ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

仕分け人の大学病院に対するあまりにも無理解な発言に、附属病院長会議は?

2010年04月30日 | 日記
 28日の事業仕分けが終わった直後に、国立大学附属病院長会議が緊急声明をプレスに投げ込んだという情報が伝わってきました。残念ながら、無視されたのかタイミングが悪かったのか、新聞紙上には掲載されていませんが・・・。

 その緊急声明文を入手しましたので、少し、読みづらいものかもしれませんが、このブログでご紹介しておきましょう。

 いろいろと具体的なことが書いてありますが、最後の部分、つまり

「なお、限られた時間の議論の中で、国立大学附属病院の診療と教育研究機能が十分でないとした意見もあったが、国立大学附属病院で難易度の高い手術が実施されており、中医協の場でその点が確認され診療報酬改定に反映されたことを強調し、断固反論するものである。」

これは、「大学病院はコンクリートの固まりにしかみえない。」などの仕分け人の大学病院に対するあまりにも無理解な発言に、全国の大学病院の皆さんがそうとう憤慨していることを示しています。

仕分け人の発言は、地域住民のために昼夜を問わず一生懸命大学病院の現場で働いている医師や看護師や職員のみなさんにとって、耐え難い発言であったと思います。




以下緊急声明の全文です。

緊急声明

「国立大学病院の教育・研究・診療機能を危うくする財政的仕組みの廃止を憂慮」

 国立大学病院は、良質な医療人の育成と、先端医療の開発及び地域特性も踏まえた地域医療最後の砦としての機能を果たしてきた。特に昨今の救急医療や周産期医療等の社会的要請にも積極的に対応するとともに、法人化後の経営改善にも努力してきた。
しかし、本日実施された事業仕分け第2弾では、国立大学病院の施設整備と大型機器の資金調達を代行してきた「国立大学財務・経営センター」がその対象となり、主要業務はすべて「廃止」との結論が出された。

国立大学病院は医療人を養成するため、採算性を犠牲にしつつ全ての診療領域をカバーする診療科を設置している。

また、研究面においては先端医療の研究・開発・普及のために、現行の診療報酬制度で賄いきれない先進医療機器の先行導入と、人的配置がなされ、国立大学病院の研究的不採算となっている。この点が民間病院や他の公的病院とは違う部分である。

こういう教育研究における不採算を、国が財政的に支えるため、病院運営費交付金が措置されてきたところであるが、この病院運営費交付金も法人化当初から66%削減され、財政的に困窮してきたところである。

教育研究に対する財政支援の減額以外に、国立大学病院の経営が苦しい理由は、国の時代の病院再開発費用の返済負担が大きい点である。

国の時代は、単年度会計であったため自己資金の積み立てができなかった。したがって自己資金がない状況で借入金によって再開発が実行されてきた。
法人化した際には、各国立大学病院の借入金が、国からそれぞれの国立大学法人に負担させられたが、返済期間中の減価償却費等の再開発用の積立金は措置されず、重い債務だけが残された。

法人化後は、制度的に6年間の中期計画期間中は経営努力による自己収入を積立て、再開発に充当できる仕組みとなったが、教育研究の不採算と、その支援が大幅に削減される中、現実にはとても困難であった。

このような、厳しい経営状況を改善することを目標に「財務・経営センター」が設立されたと認識していたが、今回の事業仕分けの結果に当たって、当会議としては、以下の点を確認することが最低条件と考え緊急声明とする。

1.附属病院の施設整備に必要な資金の従来どおりの財政融資資金を活用した所要額の借入の維持・確保。
2.厚生労働省のナショナルセンターと同様に承継債務の大幅な軽減。
3.「民主党政策集INDEX2009」のとおり、附属病院運営費交付金の法人化当初の水準までの回復。
4.老朽化施設の保守費用となる営繕予算の確保。

事業仕分けが事業の効率化を目指すものと理解しているが、各国立大学法人が個別に返済と新規借り入れ手続きを行うこととなり、「財務・経営センター」によって集約化・効率化されていた借入に伴う業務が、各国立大学法人に分散することで、各国立大学法人の業務負担が増大し、かえって事業が非効率になることも深く懸念される。

なお、限られた時間の議論の中で、国立大学附属病院の診療と教育研究機能が十分でないとした意見もあったが、国立大学附属病院で難易度の高い手術が実施されており、中医協の場でその点が確認され診療報酬改定に反映されたことを強調し、断固反論するものである。

