ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

国大協セミナー「産学連携による研究推進と人材育成」より

2011年11月17日 | 日記

昨日の11月16日に、国立大学協会主催の大学マネジメントセミナー研究編「産学連携による研究推進と人材育成」が、学術総合センターで開かれたので、ご報告しておきましょう。

最初は上智大学経済学部教授で学部長の上山隆大(うえやまたかひろ)先生の「産学連携と大学の研究を考える」というお話。

アメリカの産学連携の歴史を振り返り、どのようにして、他国が追随できない産学連携が育ってきたのか、たいへん説得力あるお話でした。私は初めてお聞きするのですが、とってもシャープな話しぶりの先生ですね。

アメリカにおいても、公的な使命をもつ大学が、果たして民間企業の片棒をかついでいいのか、あるいは、企業的な運用をしてもいいのか、という問いに苦しみつつ、利益相反のルール等を各大学独自に整備しつつ現在にいたっていること。つまり、アメリカの大学は営利企業化したのではなく、あくまで大学であり続けており、そして、市場化との狭間で苦しんだことがアメリカの大学の強みになっていること。

また、アメリカの大学では、公立大学ではもちろんであるが、私立大学においても連邦政府から多額の公的資金が投入されていることや、多額の寄付金により圧倒的な基金を積み上げていること。豊富なベンチャーキャピタルの存在と、そのようなリスクの高いベンチャーに年金基金さえもが相当額の投資をしているし、また、大学自身がその基金を使って投資をしていることなど。日本の大学をとりまく環境との大きな違いを、あらためて感じさせられました。

上山先生は、私と同じ大阪大学ご卒業で、スタンフォード大学の大学院で博士号を取得されているんですね。2010年のご著書「アカデミックキャピタリズムを超えて:アメリカの大学と科学研究の現在」で、第12回読売・吉野作造賞を受賞しておられます。

私が3年ほど前に、11あるカリフォルニア大学の1つ、アーバイン校に訪問した時に、大学の特許関連収入が7億円あり、これは日本の全大学の特許関連収入に相当する額であることや、工学部教授の90%がベンチャーを立ち上げることなどを聞いて、日本の大学との圧倒的な差に愕然として帰ってきたことを思い出します。

お二人目の演者は、JFEホールディングズの數土文夫氏。NHK経営委員会の委員長に就任されましたね。「企業から大学に望むものー新しい価値の創造」というお話でした。

企業人の立場から、日本の大学への注文をいくつかされましたが、その中で日本の論文の質が最近低下していることをお示しになりました。これは、私が数年前から警告を発してきたことですね。數土さんには、ぜひとも、政府に対して大学の予算を減らすなんてとんでもない、なんとかしろと訴えていただきたいものです。

また、数土さんは、国立大学にホールディングス制を導入してはどうか、という提案をされました。

最後は、パネルディスカッションです。筑波大学大学研究センター教授の小林信一先生がコーディネータで、パネリストは、群馬大学理事(研究・企画担当)の平塚浩士先生、大阪大学産学連携本部イノベーション部部長の兼松泰男先生、野村證券株式会社法人企画部長の大森勝氏の3人でした。

3人のプレゼンの後で、日本の大学の産学連携の現場におけるさまざまな問題点が、会場の聴衆も交えて活発に議論されました。紙幅の関係で省略しますが、一つだけ野村證券の大森さんが、三重大学の自治体向けコンサルティングを通じた地域経済活性化プロジェクトを紹介されたことを、皆さんにご報告しておきましょう。余談ですが、大森氏は前三重大学長の豊田さんがおこしになっておられます、とアナウンスされたので、ちょっとびっくり。

 

三重大学では、今年度から、シンクタンク機能を持つ「地域戦略センター」を立ち上げ、地域活性化政策の立案や政策実現のためのプロジェクトの実施などを有料で引き受けていること。そして、その連携機関として地銀の百五銀行グループと、三重TLOと、野村證券の3つが協力していること。

会場の聴衆からは、今までの地域貢献は、ほとんど手弁当で大学の持ち出しになっていたのを、有料でコンサルティングを引き受けていることに関して、大きな関心が寄せられました。

さて、前回のブログでは11月26日に「地域イノベーション学会」が三重で開かれ、ドン小西と対談をすることをお話しましたね。今一生懸命、どんなことを話すか考えていますが、近々ドン小西と打ち合わせをすることになっています。その内容は、また、ご報告しますね。



 

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地域イノベーション学会でのドン小西との対談・・・原案が修正されました。

2011年11月02日 | 日記

来る11月26日(土)に三重県津市で開催される地域イノベーション学会の第一回大会のプログラムが確定しましたので、お知らせします。

過日皆さんにこのブログでお話をしたドン小西との対談の原案が少し修正されています。

まずタイトルは「辛口”檄”トーク・三重を世界に売り込め!」に変更されました。

それから司会者が、武田美保さんから、 長谷川聡子さんに交代です。

原案では「三重を斬る!」というようなタイトル案でしたが、「三重を世界に売り込め!」となって、批判だけではなく、より建設的なトークが求められますね。

ところで今、三重県では、鈴木英敬知事が「三重県戦略会議」を立ち上げて、有識者から意見をお聞きになっておられますね。下の表にお示しした錚々たるメンバーです。

このうち、西村訓弘(のりひろ)先生は、私が三重大学長時代に、いっしょに「地域イノベーション学研究科」を立ち上げた方で、今回の「地域イノベーション学会」の仕掛け人の一人です。また、宮崎由至さんは、私が学長時代にずっと三重大学経営協議会の委員をしていただき、たいへんお世話になりました。

この方々のご意見は三重県のHP上で公開されています。さすがに錚々たる有識者の皆さんなので、ほんとうになるほどと感じる意見をどんどんと発言されています。

さて、ドンと私のトークでは、どんなお話をさせていただきましょうかね。この方々のご意見とは、また違った視点でお役に立てる何かが言えるといいのですが・・・。果たして可能かな?

