ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

けっこう手ごたえがあったドン小西との対談(追加)

2011年12月07日 | 地域イノベーション

11月26日に開かれた第一回地域イノベーション学会での、私とドン小西との対談を3回にわたってご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?現場に来ていただければもっと良くお伝えできたと思いますが、ブログでは、ほんの一部しかお伝えできないので残念です。

対談のあとドンは忙しい身なので東京へ帰りましたが、次のプログラムもすばらしかったですよ。「高校生レストランが変えた人と町~多気町~」。これは三重県立相可高校の食物調理科の生徒が運営している「まごの店」というレストランのお話ですね。テレビでも取り上げられて有名です。聞き手は、昨年日本経営品質大賞を受賞されて、カンブリア宮殿にも出演され、全国を講演して走り回っている万協製薬の松浦信男社長。彼も、三重大学の学生で、今回の学会の会長の西村訓弘先生のグループなんですよ。

次が「柚子つくりを通した地域活性化~大台町」。これも素晴らしい地域活性化のお話。

2つの発表とも、ゲストと聞き手が、同じテーブルに隣どおしで座って、スライドを投影しつつ、トークをするので、すごくなごやかな雰囲気で進みます。

最後は、西村訓弘先生の司会で、ゲストの皆さんと、三重大学地域イノベーション学研究科の学生さん(地域企業の幹部も含む)が壇上にあがって、会場も巻き込んだディスカッション。

他の学会とはずいぶんと趣の違ったうち解けた会になりました。

その後の情報交換会で、いろんな方々から感想をいただきました。

「3つのMIEで三重を世界へ売り込め」のキャッチは、けっこうたくさんの人から褒めていただきましたよ。

ある三重県の役人さんは、ドン小西の「三重県の観光大使としてせっかく三重を売り込むアドバイスをしても三重県は自分をまったく利用しなかった。」という話を聞いて、まったくその通りだと、よほど手を挙げて言いたかったという。たぶん、彼は、さっそく三重を売り込むためのドン小西の活用に動くことでしょう。

情報交換会の終わりがけに、三重大学の地域イノベーション学研究科の学生ですという浅井雄一郎さんから挨拶をいただきました。彼は31歳の若さで株式会社浅井農園を経営し、インドやベトナムへ海外展開し、新しいトマトの開発を三重大学と共同研究しているとのこと。

まさに、私が翻訳したドン小西の生きざま、”Metamorphosis, International enterprise & Evolution"を地でいっているではないですか!!

http://www.genkibitorelay.com/articles/genkibitorelay/103.html

彼も西村訓弘先生に大いに刺激されたということです。

三重で生まれた地域イノベーション学研究科と地域イノベーション学会。小さな一歩かもしれませんが、三重という地域が、閉塞感に覆われた日本を元気にしてくれる起爆剤になるような予感が大いに膨らんだ一日でした。









 

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けっこう手ごたえがあったドン小西との対談(その3)

2011年12月04日 | 地域イノベーション

 さて、ドン小西との対談も、いよいよ佳境に入ってきました。

 前回までに、ドンと私との対談の中で、「地域固有の”粋”を磨け」「淘汰される前に変身⇒国際展開⇒進化せよ!」というメッセージを投げかけました。この次は、司会者の誘導で、教育についての対談へ。掛け声だけでは、物事は変わりませんからね。遠回りであっても、教育から変えていかないと変わりません。

 ドン小西も名古屋学芸大学の講師をし、教育については非常に熱心ですし、また、私ももちろん教育者としてずっとやってきたわけですから、教育について語らないわけにはいきません。

 今回の東日本大震災で、ドンは被災地に出向き、学校の生徒に授業を受け持ったとのことです。彼が被災地の生徒たちに伝えたかったことは、「無から有を創る」こと。被災により、何もかも無くなったと嘆くだけでなく、何もない状態からどうしたら食べていけるのか、他人から支援を得るにしても、どのように訴えたら支援が得られるのか、彼自身が無から有を創ってきた人間なので、ゼロから生きる方法を子供たちに伝えたかったとのこと。ドンは、そのために、学生たちとけっこう緊張感のある授業をしたということです。

 そして、三重大学と関連して、彼が東京の桜美林大学の学生と三重大の学生のコラボで、三重の観光を現場で実際に体験して観光学を学習するプランを提案しました。これは、非常に具体的な提案ですね。やはり、理念的な掛け声だけではなく、具体的な改善策を提案して初めて、この種の講演会や学会の意義があるのだと思います。