 平成22年4月28日

国立大学附属病院長会議
常置委員会委員長
河 野 陽 一

国立大学附属病院長会議構成員

北海道大学病院長             福 田   諭
旭川医科大学病院長           松 野 丈 夫
弘前大学医学部附属病院長        花 田 勝 美
東北大学病院長               里 見   進
秋田大学医学部附属病院長        茆 原 順 一
山形大学医学部附属病院長        久保田   功
筑波大学附属病院長            五十嵐 徹 也
群馬大学医学部附属病院長        石 川   治
千葉大学医学部附属病院長        河 野 陽 一
東京大学医学部附属病院長        武 谷 雄 二
東京大学医科学研究所附属病院長     山 下 直 秀
東京医科歯科大学医学部附属病院長    坂 本   徹
東京医科歯科大学歯学部附属病院長    嶋 田 昌 彦
新潟大学医歯学総合病院長        内 山   聖
富山大学附属病院長            遠 藤 俊 郎
金沢大学附属病院長            富 田 勝 郎
福井大学医学部附属病院長        山 口 明 夫
山梨大学医学部附属病院長        島 田 眞 路
信州大学医学部附属病院長        小 池 健 一
岐阜大学医学部附属病院長        岩 間   亨
浜松医科大学医学部附属病院長      瀧 川 雅 浩
名古屋大学医学部附属病院長       松 尾 清 一
三重大学医学部附属病院長        竹 田   寛
滋賀医科大学医学部附属病院長      柏 木 厚 典
京都大学医学部附属病院長        中 村 孝 志
大阪大学医学部附属病院長        福 澤 正 洋
大阪大学歯学部附属病院長        森 崎 市治郎
神戸大学医学部附属病院長        杉 村 和 朗
鳥取大学医学部附属病院長        豊 島 良 太
島根大学医学部附属病院長        小 林 祥 泰
岡山大学病院長               森 田   潔
広島大学病院長               越 智 光 夫
山口大学医学部附属病院長        松  益 
徳島大学病院長               苛 原   稔
香川大学医学部附属病院長        石 田 俊 彦
愛媛大学医学部附属病院長        横 山 雅 好
高知大学医学部附属病院長        杉 浦 哲 朗
九州大学病院長               久 保 千 春
佐賀大学医学部附属病院長        宮  耕 治
長崎大学病院長               河 野   茂
熊本大学医学部附属病院長        猪 股 裕紀洋
大分大学医学部附属病院長        古 林 秀 則
宮崎大学医学部附属病院長        池ノ上   克
鹿児島大学医学部・歯学部附属病院長    松 英 夫
琉球大学医学部附属病院長        須加原 一 博

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心温まる応援のコメントとメール、ほんとうにありがとう

2010年04月30日 | 日記
事業仕分けを通じて、たくさんの皆さんからメール、そしてコメントをいただきました。この場を借りて心温まる応援のエールに“ありがとう”を言わせていただきます。

特に、ふだんお話をする機会がないみなさんや、まったく面識のないみなさんからもコメントをいただいたことは、ほんとうに励まされます。

CKミュージックさん、一応援者さん、富士の鷹さん、しみずさん、ほんとうにありがとう。私は“孤軍”ではなく、皆さんといっしょに戦っていることが分かってほんとうにうれしいです。

ほんとうの戦いはこれからだと思っています。これからも、地域住民の皆さんや国民のために、大学と病院をどう支えていけばいいかを一生懸命考えて、訴えて、そして行動していきたいと思います。


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事業仕分け打ち上げ(?)会で心が一つに

2010年04月29日 | 日記
昨夕は、事業仕分け本番が終わり、すべての事業が廃止という惨憺たる結果になって、課長以上の幹部職員と打ち上げ(?)会に行きました。普通は“残念会”ということになるんでしょうが、事実上組織の廃止というあまりにも惨憺たる結果を受けて、“残念”という言葉はぴったりと来ません。“残念”という気持ちを通り越した場合、いったい何会と表現したらいいんでしょうか?まさか、“絶望会”とも言えませんしね。

そんなことで、とりあえず打ち上げ(?)会という表現にさせていただきました。

最初はビールで乾杯。こんな時、いったいどんな挨拶をすればいいんでしょうかね?「今日はほんとうにお疲れ様でした。残念な結果になりましたが、今後、この組織の清算のためにがんばりましょう。」なんて言うのも、何かおかしい。

それで、ちょっと躊躇しつつも「財務・経営センターの今後の発展のために乾杯!!」と言ってしまいました。

そしたら、A部長が、「理事長!“発展”でいいんですよ。私たちはまだ、負けたわけじゃない。この組織がなくなっても、理事長の思いを実現できるように、別の形で国立大学と病院を支える仕組みを作ればいいんですよ。そしたら、それが私たちの勝ちだ。」

なんてすごい言葉なんだろうと私は思いました。

この言葉で、みんなの気持ちが一つになりました。

全国の国立大学の若手職員を集めてマネジメントの勉強会を開催しているI課長は、「理事長が勉強会のことを、仕分けの場で言っていただけるとは思ってもいませんでした。今度の勉強会は、もっと盛大にやりますよ!」あと何回勉強会ができるかわからないにもかかわらず・・・・。

仕分けの場では、仕分け人から民間のコンサルを使えばいいではないか、財務経営センターにはプロの経営相談員がいないではないか、とさんざんこき下ろされて“廃止”となってしまったのですが、私は、民間のコンサルを頼んでも、高くつく割にそれほど役に立ったとは思えないこと、結局は職員一人ひとりの経営意識を高めて能力開発をしなければ解決せず、そのために財務・経営センターの勉強会が役に立っていることを話したのです。

仕分けの直前に作ってもらった、国立大学と病院が危機的状況にあり、それを支えるために財務・経営センターの機能をもっと高める必要がある旨を表現したパネル。結局は、仕分け会場では使わないという方針になったのですが、実は、その内容のコピーをS課長がこっそりと準備をして、会場まで持ってきてくれていたのです。もし、その図を示せるような機会が来た時に、使ってほしい。

結局、仕分けの時に使えず、申し訳ないことをしてしまったのですが、それは、私に、私の思っていることを、仕分けの場でもっともっと発言をしてほしいという気持ちを込めたメッセージだったんですね。

こんな職員たちに支えられて、私は、仕分けの場で、かなりのことを発言することができました。といっても言いたいことの半分くらいだったんですけどね。

仕分けの結果は私が発言しても発言しなくても、全く同じ結果だったと思います。しかし、発言できて、ほんとうに良かったと思います。結果は惨憺たるものでしたが、この仕分けという修羅場をいっしょにくぐり抜けたことで、職員と私の心が一つになりました。
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人生無駄になることは一つもない

2010年04月28日 | 日記
午前中事業仕分けの本番が終了。今、理事長室でブログを書いています。

実は昨夕、ぐっすり眠れない日が続いていたので、緊張感をほぐすためにビールを飲んで寝たのですが、やっぱり2時頃に目が醒めてしまって、かえって頭がボーとしたまま、明るくなるまで布団の中で過ごしました。

