ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

”豊田理事長の国立大学展望台”をよろしく~島田病院長の素晴らしい一文をぜひ

2011年07月30日 | 日記

センターの理事長に就任してあっという間に1年と4か月が過ぎました。この間、立場上全国の国立大学の学長さんや、附属病院長さんをはじめ、先生方や職員の方々とお会いする機会も多いのですが、せっかくのすばらしい方々との出会いを、もっと多くに皆さんとも共有したいと思い、「豊田理事長の国立大学展望台」というサイトをセンターのHP上に立ち上げました。

http://www.zam.go.jp/pdf/toyoda2.pdf

この”展望台”では、私や財務・経営センターの関係者だけではなく、全国の国立大学や附属病院の皆さんに書いていただこうと思っています。だいたい月1号くらいのペースで始めるつもりです。

第一号はセンター関係者だけで書きましたが、第二号では、山梨大学病院の島田眞路病院長にすばらしい一文を書いていただきましたよ。

島田病院長は、病院長自ら東日本大震災の被災地に医療支援チームの一員として、現場に出向いて、支援活動をされたんです。ほんとうに行動力のあるすばらしい病院長先生だと思います。ぜひ、「豊田理事長の国立大学展望台」を覗いてみてください。

7月4日の日経新聞に載せていただいた記事について、ブログを書きかけて、途中でほったらかしにしていましたね。続きを書かないといけないのですが、私の記事を読まれた島田病院長からメールをいただきましたので、先生のご許可を得て、ご紹介しておきますね。

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豊田長康先生

暑中お見舞い申し上げます。

日経新聞記事拝見いたしました。 

国際的研究で中国にも抜かれたとか、ショッキングな記事ですね。 

確かに地方大学は疲弊しています。 

大学院大学構想で研究者をとられてまず痛めつけられ、次は卒後臨床で医師をとられ、同時に法人化で時間をとられ、3重苦で青息吐息です。もうすでに不可逆性変化はおこっているのではないでしょうか? 

そのうち韓国にもやられそうですね。 

皮膚科研究に関してお話しますと、私が日本研究皮膚科学会理事長のとき(2005-2008)に京都で国際研究皮膚科学会会長を開催しました。1350題、2000名を集めました。アメリカ、ヨーロッパ、日本ほぼ同数の演題数、参加者でした。アメリカにはもちろん勝てませんでしたが、全ヨーロッパにはプレナリー演題数など勝利しました。

しかしこのごろ2-3年は中国、韓国の足音が間近に聞こえてきました。皮膚科研究の分野では、われわれ地方大学がある意味研究を支えてきたのですが、そろそろ厳しくなってきたようです。われわれの雑誌JDSはimpact factor 3.7まできました。また臨床系のJournal of Dermatologyは私がChief Editorを11年やりIFを獲得し今は1.3です。

まあ皮膚科という狭い分野ではありますが、日本も一応がんばってきました。ただこのままでは将来がきびしいものと思われます。7帝国大学は人だけはいますが、そのわりに研究はいまいちです。彼らがリードしないと本当に日本の研究の将来はくらいものと思います。ただ病院長会議などでは彼らも同じレベルで議論していますよね。

先生の記事を拝見し、少しぐちを述べてしまいました。すみません。

今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。

猛暑の中、くれぐれもご自愛ください。

島田眞路

 


 


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なでしこジャパンから多くのヒントを学びたい

2011年07月19日 | 日記

私も多くの皆さんと同じように、昨日(18日)は、なでしこジャパンのテレビ実況中継の時から、その後もテレビで繰り返される優勝シーンを何度も見てしまいました。ほんとうに東日本大震災の被災者のみなさんをはじめ、すべての日本人に勇気を与えてくれる快挙でしたね。ツイッターのつぶやき数も過去最高になったとのことですし、ブログにもおびただしい記事が書かれていますね。

