されますが、廃止されるまでは残された事業を遺漏なく遂行しなければなりません。国立大学、特に附属病院の公的機能の向上を支援することを通じて、国民や地域の皆様に少しでも貢献できるように頑張りたいと思っています。

*****************************************************

「国立大学財務・経営センター研究部の足跡」

理事長挨拶

 平成22年から当センター理事長を拝命している豊田でございますが、当センター研究部の足跡を発刊するにあたり、一言ご挨拶を申し上げます。

  国立大学財務・経営センター研究部は、当センターの前身である国立学校財務センターが設立された時(平成4年)に発足し、平成16年の当センターの独立行政法人としての再出発を経て、20年間にわたり大学の財務・経営の改善を図るための研究を続けてきました。しかし、この度、国の財政縮減の一環として平成23年度をもって廃止され、研究活動に終止符が打たれることになりました。

 設立当初は久我重雄氏、市川昭午氏が、それぞれ一人で研究員をお勤めになっておられましたが、平成8年から天野郁夫氏、平成12年からは山本清氏が加わって次第に研究体制が充実され、さらに市川氏ご退職の後、島一則氏、丸山文裕氏が加わって4人体制となり、活発な研究活動がなされました。

 時あたかも国立大学法人化の前夜であり、法人化制度とそれに伴う財務・経営の課題を中心として、高等教育の在り方についての国際的で広範な情報提供がこのセンターを中心になされたことは、特筆すべきことです。

 平成16年の国立大学の法人化に時機を同じくして、当センターも独立行政法人として再出発し、研究部のテーマであった大学の財務・経営の改善のための研究は、いっそう重要性を増しました。

 実は、当時三重大学長であった私も、平成16年10月2日に、当センター研究部の主催する第23回財政・財務研究会「国立大学附属病院の経営とその問題点」において、コメンテータとして発表しています。この時の発表をもとに「大学附属病院の経営とその問題点(コメント)―経営改善活動の経験から―」という論文を書き、当センターの紀要である「大学財務経営研究」第2号(2005年)に掲載していただきました。

  法人化当初の混乱の中で、当センター研究部によるこのような大学財務・経営に関する情報提供は、大学の現場においても、また、政策担当者においても、たいへん貴重なものであったと思います。法人化に先立つこと12年も前に、大学の財務・経営をテーマとした研究部を創設された先達の先見の明を感じるものです。

 このような、大学の財務・経営の研究を大学において行うことは、学生の需要が小さいこと、研究者の興味に任せることによる中断や、現場のニーズや政策立案と乖離するリスクがあることから、できるならば、政府が支援する第三者機関で行われることが最も望ましいと考えます。法人化後の当センターは、政府と大学から一歩離れた中立的・客観的な立場から大学の財務・経営の研究を行い、その成果を大学に還元することによって大学現場の財務・経営の改善に生かしていただき、一方では、政府の高等教育政策に反映していただくという、たいへん好ましい形で再出発したことになります。

 研究部の陣容は、水田健輔氏、石崎宏明氏、澤田佳成氏、そして、金子元久氏を迎え、入れ替わりを含めて4人体制が維持され、大学病院の財務・経営の研究にも力を入れ始めるなど、時代の急速な変化にも対応してきました。そして、法人化第二期を迎えて国立大学法人はさらに厳しい財務・経営状況に置かれることとなり、当センターの研究部の重要性もいっそう大きくなるところでした。

 しかしながら、国の財政逼迫に際して、国立大学の財務・経営の支援をし、その機能を守り、高めようとしていた当センターが、まさにこれからという時に事業仕分けの対象となって、研究部が廃止されるに至ったことには、忸怩たる思いを禁じ得ません。

 わが国において、大学の財務・経営に関して系統的に研究し、その成果を大学の現場に還元するとともに政策立案に資すことができる研究機関は、現在のところ他に見当たりません。このような研究が途絶えて、これまでの20年間の当センター研究部の蓄積が散逸し忘れ去られることは、わが国にとって大きな損失なのではないかと感じます。

 大学の現場と同時に政策立案にも役立つことを通して国民の利益に貢献する「大学の財務・経営の研究」が、今後も何らかの形で継続されるよう、関係各位の善処を切にお願いいたします。

 

国立大学財務・経営センター理事長

豊田長康 

 

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果たして大学病院は無用の長物か?(最終章)

2012年03月28日 | 医療

ずいぶんと間をおいてしまいましたが、ブログを再開することにします。

 この間、台湾の大学訪問や、講演が二つあって、忙しかったということもあります。ちょっと書かないと、あっという間に間があいてしまいますね。読者のみなさんにはお詫びいたします。

