前回までのブログでは、顧客(学生と学生を受け入れる社会)第一主義の授業の大切さ、そして、顧客第一主義にもとづいて、学生の意見を毎回フィードバックすることの大切さをお話ししました。今日は、学生に考えさせる授業の大切さをお話ししましょう。
学生に考えさせる授業は少なくとも2つの意味で大切でだと思います。
皆さんは、“大学教育の「顧客」とは誰か?”という問いに、どうお答えになるでしょうか?私が考えるには、教育サービスの一般のサービス業との大きな違いは、単にサービスの直接の受け手である学生だけが顧客なのではなく、学生を受け入れる社会も顧客であるという点です。
ですから、教育者は社会が学生に何を求めているか?ということを常に考えなくてはなりません。
たとえば、日本経団連は、どのような能力を持った人を採用したいかという企業に対するアンケート調査にもとづき、企業が求める3つの力というものをまとめて2005年に公表しています。
志と心:社会の一員としての規範を備え、物事に使命感を持って取り組む事の出来る力
行動力:情報の収集や、交渉、調整などを通じて困難を克服しながら目標を達成する力
知力:深く物事を探求し考え抜く力
このように、学生さんに考えていただく授業が大切である理由の一つは、「考える力」が顧客である社会の求める重要な能力の一つであるということです。しかも、経団連の「知力」には、単に“考える”という表現ではなく「深く物事を探求し考え抜く力」と書かれていますね。これは難しい言葉で言うと「クリティカル・シンキング」ということになります。
もう一つの理由は、授業中に学生さんに考えていただく工夫をすることによって、考える習慣がつくばかりでなく、授業への動機づけが得られ、眠気を防止して授業の効果を高め、記憶にも残りやすく、そして何よりも授業が楽しくなると思われるからです。
教科書や講義ノートに書かれていることを、順番に説明していくような講義や、学会での研究発表のようにスライドをそのまま説明していくような講義はダメ。念仏を聞いているのと同じで、大半の学生が眠るか内職をすることになり、教育効果は低いと思います。
では、どのような工夫をすれば良いのでしょうか?
これには、いろんな授業の工夫が今までにもたくさん報告されていますし、ネット上でも情報が得られると思いますので、参考にされると良いと思います。いわゆる「構成主義的授業」と言われているさまざまな工夫ですね。学生を少人数のグループに分けて、問題を考えさせたり、発表させたりするグループ・ワークも有効な方法の一つですね。
私の場合は、まず授業の最初に、学生達が実際に遭遇するであろうと思われる事例にもとづいて、問題を考えていただきます。「プレテスト」と称していますが、これは、動機つけのために行うものなので、点数はつけません。たとえば、「災害医療」の授業では「大地震が起こって、近所の人達が鈴鹿医療科学大学に傷病者を運んで来た時、あなたはどう対応しますか?」といったたぐいの問題です。プレテストを行う理由は、学生が動悸づけられて、かつ、先生がすばらしい講義をするという2つがそろって初めて、効果的な授業の“場”が形成されると思っているからです。
プレテストの後はスライドで説明していくのですが、それはプレテストの課題に関連した問題を掲げて、それに回答するという形です。つまり、ほとんどすべてQ&A方式で説明をしていきます。体系的なスライドを示して順番に説明していくと、学生はすぐに寝てしまいますからね。このスライドの3分の1くらいは、前回の授業内容に関する学生からの質問の回答に費やします。なお、学生にはスライド資料をプリントで配布しますが、ところどころ重要なポイントを空白にして、記憶に残りやすく、また、学生が眠りにくいように工夫をしています。
学生からも
「最初のプレテストでわからないことを自分で調べたことで、その後の講義を理解して聴くことができて良かったです。」
「とてもわかりやすく自分たちで考えてから学ぶという進め方が頭に入ってきて、とても良いと思いました。」
という意見をいただいています。
そして、授業の最後に、修学達成度の確認のために、国家試験に準ずる問題を解いていただいていたのですが、この前のブログでは、それを授業の途中で行うことで、眠たさの改善につながったことをご紹介しましたね。人間が精神を集中できるのは、15分くらいだということを聞いたことがあります。私の今回の授業の経験からも、これは正しいと感じますね。90分の講義で、少なくとも30分毎に、眠気を覚ます何か別のことを織り交ぜないと教育効果が低下するということだと思います。