今朝(19日)の新聞は、全誌ともなでしこジャパンの活躍を絶賛し、大きく報道しました。でも、誌によって若干扱い方が異なりますね。読売、朝日、毎日、産経の各誌は一面トップ記事と社説を掲載しました。東京新聞は一面トップ記事で社説なし。日経新聞はさすがに一面には記事を出しましたがトップではなく、社説にも取り上げていません。ただし、一面に掲載しているコラム(朝日の天声人語に類するもの)については、全紙がなでしこジャパンのことを書いていました。

各新聞社はなでしこジャパンがなぜ強かったのかという点について、いろいろと分析あるいは推測をしていますが、そのいくつかを列挙してみました。

・「最後まであきらめない粘り強さ」

・「強い精神力」「PK戦を前に見せた選手たちの笑顔からたくましさ」「悲壮感や根性論とは無縁の、スポーツの原点である”プレーする喜び”」「ひたむきさ」「勇気」

・「不遇な環境を乗り越え歴史刻む」

・「体力任せの大味な競技スタイルだった世界の潮流に、技術という要素を加えた」「俊敏性と技術の正確さという”日本人らしさ”を生かしたパスサッカー」「柔よく剛を制す」「日本の良さを徹底的に追求したらガラパゴスかすることなく国際標準になった。」

・「海外のチームに移籍する選手が増えた。海外組と国内組が競い合う。」「男子に交じり育成」

・「入念な準備に根ざす奇跡」

・「競技人口の拡大が今後の鍵」

・佐々木則夫監督のリーダーシップ。「おおらかさと人当たりの良さで、選手が本音を出せる雰囲気。」「必ず笑いを入れる。」「選手との距離が近い。」「選手にも腰が低く、決して上から目線でやらない」「目標を厳しく明確に設定。ワールドカップは”優勝”が目標」

・「撫子やそのかしこきに美しき」(惟然)

これらの言葉は、サッカーやスポーツだけではなく、日本全体の復興に向けて、今後日本人がどのように進んでいくべきかということを見事に表していると感じます。

私の場合は、7月4日の日経新聞にも書いたように、大学のイノベーション力の復興をいったいどうすればよいか、ということが現下の最大の関心事なのですが、今回のなでしこジャパンの快挙からヒントが得られるような気がしています。

まず、彼女たちの目標が明確であることを参考にしたいですね。私はイノベーション(≒質の高い論文数)についての日本の国としての目標は、明確になっていないと感じており、やはり数値目標を明確に設定することが必要と思います。

また、「最後まであきらめない粘り強さ」、「不屈の精神力」、「ハングリー精神」などが強調されていますが、それが日本的なや「根性論」になってはいけないということですね。

戦争に突入した時代の日本のように、大和魂で竹槍で戦って玉砕しようというような無謀な「根性論」ではなく、きちんと技術や合理的性に裏付けられた「粘り強さ」でないといけない。澤選手、宮間選手、海堀選手が見せた神業とも思えるゴールやセーブは、素人目からも極めて高度な技術に裏打ちされていることが感じ取れます。根性がないと勝てない、しかし、根性だけでは勝てない。

海外の遠征も大切ですね。最近、海外留学をする日本の若者が減っていることが問題になっていますが、ぜひ、なでしこを見習って欲しいですね。

佐々木監督のリーダーシップのとり方にも、たいへん興味があります。同じサッカーでも男子の岡田監督のリーダーシップとはちょっと違うようです。どちらが良いかということは難しいと思いますが、私の個人的な好みとしては佐々木監督流のリーダーシップが好きですね。

ところで、宮間選手のコーナーキックからの澤選手の神業的同点ゴールのシーン。前へ走って行って、アメリカの選手と競り合って、一瞬の差で後ろの方へ蹴るという、とんでもないキック。テレビや動画サイトを見てもどうやって蹴っているのか分かりませんでしたが、NHKのニュースで決定的瞬間をとらえた写真が紹介され、それを見ると確かに澤選手の右足の外側が競り合っている選手よりも先にボールに触っていることがわかりました。何度見てもすごいですね。



 

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全国から自治体の首長・職員や企業人を集めた山路栄一さんのメルマガ発信力