もう、何時間かで仕分け本番というのに、「この質問にはどう答えたらいいだろう。あの質問にこう答えるのはまずいかな。」などという質問が、しょっちゅう頭に浮かんできます。「融資、交付、分析・研究・相談」という財務・経営センターの主な事業を、仕分けの場で、早く言えるように、なんども繰り返し。

明るくなってからシャワーを浴びて、6時半にマンションを出発、7時には竹橋について学術総合センターの近くのファミリーレストランで朝食。

7時半頃からファミレスでTBSの密着取材開始。

8時半にTBSの記者と学術総合センターへ出勤。フジテレビとテレビ朝日も密着取材に参加。

記者さんの「自信ありますか?」という質問に「自信ありません。」と即答。この期待はずれの回答に記者さんも苦笑。

9時20分に出発。日本橋の会場には9時半過ぎに到着しました。狭い説明者待合室で、多くの説明者の方々と待機

10時過ぎに仕分け会場へ。いっぱいの取材陣と、そしてテレビでよく顔を見せていただく仕分け人の方々が入場されました。でも、胸がどきどきするわけでもないし、不思議に落ち着いていましたね。

10時15分からいよいよ仕分け開始。果たして、私がどれだけ発言の機会があるのかわかりませんでしたが、仕分け人の方から、大学病院と他の病院との違いが質問が出て、それに対する文科省の方の回答に仕分け人の方が納得されず、けっこう早い時期に私に質問が振られました

「教育、研究、高度医療、地域医療の最後の砦」というたいへん重要な機能を持った病院であることをご説明し、地域にとってかけがえのない病院であることを説明しました。

私の「国立大学病院を第二の夕張にしないように・・・・」という言葉が、かなり仕分けの皆さんの印象に残ったらしく、けっこうどんどん私に質問が来ました。何をどうお答えしたのか、もう正確には思い出せないのですが、でも、国立大学と附属病院が危機的状況にあることなど、仕分け人の方々にどれだけご理解いただけたかどうかは別にして、たいへんな状況であることを発言できて、よかったと思っています。

仕分けの結果は、惨憺たるもので、6つの事業すべて廃止ということでした。

記者会見で敗戦の弁。

今回の結果はたいへん厳しいものであり、財経センターそのものが空中分解してなくなること。私はこの財経センターを改革して、国立大学と大学病院そして、地域住民と国民のためにお役に立とうとこの4月に理事長に就任したが、それがかなわず、たいへん残念であること。

これからどうされますか?という質問には

まず、職員に対して、目標を失っても日常の業務に支障がでないようにお願いすること。次には、国立大学と附属病院が困らないように、財経センターとは違うところで、支える仕組みをつくっていただくように、国にお願いしたいこと。そして、職員の今後の身の振り方について考えること。

TBSの記者さんは、その後もずっと財務経営センターまでついてきて、私が放心状態になっているところを16時頃まで取材されました。

17時頃にテレビ朝日の報道ステーションの記者の方が取材にお越しになりました。今日の夜の報道ステーションで報道されるとのこと。

せっかく理事長に就任したのにどう思われますかという質問には

「人生は一所懸命やって結果的に無駄になることと、成功することの繰り返し。しかし、私の人生経験からは、無駄になったことも、必ず役に立っています。人生無駄になることは一つもない、というのが私の信念です。今回もたいへん貴重な経験をさせていただいたので、これを無駄と考えずに、次の人生に活かそうと考えています。」ということをお話しました。

これから、いっしょけんめい仕分けの準備をしていただいた職員の皆さんと、打ち上げ(?)に行ってきます。







 


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ちょっと残念な知らせ

2010年04月27日 | 日記
さっき、文部科学省から、やはり、冒頭の挨拶はやめにしてほしいという連絡が入りました。かなり上の方のご意見でとのことで、これは残念ながら従わなければなりません。独立行政法人は、完全に独立しているのではなく、文部科学大臣が設置者で、大臣定めた目標を達成する組織なので、かってなまねはできませんからね。それに、文科省と理事長の話すことが違っていては、やっぱりまずいです。

でも、発言はしていただいて良いということなので、機会があれば、誠実に発言しようと思います。

もう、今日は密着取材が2社からあって、疲れました。そろそろ家にかえります。でも、不思議と心が落ち着いてきましたね。

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事業仕分け想定問答集(その2)

2010年04月27日 | 日記
さて、冒頭の説明をし終わると、厳しい質問の嵐が仕分け人から始まりますが、まず、最初の貸付業務について「なぜ独立行政法人でないといけないのか?」「なぜ民間ではいけないのか?」「なぜ国ではいけないのか?」という質問が必ず飛んできます。それに対する私なりの回答案を作ってみました。これは、断っておきますが、文部科学省が作っておられるかもしれない想定問答とはまったく関係のないもので、独立した法人の理事長個人の考えです。

Q:「なぜ、独立した法人でしなければならないのか?」

A:今、国立大学と病院は危機的状況にあり、地域住民や国民に影響を与えかねない緊急を要する事態なので、危機を打開するという目的に特化した法人の存在意義があると思います。そのためには、本センターのような融資、交付、分析、研究、相談の各事業を有機的・一体的に機能させ、力を発揮できる組織で支えることが必要と考えます。これらの機能をばらばらにしたのでは、危機を打開するために最大の効果を発揮できなくなります。

なお、国立大学と病院が自律的に健全な経営のできる環境が整った暁には、本法人の役割は終了したということになります。

Q:民間で行うことはできないのか?