読者のみなさん、もし、三重を世界に売り込むための良いアイデアがあれば、ぜひコメントしてくださいね。


三重県経営戦略会議HPより

奥田 碩

(おくだ ひろし)

トヨタ自動車株式会社 相談役

加藤 秀樹

(かとう ひでき)

構想日本 代表

小西 砂千夫

(こにし さちお)

関西学院大学大学院経済学研究科・人間福祉学部教授

白波瀬 佐和子

(しらはせ さわこ)

東京大学大学院人文社会系研究科教授

田中 里沙

(たなか りさ)

株式会社宣伝会議 取締役編集室長

津谷 典子

(つや のりこ)

慶應義塾大学経済学部教授

西村 訓弘

(にしむら くにひろ)

三重大学大学院医学系研究科教授 社会連携担当・学長補佐

速水 亨

(はやみ とおる)

速水林業 代表

増田 寛也

(ますだ ひろや)

元岩手県知事

株式会社野村総合研究所顧問

宮 由至

(みやざき よしゆき)

株式会社宮本店 代表取締役社長


 

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長崎大学病院150周年記念式典にて(最終章)

2011年10月25日 | 日記

長崎大学病院シリーズの最終章です。

今までのブログでご紹介しましたように、長崎大学病院では、現場の皆さんの懸命のご努力により、病院の経営が明確に改善しましたね。では、それが研究機能に与えた影響はどうだったのでしょうか?

下の長崎大学病院によるデータによると、医師の診療時間が増え、研究・教育時間が減っています。これは、他の国立大学でも同様の現象が起こっていますね。

しかし、臨床系教員の業績の年度別推移は、法人化前の平成15年に比べるとわずかに減っているかもしれませんが、それほど大きくは減っていません。


それを、他のデータベースでも調べてみました。下の図は旧帝大を除く35の国立大学の個別の臨床医学論文数について、トムソン・ロイター社学術の論文データベースUSI1981ー2009のデータから分析したものです。大きく減っている大学と、あまり減っていない大学とがありますが、長崎大学は減っていない大学の一つです。(個別の大学名は、トムソン・ロイター社との約束から出せないことになっています。)

ただし、このような論文データベースは、毎年、論文数をカウントする学術雑誌が変更されて数が増えていきますので、それまで、書いていたけれどもカウントされなかった論文が、ある年以降からカウントされ出すことがあります。つまり、見かけ上論文数が増えていても、実際のアクティビティーは変わらなかったり、見かけ上論文数が不変でも、実際のアクティビティーは低下していることもあり得ます。(ただし、見かけ上減っている場合は、確実にアクティビティーも低下している。)


さらに、医学論文については、PubMedという公開されている学術論文データベースが利用できるので、それでも調べてみました。下の図は、世界的に著名な臨床医学雑誌119誌の掲載論文数の変化(つまり、質の高い臨床医学論文数の変化)を、同じく旧帝大を除く35国立大学で個別に示したものです。



このグラフでは長崎大学はマーク付きの赤線で示してあります。

ほとんどの大学が急速に質の高い臨床医学論文数を減らしているのに対して、唯一長崎大学だけが現状を維持しておられます。そして、2010年は、旧帝大も含めた国立大学の中で上から9番目に位置しています。

論文数には複数のファクターが影響するので、確実なことは言えませんが、やはりこの結果は長崎大学の先生方の頑張りの賜物ではないかと思っています。

ただし、最近2年間、長崎大学病院ではかなりの経営改善努力をされたので、そして、そのような負荷が論文数に反映されるのには、多少のタイムラグがあるので、今後の長崎大学の論文数の変化については、注視させていただきたいと思っています。いずれにせよ、今後も、なんとかがんばって論文の質と数を維持していただきたいですね。

(現状では”増やして”ほしいとは言えずに、”維持”してほしいとしか言えないのが、悲しいところです。)

今、国の財政が苦しいことから、平成24年度の大学予算についても10%減のマイナスシーリングがかかっていますね。これが復活せずに、大幅な予算削減になれば、さすがの長崎大学も、持ちこたえられないと思います。

下は最後のスライドです、


ちなみに、この150周年記念講演には、何人かの国会議員さんも出席されておられました。為政者の皆さんには、このような状況をぜひとも分かっていただいた上で、政策を決定していただきたいと思っています。

 

これで、長崎大学病院150周年記念式典のブログはやっと終了です。読者の皆さんには長いおつきあいをありがとうございました。




 

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長崎大学病院150周年記念式典にて(その5)

2011年10月25日 | 日記

昨日につづいて、ブログ更新です。

長崎大学病院では、片峰茂学長と河野茂病院長のリーダーシップの元、大学病院の経営改革が推し進められてきました。下のスライドは、長崎大学病院の資料から作成しました。

病院再開発が行われ、これから、償還金が増えていくことが書かれていますね。現在は毎年15億~17億円の返済ですが、平成29年には32億円の返済になる見込みとのことです。

「実は、この融資は、国立大学財務・経営センターが行っています。理事長の私としては、ちゃんと返していただけるどうか、ちょっと心配しているんですけれども・・・」(場内爆笑)



この上のスライドのように、長崎大学病院は、この2年間、かなりの勢いで経営改革に取り組まれました。そして、下のスライドのように、数字として明確な実績をあげておられます。

診療報酬、新入院患者数、手術件数いずれも、急速に伸びていますね。ちなみに診療報酬は平成16年の約150億円から、平成22年には219億円になっています。この調子だと、財務・経営センターからお貸ししているお金も、返していただくことができそうですね。


下のスライドにあるように、事務職員の皆さんも、元気いっぱいのようです。実は、財務・経営センターが昨年まで実施していた国立大学事務職員を対象としたワークショップ型の勉強会(若手職員勉強会、係長クラス勉強会)に参加した職員の皆さんが、それと同様の勉強会を長崎大学内で自主的に実施しているというのです。

財務・経営センターによる国立大学職員の勉強会は、昨年の事業仕分けの結果、むだであるという判定をいただき、昨年度いっぱいで廃止されました。しかし、当センターの蒔いた種が、大学の現場で芽を出しているというのは、ほんとうにうれしいことです。この勉強会が育って花が咲くことを期待していますよ。



また、、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアを活用した、事務職員間の大学を超えた横の情報共有が行われ始めています。たとえば、フェースブックの「Team大学夜話」という公開グループでは、国公私大学間を超えて、大学経営について事務職員の皆さんによる活発な議論が展開されています。そして、実はその仕掛け人の一人が長崎大学の事務職員なんです。

このブログの読者の皆さんも、この「Team大学夜話」に参加されてはいかがでしょうか?