 この桜美林大学と三重大の学生の交流プランは、まだ、案の段階ですが、うまくいけば来年早々にも実現するかもしれません。

 さて、次は例によってDr. Toyodaによる”翻訳”ですね。


 私はドンがやろうとしている教育を、「相互啓発教育による、マネジメント、イノベーション、および創業精神に富む人材の育成」(Mutually Inspiring Education of Management, Innovation & Entrepreneurship)と”翻訳”させていただきました。「無から有を創る教育」の方が、一言で本質を言い表していて、わかりやすいかもしれませんけどね・・・。

 実は、相互啓発教育による Management, Innovation & Entrepreneurshipの涵養は、まさに、私が学長の時に今回の地域イノベーション学会の会長である西村訓弘先生といっしょに創った大学院「地域イノベーション学研究科」の理念なんです。この大学院は、大学と地域との間の相互啓発教育によって、このMIE3つのを涵養することを目指しています。地域企業のやる気のある幹部が多数入学し、大学の先生方と学生(地域企業の幹部を含む)、あるいは学生間でお互いに啓発しあえる、今までにない交流の”場”が形成されつつあると感じています。

 私は、このようなManagement, Innovation & Entrepreneurshipの3つを相互に啓発することのできる教育の場を、小中学校や高校、あるいは学部教育、生涯教育へ、あるいは地域教育や産学官民連携の場へ、ドンドン広げていくべきであると思っています。

 そして、このMIE教育を三重県全体へ、そして日本全体へ広げていくことが、今回創設された「地域イノベーション学会」の目的ということになると思います。


 ドンが今回何度も繰り返した言葉は「僕は言ったことは必ず実行する人間です。」とうこと。私も、最後に、何事も実行して初めて意味があり、この学会は、掛け声だけではなく、実行する学会にしようではないか、ということを申し上げました。

対談の締めは、司会者による対談のまとめ。「三つのMIEで三重を世界に売り込め!」ということを、二人のメッセージとして伝えていただきました。ブログの読者の皆さんも、もうお気づきになっておられると思いますが、対談でお伝えしたかった3つのテーマを私が”翻訳”した頭文字が、すべてMIEになっていますね。これはドン小西流の美学である”粋”にならった、Dr. Toyoda流の”粋”のつもりなんです。

 

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けっこう手ごたえがあったドン小西との対談(その2)

2011年12月04日 | 地域イノベーション

第一回地域イノベーション学会でのドン小西と私の対談のつづきです。

前回ではドン小西の美学である「粋」(いき)について、私の学会向けの”翻訳”としては、「地域固有の”粋”を磨け」(Make sharp Intrinsic Excellency)としたことをお話しましたね。

次は司会者の誘導で、三重県人をもっと積極的な県民に変えるにはどうすればいいのかという話の流れから、ドン小西の激動の人生の話へ。

彼の著書「逆境が男の”器”を磨く」のスライドを投影しつつ、ドンに激動の人生を自由にしゃべってもらいました。

ドンは、理工系の大学からファッション系の専門学校へ。いったんはアパレル・メーカーに就職するが、31歳の若さで独立し、フィッチェ・ウオーモというブランドを創る。余った布切れをつぎはぎして創ったファッションが受け、一躍ファッション界の寵児へ。そして、ニューヨーク、ロンドンという世界のファッションの中心へ、ドンドンと海外展開(下のスライドの赤字の部分)をしていく。

一時は高級外車を6台も乗り回し羽振りの頂点へ。しかし、気が付いたら大きな借金を抱えて、事業は挫折。

その困難の中で、あるテレビ局の番組での辛口ファッションチェックが受けて「ドン小西」が誕生する。そして、借金を返して、現在、教育活動や公的活動を含めて第二の挑戦をつづけている。

さて、引き続いて、Dr. Toyodaによる地域イノベーション学会向けの”翻訳”ですね。

彼の人生の中で、私は、まず彼の"Metamorphosis"に着目しました。Metamorphosisは生物学的に短期間に自らの形を大きく変えるという意味で、日本語では"変態"と訳されます。昆虫の幼虫⇒さなぎ⇒成虫への変化や、オタマジャクシがカエルに変わる変化などを指します。でも、日本語の”変態”には、このような学問的な意味以外にabnormalという意味でも使われているので、私は”変身”と訳すことにしました。


上の写真の左端は、三重大学付属中学校の時の卒業アルバムを私の家の隅から探し出してきて、自分で撮ったものなんですよ。この写真を見ていただければ、Metamorphosisがイメージできますよね。


