ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

運営費交付金削減による国立大学への影響・評価に関する研究(下)

2015年04月30日 | 高等教育

 

 

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運営費交付金削減による国立大学への影響・評価に関する研究(上)

2015年04月29日 | 高等教育

 すでにアップしている原稿とほぼ同じで、かなり重複することになりますが、「ダイジェスト版」という言葉をとった国大協報告書の原稿をアップしておきます。ダイジェスト版から変更した点としては、論文数とGDPとの相関のデータを少し加えて、それらを「研究教育指標と経済成長について」という章を新たに設けて移しました。あとは、誤字などの小さな修正です。

 当初は、本格的な論文形式の報告書をまとめるつもりにしていたのですが、大論文を書いても皆さんに読んでいただかなければ意味がないと思い、ちょっと型破りなのですが、"1図表1メッセージ"を心掛けたダイジェスト版と同じ形式にして、これを"報告書"にしてしまうことにしました。

 なお、このブログでは、一度にアップできる画像枚数に制限があるため、2回に分けます。

(5月1日、スライド8、9、11、12、22、139、142を修正しました。いずれも、アイスランド、セルビア、クロアチア、ルクセンブルグの論文数が抜け落ちていたことによる日本の人口あたり論文数の順位の変更によるものです。)

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運営費交付金削減による国立大学への影響・評価に関する研究(ダイジェスト版)(その3)

2015年04月15日 | 高等教育

国大協報告書のダイジェスト版の最終ブログです。なお、国大協はこの報告書に「ダイジェスト版」という表現はつけないかもしれません。ダイジェスト版にしては、スライド枚数130部という大部な報告書になってしまいましたからね。

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運営費交付金削減による国立大学への影響・評価に関する研究(ダイジェスト版)(その2)

2015年04月14日 | 高等教育

前回のダイジェスト版の続きです。スライド原稿の羅列になっていますが、前回お話をした理由によります。

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運営費交付金削減による国立大学への影響・評価に関する研究(ダイジェスト版)(その1)

2015年04月13日 | 高等教育

  国立大学協会から「運営費交付金削減による国立大学への影響・評価に関する研究」というお題を頂戴し、その分析結果を約2年間かけて「国大協報告書草案」として、このブログに掲載してきたわけですが、この度、総まとめとしてダイジェスト版を提出しました。それを今日から数回に分けてアップしておきます。ダイジェスト版とはいってもずいぶんと分量が多くなるので、どのような形にしようか迷ったのですが、だらだらと文章を書くのはやめにして、すべてスライド原稿にし、そのスライドに一言ずつコメントを書き込むことにしました。

 当初、与えられたテーマである「運営費交付金削減の影響」ということに応えるデータが得られるかどうかわからなかったので、遠回りにはなるのですが、まず論文数に影響する原則的な要因を知るためにOECDの公開データを使って分析しました。運営費交付金削減の論文数への影響がはっきり出ない場合は、このOECDのデータでもって、間接的な根拠にしようと思っていたのですが、運営費交付金削減の影響が直接的なデータとして得られたことは幸いでした。

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学術的ブログへのアクセス数について

2015年04月09日 | 高等教育

 この2年間ほど、論文数分析シリーズのブログを書いてきたのですが、いわゆるブログらしくない、多数のデータを羅列した長文の学術論文的ブログにもかかわらず、かなりのアクセス数があったことに、びっくりしています。むしろ僕の場合、いわゆる日記的ブログよりも、普通の人が敬遠しそうなむずかしい論文シリーズの方がアクセス数が多くありました。しかも、新しい知見が得られた場合に、アクセス数が多くなります。これは、読者がちゃんと内容を読んでおり、評価をし、そして、それがアクセス数に反映されていることを意味すると思われます。

 ブログは、有名人や人気ブロガーの日記やつぶやきに多くのファンが殺到するというようなことが一般的な現象で、今でもそれは変わらないわけですが、一方、このような学術的ブログへのアクセス数がけっこうあるということは、SNSに、単なる個人の意見というよりも、データ(根拠)にもとづく信頼度の高い情報が求められる段階に来ているということではないかと思います。

 さらに、今後、食品の機能性表示の緩和に伴い、ウェブ上に各種のデータが溢れてくる可能性があると思いますが、そうすると、データの信憑性がSNS上で議論されるということにもなるのではないでしょうか?SNS上のおびただしい玉石混交の情報の中から、信頼度の高い情報を選んで提供するサービスは、今後ますます重要になってくるものと思われます。(来年8月に、鈴鹿医療科学大学で開催する予定の「日本糖尿病情報学会」は、そのような目的で作られた学会です。)