2011年07月10日 | 日記

7月9日(土)三重県津市の、とある会場に集まった主だった顔ぶれをご紹介しましょう。

佐賀県知事 古川 康

新潟県三条市長 国定勇人氏

奈良県生駒市長 山下 真氏

三重県知事 鈴木英敬氏

津市長 前葉泰幸氏

鈴鹿市長 末松則子氏

三重県菰野町長 石原正敬氏

金融庁総務企画局審議官 居戸利明氏

以上の方々のほか、三重県議会議員、および大阪府吹田市議会議員の方々

自治体職員の皆さんは三重県の方々以外にも以下の地域から多数参加されました。

新潟県、埼玉県秩父市、志木市、東京都、横浜市、伊豆の国市、富士市、静岡県、金沢市、愛知県、名古屋市、蟹江町、岐阜県、奈良県、五條市、和歌山県、滋賀県、長浜市、日野市、京都市、大阪府和泉市、神戸市、兵庫県加古川市、播磨町、東広島市

このほか、企業の幹部、コンサルタント、報道関係者、大学教員など、北は北海道から南は九州まで、約130人の方々が、三重県津市の会場に集まりました。

佐賀県の古川知事には、玄海原発再開問題で極めて多忙の中、この会のために、わざわざ6時間かけて佐賀からお越しになり、30分間いらしゃって挨拶され、お帰りになりました。


このように全国から錚々たる自治体の首長や職員、企業幹部たちを集めたこの会とは、いったいどんな会だったのでしょうか

実はこの会は、三重県の一職員である山路栄一さん(下の写真)のON & OFFメールマガジン500号配信記念読者の集いだったんです。


山路さんは現在は三重県環境保全事業団の参事兼企画課長。2002年から、名刺交換をした人を中心にメルマガの毎週配信を開始されました。

「脱・お役所仕事」をめざして自治体職員の意識改革をしようというのがその目的。2003年には「自治体職員有志の会」を立ち上げました。めざすは「地方公務員」から「地宝向夢員」そして『知豊向夢員』へ。

内容は、自治体職員の意識改革に役立ちそうな、さまざまな著名人の言葉、山路さんが講演会で聞いた内容や、これと思う人に体当たりで面会を申し込んだインタビュー記事など。毎週毎週どうやっていろんな人の言葉を調べてこられるのだろうと感心させられます。

とにかく毎週毎週、メルマガを送り続けて9年間、この日が記念すべき500号配信の記念の集いだったんですね。配信数は徐々に増えていき、847件になっています。

私と山路さんとは、ずっと以前の私がまだ三重大産婦人科の若き医師だった頃にテニス仲間だったんです。それ以後、私が三重大の教授、学長になってからも親しくさせていただき、このメルマガの愛読者で、今回の読者の集いの発起人でもあり、挨拶をさせていただきました。

私は学長の時にブログを書き始めたのですが、最初はブログなんていったい何の役にたつだろうと思っていたんです。いつまで続けることができるのか自信がありませんでした。ブログを更新し続けるのはけっこうたいへんなんです。しかし、山路さんが毎週毎週、メルマガを送りつけてくるんですね。その継続力に励まされて、私も、ブログを一生懸命更新しました。

山路さん自身も、メルマガの配信を続けることには、山もあり谷もあったようです。周りの人から、無意味だと言われたり、批判されたりしたたようです。私にも個人的に相談があり、その都度周りを気にせずに継続されるよう励ましました。

私は、昨年4月に国立大学財務・経営センターの理事長に就任した時に、ブログを続けようかどうか迷ったんです。独法は、大学に比べると、しばりが大きいですからね。そんな時に、山路さんから毎週送られてくるメルマガは、ブログ継続の大きな励みになりました。

一公務員が、自分の意見を外に発信するということは、たいへんな困難を伴うことであると思います。ヒエラルキーの中に存在する人が、上司の許可を受けずに、外に自分の意見を発信することは、それなりの覚悟が必要です。まずいことを発信すれば、やめさせられることになるかも知れませんからね。かと言って公式見解ばかりを発信していても、読み手にとってはあまり意味のないことになります。