彼の人生を私になりに整理をしてみると、まずMetamorphosis(変身)がなされ、International enterprise(国際展開)がなされ、困難に出会った時には、先ほどのMetamorphosisとともに、Evolution(進化)することにより乗り切って、さらにEvolution(進化)し続けている。

Don Konishiによる鳩山元首相に対する辛口ファッショチェックは、世界的なメディアであるCNNによって”Japan’s prime minister under fire for fashion choices"(ファッションの選択で砲火を浴びる日本の首相)という見出して、世界に紹介されました。最初の国際事業展開に挫折したドン小西ですが、次には辛口ファッションチェックの技に徹することで、再度世界から注目されるようになったということですね。

今、日本の、そして世界の経済状況に閉塞感が漂い、TPP参加問題をはじめとして、さらなる自由化、国際化の流れの中で、日本に何を選択するかが迫られています。

このような状況で、日本人が旧来の制度を保守し、日本の中に閉じこもっていても、淘汰されるだけではないのでしょうか?ドン小西の人生は、たとえリスクを伴っても、淘汰される前に変身⇒国際展開⇒進化するべきであるということを教えてくれています。(Metamorphosis, International Enterprise & Evoluton)

”コラボ産学官”という信金が中心になっている産学官民金連携組織があるのですが、私はその顧問をやっています。昨年、青森支部にお邪魔した時に、メンバーの零細企業の方々が、研究会の後の2次会で本音のトークをして、異業種のビジネスマッチングが積極的に行われているとお聞きし、その2次会とやらに陪席させていただきました。ちょうど私の隣に座った方に、何をやっておられるのか聞いたところ、10数個の農家を束ねて農業生産法人をつくり、ブドウを栽培して、海外に輸出しているという。そして、他の醸造技術を持っている零細企業とコラボして、今度はブドウのビールを創ろうとしている、とのことでした。

果たして、ブドウのビールが成功するかどうかはわかりませんが、この事例などは、まさに、農業生産法人という生産形態の変身⇒ブドウ事業の国際展開⇒ブドウビールという新製品の開発という進化、を地でいっていますね。

そういえば、国立大学も2004年に”法人化”という経営形態の変身がありました。三重大学も”地域に根ざし、世界に誇れる独自性”というミッションを掲げて、様々な改革を行い、現在私の後任の内田学長のもとで、更に進化中です。

どのように三重大学が変わったのかということは、私のブログ本「ある地方大学のつぼやき」に書かれていますよ。(申し訳ありませんが、このブログ本は、現時点では市販されておらず、希望される方に個人的に差し上げています。)

次回につづく。




 

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けっこう手ごたえがあったドン小西との対談

2011年12月02日 | 地域イノベーション

先週の土曜日(11月26日)の「地域イノベーション学会」でのドン小西との対談の結果を報告しておかないといけませんね。

会場には約120人が集まり、学会の事務局としては思っていたよりも多数の人が集まったようです。

自分で言うのは何だけど、ドン小西との対談はけっこううまくいったと思います。

どうしてそんなことが言えるかというと、講演が済んだ後の皆さんの反応から、だいたい成功したかどうかは感じ取れるものだからです。当然のことですが、良くなかったと正直に言っていただけることはまずなく、通常はお世辞を言われるものですが、話しがもう一つだった時には、何となくしらじらしい周囲の雰囲気を感じるものです。今回は、終わった後で、皆さんから非常にポジティブな良い感触を得ました。政治家さんが選挙運動の時に感じる「手ごたえ」というものでしょうね。

前回のブログでは、私が対談のシナリオを書いて、ドンの了承を得たことをお話しましたね。ドンにしゃべってもらって、その後で、私がそれを”翻訳”する形にしたことなど。

それではどんなふうな対談になったのか、順次お話をしていきましょう。対談は、下の写真のように、正面にスライドを投影し、司会者が向かって左端に、ドンと私は右端に並んで座るという配置で行われました。

最初のタイトルを書いたスライドです。このスライドを投影しつつ、三重県の問題点について、まずドンが、そして次に私がしゃべりました。ドンは、三重県観光大使をしていた経験から、委員会でいろんなアドバイスをしても、何も実行されないことなど、ドンらしい表現で辛口コメント。ついで私は、60歳になって東京へ単身赴任となり、東京の人に三重から出てきたと言った時に、三重県でどこにあるの、と聞かれて愕然としたことをお話しました。