 また、従来の学術誌という媒体に加えて、SNSが有力な学術媒体になりうる、あるいはすでになっているということも感じています。現に、ある程度の学術論文はウェブ上で入手できるようになりましたし、講義や講演の準備なども、ほとんどウェブ上のデータでできるようになりました。そもそも、僕の分析についても、論文数そのものの分析はトムソン・ロイターの学術文献データベースを使っているのですが、それ以外のデータについては、ほとんどがウェブ上の公開データにもとづいています。

 下のグラフは、最近2週間の僕のブログへのアクセス数のデータですが、3月30日付けの国立大学協会報告書草案の最終結論のブログへのアクセス数は3月31日にピークがあり、3日間で約1万人以上の方々に読んでいただいたことになります。

 これには、やはりツイッターやフェイスブックによる情報の拡散機能が役割を果たしていると考えられます。この時のタイトルを紹介をしたツイートに対するリツイート数は197件でした。普段の僕のつぶやきのリツイート数はほとんど0、あるいは、せいぜい一桁台です。3月27日に小さなピークがあるのも、論文数分析の学術的ブログですが、この時のリツイート数は18で、訪問者は約1000人でした。そうすると、リツイート数100件あたり約5000人に拡散するという計算になりますかね。

 

 いずれにせよ、ブログで学術的なデータを公開するというのは、けっこう勇気がいることかも知れません。高く評価される場合もあるし、批判される場合もあるし、いやな書き込みをされることもあります。それに自分の能力を、まさに衆目にさらけ出しているわけですからね。読む人が読めば、こいつは大したことがないということが、すぐにばれてしまう。

 実際、僕の統計学的分析能力は、せいぜい重回帰分析程度であり。近年の計量経済学の分析手法を使っての分析はやっていません。(今後、勉強したいと思っているのですが・・・)  統計学や計量経済学の専門の先生方から見れば、ずいぶん稚拙な分析をしているな、と思っていらっしゃるのではないでしょうか。

 でも、そのような高度な分析手法を使えなくても、生のデータをじっくりと眺めて、分析に使えるデータかどうかを吟味し、ああでもない、こうでもないと思案を巡らすことによって、そのデータの裏に潜む本質が見えてくるということがあるのではないかと思っています。

  今後も、読者の皆さんからいろいろとお教えいただくとありがたいと思いますし、また、僕のブログでも適宜紹介していますが、文科省の科学技術・学術政策研究所のみなさんも論文数の分析をしておられ、重要な分析結果を出しておられるので、僕なりの解釈も含めて、ご紹介していきたいと思っています。僕一人だけのデータでは、信頼性が低いですからね。

 

 

 

 

 

 

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新入生は学長の顔をどれだけ覚えているか?

2015年04月08日 | 高等教育

 4月2日は、桜満開の中で鈴鹿医療科学大学の入学式が挙行されました。僕にとって、この大学の入学式の式辞は3回目になります。

 三重大学の学長時代から、入学式の数日後に何人かの学生たちをつかまえて質問をしても、学長の式辞を学生たちはほとんど覚えていないし、質問をしている人が学長であるということも認識できないことを時々ブログに書いています。そして、式辞の時に、少しでも学生たちの記憶に残るように、三重大学時代から、いくつかの工夫をさせていただいているのですが、今回も昨年に引き続いて、学長式辞の途中で式辞をいったん中断し、学生たちに隣通しでペアを組んでもらい、お互いにあいさつの練習をしていただくという試みをしました。

 そして、昨日の4月7日に平成27年度第一回目の講義が開始され、僕も新入生全員に対して講義をする機会を与えられたので、クリッカー(IC ブレインズ社製)を使って、どの程度学生が学長を認識できるか、数値で出してみることにしました。

 4月7日の新入生に対する最初のカリキュラムは「医療人底力教育」と呼んでいる意欲的な初年次教育であり、昨年から開始しています。医療専門職に共通に必要とされる「底力」を、大学の最初の年に身に着けていただこうとするカリキュラムであり、新入生全員を一つのキャンパス(白子キャンパス)に集め、今後必要とされる「チーム医療」に必要なコミュニケーション力の涵養などを念頭において、9学科11専攻をシャッフルした混成クラスでもって学んでいただきます。その中でも特徴的なカリキュラムは「医療人底力実践」という小グループのアクティブラーニングで、チーム医療に必要なさまざまなスキルを実際に体験をしていただく授業です。また、「医療人の基礎知識」のカリキュラムでは、どのような医療専門職にも共通に必要な基礎知識(教養)について、講義形式で学んでいただきます。僕の今回の担当は、その中の「いのちと医療の倫理学」シリーズの第一回目の基調講義です。約600人の学生さんを3回に分けて、3限目、4限目、5限目と、90分の講義を3回繰り返すけっこうタフなスケジュールでした。

 

 

 

  写真の授業は5限目の授業で、約230人の学生にさんに対してクリッカーの端末を配り、まずはクリッカーの使い方の説明をしているところです。そして、クリッカーの使い方に慣れていただくという主旨での最初の質問が「今日の講師について」という質問でした。学生たちが端末の番号を押すと、瞬時にパソコン上で集計され、グラフが表示されます。なお、今回は、端末と学生さんが紐づけられていないので、誰が何番を押したかはわかりません。


 その結果はご覧の通りで、入学式の式辞だけでは、8割以上の学生は学長を認識できていなかったことがわかります。なお、今回の「医療人の基礎知識」の教科書には学長名で巻頭言が書いてあり、また、各種の大学パンフレットやホームページにも学長名が紹介されているので、学長の名前さえ覚えていただいておれば、正解できたはずです。つまり、学長の名前も覚えられていなかったということですね。


 次は、学長式辞の内容についての質問です。三重大学時代からの経験で、例外的な学生を除いて、学生たちのほとんどは学長が何をしゃべったか一つも覚えていないのですが、今回はさすがに「あいさつ」を選択した学生が86%を占めました。しかし、14%の学生は、式辞の時にペアを組んであいさつの練習をしていただいたのにも関わらず、不正解でした。

 

  


 学生たちにはチーム医療に欠かせないコミュニケーション力の第一歩はあいさつであり、皆さんは医療・福祉のスペシャリストとして、まず、初めて出会った人へのあいさつを実行していただくようお話しました。そして、あいさつをして、相手の人があいさつを返してくれない時は不快な気持ちになるが、相手があいさつを返す・返さないに関係なく、自分からどんどんとあいさつができるようになってこそ、本物の医療・福祉スペシャリストですよ、とお話しました。

 さらに、学長式辞の中で鈴鹿医療大学の教育目標を説明しているのですが、その内容を〔 〕抜きで質問してみました。正解は「倫理観」なのですが、正解率は41%と、がくっと落ちます。それに、正解者の中には、その場で適当に選んで正解をした学生がいるはずですから、(何も考えずに選べば、33%の正解率になるはず)、式辞を記憶していた学生は非常に少ないと思われます。教育目標は、大学パンフレットやホームページにももちろん書かれています

 教育目標に書かれている「高い倫理観を持つ」という目標を実現するために、この倫理のカリキュラムが組まれているわけで、そして、まさに倫理の授業の時にこの質問をしているのですから、すごいヒントになっているはずなんですけどね。

 なお、参考までに、今回の学長式辞の全文をブログの最後に掲げておきます。

 


 次に、予習をどれくらいしてきたかについても質問してみました。

 中教審では、学生に予習・復習させることを求めていますが、80%の学生は予習をしてこなかったことがわかります。でも20%の学生は、ちゃんと予習をしてきたということですね。

 さて、今回も、授業の本論については、さわりの部分だけ、ご紹介しておきます。昨年もご紹介しましたがフィリッパ・フットさんという女性の哲学者が提唱した、倫理学上の思考実験である「トロッコ問題」(英語ではトロリー問題)に対する学生さんたちの反応についてです。

 ポイントを切り替えて、5人の命を救うために1人の命を犠牲にすることは許されるかという第一問に対する学生さんの反応は、許されると答えた学生が過半数でした。

 ところが、太った男を突き落として、5人の命を救うために1人の命を犠牲にすることは許されるかという第二問に対する学生さんの反応は、先ほどとは逆転して、許されないと答えた学生が過半数でした。

 学生たちには、自分たち自身が回答した集計で、反応が逆転する事実をその場で見ていただくことで、"なぜ、逆転したのだろう"、"人間の心はなんて不思議なんだろう"、などの、問題意識が喚起されることを期待しています。