実は先日、京都大学総長室特命補佐で文科省研究振興局の学術調査官のM先生をはじめ、大学や文科省を改革しようという高い志をもった若手の方々6人とオフ会でごいっしょしたのですが、M先生は私のブログの熱心な読者で、全部プリントアウトされて、しっかりと勉強されていました。

 私のこんなブログでも熱心に読んで下さる人がいるんだと思って、これは、もっと、一生懸命ブログを書かないといけないと、改めて思い直した次第です。

 前回のブログのお約束では、2月10日の大前研一氏の週刊ポスト誌の記事に対する私の意見を整理しておくということでしたね。それで、今まで言い足りなかったことも含めて、表にまとめてみることにしました。

次回は、テーマを変えて、先週の私の講演のご紹介や台湾の大学情報をお伝えしようとと思います。

(本ブログは豊田の所属する機関の見解ではなく、豊田の私的な感想である。)

 

大前氏のコメント・提案

現状

豊田のコメント

(コメント)医師不足や地域偏在の問題の元凶は、医師や病院が厚労省管轄なのに医学部を文科省が管轄していること。

 

・医師不足や地域偏在の元凶は、厚労省が伝統的に医師数を抑制していたことに加えて、若手医師流動化による医師需給の自由市場化で表面化したこと。医学部の管轄が文科省か厚労省かには関係なし。

・ただし、医学部・大学病院の管轄には、文科省および厚労省が連携して当たるべき。文科省医学教育課と厚労省の交換人事はすでに行われているが、さらに強固に。

(提案)医学部における診療科ごとの定員制⇒厚労省が医学部を管轄すれば実現可能

・現状は厚労省管轄の卒後臨床研修修了後に専門分野を自由に選択。

・卒後臨床研修の地域定員が定められたが、どの地域も過剰でない状況では調整は難航し、実効性に課題。

・産科医不足の対策案として、医学部入学時奨学金の産科枠設定も検討されたが、見送られた。

・どの診療科も過剰でない現状では、ある診療科を充足すれば、他の診療科が不足すること等から定員の調整は困難。ただし、医師過剰になれば話は別。専門医の定員制導入は検討の必要あり。

・厚労省が医師需給を推計し、医学部定員を実質コントロールしてきたが、計画経済による調整は難しい面を持つ。

・医学部入学時の診療科ごとの定員制はさまざまな困難が予想される。そもそも忌避される診療科の待遇改善が不十分なままで、情報が十分に与えられない高校生に対し入学定員で調整するのは本末転倒。

・ドイツのような開業医定員制導入については、職能集団が反対。

・実現は、厚労省の医学部管轄に無関係。

(提案)地域と専門分野別に給与や授業料等でインセンティブを与える。⇒厚労省が医学部を管轄すれば実現可能

・産科等では診療報酬の+改定がなされた。

・地域病院の医師給与は以前から高め。

・奨学金は地域枠入試制度で既に実現。

・インセンティブを与えることをさらに推進するべき(大前氏に基本的に賛成)。ただし、厚労省の医学部管轄とは無関係。

・地域枠入試に伴う奨学金も文科省管轄下ですでに実現したので、実現は厚労省の医学部管轄に無関係。

(提案)厚労省が“医師養成学校”を作る。

・文科省以外が医学部の管轄・助成に関与する例としては・・・

・防衛省が防衛医科大学校を管轄。

・産業医大は厚労省が助成する私大。

・自治医大は総務省が助成する私大。

・中国では衛生部が11の医科大を直轄。

・厚労省が“医師養成学校”を作ることや厚労省が助成する医学部を作ることも考えうるが、現行の文科省管轄医学部の定員増で対応可能。すでにH19年7625人⇒H24年8991人と1366人医学部定員を増加した。新たな医科大を作ることに比較して経費が少なくすみ、全地域に配置されているという利点がある。

・もちろん、地域に必要な医師を養成することを理念としている自治医大も定員を増やした(100⇒130)。

 

(提案)地方が地方に必要な医師を養成する。

・公立大は今回の医学部学生定員増で地域に必要な医師数を増やしたはず。

・自治医大は各県の地域医療に必要な医師の養成システム。

・地方にある文科省管轄の医学部でも、今回、地域枠+奨学金制度により、地域に必要な医学部定員を増やした。

・問題は、公私大も含めて、地方大の卒業生が地方にとどまらずに、都会に移動すること。今回の地域枠+奨学金制度の効果をフォローする必要あり。

(提案)インターネット診断を認める。

・すでに遠隔医療は相当進んでいる。

・遠隔医療についてはさらに推進するべき。

(提案)医療特区を作り外国人医師を雇用

・地域医療崩壊の時に、一部地域が希望したが実現せず。また、外国の優れた医療を学ぶための外国人医師雇用も希望されているが厚労省は認めない。

・医師会は断固反対。

・厚労省のハードルは高い。

 