A:民間では、低利長期の融資は困難と思います。また、経営の評価・審査・融資を一体としてできることが望ましいと考えますが、教育・研究・高度医療・地域医療の最後の砦機能を有する極めて特殊な大学病院の適切な経営評価は、他の金融機関では難しいと思います。また、本センターから融資機能をはずすことは、本センターの機能が低下することとなり、地域医療の最後の砦である大学病院の危機を救うというミッションが、それだけ達成できにくくなると思います。

Q:国で行うことはできないのか?

A:貸付業務だけを切り取って国で行うことは、本センターの大学病院の危機を打開する機能が低下することになり、メリットがあるとは思えません。国に本センターの機能全体をそっくり移すことも考えられますが、国ではたとえば有能な外部人材をそろえてチームを手早く形成するというような機動的な人事を行いにくいことから、国よりも融通性のある独立行政法人のような組織の方が、危機を打開するためには、ベターであると思います。

さて、これで、仕分け人の皆さんのご理解をいただけるでしょうか?いただけたらとてもうれしいのですが・・・。

まだまだ、事業がたくさんありましたね。ちょっといそがないと間に合わない!!テレビの密着取材もあるし・・・。


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事業仕分け想定問答集(その1)

2010年04月27日 | 日記
昨夕(26日)、文部科学省で担当課長との事業仕分けに向けての打ち合わせがありました。実は、文科省側は、事業仕分けはすべて文科相で対応したいという意向だったのです。それで、いったん私にも仕分けに出席しなくてもいいという連絡が入ったのです。

私は、「せっかく独法最初の公募で選ばれた理事長なのに、事業仕分けに出席させないとは、いったいどういうことなんですか。私には複数のテレビ局が密着取材をしており、もし、私が事業仕分けの現場に出ないということになれば、ひっこみがつかなくなるじゃないですか!」と強く出席させるように申し入れをして、なんとか了承をえました。

打ち合わせの席でも、文科相側は、事業仕分けの質疑応答は文科相の担当官ですべて対応する予定だというので、私は「単に座っているだけでは、私が出る意味がないじゃないですか。枝野大臣も独法の仕分けで、どうして本省の官僚ばかりが答えるのかとおっしゃっていたじゃないですか。」と、ごりおし。

それで、まず冒頭の7分間の概要説明の時に、私に最初の1分間だけしゃべらせてほしいと強く申し入れをしました。文科相側は「仕分けで理事長が最初に挨拶をするようなことはないですよ。」と難色を示されたのですが、また、ごりおし。

そのあと、意見交換をしたのですが、どうも、文科相側と私の考えていることと微妙に違う点もある。私は、「文科省の回答と違う回答をさせていただくことがあるかもしれないが、それでもかまわないか?」と念をおしました。

でも、事業仕分けの最中に、本省の官僚と理事長とで違う見解を述べるというようなことがおこれば、いったいどうなるんでしょうね?そんな場合に、仕分け人は、いったいどのように評価するのでしょうか?

とにかく、私が仕分けの現場でしゃべらせていただけるかどうかは、私が官僚よりもマイクをいかに早く奪うかということにかかっているらしい。

そんなことで、打ち合わせといっても、想定問答集で緻密に回答を打ち合わせるというようなものではなく、極めてざっくばらんなものになってしまいました。

そうそう冒頭の1分間の説明の草稿をブログの読者の皆さんにお見せしておきましょう。本番では若干修正するかもしれませんが。

冒頭理事長説明草案

私は、独法を通じて始めて公募で選ばれ、4月にセンター理事長に就任した豊田でございます。昨年3月まで三重大学長であり、現場の最前線の経験にもとづき、センターを改革しようと思ってまいりました。
現在の、国立大学、特に大学病院は危機的状況にあります。大学病院は教育・研究・高度医療、そして地域医療の最後の砦という、地域住民および国民にとってかけがえのない役割を担っていますが、交付金の大幅削減等によって現場は疲弊し、唯一日本だけが医学論文数が減少するという異常な事態となり、財務的にも約9000億円の債務を抱え、資金繰りが悪化しています。また、大学の施設費も大幅に不足し、老朽化施設が多く残っています。
本センターは融資、交付、分析、研究、相談機能を通して大学と病院を下支えしていますが、この緊急を要する事態においては、民間を含めた優秀な外部人材を採用し、個々の事業の機能をさらに高めるとともに、融資、交付、分析、研究、相談機能を有機的・一体的に機能させて、力を発揮できる組織をつくり、政策提言を行って、この困難な問題の打開にあたりたいと思います。

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ご家族からの応援メッセージ

2010年04月27日 | 日記
ある三重大医学部生から、ご両親様のメッセージが送られてきましたので、想定問答作成の真っ最中なのですが、ちょっとご紹介しておきましょう。

「私の家族は、 つぼやきブログのファンです。先日、事業仕分けの全国ニュースで、豊田先生をお見かけしたようです。恐れながら、応援させて欲しいということで、両親からのメッセージを送らせていただきます。

三重大医学生の父母より

国の将来の舵取りは、為政者や過去官僚達のためのものではないと思います。しかし疲弊しきった社会をみるにつけ、この惨状を生んでしまったのは、私達国民ひとりひとりではないでしょうか。今再びボタンの掛け違いをしないよう、また社会的人財となりうる志ある医学生や将来ある大学生が立派に育つよう、もう一度、先生の尽力をお願いし、応援します。」


ご家族でつぼやきのファンだなんて、うれしいかぎりです。がんばりますよ。
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事業仕分け想定問答集(序章)