ついでに、実は私の拙著「ある地方大学のつぼやき」を多数活用していただいたのも、長崎大学の職員の皆さんなんです。

さて、国立大学病院の経営改革は現場の皆さんのいっしょう懸命のご努力により、順調に進んでいるように見えます。しかし、必ずしも万事OKというわけにはいかないんですよね。先にお話をしたように、わが国の質の高い臨床医学の論文数が激減しました。このままでは、わが国の医学分野の学術の国際競争力は惨憺たるものとなってしまいます。

では、わが国の多くの大学の医学研究機能が低下する中で、長崎大学ではいったいどうなっているのでしょうか?

つづきはまた明日。長崎大学病院シリーズの最終回です。

 

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長崎大学病院150周年記念式典にて(その4)

2011年10月25日 | 日記

さてさて、長崎大学病院150周年記念式典での、私の講演の続きです。この話を早く終わってしまわないと、もう、時代遅れになってしまいそうですね。でも、これからがいよいよ佳境に入ってきますよ。でも、ちょっとペースを速めて、連日の更新にして、長崎大学病院シリーズを早く完結したいと思います。

この下のスライドは、国立大学財務・経営センターのホームページに私が開設した「豊田理事長の国立大学展望台」というサイトからとりました。私のブログでは、私しか書けないので、私以外の皆さんにも書いていただこうという目的で創りました。センター関係者だけではなく、全国の学長先生や病院長先生にも書いていただいていますよ。

そのうちの一つに、長崎大学長の片峰 茂先生に書いていただいた記事があったので、それをご紹介したのです。すばらしい記事ですよ。皆さんも、このサイトをぜひ覗いてみてくださいね。

東日本大震災が起こってまもなく、私は全国の大学のHPをつぶさに観察しました。全国の大学がいっしょうけんめい支援をしたのですが、その中でも長崎大学の積極的な対応は、少なくとも私が全国の大学のHPを見させていただいた限りでは、特筆に値すると思っています。



どうしてこのような積極的な対応ができたのか。学長の片峰 茂先生や、病院長の河野 茂先生のリーダーシップのなせるわざと思いますが、リーダーだけではなく、長崎大学の構成員一人ひとりに積極的な精神風土が培われているのではないだろうか?

こんな思いから、長崎大学の広報誌や、理念を調べてみると、ありましたね。


理念には「地球の平和」というとてつもない大きな言葉、そして「進取の精神」という言葉が書かれていますね。

組織の”理念”は、棚の上の飾り物になってしまっているケースが多いと思いますが、今回の長崎大学の東日本大震災への積極的な対応は、まさに、理念の言葉通りの実践であったことが分かりました。

理念の文字通りの実践は、言うはやさしくして行うは難しいことだと思います。ふだんから理念の文字通りの実践を心がけている組織とそうでない組織との差は、今回のような危機が生じた時に、特に典型的に現れるのではないかと思っています。

もう一つ、長崎大学の素晴らしい点は、豊かな個性ですね。


被ばくを受けたという大きな障害を見事に乗り越えて、豊かな個性として発展させておられます。

今回の福島原発の被ばく医療支援については、長崎大学、広島大学、そして、弘前大学という、原子爆弾の被ばく、あるいは、原発事故を経験している地域の大学だからこそできたということがあると思います。

それではまたあした。

 

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長崎大学病院150周年記念式典にて(その3)

2011年10月19日 | 日記

長崎大学病院150周年記念式典での講演の報告の3回目ですね。前回までは、世の中が大いなる不安定の状態になっており、大学や大学病院もその中に巻き込まれて、存続そのものが不安定になっていることをお話ししました。

今回は、わが国の大学病院の学術の競争力がどう変化しつつあるかということの説明です。

これは、文部科学省の科学技術政策研究所のデータをもとに、私が作図したものですが、臨床医学の論文の中で、被引用数がトップ10%の論文、つまり質の高い論文数の変化を示したものです。欧米主要国が軒並み右から上がりであるのに、日本だけが減少しています。



それを大学群別に調べてみると、まず、国立大学の論文数が圧倒的に多いことがわかりますが、その国立大学の論文数が急激に減少していることがわかりますね。

この図は、PubMedという、ネット上で公開されている医学論文のデータベースを用いて、北大病院呼吸器内科の西村先生と私で分析をしてものですが、臨床医学の著名な119のジャーナルに掲載された論文数の変化を示しています。つまり、これも質の高い臨床医学論文数を反映していると考えられますが、中国、韓国が急増しているのに反し、日本は急減しています。



それを、大学群別に調べたのが、この図です。すべての大学群で減少しているのですが、その中でも、地方国立大学の変化が、より急激です。2000年ころまでせっかく論文の質を高めてきた地方大学は、その後、急激に論文の質を低下させています。

これは、大学間格差の拡大を反映していると考えられます。

これは全分野についてトップ10%の論文数を示したものですが、主要国で減少しているのは日本だけですね。


このようなわが国の研究機能の低下しつつある現状を、7月4日付けの日経新聞に投稿した私の記事です。

わが国の財政はひっ迫しており、24年度の科学技術や高等教育予算についても、マイナス10%のシーリングがかかりました。昨年も、マイナス10%のシーリングがかかったのですが、財務省が政策コンテストでパブコメを募ったところ、大学や科学技術の要望について、圧倒的多数のパブコメが集まり、大学や科学技術予算は政治判断で復活しましたね。

でも、今回は政策コンテストやパブコメは行われず、予算の復活はたいへん厳しい状況であると考えられています。わが国が直面している現下の厳しい状況を乗り切るにはイノベーション力をさらに高めるしか方法がないように思うのですが、シーリングが復活せずにイノベーション力を低下させる政策がなされた場合、果たして、わが国の将来はどうなるんでしょうかね?