(提案)大学病院の廃止

・日本では大学が附属病院を所有

・海外では、大学の所有以外に、非営利法人や厚生省が所有するケース等、様々な形態がある。

・所有・非所有に関わらず、教育病院は必要不可欠。ただし、大学が所有する・しないで、メリット・デメリットがある。最新の研究成果の臨床応用の観点からは所有する方がベター。

・国際競争力の観点からは、所有する教育病院に加えて、非所有の教育病院を増やして、むしろ拡大するべき。

(コメント)日本のように大学側が優位に立つと、医学部生が専門を決める際に医局のパワー争いになり、人員が不足している科ではなくボスの強い科に人が集まる。

 

・最近は、卒後臨床研修でじっくりと中身を見てから研修医が専門診療科を選ぶ。ボスの魅力による診療科の医師偏在は、日本全体でみれば平均化され、大きな影響とはなりえない。

・医局のパワーとは医局員数と考えられるが、卒後臨床研修のマッチング制度による若手医師流動化によりパワーは弱体化した。その結果、地域の医師不足や偏在は解決するどころか、逆に悪化した。

・だだし、私はいわゆる”医局”のシステムが必ずしも良いとは思っているわけではない。

(コメント)研究は研究所の役割にして大学は病院を経営せず、学生の教育に徹するべきではないか。

 

・日本では臨床治験の空洞化がおこり、医療機器の開発でも世界の後塵を拝し、臨床研究の国際競争力は急速に低下している。臨床研究の場として病院は欠かせず、大学病院以外の病院の協力も得て、いっそう推進するべき。

・病院経営上の観点から、附属病院は財務的に大学から完全に分離するべき。この点では、大前氏の病院の独立性を高めるべきでという意見に通じる部分がある。しかし、大学は附属病院や非所有教育病院において、教育に加えて研究をいっそう推進するべきという点で私の意見と異なる。

(コメント)患者の位置付けが不明確な日本の大学病院は、もはや無用の長物になったといわざるをえない。

 

・大学病院における患者の位置付けは明確。患者を第一に考える高度医療である。臨床研究においてももちろん患者の意思が最優先される。

・地域にある大学病院の地域医療への貢献は極めて大きい。今や大学病院なくして地域医療は考えられない。また、東日本大震災での経験でわかるように、全国レベルの災害医療への貢献も大きい。

(提案)厚労省が実務面から市場原理で医師を最適配分する仕組みをつくる。

 ・現状でもある程度インセンティブが設けられているが、不十分。

・大前氏に基本的に賛成

・基本的には医学部定員増による医師数増+インセンティブ+マイルドな規制的措置(専門医の定員制や専門医資格に一時的地域勤務を義務付ける等)

・要するに、医師不足および偏在の元凶が、医師数不足および医師流動化(自由市場化)であることから、医師数を増やし、医師流動化(自由市場化)に逆らうインセンティブや規制を与えることが基本。ただし、強い規制は職業選択の自由を損なう等の問題もあって職能集団の理解が得られないことから、マイルドな規制にとどめるべき。

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果たして大学病院は無用の長物か?(その11)

2012年03月07日 | 医療

 10回にわたって大前研一氏の週刊ポスト誌2月10日号の記事に対するコメントを書いてきましたが、Dさんから以下のようなご意見をいただきました。

1)内容が豊富で、しかも長文になってきましたので、ある段階で、大前氏の記事内容の問題点とそれに対する先生のコメントを簡単にまとめて頂けると有難いのですが、如何でしょうか?

2)戦国時代に城を攻める際、一箇所退路を設けておいた方が見方の被害が少ないと言われています。先生のブログの中で、大前氏の意見を認められているという表現もされていますが、どうなんでしょうか?