2010年04月26日 | 日記
さて、事業仕分けの想定問答集を私なりに作って、読者の皆さんと共有しようということでしたね。

ちょっとその前に、どのように仕分けにかかるか、少しだけ説明しておきましょう。今回は、独立行政法人そのものの存在が仕分けにかかるのではなく、独法が行っている個々の事業ごとに、その必要性が問われます。一部の事業が廃止と決められても、その他の事業が存続という結果であれば、その独法は縮減した形で存続することになります。

財経センターの場合は、8つの業務、つまり、すべての事業が仕分けにかけられることになっていて、すべて廃止となれば消滅することになります。また、一部の事業の廃止ということになった場合も、財経センターの規模は小さいので、機能しなくなる可能性があり、全部廃止の場合と実質上同じ結果になります。

その8つとは

① 施設費貸付事業
② 承継債務償還
③ 施設費交付事業、旧特定学校財産の管理部分、財産管理・処分、有効活用に関する協力・助言
④ 高等教育に係る財政及び国立大学法人等の財務・経営に関する調査及び研究
⑤ 経営相談事業(財務・経営の改善に資する助言等)
⑥ 学術総合センター講堂・会議室等の管理運営
⑦ 財務・経営の改善に関する情報提供事業のうち大学情報提供事業(国立大学法人経営ハンドブック等)
⑧ 東京連絡所の運営

で、それぞれについて、その必要性が問われることになります。

23日の仕分けのネット中継をみていると、たとえば

“事業目的は妥当か?”
“当該事業は手段として有効か?”
“その事業はそもそも必要か?”
“限られた財源の中で他の事業に比べて緊要か?”
“効率的に行われているか?”
“事業に重複はあるか?”
“事業規模は適正か?”
“なぜ、民間ではいけないのか?”
“政府が直接した方がいい事業か?”
“なぜ、独立行政法人でしなければならないのか?”

といった、存続・廃止にかかわる本質的な質問が投げかけられています。

8つの事業について、たとえば、上に上げた10の質問が投げかけられるとすると、単純計算で80個の想定問答を作らなければなりません。他にも細かい質問はたくさんあるので、膨大な数になってしまいますね。

いったい、どうすればいいのでしょうか?

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事業仕分けのインターネット中継を見て、その厳しさを感じる

2010年04月24日 | 日記

23日いよいよ事業仕分けの第二弾がはじまりました。私も、(独)医療福祉機構と(独)国立病院機構の事業仕分けの模様をインターネット中継で見たのですが、“きびしいな”というのが正直な感想ですね。

次から次へと出される仕分け人たちのするどい質問に、説明者が間髪を入れずに答えていくスピードには圧倒されますね。よくあんなに答えられるなあ、と思います。見ているだけで、緊張感を感じ、見終わった後も疲れを感じます。仕分けの説明者は、きっとものすごい緊張感を経験し、終わった後はどっと疲れを感じておられるのでしょうね。

事業仕分けに出ることになったと報告した時の家内の弁は

“あなたは絶対に仕分け人にやられるに決まってるわよ。だって私とのけんかにモゴモゴとしか答えられず、次の日の朝に『夕べおまえが言っていたことは、いろいろ考えてみたけとやっぱりおかしいんじゃない』と言っているようじゃ失格でしょ。”

家内の言う通りですね。でも、ものごとには即断できないことも数多くありますよね。いろいろと調べたり、考えたりしないと、責任を持って答えられません。でも、事業仕分けの本番ではそんなことは許されません。いったいどうすればいいのでしょう?

実はこの日、私が事業仕分けのインターネット中継を見て、その感想を述べるシーンをフジテレビが撮っていきました。その時のインタビューで、これからどうされますか?想定問答を作られますか?といったような質問をされたのですが、その時は、想定問答を作っても意味がないかも知れないと答えました。仕分けのインターネット中継を見ていると、おそらく説明者は想定問答を準備されて仕分けに望み、厳しい質問に即座に回答しておられると思いますが、最終的な結論はたいへん厳しい結果となっていたからです。

私は、この日のインターネット中継を見て、仕分け人の質問に対して、役人さんの作った想定問答集を見て答えているようでは、財務・経営センターは100%つぶされるという印象を持ちました。どうせ、つぶされるのなら、民間出身で公募で選ばれた初めての理事長として、役人の答弁ではない、私自身が言いたいことを言ってみよう。

その上で、もしも財務・経営センターをつぶすことにつながる判定が出た場合は、判定は判定として受け入れざるをえないのですが、その場合には、私は仕分け人の方々にその結果責任をとっていただきたいと思います。つまり、私は、国立大学、特に危機的状況にある大学病院を救うために財務・経営センターの理事長になったわけですから、それが必要ないということであれば、仕分け人の方々には、国立大学と大学病院が再生する政策の立案を、責任をもってやっていただきたいと思います。

さて、想定問答集をつくるかどうかですが、やっぱり、今から私なりの想定問答集を作ってみましょうかね。家内の言うように、次の日の朝答えているようでは間に合いませんからね。そして、それをブログの読者の皆さんと共有することにいたしましょう。

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20日の視察で尾立議員がご指摘になられた“稼働率”を調べて見ました。

2010年04月23日 | 日記
本日23日から、いよいよ独立行政法人の事業仕分けが始まりますね。財務・経営センターの仕分けは28日の予定です。

20日の日の枝野大臣、蓮舫議員、尾立議員、菊田議員の財務・経営センター視察の際に、尾立議員が貸し会議室の稼働率を日別で計算していることについて、それが不適切であることをご指摘になられました。日別計算とは1日に1回でもその会議室が使用されたら1と数え、それを使用可能日の数で割る計算の仕方です。他の計算方法としては“コマ別”というのがあって、これは例えば一日を午前、午後、夜間などに分けて稼働率を計算する方法で、通常日別計算よりも低い値となります。

