ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

施設費交付事業の廃止は国立大学に重大な影響を与える

2010年05月11日 | 日記
さて、財務・経営センターの業務や組織が廃止された時に生じる影響を、具体的に、数字で示すように、との鈴木寛文部科学副大臣のアドバイスでしたが、これから私が改革をしようとしていたことが実施できなくなる場合の損失も計算して、正確な数字でお示しすることは、実はたいへん難しいことです。かなりの仮定を想定しなければなりませんし、また、数字で表せないけれども、大きな影響が生じうるということもあると思います。

しかし、たいへん難しい面があるものの、財務・経営センターの業務や組織が無くなった時に生じるかもしれない影響を、出来るだけ皆さんにわかりやすく、具体的に、そして、その中で、幸い数字で表せるものがあれば数字でお示しするということを試みたいと思います。

まず、財務・経営センターの施設費交付事業についてなのですが、これは、国立大学等が移転などの時の土地の売却益の一部を財務・経営センターに集めて、それを全国の国立大学等に施設費交付金として交付しているものです。

実は、国立大学の建物を改修して維持するためには、毎年2200億円必要と試算されているのですが、平成22年度はわずかに907億円しか措置されておらず、大幅に不足しています。財務・経営センターの交付事業では平成21年度は約55億円を各国立大学等に交付し、大幅に施設費が足りない状況で、各大学はたいへん助かっているのです。

また、資産を最初から持っている大学と持っていない大学の間で、その差を均等化するという役割も重要です。

さらに、財産の管理・処分・有効活用に関して慣れていない大学の現場に対して、財務・経営センターの職員が協力・相談・助言活動をして、たいへん役立ってきました。このような相談事業を民間に頼めば、それだけ、各国立大学等は出費がかさむことになります。

仕分けの場では、この施設費交付事業を一般財源化して、必要な予算であれば、概算要求で勝負すればいいではないか、というご意見をいただきました。しかし、今までは、いくらお願いしても、一般財源からは全く足りない金額しか措置されませんでした。今後、ますます財政が逼迫する中で、果たしてその金額分を増やしていただけるかどうか、保証はありません。

本日、学長さんの集まりである国立大学協会で、経営支援委員会という委員会の中の財務・経営小委員会という委員会で、財務・経営センターの仕分けの結果についての意見交換がありました。

ある教育系大学の学長さんは、この施設費交付事業からもらっている3500万円が、大学の死活に関わる貴重なお金であるということで、施設費交付の継続を強く望んでおられました。教育系大学などは、法人化後続いている運営費交付金の削減等で、相当厳しい状況に追い込まれているということが、学長先生の真剣な表情から伺われました。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする