さて、財務・経営センターの最近の状況については、あまりブログで書いていませんでしたが、昨夜(10月28日)の報道ステーションで報道されたこともあり、久しぶりに皆さんに現況をお話しておきましょう。
4月の事業仕分けでは、ほぼすべての事業の廃止ということになりましたが、その後、文科省の方からは、貸付と交付の2事業の当面の間の存続の要求が行政刷新会議に提出されていると聞いています。ですから、経営相談事業や研究事業は、大切な事業だと私は思っていますが、すでに文部科学省の段階で廃止の方針が決められています。
報道ステーションでは私のインタビューの一部が放映されましたが、ツイッター上で、”完全に「情報不足」で決め付けから入っていた”、“一方的な報道”、”都合で編集しすぎ”などのご意見が寄せられました。
実は、酒井ディレクターからは、現場の理事長の思いを伝えたいという申し入れで、報道ステーションの取材に応じたのですが、実際の映像は「文部科学省の指示に従って頑張っていきたいと思う。」という発言と、天下りについての質問に「私自身が民間から公募で選ばれた理事長であり、そういうことはないと考えている。」との発言だけで、残念ながら私の伝えたい思いの場面は映していただけませんでした。
そんなことで、今日のブログでは、一昨日の取材のやり取りを公開させていただくことにします。以下の取材概要は、インタビューの録音から起こして概要をまとめたもので、言葉使い等は変えたり簡略化してありますが、やり取りはほぼ忠実に再現しています。
テレビ朝日 報道ステーション 取材概要
日 時:平成22年10月27日(水)15:00~15:30
記 者:酒井 千絵(報道ステーションディレクター)
対応者:豊田理事長
概 要:(●:酒井ディレクター、○:豊田理事長)
● 仕分け後の経過と現在の理事長のお考えを伺う。廃止の判定があってから半年経過し、今の国立大学財務・経営センターの状況はどのようになっているのか。
○ 仕分けで廃止の判定を受けたが、仕分けの結果は真摯に受け止め、最大限尊重しなければならないものと思う。ただ、私としては、職員のモチベーションがなくなってしまうのが一番心配で、その点については、仕事は本年度限りかもしれないが大切なことをやっているので、今まで以上にがんばろうと職員を励ましてまいりました。
● 仕分け後、今、変わったところはあるか。
○ 今年度は予算をいただいており、取り組む仕事もあることから、手をゆるめることなく、むしろ、一人ひとりが今まで以上に充実した仕事をするよう、職員を励まし、また、職員も業務に専念してくれている。
● 文部科学省では貸付事業と交付事業については当面存続という方向のようだが、そのことについて何か連絡があったか。
○ 文部科学省からは二つの事業については存続を要望しているという連絡はあったが、その後どうなるかは、不明な状況である。
● 「当面の存続」ということについてどう思うか。
○ 最終的な結論はもちろんまだわからないわけで、これから国の方で決めるのだろうが、現場としては、仮に一部の事業でも残ることになれば、ご期待に添えるよう今まで以上にしっかりと取り組みたい。
● 文部科学省としては、パブリックコメントにおいて、一般から廃止反対の意見が多かったため存続したということであるが、仕分け結果とは異なっており、その違いはどう見ているか。
○ 詳細は、文部科学省に聞いてもらいたい。仕分けの結果を受けて国立大学の現場からは貸付・交付の二つの事業については存続の希望が強かったと伺っている。
● 事業仕分けと文部科学省の判断が違うのはどう受けとめるか。
○ 現場としては国の方針に従うしかない。これからの検討・結果を待っている。
● 今の理事長としての願いは。
○ 事業仕分けの結果は最大限尊重しなければならない。一方で、現場の職員のモチベーション低下ということは絶対に避けなければならない。
仮に一部事業でも存続という結論になれば、国立大学の現場は大変助かる。事業仕分けで廃止とされたものが存続するということになれば大変なことなので、大学の期待に添えるよう、存続させて良かったと国民の皆さまに思っていただけるよう、全力を尽くして業務を遂行させていただきたい。
● 今、仕分けを廃止とされて存続は大変なことと言われたが、それはどういう趣旨か。
○ 仕分けの結論は重いものと考えている。現場の職員は大切な仕事をしているわけだが、一方で今の財政状況を考えれば事業仕分けの結果もやむを得ないものとして受け入れざるを得ない、協力しなければならないと思っている。
● 一方で、理事長は熱い思いで大学の改善に取り組んでおられるが、そこのジレンマのようなものはあるか。
○ 資源の乏しい我が国は、これから科学技術、イノベーションと人材育成に力をいれていかなければならないと思っている。その際、特に大きな役割を担っている国立大学の基盤を支えるというのが我々センターの仕事であり、大切な仕事をやらせていただいている。しかし、今の厳しい財政状況を考えると一部の事業の廃止や予算カットはやむを得ない面もある。仮に、我々ができなくなるとしても、別の形でやっていただけるのではないかと考えている。
● 理事長としてはこれからは文部科学省の指示に従うということか。
○ 私は文部科学大臣から任命されておりますので、文部科学省の指示に従って頑張っていきたいと思う。
● 一部の意見であるが、文部科学省のポスト維持のためにセンターの存続を主張しているという意見もあるが。
○ 私自身が民間から公募で選ばれた理事長であり、そういうことはないと考えている。
● 国立大学財務・経営センター以外のことでもあるが、事業仕分けで廃止判定を受けても今も存続している法人が多くあることはどう受け止めるか。例えばURとか宝くじ・・・など。仕分け結果とその後の実際の検討で民営化が困難となる判断が多いのですが、この点についてどう思われるか。
○ 1回の仕分けで最終決定するのではなく、再度仕分けをして、廃止と判断したものが存続となることもあるし、あるいは不十分であったものが、もっと厳しく、削減する又は廃止するという2段階でやるということは適切なやり方ではないかと思う。
● 1回目の仕分け結果がすべてではないということか
○ 基本的に仕分け結果は尊重すべきだが、なかには不十分だったり、逆に削りすぎたりといった部分もあると思う。そこの微調整を2回目の再仕分けで行っていただくと、そのように認識している。
● ありがとうございました。
以上
今までの私の報道機関に対する姿勢は、信頼して何でも公開するということでやってきたのですが、残念ながら報道機関に対する信頼感が揺らいだ一日でした。でも、報道ステーションから取材申し込みがあれば、また、快く受け入れるつもりですけどね。酒井さん、またお待ちしていますよ。