その時の模様を21日の毎日新聞朝刊では

『職員とのやり取りでは、昨年度は「6~7割」とされた同センターの貸し会議室の稼働率が1日1回でも利用されればその日は「100%稼働」としていたと判明。尾立氏は「粗っぽい説明だ。民間ではありえない。」と苦言を呈した』

と伝えています。

財務・経営センターは、学術総合センタービルの1階と2階にある講堂と会議室の貸し館業務を管理しており、それも今回の事業仕分けの対象業務となっているんです。

尾立議員から稼働率の日別計算の不適切さを指摘されて、視察が終わった後で、私はその資料を作成した担当の女性職員に “コマ別でもちゃんと計算していたのに、どうしてわざわざ日別計算で計算した稼働率を資料として提出したの?”と聞いてみました。そうしたら、彼女は何となく答えにくそうにしていたのですが、“他の貸し会議室をしているところも日別計算で出しているようですので・・・”という答えが返ってきました。

私は、学術総合センターと比較するのに適切な他の貸し会議室業務をしている団体の稼働率がどのように出されているか、もっときっちりと調べて見なさいという指示をしました。しばらくすると彼女が、東京近辺にある貸し会議室業務をしている団体の稼働率をホームページ上で調べて、そのリストを持ってきてくれました。それが次の表です。








そうすると、彼女の言うとおり、東京国際フォーラムや横浜パシフィコといった東京近辺の貸し会議室業務をしている最も代表的な団体の稼働率は、ホームページに日別で計算されて公表されており、しかもこの二つは株式会社が管理している「民間」でした。

私は、その職員に対して自分の無知を恥じました。

財務・経営センターが管理する講堂と全会議室の平均の日別稼働率は、平成21年度は67.4%であり、年々稼働率が上昇していて、今年度はほぼ間違いなく70%を越える見込みです。

関東甲信越静地区の公立文化施設の稼働率は、やはり日別稼働率で公表されており、平成18年度の平均が57.8%とのことでした。ただ、この公共文化施設には、東京都内よりも田舎の地域も含まれるということを考慮しないといけませんし、一方、文化施設であるので、会議以外にも興業的な催しも含まれている可能性に注意する必要があります。ちなみに昨年私が理事長をしていた三重県文化振興事業団が指定管理者となっている三重県総合文化センターの貸し館業務の稼働率は日別で80%程度で、全国でもトップレベルであると誇りを持っていました。担当者に確認したところ日別稼働率70%という数値ならがんばっている方だと思うとのことでした。 

彼女の調べてくれた数値からは、東京国際フォーラムには及ばないが、およそパシフィコ横浜と同程度の成績をあげていると思われ、非常に良いという評価はできないないかもしれませんが、けっこうがんばっているという評価になるのではないでしょうか?

したがって、もし、仕分け人の方々が、単に財務経営センターの貸し会議室業務の成績が悪いということを理由にして、財務・経営センターは学術総合センタービルから出て行け、というような結論を出されるのであれば、その見識が疑われることになるのではないかと感じます。

また、学術総合センターの会議室は、国立大学関係者や学術関係者には廉価で使用していただいています。現場の学術関係の皆さんはこの会議室を重宝がられて、年々使用率が上昇しています。今、全国の国立大学は運営費交付金の削減によって論文数も減り始め、また、大学病院の機能低下により地域医療の崩壊に拍車がかかり、地域のイノベーション力や国際競争力が低下しつつあります。そのような状況の中で、少しでも全国の学術関係でがんばっている皆さんに便宜を図りたいというのが私たちの思いです。仕分けの結果によって、そのようなことがかなわなくなるかもしれません。

ただし、視察前の枝野大臣の記者会見では、「そこを取り上げることで、竹橋以外のところにある他の独法、他の省庁の所管の独法の東京事務所についても、いわゆる横串が刺せるのではないか、非常に1カ所に固まっているので、象徴的でわかりやすいという問題意識です。」と述べておられます。

「非常に1カ所に固まっている」とおっしゃっても、東京事務所を置く独法は財務・経営センターと大学評価学位需要機構の2つしかないんですけどね。でも、ここを「象徴的に」なものにする意図ということであれば、こちらがどんな理由を述べたとてしても、取り上げるという結論をお出しになるかもしれません。

でも、全国の国立大学の皆さんのためにも、できればそういうことのないことを願っています。

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蓮舫議員のツイッターに、私のブログのURLが紹介されている!!

2010年04月22日 | 日記
職員が私に蓮舫さんのブログのTwitter(ツイッター)に私のブログのことが載っていますよ、と連絡してくれました。早速、蓮舫さんのブログを開き、そこからツイッターに入ってみると、4月18日のところに載っていました。

支持者の方とのやりとりですが、アドレスなどは省略して文章だけをご紹介しましょう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
午前は現地調査。午後はずっと独法と公益法人ヒアリング。

・情報をありがとうございます。とある事業仕分け対象の理事長のブログです。参考になります。 http://blog.goo.ne.jp/toyodang

ありがとうございます!仕分けが近づくと色んな直言をいただくため、応援コメントは本当に嬉しいです。もちろん、全ての意見を受け止めますが。

・おはようです。頑張ってください。力いっぱい応援!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私のブログが蓮舫さんに見ていただいているとすると、ほんとうにうれしいです。
蓮舫さんのブログを見せていただくと、仕分け人の方々もほんとうに忙しい日を送っておられることがわかります。たくさんの事業の仕分けをしないといけないので、これはほんとうに殺人的なスケジュールですね。

仕分け人の方々のたいへんさもわかるのですが、やはり、明日から始まる仕分けの本番では、厳しい質問を突然受けて、その瞬間的な回答如何でもって、最初から答えが決められているかのように感じる評決を受けるのではなく、適切な時間をかけたフェアなディスカッションの上でお決めいただけたらなあと思います。