 そして、この現象を説明する一つの理論として、ハーバード大学のジョシュア・グリーン先生の二重過程理論を紹介しました。

 

 

 なお、上記スライドのトロッコ問題のイラストは、ジョシュア・グリーン先生のホーム・ページ上のイラストを許可を得て転載しています。

 最後に、この授業に対する学生さんたちの満足度を確認しました。


 

 5点満点で計算すると4.13ということになり、まずまずの点数ですかね。授業の終わった直後に、一部の学生からは先生の授業をもっと受けたいという訴えがありました。また、授業で真剣に考えさせられたので、他の授業よりも記憶に残った、という意見をいただきました。

 ただし、このアンケートで「まったく良くなかった」と回答した学生が6%もおり、学生の受け取り方も、まちまちです。この6%の学生たちの低い評価の理由については、アンケートをとっていないのでよくわからないのですが、今後さらに分析をしたいと思っています。

 なお、予習をしてきた学生の授業評価点数は4.46、してこなかった学生は4.02と若干の差がありました。

 今回のデータから、改めて、認知や認識ということの難しさを感じさせられます。

 1回だけではなかなか記憶に残りませんね。やはり、記憶に残すためには繰り返すこと。予習や復習が大切なことは、大昔から言われ続けていることですが、これは正しいことです。学生たちには、授業が終わったあとの休憩時間にでも「この授業のポイントは何だったんだろう?」と自問自答する習慣をつけるだけでも、ずいぶんと違いますよ、とお話ししました。

 それから、教育学で示されている学習ピラミッド。単に話をするだけの講義はそのほとんどが忘却されるが、いわゆるアクティブ・ラーニングの手法は記憶に残りやすいということの正しさも再認識されますね。だって、学長式辞を聞いて、学長の顔や話の内容はほとんど記憶に残されていないのに、唯一記憶に残っていたのは、学生さんたちに体を動かしてやっていただいた"あいさつ"だけだったのですからね。


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 平成27年度鈴鹿医療科学大学入学式式辞

 この度、鈴鹿医療科学大学に入学された学部609名、編入学2名の皆さん、そして大学院に入学された9名の皆さん、ほんとうにおめでとう。ご家族並びにご関係の皆様にも、心からお慶びを申し上げます。

また、本日はご多用の中、本学入学式にご臨席の栄誉を賜りましたご来賓の皆様に、心から御礼申し上げます。

 本学は、平成三年に日本で最初に創立された4年制の医療系の大学であり、この分野では最も伝統と実績のある大学です。建学の精神は「科学技術の進歩を真に 人類の福祉と健康の向上に役立たせる」ということであり、この建学の精神のもと、各学部・学科を整備し、現在4学部9学科11コースの医療系総合大学に発展いたしました。

 本学の教育の理念は「知性と人間性を兼ね備えた医療・福祉スペシャリストの育成」です。これはすなわち、大学と同時に入学されたみなさんの目的ということであり、私ども教職員は、みなさん一人一人が「知性と人間性を兼ね備えた医療・福祉スペシャリスト」になっていただけるよう、全力で支援をさせていただきます。

 では、どうすればみなさんが「知性と人間性を兼ね備えた医療・福祉スペシャリスト」になれるのでしょうか?

 本学では、教育の目標として、5つのことを掲げています。

・高度な知識と技能を修得する

・幅広い教養を身につける

・おもいやりの心を育む

・高い倫理感を持つ

・チーム医療に貢献する

の5つです。

 まず、「高度な知識と技能を修得する」ことについてお話をいたします。

  医療・福祉分野の進歩は目覚ましく、どんどんと新しい診断・治療・ケアの方法が開発されています。それに伴って、各医療・福祉専門職に求められるレベルが高くなり、その結果、医療・福祉関係の資格取得が次第に難しくなってきています。

  また、国の中央教育審議会は、日本の大学生の自学自習時間が世界で最も短いという調査結果にもとづき、大学に対して抜本的改革を求めました。過去の日本の大学のように、アルバイトやクラブ活動に専念しつつ、既定の年限で大学を卒業することは、困難な時代になりました。

  医療・福祉スペシャリストに求められる、誰にも負けない専門的知識と技能を身につけるためには、そして、しだいに難しくなりつつある国家資格を取得するためには、皆さんは本日から始まる大学生活において、いっしょうけんめい、かつ、計画的に学習することが大切です。大学の授業における学習だけでなく、自学自習を毎日継続しなければ、到底スペシャリストにはなれません。

 二つ目は、医療・福祉スペシャリストに求められる人間性についてです。

  医療・福祉の現場は、常に「人間の生と死」に向き合わねばなりません。皆さんは「人間」ということについて、本質的なことをつきつめて考える必要があります。たとえば、「人が死ぬ」ということはどういうことなのだろうか?死期を告げられ、ショックを感じている人に、私どもはどう接すればいいのだろうか?あるいは、大切な人を失った家族が、深い悲しみから立ち直るために、どのような支援をすればいいのだろうか?