  Dさんありがとうございます。言いたいことは今までのブログでお話しましたが、10回にもなると、言いっぱなしではわかりにくいですね。それと、Dさんのおっしゃるように、大前氏のおっしゃることにすべて反対というわけではありませんので、その点も整理しておかないと、読者には分かりにくいでしょうね。

  その前に、大前氏の週刊ポストの最後の文章について、まだコメントが終わっていませんでした。

「とにかく医師不足の問題は文科省や大学に任せていたら、是正できない。根本的な解決策は、厚労省が実務面から市場原理で医師を最適配分する仕組みを作り上げることに尽きるのだ。」

 となっています。実は、それまで書かれていたことを全く読まずに、これだけを読めば、私は大前氏の意見に基本的に賛成です。

  医師不足の問題を文科省と大学だけで解決できないのは大前氏のおっしゃる通りです。ただし、これは、最初からあたりまえといえばあたりまえですね。医師不足を含めて医療政策に責任を持つ官庁は厚労省であり、文科省は教育や研究が管轄ですからね。しかも、大学医学部の学生定員を変えることも、文科省だけではできません。厚労省が医師数抑制政策をとり続けてきたことは、前のブログでお話しましたね。

  だから、大前氏がそれまでの文章で、医師不足や医師偏在の問題について、文科省や大学病院が何もできないことを批判するのは、そもそも筋違いということにもなります。

  平成17年前後に日本で地域医療が問題となった時に、最初は大学病院が槍玉にあがりました。本来なら、医師不足は厚労省の管轄なのに、不思議なことに国会で文科省の役人が答弁をしていたことを思い出します。私も、当時、厚労省出身の方から大学病院の責任だというようなことを直接言われたこともあります。

  また、一部の厚労官僚の方は、“医局”が研究のために医師をプールするので、地域の医師偏在問題が解決しない、と考えておられた節があるように感じています。今回の記事の大前氏の大学病院批判と同じ考え方のように思えます。

  そして、厚労省の責任の下で実施された、平成16年の新医師臨床研修制度により若手医師の流動化が起こり、特に地方大学の医局が弱体化しました。つまり、医局の医師プールが減少して、結果的には大学外へ医師が放出されたわけですから、一部の厚労官僚の方が期待しておられた通りの結果が得られたことになります。

  ところが、“医局”が弱体化して実際に起こったことは、地域の医師不足の解消ではなく、逆に、地域病院の医師不足のさらなる悪化でした。そして同時に、大学の研究力も低下することになりました。

  もし、厚労省が、新医師臨床研修制度を実施する前に医師数を増やしておけば、そして、大学から全国へ放出された若手医師が、地域病院へ赴任する何らかの別の仕組みを確立しておけば、地域病院での医師不足は防ぐことができたかもしれません。ただし、当時は誰もそのようなことが起こると想定していませんでした。いわゆるthe law of unintended consequencesということなのでしょう。http://en.wikipedia.org/wiki/Unintended_consequences

  今、東日本大震災の被災地の病院での医師不足が問題となっています。短期間の医師ローテーションによる医療支援は全国の大学病院や地域病院が協力してつないできましたが、恒久的な医師の支援となると難しいようです。昨日の朝のNHKニュースでも女川町の病院の医師不足問題が取り上げられていました。医師や病院の善意に頼るのではなく、何らかの仕組みが必要であると。

  まったくその通りですね。医学部定員増の効果が出るのはまだ数年先ですし最初に地域病院での医師不足が問題化してからずいぶん経つのですが、従来の“医局”に代わる有効な医師供給システムは、未だに確立されていません。

 大前氏の最後の一文である

 「根本的な解決策は、厚労省が実務面から市場原理で医師を最適配分する仕組みを作り上げることに尽きるのだ。」

 には、まったく賛成です。ただし、厚労省だけでも解決しなかったわけですから、医局が弱体化したとはいえ、大学も協力しないといけないし、地方公共団体の協力も必要だと思います。

  それに、医師不足の根本的な解決策は、医師数を増やすことですから、それも加えたいですね。

 また、市場原理を活用した、あるいは市場原理に逆らった経済的インセンティブの付与(つまり皆の行きたくないところへ行く医師の給与を上げる)とともに、何らかのマイルドな規制的な仕組み、たとえば、若い時期に短期間の遠隔地勤務を義務付けるような仕組み(例えば専門医の資格要件として遠隔地経験を加える)などを組み合わせることも必要なのではないかと、私は思っています。

 もし、最後の文章を私が書くことが許されたなら

根本的な解決策は、厚労省と文科省および地方公共団体協力して、実務面から、医師数を増やすとともに、市場原理に各種のインセンティブを組み合わせることで医師を最適配分する仕組みを作り上げることに尽きるのだ。

 というような感じになるでしょうか。

  次回は、Dさんのご要望に応えて今までお話したことを整理することにしましょう。

 (本ブログは豊田の個人的な感想を述べたものであり、豊田が所属する機関の見解ではない。)

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