それにしてもブログ上でのディスカッションというのはいけないんでしょうか?最近は、仕分けがパフォーマンス的になっているというような指摘もあると報道されていますが、ブログで仕分けの議論をするというのも、それだけ国民の見ている前でのディスカッションが増えるわけですから、仕分けを改善する一つの方法かもしれません。

私のブログを蓮舫さん以外の仕分け人の方々にも読んでいただけたらなあと思います。

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TBSの密着取材の報道は、ありのままの私が映っていた

2010年04月22日 | 日記
昨日の夕方6時頃からTBSの密着取材の報道が放映されていました。私は、自分が写った姿を見るのがいやで、あまりテレビ映像は見ないのですが、これだけは見せていただきました。

マスコミで最終的に放映される姿が、自分の思い描いている姿と違うように報道される場合もあるようですが、この映像は私のありのままの姿を放映していただいたのかな、と感じました。

多くの友達から、電話や映像を見たというメールをいただきました。皆さん、非常に好感が持てた映像だったとおっしゃったので、とても良かったと思います。



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事業仕分け:枝野大臣の視察で私の思いは伝えました。本番でのフェアなディスカッションを望みます。

2010年04月21日 | 高等教育
昨日、4月20日(火)の11時45分から、事業仕分け議員の(独)国立大学財務・経営センター(以下財経センター)の視察がありました。私は理事長として、施設のご案内と質疑応答に対応しました。

お越しになったのは、枝野大臣、蓮舫議員、菊田議員、尾立議員の4人で、一ツ橋の学術総合センタービルの10階にある財経センターと、11階にある(独)大学評価学位授与機構の2つを視察されました。

まず、学術総合センタービルの1階と2階の会議室と講堂を視察され、10回の財経センター、11階の学位授与機構の部屋を視察されたあと、会議室で概要説明と質疑応答がありました。

それにしても、議員さんたちを撮影しようとするすさまじいマスコミの数。廊下を歩く時も、ちょっと気をぬくとマスコミの方々の波に溺れてしまいます。まるで満員電車です。

概要説明の時間では、まず、私から財経センターの概要をさせていただき、次いで(独)大学評価学位授与機構の平野さん(前名古屋大学長)が機構の説明をされました。

私は、昨年まで三重大学長をし、鈴鹿医療科学大学副学長と、三重県文化振興事業団の理事長を経験して、今回公募に応募して理事長になったこと、そのようなことから大学と大学病院の現状、そして現場の思いを伝えたいと申し上げました。そして、パネルの図を示しつつ、日本の医学研究の低下、大学病院の危機的状況、そしてそれが国際競争力と地域医療の低下に拍車をかけていること、また、国立大学全体としても交付金の削減と施設整備費の不足によって、国際競争力が低下しかかっていること、そのような大学の大変な状況の背景の中で、財務経営センターは、病院への長期低金利の貸付や、施設費交付事業、そして、経営支援や調査研究を行うことで、国立大学と病院を下支えし、日本の成長につなげることを使命と考えていることを述べました。




枝野大臣や連舫議員は、現場の皆さんの “思い”については共有するが、今日はそういうことを聞きに来たのではなく、どのように具体的に効率化するかということを検討したい旨をおっしゃいました。

そんなことで、私の説明は、仕分け人の方々が求めていたプレゼンではなかったようなのですが、私としては、大学や大学病院の現場の危機的状況と現場で頑張っている皆さんの思いと、それを支える財務経営センターの重要性について、私の思っていることを一生懸命にお話しできたことは良かったと思っています。

また、千葉に財経センターの本部があり、都内に東京連絡所があって二つに分かれているが、都内で作業をする方が効率的であり、ぜひ、効率的なところで仕事をさせていただきたいとお願いをいたしました。

枝野大臣がお帰りになったあと、尾立議員と連舫議員が残られて、財務経営センターが融資を行う必要性に関するご質問をされました。私は、大学病院は教育・研究・地域医療支援という極めて大きな使命があるので、単に採算がとれるかどうかということだけで経営の判断はできないこと、教育・研究や地域医療の支援まで含めて経営を判断しようとすれば、それぞれのデータを把握・分析する必要があり、それは一般の金融機関では困難であるが、現場に近い立ち位置にある財経センターは可能である旨をご説明しました。

私の説明にほんとうにご納得いただいたかどうかは、わかりません。でも、ぜひ、ご理解を賜りたいと思っています。

視察の皆さんをお送りし、いくつかのマスコミのインタビューに応じ、最後に私に密着取材していたTBSの記者とカメラマンの撮影を受けて、私のこの日の仕事が終わりました。

緊張感が一気にとれて、さすがにしばらく放心状態でしたね。

後になって、知ったのですが、枝野大臣は視察当日の朝の記者会見で、記者から学術総合センタービルの視察をすることについて聞かれて「基本的には文科省関連の東京事務所が一つのビルに集中しているというふうに認識いたしておりまして、ここのところは事実上全部取り上げるというつもりでおります。そこを取り上げることで、竹橋以外のところにある他の独法、他の省庁の所管の独法の東京事務所についても、いわゆる横串が刺せるのではないか、非常に1カ所に固まっているので、象徴的でわかりやすいという問題意識です。」と述べておられたとのことです。

つまり、最初から“全部取り上げる”という結論ありきで視察にお越しになられたということなのでしょうか?