学生に考えさせる授業は少なくとも2つの意味で大切でだと思います。
皆さんは、“大学教育の「顧客」とは誰か?”という問いに、どうお答えになるでしょうか?私が考えるには、教育サービスの一般のサービス業との大きな違いは、単にサービスの直接の受け手である学生だけが顧客なのではなく、学生を受け入れる社会も顧客であるという点です。
ですから、教育者は社会が学生に何を求めているか?ということを常に考えなくてはなりません。
たとえば、日本経団連は、どのような能力を持った人を採用したいかという企業に対するアンケート調査にもとづき、企業が求める3つの力というものをまとめて2005年に公表しています。
志と心:社会の一員としての規範を備え、物事に使命感を持って取り組む事の出来る力
行動力:情報の収集や、交渉、調整などを通じて困難を克服しながら目標を達成する力
知力:深く物事を探求し考え抜く力
このように、学生さんに考えていただく授業が大切である理由の一つは、「考える力」が顧客である社会の求める重要な能力の一つであるということです。しかも、経団連の「知力」には、単に“考える”という表現ではなく「深く物事を探求し考え抜く力」と書かれていますね。これは難しい言葉で言うと「クリティカル・シンキング」ということになります。
もう一つの理由は、授業中に学生さんに考えていただく工夫をすることによって、考える習慣がつくばかりでなく、授業への動機づけが得られ、眠気を防止して授業の効果を高め、記憶にも残りやすく、そして何よりも授業が楽しくなると思われるからです。
教科書や講義ノートに書かれていることを、順番に説明していくような講義や、学会での研究発表のようにスライドをそのまま説明していくような講義はダメ。念仏を聞いているのと同じで、大半の学生が眠るか内職をすることになり、教育効果は低いと思います。
では、どのような工夫をすれば良いのでしょうか?
これには、いろんな授業の工夫が今までにもたくさん報告されていますし、ネット上でも情報が得られると思いますので、参考にされると良いと思います。いわゆる「構成主義的授業」と言われているさまざまな工夫ですね。学生を少人数のグループに分けて、問題を考えさせたり、発表させたりするグループ・ワークも有効な方法の一つですね。
私の場合は、まず授業の最初に、学生達が実際に遭遇するであろうと思われる事例にもとづいて、問題を考えていただきます。「プレテスト」と称していますが、これは、動機つけのために行うものなので、点数はつけません。たとえば、「災害医療」の授業では「大地震が起こって、近所の人達が鈴鹿医療科学大学に傷病者を運んで来た時、あなたはどう対応しますか?」といったたぐいの問題です。プレテストを行う理由は、学生が動悸づけられて、かつ、先生がすばらしい講義をするという2つがそろって初めて、効果的な授業の“場”が形成されると思っているからです。
プレテストの後はスライドで説明していくのですが、それはプレテストの課題に関連した問題を掲げて、それに回答するという形です。つまり、ほとんどすべてQ&A方式で説明をしていきます。体系的なスライドを示して順番に説明していくと、学生はすぐに寝てしまいますからね。このスライドの3分の1くらいは、前回の授業内容に関する学生からの質問の回答に費やします。なお、学生にはスライド資料をプリントで配布しますが、ところどころ重要なポイントを空白にして、記憶に残りやすく、また、学生が眠りにくいように工夫をしています。
学生からも
「最初のプレテストでわからないことを自分で調べたことで、その後の講義を理解して聴くことができて良かったです。」
「とてもわかりやすく自分たちで考えてから学ぶという進め方が頭に入ってきて、とても良いと思いました。」
という意見をいただいています。
そして、授業の最後に、修学達成度の確認のために、国家試験に準ずる問題を解いていただいていたのですが、この前のブログでは、それを授業の途中で行うことで、眠たさの改善につながったことをご紹介しましたね。人間が精神を集中できるのは、15分くらいだということを聞いたことがあります。私の今回の授業の経験からも、これは正しいと感じますね。90分の講義で、少なくとも30分毎に、眠気を覚ます何か別のことを織り交ぜないと教育効果が低下するということだと思います。