いずれにせよ、国立大学や付属病院が、この国家財政の苦しい時に、税金の投入について国民の理解を得るためには、下のスライドにお示しした「公的使命の実践」と「広報」を実行するしかないと思われます。


続きは次回のブログで。



 

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長崎大学病院150周年記念式典にて(その2)

2011年10月04日 | 日記

さて”長崎大学150周年記念式典にて”の2回目ですね。

IDE(現代の高等教育)誌から「大学と地域医療」という原稿を依頼されて、締切日が過ぎてしまって、それに時間をとられていたので、なかなかブログ更新ができませんでした。IDEの記事については、後日ブログ上でも紹介することにしたいと思っています。

前回はスライド3枚ほどの解説で終わっています。今日は4枚目からですね。

4枚目は、今では、一般社会と同様に、大学においても「大いなる不安定」の時代となっており、それを象徴するエピソードの一つを紹介しています。

これは、平成19年に新聞にのった記事で、”「競争」したら国立大半減””三重など24で消失か?”という見出しです。

なんで三重大が名指しをされたのか、よくわからないんですけど・・・(場内爆笑)

当時は、経済財政諮問会議が新自由主義にもとづくさまざまな提案をしており、国立大学についても、運営費交付金を科学研究費の取得額で傾斜配分するという試案が、財政制度等審議会の資料に出ました。そうすると、多くの地方国立大学で運営費交付金が半減するという計算になります。財政が厳しい折、地方国立大学の存在意義が問われました。

それに対して、当時三重大学長であった私は緊急記者会見を開き、地方大学がいかに地域に貢献しているかを訴えました。そうしたら、当時の三重県知事と津市長がただちに動き、近畿知事会、そして最終的には全国知事会の反対決議にまで至りました。

地域の皆さんから支持をいただいたのは、やはり、各大学が、特に国立大学法人化後、地域貢献に努力してきた賜であると思っています。

骨太の方針の原案で、最初は運営費交付金の「大幅な傾斜配分」と書かれていた文言は、最終的に「適切な配分」に変更され、地方大学にとっての危機は一応回避されました。



この図は、国立大学病院をめぐる、特に法人化前後からなされた政策と、それに伴って起こったできごとを、単純化して連関図で示してあります。あくまで、私の個人的な考えですけどね。

一貫した医療費と医師数の抑制政策の中で、新医師臨床研修制度の導入、国立大学法人化(競争原理、傾斜配分)、国立大学への交付金削減と債務負担増、診療報酬マイナス改定などの政策がなされ、赤字病院の増、若手医師流動化、大学間格差拡大などを招き、若手医師不足と研究時間の減少を招いて、地域病院への医師供給機能の低下と学術の国際競争力の低下を招いた、というのが、この図の主旨です。

このスライドは、このような事態に対して、国によって最近なされた主な政策を簡単にまとめたものです。

まず、平成20年から医学部学生定員が増やされましたね。ほんとうに医師が不足しているのか、科学的に証明することはなかなか難しいことなのですが、私は、この政策は正しい政策であると思っています。

また、。診療報酬もマイナス改定が行われていましたが、平成22年度にプラス改定がなされました。これで、病院は一息つくことができました。

平成23年度の大学関係や科学技術関係の予算は、当初10%減のシーリングがかけられていましたが、昨年行われた政策コンテストで、圧倒的多数のパブコメが集まったこともあり、政治主導で復活しましたね。

この続きは、次回にしたいと思います。

もう少し早く更新をしないとね。

 


 

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長崎大学病院150周年記念式典にて

2011年09月21日 | 日記

今、台風が浜松に上陸し、東京も雨風が激しくなってきたところです。昨日の9月20日(火)に長崎大学病院150周年記念式典で、記念講演をさせていただき、長崎から東京のオフィスに到着しました。長崎空港では予約していたJALが欠航となりましたが、幸いANAが動いていたので、ANAに乗り換えて羽田に帰ることができました。竹橋駅からオフィスに来るまでのわずかのあいだに、風で傘がひっくりかえて折れてしまいました。今日はオフィスを早く退出しなくっちゃ。

さて、長崎での私の記念公演は「長崎大学病院への大いなる期待」というタイトルで30分間ほど話させていただきました。またとない記念すべき機会に、私のような者がお話をして、ほんとうに良いのかと思って、最初は躊躇したのですが、片峰学長先生、河野病院長先生の強いおことばで、はずかしながらお引き受けをしました。でも、もっと、学術的に高尚なお話をされる方がおられるのではないだろうか?せっかくお話をさせていただく以上は、みなさんに喜んでいただける話をしないといけないし・・・。

終わった後で、長崎大学の皆さんから、「やる気を与えていただいてありがとうございます」とか「30分では短かった」とか、「長崎大学をほめすぎですよ」とか、いろんな感想をいただきました。また長崎県選出の国会議員さんも何人かお聞きになっておられましたが、「こんな話は聞く機会がなかったので勉強になりました」などというご意見をいただきました。その後の祝賀会での来賓の挨拶でも、私の講演についての感想をお話になられたので、多少のインパクトを与えることができたのではないかと、ほっとしています。

これから数回のブログで、ぼちぼちその内容を紹介させていただこうと思います。

まずは、日本をとりまう”大いなる不安定”についてのスライド。リーマンショックを予言した経済・経営学者のルービニの和訳本のタイトルから”大いなる不安定”をとりました。

講演の後で、「医者から最初に経済の話を教えてもらうとはびっくりした。」という感想をいただきましたよ。

 

次のスライドでは、実は国立大学と付属病院も”大いなる不安定”の中にあることを説明しました。

 

つづきは、次のブログでね。

 

 

 

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なんとなく重苦しい雰囲気を感じさせられた教育研究評価委員会

2011年08月26日 | 日記

一昨日(8月24日)に、(独)大学評価学位授与機構の国立大学法人教育研究評価委員会があり、私も委員の一人になったので参加をさせていただきました。今回から委員が一新され、私も含めて初めて参加された方がたくさんおられました。

国立大学法人の評価制度は、2004年の法人化に際して始められ、第一期(2004~09)の評価が終わりました。今回の教育研究評価委員会は、その反省等を受けて、第二期の教育研究評価をどのように行うか、基本方針を議論するのが目的です。法人化第一期の時には、三重大学長として評価を受ける立場だったのですが、今回は逆に評価をする立場に逆転したのは、なんとなく妙な感覚ですね。

さて、評価をどのように行ったらいいかということは、なかなか難しい問題だと思います。日本社会も評価の風土がかなり定着してきたと感じるのですが、どのような評価の在り方が最善かという点については、今でも結論が出ていないのではないかと思っています。国立大学法人の評価制度の在り方の是非について賛否両論いろんな意見があるのも、当然といえば当然かもしれません。さらに、大学は民間企業とはかなり異なる風土の組織なので、民間企業の評価制度をそのまま適用することにも問題が生じる可能性があります。

また、この委員会での議論は、当然のことながら国の方針に従わなければならないので、すでに国が方針を打ち出していることについては、その範囲内での議論に制約されます。

たとえば、どういうことがあるかというと、国立大学法人評価は、基本的には「目標によるマネジメント」にもとづいていると考えられ、各大学の中期目標・計画の達成度等を主眼に評価がなされていると思うのですが、大学の自主性を尊重する、ということが国会で決議されているので、目標・計画の立案に際して、国とのすり合わせが実質上ほとんど行われていないのが現状だと思います。民間企業や他の公的機関では、目標・計画の立案に際しては、管理者と現場とのすり合わせが行われるのが通常ですね。

これは大学の風土や自主性を尊重することは良いことであると思います。しかし一方では、低い目標を設定しても誰も意義をさしはさむことはできず、そうすると高い目標を設定した大学が損をするということにもなりかねないのではないでしょうか?果たして、両者をうまく調和することのできる評価の仕組みが考えられるかどうか。

また、第一期評価では、4年目に暫定評価がなされたのですが、現場から評価の負担を軽減して欲しいという要望が出され、事業仕分け等の議論も経て、6年間の評価1回で行うことになりました。評価のための評価ではなく、負担が少なくかつ実効性のある評価制度は大歓迎なのです。しかし、一方では、「目標によるマネジメント」の根幹であるPDCAサイクルが回しにくくなりますね。なぜなら、評価結果を反省して次期中期の目標を立てて初めてPDCAサイクルが回るのですが、6年間を終了してからの1回の評価ですと、評価結果が出る前に、次期中期の目標・計画を提出することになるからです。これでは、せっかくの評価の効果が半減するのではないでしょうか?

この他にも数多くの問題点があり、細部については、これからワーキンググループで検討することになっています。

このようにちょっと考えただけでも、評価制度には難しい問題のあることが、読者の皆さんにも感じていただけたのではないでしょうか。でも、私がこの評価委員会になんとなく重苦しさを感じた理由は、評価制度の難しさだけではないんです。

そもそも、各大学が一生懸命評価に対応して、また、私ども評価者も一生懸命評価をさせていただいて、その結果いったい何が待っているのでしょうか?

「皆さんたいへんよくがんばっていただいてご苦労様。それでは各大学の予算を大幅に削減しましょう。」

これで、元気を出せという方が無理というものですね。

東日本大震災の影響があり、また、現在の国会の状況もあり、来年度予算はまだ見通しが立っていませんが、国立大学についても大幅な削減は避けられないという状況のようです。

先のブログでもご紹介しましたように、わが国の質の高い論文数が減り、学術やイノベーションの国際競争力が低下しつつある現状を日経新聞に投稿したところですが、下手をすると、我が国の国際競争力が奈落の底に突き落とされるという最悪のシナリオが現実のものとなるかもしれないと感じています。そうならないように対策がなされることを祈っています。






 

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”豊田理事長の国立大学展望台”をよろしく~島田病院長の素晴らしい一文をぜひ

2011年07月30日 | 日記

センターの理事長に就任してあっという間に1年と4か月が過ぎました。この間、立場上全国の国立大学の学長さんや、附属病院長さんをはじめ、先生方や職員の方々とお会いする機会も多いのですが、せっかくのすばらしい方々との出会いを、もっと多くに皆さんとも共有したいと思い、「豊田理事長の国立大学展望台」というサイトをセンターのHP上に立ち上げました。

http://www.zam.go.jp/pdf/toyoda2.pdf

この”展望台”では、私や財務・経営センターの関係者だけではなく、全国の国立大学や附属病院の皆さんに書いていただこうと思っています。だいたい月1号くらいのペースで始めるつもりです。

第一号はセンター関係者だけで書きましたが、第二号では、山梨大学病院の島田眞路病院長にすばらしい一文を書いていただきましたよ。

島田病院長は、病院長自ら東日本大震災の被災地に医療支援チームの一員として、現場に出向いて、支援活動をされたんです。ほんとうに行動力のあるすばらしい病院長先生だと思います。ぜひ、「豊田理事長の国立大学展望台」を覗いてみてください。

7月4日の日経新聞に載せていただいた記事について、ブログを書きかけて、途中でほったらかしにしていましたね。続きを書かないといけないのですが、私の記事を読まれた島田病院長からメールをいただきましたので、先生のご許可を得て、ご紹介しておきますね。

**********************************************************

豊田長康先生

暑中お見舞い申し上げます。

日経新聞記事拝見いたしました。 

国際的研究で中国にも抜かれたとか、ショッキングな記事ですね。 

確かに地方大学は疲弊しています。 

大学院大学構想で研究者をとられてまず痛めつけられ、次は卒後臨床で医師をとられ、同時に法人化で時間をとられ、3重苦で青息吐息です。もうすでに不可逆性変化はおこっているのではないでしょうか? 