 そのために、みなさんは、教育の目標に掲げられている「幅広い教養」「思いやりの心」「高い倫理観」を身につけなければなりません。

 人間性や思いやりの心は、頭の中で考えているだけでは育めません。医療・福祉の現場での実習やボランティア活動を通して、そして、皆さんが接する患者さんや被介護者や社会的弱者に対して、実際に態度で示すことによって、はじめて育まれるものであります。皆さんには、大学のカリキュラムに組み込まれた医療・福祉現場の実習以外に、積極的にボランティア活動に参加することを期待します。

 三つ目は、医療・福祉スペシャリストに求められる社会性についてです。

 医療・福祉分野の高度化に伴い、患者さんや被介護者に最善の医療・福祉サービスを提供するためには、一人の専門職だけでは不可能であり、さまざまな医療・福祉専門職が連携して、チームを組んで対応することが求められています。この「チーム医療」を効果的に進めるためには、コミュニケーション能力や対人関係のスキルを身につけることが欠かせません。

 本学では、医療・福祉スペシャリストに求められる人間性と社会性をみなさんに身につけていただくために、昨年から「医療人底力教育」という新しいカリキュラムを開始いたしました。この医療人底力教育では、1年間、すべての学科の学生さんが、学科混成のクラスでもって、この白子キャンパスでいっしょに学びます。混成クラスで学習する目的は、まさにチーム医療に貢献できる人材を育成するためであります。

 医療人底力教育では、「高い倫理観」を育んでいただくために、いのちの倫理について、集中的な講義が組まれています。また、医療人底力実践というカリキュラムでは、小グループに分かれて、チーム医療に必要な、さまざまなスキルを実践的に身につけていただきます。

  コミュニケーションの第一歩は、初めて出会った人に対して挨拶をすることから始まります。本学ではこの主旨にもとづき「あいさつ運動」を継続して行っています。先ずは、初めて出会った人に対しても、キャンパス内で明るく「あいさつ」を交わし合いましょう。

 (それでは、式辞を1分間ほど中断して、お互いに挨拶を交わす練習をいたします。)

 (それでは式辞を再開いたします。)

 現在、日本の経済成長戦略の柱の一つが、医療・福祉・健康分野でのイノベーションであります。三重県も、国から「みえライフイノベーション総合特区」の認可を受け、産学官民連携のネットワークによって、さまざまなライフイノベーションの取り組みが推進されようとしています。

 そして、鈴鹿医療科学大学はこの特区の地域拠点大学に指定され、いくつかののプロジェクトを進めています。その一つが、ロボットスーツで全国的に有名なサイバーダイン社との連携です。本学白子キャンパスでは一昨年の9月より、サーバーダイン社の子会社である鈴鹿ロボケアセンターが営業を開始しており、特に足の不自由な方々に、ロボットスーツハルを用いたリハビリテーション治療を行っています。

 本学ではこのような先進的な医療・福祉の進歩に対応できる人材の育成に、さらに力を入れてまいります。

 本日、本学大学院に入学された皆さんには、このようなわが国あげてのライフイノベーションへの大きな期待の中で、今まで培った専門職としての知識と技能をさらに深化・発展させ、独創的な研究開発力を培っていただきたいと思います。そして、本学大学院生が、世界に通用する研究成果をあげていただくことを、大いに期待しています。

 鈴鹿医療科学大学は、そのような、日々自分自身を高めようと努力をする学生さんに、教員・職員が一丸となって、一所懸命支援をさせていただきます。

 皆さんの本学における生活が、やりがいのある素晴らしいものとなり、そして、皆さんがりっぱに地域や社会が求める医療・福祉スペシャリストとして羽ばたいていただくことを心から祈念して、式辞といたします。

 平成27年4月2日

 鈴鹿医療科学大学

 学長 豊田長康




 

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