2月1日は東洋経済新報社から発売された拙著「科学立国の危機―失速する日本の研究力」が僕の手元にも送られてきたので、さっそく読み直してみました。ところどころミスプリント等があるものの、僕の主張したかった大切なことを、お伝えできる本に仕上がっていると感じました。
この拙著では、日本の科学研究の実態についての新しいデータ分析や、現場の官民の研究者のご意見を紹介し、そして日本の科学政策や大学政策について、ずいぶんと思い切った主張をしています。各分野の専門家がお読みになれば、とんでもないというような間違いもあるかも知れませんし、また、賛否両論があると思います。
ぜひとも各分野の皆さんからのご意見やご批判をいただきたいと思っています。そして、多くの方々による検証や修正や今後のこの方面の研究の進展を期待いたします。
そして、科学政策や大学政策に関わる政策決定者や審議会の委員の皆様には、ぜひとも本書をお読みいただき、少なくとも本書に書かれているデータや意見や主張があるということをお知り頂いた上で、日本の科学政策や大学政策をお決めいただきたいと思います。
本書の最後の結論の文章を引用しておきます。
「統合イノベーションン戦略」に書かれている「大学や国研が産学官を交えた知的集約型産業の中核となるイノベーション・エコシステムが全国各地に構築」を実現するためには、「ヒト」の投資を増やすことが必要不可欠です。データに基づいた政策立案により、日本の人口や富に見合った、人口が減少した時は減少した人口に見合った「ヒト」の投資を増やしつつ、イノベーションの「広がり」を推進するイノベーション・エコシステムを日本全国津々浦々で展開し、地域で進行しつつある人口減少社会を成長社会に化けさせることが、今日本が取り組まねばならない喫緊の課題であると考えます。
この最後の結論の文章をお読みになって、「なんだ、あたり前のことを主張しているだけではないか」とお感じる方も多いのではないかと思います。そうであれば、いいのです。ところが、これは、現下の日本の科学政策や大学政策にとっては当たり前のことにはなっていないのです。なぜ、当たり前のことになっていないのか、その理由は拙著を読んでいただければご理解いただけるのではないかと思っています。
日本の科学研究の競争力を高めるために、いったいどうすればいいのか、多くの皆様からの建設的なご意見を期待いたします。
(ミスプリント等につきましては、後日このブログ等で訂正を報告させていただきます。)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59831
>学術論文(数)に反映される「大学の研究教育力」が、その国の国内総生産や労働生産性に貢献することは、先行研究においても、また、拙著でお示しした分析においても明らか