そのうち韓国にもやられそうですね。 

皮膚科研究に関してお話しますと、私が日本研究皮膚科学会理事長のとき(2005-2008)に京都で国際研究皮膚科学会会長を開催しました。1350題、2000名を集めました。アメリカ、ヨーロッパ、日本ほぼ同数の演題数、参加者でした。アメリカにはもちろん勝てませんでしたが、全ヨーロッパにはプレナリー演題数など勝利しました。

しかしこのごろ2-3年は中国、韓国の足音が間近に聞こえてきました。皮膚科研究の分野では、われわれ地方大学がある意味研究を支えてきたのですが、そろそろ厳しくなってきたようです。われわれの雑誌JDSはimpact factor 3.7まできました。また臨床系のJournal of Dermatologyは私がChief Editorを11年やりIFを獲得し今は1.3です。

まあ皮膚科という狭い分野ではありますが、日本も一応がんばってきました。ただこのままでは将来がきびしいものと思われます。7帝国大学は人だけはいますが、そのわりに研究はいまいちです。彼らがリードしないと本当に日本の研究の将来はくらいものと思います。ただ病院長会議などでは彼らも同じレベルで議論していますよね。

先生の記事を拝見し、少しぐちを述べてしまいました。すみません。

今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。

猛暑の中、くれぐれもご自愛ください。

島田眞路

 


 


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なでしこジャパンから多くのヒントを学びたい

2011年07月19日 | 日記

私も多くの皆さんと同じように、昨日(18日)は、なでしこジャパンのテレビ実況中継の時から、その後もテレビで繰り返される優勝シーンを何度も見てしまいました。ほんとうに東日本大震災の被災者のみなさんをはじめ、すべての日本人に勇気を与えてくれる快挙でしたね。ツイッターのつぶやき数も過去最高になったとのことですし、ブログにもおびただしい記事が書かれていますね。

今朝(19日)の新聞は、全誌ともなでしこジャパンの活躍を絶賛し、大きく報道しました。でも、誌によって若干扱い方が異なりますね。読売、朝日、毎日、産経の各誌は一面トップ記事と社説を掲載しました。東京新聞は一面トップ記事で社説なし。日経新聞はさすがに一面には記事を出しましたがトップではなく、社説にも取り上げていません。ただし、一面に掲載しているコラム(朝日の天声人語に類するもの)については、全紙がなでしこジャパンのことを書いていました。

各新聞社はなでしこジャパンがなぜ強かったのかという点について、いろいろと分析あるいは推測をしていますが、そのいくつかを列挙してみました。

・「最後まであきらめない粘り強さ」

・「強い精神力」「PK戦を前に見せた選手たちの笑顔からたくましさ」「悲壮感や根性論とは無縁の、スポーツの原点である”プレーする喜び”」「ひたむきさ」「勇気」

・「不遇な環境を乗り越え歴史刻む」

・「体力任せの大味な競技スタイルだった世界の潮流に、技術という要素を加えた」「俊敏性と技術の正確さという”日本人らしさ”を生かしたパスサッカー」「柔よく剛を制す」「日本の良さを徹底的に追求したらガラパゴスかすることなく国際標準になった。」

・「海外のチームに移籍する選手が増えた。海外組と国内組が競い合う。」「男子に交じり育成」

・「入念な準備に根ざす奇跡」

・「競技人口の拡大が今後の鍵」

・佐々木則夫監督のリーダーシップ。「おおらかさと人当たりの良さで、選手が本音を出せる雰囲気。」「必ず笑いを入れる。」「選手との距離が近い。」「選手にも腰が低く、決して上から目線でやらない」「目標を厳しく明確に設定。ワールドカップは”優勝”が目標」

・「撫子やそのかしこきに美しき」(惟然)

これらの言葉は、サッカーやスポーツだけではなく、日本全体の復興に向けて、今後日本人がどのように進んでいくべきかということを見事に表していると感じます。

私の場合は、7月4日の日経新聞にも書いたように、大学のイノベーション力の復興をいったいどうすればよいか、ということが現下の最大の関心事なのですが、今回のなでしこジャパンの快挙からヒントが得られるような気がしています。

まず、彼女たちの目標が明確であることを参考にしたいですね。私はイノベーション(≒質の高い論文数)についての日本の国としての目標は、明確になっていないと感じており、やはり数値目標を明確に設定することが必要と思います。

また、「最後まであきらめない粘り強さ」、「不屈の精神力」、「ハングリー精神」などが強調されていますが、それが日本的なや「根性論」になってはいけないということですね。

戦争に突入した時代の日本のように、大和魂で竹槍で戦って玉砕しようというような無謀な「根性論」ではなく、きちんと技術や合理的性に裏付けられた「粘り強さ」でないといけない。澤選手、宮間選手、海堀選手が見せた神業とも思えるゴールやセーブは、素人目からも極めて高度な技術に裏打ちされていることが感じ取れます。根性がないと勝てない、しかし、根性だけでは勝てない。

海外の遠征も大切ですね。最近、海外留学をする日本の若者が減っていることが問題になっていますが、ぜひ、なでしこを見習って欲しいですね。

佐々木監督のリーダーシップのとり方にも、たいへん興味があります。同じサッカーでも男子の岡田監督のリーダーシップとはちょっと違うようです。どちらが良いかということは難しいと思いますが、私の個人的な好みとしては佐々木監督流のリーダーシップが好きですね。