本番はこの28日ということになりましたが、私は仕分けそのものには賛成で、マスコミにも一貫してそうお答えしており、むしろ現場から仕分けの提案があってもいいのではないかと思っています。でも、やはり、最初から結論ありきではない、ほんとうのディスカッションのできるフェアな仕分けの場になることを願っています。そして、財経センターの本来の業務を否定されてしまって、今たいへんな状況にある国立大学や附属病院の機能が低下してしまうことだけは何とか避けたいと思っています。



TBSの密着取材は本日の夕方6時前からの報道番組で流れるようです。時間のある方はぜひ見て下さい。

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中華料理のおみくじ煎餅(Fortunate Cookies)の予言は果たして当たるか?

2010年04月14日 | 日記
昨日(13日)の朝、西葛西駅で8時台の電車に乗ろうとしたら、人身事故があった関係もあったのかもしれませんが、たいへんな混みでしたね。ホームには人が溢れ、間髪を入れずに滑り込んでくる電車は、すでに満員。乗り込もうとしても少しの人数しか乗れないので、1回ではとても乗ることが出来ません。結局5台目の電車にやっと乗ることができました。



びっくりしたのは、こんなに混み合っている電車の中でも、立ちながら本や新聞を読んでいる人がおられるんですね。日本人はほんとうに耐えてがんばる民族だと思います。満員電車に乗った方がエネルギーを使うので、運動になるという人もいるんですが、でも、国立大学財務・経営センター(以下財経センター)にたどりついた時には、さすがに疲れました。

さて、前回のブログでもお話しました事業仕分けの事前ヒアリングが昨日の夕方にあったので、内閣府に向かいました。文部科学省の担当の方といっしょに仕分けのヒアリングに対応し、私も今まで現場で苦労してきた人間として若干の意見を述べました。でも、この事前ヒアリングは非公開ということになっているので、やはり具体的な質問内容については、控えさせていただくことにいたします。

仕分けのヒアリングが終わったあと、前岐阜大学長で、現在(独)日本学術振興会副所長の黒木登志夫先生の呼びかけで東京駅近くの中華料理店で開かれた“法人化の時に苦労した学長の会”なるものに参加をしました。集まった前学長の皆さんに私が4月から財務・経営センターの理事長に就任したと挨拶をすると、異口同音に“たいへんですね”という言葉が返ってきました。どうも、財経センターは事業仕分けでたいへんなことになりそうだということを、皆さん思っているらしい。

法人化の学長時代の苦労話に花をさかせて、あっという間に時間が過ぎました。料理の最後に出された“おみくじ煎餅”の中から出てきたのが写真のおみくじです。こんなものあてにならないと分かっていても、ちょうど今のタイミングでこのような予言が書かれていると、ちょっとうれしいものです。




ところで、今日(14日)はテレビの放送局2社が取材に来ました。今回の独立行政法人の事業仕分けについても、マスコミは高い関心を寄せているんですね。1社は、会議室や仕事場の映像を写し、役員にインタビューをして帰りました。もう1社は、私に密着取材がしたいという申し入れで、私自身がお受けしました。どうも、私のブログを読んで、取材を申し入れてこられたようです。

マスコミには注意をした方がいいよ、とよく言われるのですが、私は三重大の学長時代から、マスコミの方々に対してはフランクに応じています。不祥事については悪く書かれてもしかたがありません。不祥事があればむしろこちらからマスコミに連絡をして、自ら正すべき事は正し、その代わり良い事を10倍載せていただければいい、という考えでずっとマスコミの皆さんと接してきました。今回の取材が最終的にどのような扱いになるのか分かりませんが、私としては正直に私のありのままの姿をお見せしようと思います。

午前中に、各部署の2週間の業務を報告する連絡会議があり、理事長になって初めてこの会議に臨みました。最初に挨拶をさせていただき、まず、財経センターは、全国の国立大学を支援することにより、地域医療を回復させ、地域のイノベーション力を高め、国際競争力を高めることが使命であり、常に国民のために毎日の仕事をしているという高い志を忘れないこと。そして、今、事業仕分けを控えて、職員の皆さんもどうなるのか不安で落ち着かないと思うが、日々の作業に支障が出ることのないように、がんばっていただきたいこと。

さて、来るべき事業仕分けで、どのような裁定が下されるのか、まったく分かりませんが、もし発言させていただく機会があるなら、以下のような私の思いを伝えたいと思っています。今までのブログで書いたことと重複しますが、フリップにまとめてみました。要するに、地域医療を確保し、地域イノベーション力と国際競争力を高め、日本の国を成長軌道にのせるためには、国立大学と附属病院が元気になることが不可欠であり、そのためには、もちろん財経センターは経費の節減や無駄の排除に引き続き努力しないといけませんが、財務・経営センターの機能を今よりもいっそう高める必要がある、という思いです。私は、そのために公募に応じて、理事長になったんですからね。

医学論文の国際比較
臨床医学と基礎的医学5分野(生化学・分子生物学、細胞生物学、免疫学、神経科学、腫瘍学)の論文数(5年累積値)
(トムソン・ロイター社学術文献情報データベースN.S.I.1981-2008をもとに分析)
日本だけが医学論文数が減っています!!




国立大学病院

・附属病院運営費交付金大幅削減
(約600億円→約200億円/6年間)
    ↓  
病院資金繰り悪化
教育・研究・地域医療支援低下
    ↓   
医学の国際競争力↓
地域医療の崩壊


国立大学(病院以外)

運営費交付金6年間で6%削減
施設整備費不足
    ↓
地域イノベーション力↓
国際競争力↓



国立大学財務・経営センター
     ↓
・国立大学と附属病院の下支え
     ↓
病院への長期かつ低利の融資
建物改修・修繕費交付
経営支援・アドバイス
大学の財務・経営の調査・研究
     ↓
・地域医療の確保
・地域イノベーション力↑
・国際競争力↑
    →日本国の成長↑

今後、財務・経営センターの機能をいっそう高める必要がある!!




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