前回までのブログで現政権による中期財政フレームによれば、社会保障費の増1.3兆円をまかなうために政策的経費を8%削減する必要があり、単純計算をすれば、大学関係の政策的経費1.5兆円から1200億円削減する必要があることをお話しさせていただきましたが、参議院選挙も終わって、各大学関係者から声明や要望が増えてきました。
現在まで以下の声明や要望が出されています。(すべて把握できていないかもしれませんが)
単独大学の声明や要望
5日:新潟大学
9日:香川大学
12日:千葉大学
13日:茨城大学、愛知教育大学
14日:岩手大学、福島大学
団体あるいは複数大学の声明や要望
7日:国立大学協会
9日:中国地区国立大学長会議
10日:国立大学法人32大学理学部長会議
12日:国立大学協会関東・甲信越地区支部所属大学等
14日:国立大学協会・日本私立大学団体連合会
16日:北海道内7国立大学
また、私が理事長をしている国立大学財務・経営センターの研究部長の金子元久先生が、運営費交付金が8%削減になった場合のとりあえずのシミュレーションを財務・経営センターのメールマガジン「国立大F&Mマガジン」に発表。
http://cz.biglobe.ne.jp/cl/P01/2281277/3093/2201000109
なお、「国立大F&Mマガジン」の新規登録は以下のサイトでどなたでもできます。
http://cz.biglobe.ne.jp/cl/P02/2281277/3093/2201000109
国立大学の財源には、運営費交付金以外の財源もあるわけで、運営費交付金の8%減イコール予算の8%減というわけではありません。また、人件費を急激に削減することは困難であることから、それ以外の教育研究費をまず削減することになります。また、附属病院を入れると教育研究に与える影響の分析が極めて複雑になることから、診療経費を除いた分析をする必要があります。このような考慮をして分析した結果から、金子先生は
「交付金の8%減は、ほとんどの国立大学にとって財源の5%以上の削減を意味する。その結果、教育研究に直接に支出できる額は8割の国立大学で10%以上減少する。すべての国立大学で5%以上減少し、20%以上減少する大学も9校に達する。その結果として、大学の収入総額に対して教育研究にふりむける財源が3割以下にとどまる国立大学は9校、4割以下にとどまる大学は32校に達することになる。教育研究機能の達成が極めて困難となることになる。」
と結論づけておられます。
7月23日の閣議決定で骨子が決まるとのことで、それまでに各大学関係者には引き続き最大限の国民や為政者に対する理解を得る努力をお願いしたいと思います。
必要なものまで切ると公言されている予算の厳しい状況の中で、財務・経営センターなんて吹っ飛んでしまいそうな感じもしますが、予算削減によって国立大学法人や附属病院の経営がますます困窮する中で、その経営支援をする財務・経営センターの役割が、ますます重要になることを、為政者や国民にご理解いただきたいと思います。