ところで、宮間選手のコーナーキックからの澤選手の神業的同点ゴールのシーン。前へ走って行って、アメリカの選手と競り合って、一瞬の差で後ろの方へ蹴るという、とんでもないキック。テレビや動画サイトを見てもどうやって蹴っているのか分かりませんでしたが、NHKのニュースで決定的瞬間をとらえた写真が紹介され、それを見ると確かに澤選手の右足の外側が競り合っている選手よりも先にボールに触っていることがわかりました。何度見てもすごいですね。



 

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全国から自治体の首長・職員や企業人を集めた山路栄一さんのメルマガ発信力

2011年07月10日 | 日記

7月9日(土)三重県津市の、とある会場に集まった主だった顔ぶれをご紹介しましょう。

佐賀県知事 古川 康

新潟県三条市長 国定勇人氏

奈良県生駒市長 山下 真氏

三重県知事 鈴木英敬氏

津市長 前葉泰幸氏

鈴鹿市長 末松則子氏

三重県菰野町長 石原正敬氏

金融庁総務企画局審議官 居戸利明氏

以上の方々のほか、三重県議会議員、および大阪府吹田市議会議員の方々

自治体職員の皆さんは三重県の方々以外にも以下の地域から多数参加されました。

新潟県、埼玉県秩父市、志木市、東京都、横浜市、伊豆の国市、富士市、静岡県、金沢市、愛知県、名古屋市、蟹江町、岐阜県、奈良県、五條市、和歌山県、滋賀県、長浜市、日野市、京都市、大阪府和泉市、神戸市、兵庫県加古川市、播磨町、東広島市

このほか、企業の幹部、コンサルタント、報道関係者、大学教員など、北は北海道から南は九州まで、約130人の方々が、三重県津市の会場に集まりました。

佐賀県の古川知事には、玄海原発再開問題で極めて多忙の中、この会のために、わざわざ6時間かけて佐賀からお越しになり、30分間いらしゃって挨拶され、お帰りになりました。


このように全国から錚々たる自治体の首長や職員、企業幹部たちを集めたこの会とは、いったいどんな会だったのでしょうか

実はこの会は、三重県の一職員である山路栄一さん(下の写真)のON & OFFメールマガジン500号配信記念読者の集いだったんです。


山路さんは現在は三重県環境保全事業団の参事兼企画課長。2002年から、名刺交換をした人を中心にメルマガの毎週配信を開始されました。

「脱・お役所仕事」をめざして自治体職員の意識改革をしようというのがその目的。2003年には「自治体職員有志の会」を立ち上げました。めざすは「地方公務員」から「地宝向夢員」そして『知豊向夢員』へ。

内容は、自治体職員の意識改革に役立ちそうな、さまざまな著名人の言葉、山路さんが講演会で聞いた内容や、これと思う人に体当たりで面会を申し込んだインタビュー記事など。毎週毎週どうやっていろんな人の言葉を調べてこられるのだろうと感心させられます。

とにかく毎週毎週、メルマガを送り続けて9年間、この日が記念すべき500号配信の記念の集いだったんですね。配信数は徐々に増えていき、847件になっています。

私と山路さんとは、ずっと以前の私がまだ三重大産婦人科の若き医師だった頃にテニス仲間だったんです。それ以後、私が三重大の教授、学長になってからも親しくさせていただき、このメルマガの愛読者で、今回の読者の集いの発起人でもあり、挨拶をさせていただきました。

私は学長の時にブログを書き始めたのですが、最初はブログなんていったい何の役にたつだろうと思っていたんです。いつまで続けることができるのか自信がありませんでした。ブログを更新し続けるのはけっこうたいへんなんです。しかし、山路さんが毎週毎週、メルマガを送りつけてくるんですね。その継続力に励まされて、私も、ブログを一生懸命更新しました。

山路さん自身も、メルマガの配信を続けることには、山もあり谷もあったようです。周りの人から、無意味だと言われたり、批判されたりしたたようです。私にも個人的に相談があり、その都度周りを気にせずに継続されるよう励ましました。

私は、昨年4月に国立大学財務・経営センターの理事長に就任した時に、ブログを続けようかどうか迷ったんです。独法は、大学に比べると、しばりが大きいですからね。そんな時に、山路さんから毎週送られてくるメルマガは、ブログ継続の大きな励みになりました。

一公務員が、自分の意見を外に発信するということは、たいへんな困難を伴うことであると思います。ヒエラルキーの中に存在する人が、上司の許可を受けずに、外に自分の意見を発信することは、それなりの覚悟が必要です。まずいことを発信すれば、やめさせられることになるかも知れませんからね。かと言って公式見解ばかりを発信していても、読み手にとってはあまり意味のないことになります。

ヒエラルキーの中にいることをわきまえつつ、個人としての意見をどこまで周囲に伝えるか、ギリギリの判断が求められます。

それにしても、山路さんのメルマガ配信による組織の壁を超えた横のネットワーク力はたいしたものです。ネットワーク力は目に見えないし、お金に換算することもできません。しかし、自治体の一人の課長のために、佐賀県知事をはじめ、錚々たる面々が全国から実際に集まったという事実は、ネットワーク力がいかに大きな力をもっているのかということを明らかに証明することになったと思います。

山路さん、1000号配信を楽しみにしていますよ。






 

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ドン小西との地域イノベーション学会の打ち合わせー武田美保さんはファッションチェック合格

2011年07月10日 | 日記

7月7日の七夕の日に中学校の同級生のドン小西との地域イノベーション学会第一回大会の打ち合わせをした報告をしないといけませんね。

三重大学では、私が学長時代に「地域イノベーション学研究科」を創設し、平成21年から学生の受け入れを開始しています。若手の意欲ある学生たちと地域企業の幹部人材が入学し、地域に根ざしたイノベーションの創出に取り組んでいます。

特に、地域企業の社長さんがたが数多く入学されたことについては、私どもも驚き、地域にこのような大学院の大きな需要があったんだということを、改めて痛感しました。

そして、この大学院の名称に冠せられた「地域イノベーション」という言葉は、今後の日本全体の成長のキーワードになる可能性がある。これを三重だけではなく、全国の地域にも広げていけば、日本全体の再生につながる。