一通り、三重の問題点が出た次は、司会者の誘導で、ドンの美学である「粋(いき)」について、ドンの発言を引き出しました。その時のバックのスライドは下のスライドです。スライドの操作は、実は私が壇上でコンピュータを操作して行いました。シナリオを創った張本人が自らスライドを操作するのが、いちばん的確にできますからね。


ドンが「粋」についてしゃべったあと、いよいよ私の翻訳ですね。ドンの「粋」を「地域イノベーション学会」に適用できるように翻訳すると、「Make sharp Intrinsic Excellence」(地域固有の”粋”を磨け)ということになるのではないか。

その1例として、三重県明和町の斎(いつき)の舞を取り上げました。


実は私は、三重県人でありながら、地元にこのような美しい舞があることをついぞ知りませんでした。この舞の美しさを見出していただいたのは、群馬大学医学部の清水宣明先生。このように三重県の外の人が、地元の人が気が付かなかった秀逸さを見つけ出してくれることもけっこうあるのではないでしょうか。

(次回につづく)

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果たしてドン小西との打ち合わせは?

2011年11月24日 | 地域イノベーション

先のブログでもアナウンスしましたように、11月26日(土)13時30分からに三重県津市のセンターパレスホールで第一回の地域イノベーション学会が開かれます。

私が三重大学長の時に「地域イノベーション学研究科」という独立大学院を創ったのですが、その仕掛け人であった西村訓弘教授をはじめとする三重大学関係者や三重県の若手社長の皆さんのご尽力で、地域イノベーション学会が創設され、その第一回大会なんですね。世界全体の経済がおかしくなっている状況の中で、また、TPPを初めとして自由貿易圏を拡大していくグローバル化の流れの中で、ほっておけば疲弊し続ける地域を元気にするには”イノベーション”しかない。ほんとうに時機を得た学会だと思います。

私は、ファッションデザイナーのドン小西との対談「辛口”檄”トーク・三重を世界に売り込め」で登場します。

ドン小西は、三重県の観光大使を務めていました。数年前に東京の八芳園で「東京三重県人会」が開かれ、私は三重大学長として招待を受けたので、そこへ中学校の同級生ドン小西を出席してもらうことにしたんです。何しろ、八芳園のすぐ隣のマンションに彼は住んでいるんですからね。当時の野呂知事も三重県人会に出席しておられ、ドンを知事に引き合わせました。それが彼が観光大使に任命されたきっかけです。

でも、彼は、テレビに出た時と同じように、歯に衣を着せずに、どんどんと辛口のコメントをしたらしい。それで、どうも、周囲からはあまりよく思われていなかったかもしれないのです。ドンに言わせると、三重県のためを思っていっぱいアドバイスをしたのに、何も実行されない、とブツブツ。

さて、そんなドン小西と私との対談が果たしてうまくいくのかどうか?

当初は、学会当日の対談の直前に司会者を交えて打ち合わせをすることになっていたのですが、私はとっても心配になって、あらかじめドン小西と打ち合わせをすることにしたのです。

自分なりにシナリオを作って、また、対談のバックスクリーンにスライドを投影することを考えて、そのスライド原稿もつくって、22日に東京の都ホテルで、西村教授と3人で打ち合わせをしました。

まずは、Don Konishiに三重県についての苦言を自由にしゃべってもらい、次いで、三重を世界に売り込むための前向きの意見をドンドンとしゃべってもらう。Donの発言の後には、必ずDr. Toyodaが、学術的な言葉を交えて(英語も交えて)翻訳をする。

Donの美学である”粋”を磨くこと、Donのデザイナーへの変身と海外展開と進化の人生、そして、Donの教育論。

実はDonは、桜美林大学の学生と三重大の学生との交流による観光学の実践教育を提案中なんですよ。

果たして、シナリオが受け入れられるかどうか、アドリブが得意なドンが気に入らないのかもしれないので、ちょっと心配だったのですが、特に問題もなくドンの了解を得ました。シナリオと言ってもドンのパーツは「〇〇について自由にしゃべる」と書いてあるだけなので、レジメと言った方がいいかもしれませんけどね。聴衆の皆さんも、ドンの歯に衣を着せない辛口コメントをどうぞご期待ください。

ちょっと心配なことは、観客が少ないかもしれないこと。西村先生は人集めに苦戦しているとおっしゃっていた。このブログを読まれた方は、ちょっと無理をしてでも、ぜひ聞きに来てくださいね。ドンがドンなことをドンドン言うか。そして、Dr. Toypdaが、ドンな翻訳をするか?


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