現三重大学長の内田淳正先生をはじめ、関係者の皆さんのこのような強い思いから、「地域イノベーション学会」と創ろうという話が持ち上がりました。

第一回の記念すべき学会は今年の11月26日(土)に三重県津市で開催が予定されています。

会長は三重大学教授・学長補佐の西村訓弘さん。三重県南島町出身で、北大で大学発バイオベンチャーを立ち上げた方で、「地域イノベーション学研究科」のアイデアを提案した若き仕掛け人です。

まだ、最終決定ではないと思いますが、現時点での暫定的なプログラム案としては、まず、三重大学長の内田淳正さんの挨拶と三重県知事の鈴木英敬さんの挨拶が予定されています。

次いで西村訓弘さんの所信講演「依存する地域から自律する地域へ、そして自立する地域へ(仮)」。西村さんのタイトルは、なかなか期待を感じさせますね。

いったいドン小西と豊田はいつ出るのかって?

この後ですよ

特別対談: 「辛口”檄”トーク・三重を斬る!(仮)

そして、司会は三重県知事鈴木英敬さんの奥様の武田美保さんという豪華キャスト。武田美保さんは、シンクロナイズドスイミングのオリンピック銀メダリストですね。

ドン小西は、テレビや雑誌でも辛口のコメントをズバズバ言うことで有名ですね。前知事の野呂昭彦さんの時に三重県観光大使を務めたことがあって、委員会でたいへん辛口のコメントをしていました。

イノベーションを創出するには、まず、現状の否定や問題点を明らかにすることが最初の第一歩だと思いますが、その役をドン小西にしてもらおうという狙いですね。三重県出身でありながら、三重県を離れて外から見ている人の方が、欠点がよくわかるものです。

そんなことで、7月7日に武田美保さんを交えて、対談の打ち合わせをしたわけです。

さっそく、ドン小西のファッションチェック。私がロイドメガネに変えたことについては、お褒めをいただきました。そして、今回はクレリックシャツにした方がいいというアドバイス。下の写真はドンが私のシャツの襟に白いティッシュペーパーを当てているところ。


武田美保さんに対してはファッションチェックは「合格!」。ドン小西はなかなか合格を出さないんですが、さすが美保さんですね。

ドンは私たちとしゃべる時も、テレビでしゃべっている時とほとんど同じです。今回の打ち合わせでも、テレビでしゃべっているのと同じ感じで、辛口のコメントをどんどんしゃべり続けます。

さっそく三重県の鳥羽駅について辛口のコメント。「三重県までわざわざ来る観光客は、東京では味わえない空間やもてなしを求めてやって来るんだよ。ところがさ、駅を降りた途端に外食チェーン店が目に入ってきたんじゃ、とたんに幻滅を感じるだろう・・・・・。」

こんな調子で、対談の本番でもドンの独壇場になるんだろうなと思っていますが、私は、大学人の立場からドンのコメントにセカンドを出すことが役目かな、なんて思っています。



 

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明日の七夕はドン小西と会食予定

2011年07月06日 | 日記

日経新聞の記事の途中なのですが、明日の七夕は、中学校の同級生のドン小西との会食の予定なので、皆さんにご連絡しておきます。何のために会うかというと、今年の11月に三重県で「地域イノベーション学会」の第一回目が開催される予定で、ドンと豊田が対談をしてはどうかという案があり、その打ち合わせをします。


でも、会食をする所がドンのマンションのある白金台の、プラチナ通りにある、とあるフレンチレストランということで、ちょっと私のお小遣いが苦しくなるなあ、ということもありますけどね。

ちなみにドンのアドバイスで、この前メガネのフレームをロイドに変えました。日経の記事の私の写真は、メガネのフレームを変える前の写真です。

 

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イノベーション力強化急務ー私の日経新聞投稿記事より、その2

2011年07月06日 | 日記

今回は、私の日経新聞投稿記事のその2で、中身についてご報告することになっていましたね。

まずは新聞の見出し。

質高い論文、日本シェア低下

イノベーション力強化急務

研究に数値目標設定

人員・時間の確保を

概要説明では

『国立大学財務・経営センターの豊田長康理事長は、大学予算の削減などで日本のイノベーション力が急速に低下したと指摘、国にイノベーション力強化のための数値目標設定と大学の人的インフラの強化を訴える。』

これらは、日経新聞の方で書いていただいたところですが、私の言いたいことを実に的確に、そして簡潔に表現していただいています。さすがに、記者さんというのはすごい能力というかセンスをもっていらっしゃるなあと感心しました。(ただし、昨年某テレビ局の記者さんには、言葉の端をとらえられて、都合の良いように編集されてしまった経験があるので、大きな不信感も持っていますけどね。)

さて、今日の午前中は「今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議」という会議が学術総合センターであり、私もその委員の一人として出席しました。この会議では、厳しい財政状況の下、今後の国立大学法人等施設の整備に関する基本的な考え方をとりまとめており、今回は、東日本大震災を踏まえた見直しの方向性について議論することが目的でした。

委員の構成は、国立大学関係者以外に、私立大学の先生方や民間の方々もたくさん入っておられ、その中に、元読売新聞記者でジャーナリストの勝方信一さんがおられます。

会議が終わると、私を待っておられて、話しかけてこられました。「あなたの日経の記事は説得力があるよ。特に数値目標を設定することに大賛成だ。」

元読売新聞記者の勝方さんのようなその道のプロに投稿記事をほめていただくなんて、たいへんうれしく思いました。読売新聞だけでなく日経新聞にも目を通しておられるのだな、と思ったのですが、そういえば、勝方さんは「朝日・日経・読売よみくらべサイト」というサイトに「新聞案内人」としてコラムを担当しておられるんですね。

この数値目標設定については、私が親しくしている民間のコンサル会社のO社長さんからもほめていただきました。「key performance indicator (KPI)による数値目標設定は民間では当たり前のこと。それがなぜ国にはできないんですかね?」



 

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