ヒエラルキーの中にいることをわきまえつつ、個人としての意見をどこまで周囲に伝えるか、ギリギリの判断が求められます。

それにしても、山路さんのメルマガ配信による組織の壁を超えた横のネットワーク力はたいしたものです。ネットワーク力は目に見えないし、お金に換算することもできません。しかし、自治体の一人の課長のために、佐賀県知事をはじめ、錚々たる面々が全国から実際に集まったという事実は、ネットワーク力がいかに大きな力をもっているのかということを明らかに証明することになったと思います。

山路さん、1000号配信を楽しみにしていますよ。






 

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ドン小西との地域イノベーション学会の打ち合わせー武田美保さんはファッションチェック合格

2011年07月10日 | 日記

7月7日の七夕の日に中学校の同級生のドン小西との地域イノベーション学会第一回大会の打ち合わせをした報告をしないといけませんね。

三重大学では、私が学長時代に「地域イノベーション学研究科」を創設し、平成21年から学生の受け入れを開始しています。若手の意欲ある学生たちと地域企業の幹部人材が入学し、地域に根ざしたイノベーションの創出に取り組んでいます。

特に、地域企業の社長さんがたが数多く入学されたことについては、私どもも驚き、地域にこのような大学院の大きな需要があったんだということを、改めて痛感しました。

そして、この大学院の名称に冠せられた「地域イノベーション」という言葉は、今後の日本全体の成長のキーワードになる可能性がある。これを三重だけではなく、全国の地域にも広げていけば、日本全体の再生につながる。

現三重大学長の内田淳正先生をはじめ、関係者の皆さんのこのような強い思いから、「地域イノベーション学会」と創ろうという話が持ち上がりました。

第一回の記念すべき学会は今年の11月26日(土)に三重県津市で開催が予定されています。

会長は三重大学教授・学長補佐の西村訓弘さん。三重県南島町出身で、北大で大学発バイオベンチャーを立ち上げた方で、「地域イノベーション学研究科」のアイデアを提案した若き仕掛け人です。

まだ、最終決定ではないと思いますが、現時点での暫定的なプログラム案としては、まず、三重大学長の内田淳正さんの挨拶と三重県知事の鈴木英敬さんの挨拶が予定されています。

次いで西村訓弘さんの所信講演「依存する地域から自律する地域へ、そして自立する地域へ(仮)」。西村さんのタイトルは、なかなか期待を感じさせますね。

いったいドン小西と豊田はいつ出るのかって?

この後ですよ

特別対談: 「辛口”檄”トーク・三重を斬る!(仮)

そして、司会は三重県知事鈴木英敬さんの奥様の武田美保さんという豪華キャスト。武田美保さんは、シンクロナイズドスイミングのオリンピック銀メダリストですね。

ドン小西は、テレビや雑誌でも辛口のコメントをズバズバ言うことで有名ですね。前知事の野呂昭彦さんの時に三重県観光大使を務めたことがあって、委員会でたいへん辛口のコメントをしていました。

イノベーションを創出するには、まず、現状の否定や問題点を明らかにすることが最初の第一歩だと思いますが、その役をドン小西にしてもらおうという狙いですね。三重県出身でありながら、三重県を離れて外から見ている人の方が、欠点がよくわかるものです。

そんなことで、7月7日に武田美保さんを交えて、対談の打ち合わせをしたわけです。

さっそく、ドン小西のファッションチェック。私がロイドメガネに変えたことについては、お褒めをいただきました。そして、今回はクレリックシャツにした方がいいというアドバイス。下の写真はドンが私のシャツの襟に白いティッシュペーパーを当てているところ。


武田美保さんに対してはファッションチェックは「合格!」。ドン小西はなかなか合格を出さないんですが、さすが美保さんですね。

ドンは私たちとしゃべる時も、テレビでしゃべっている時とほとんど同じです。今回の打ち合わせでも、テレビでしゃべっているのと同じ感じで、辛口のコメントをどんどんしゃべり続けます。

さっそく三重県の鳥羽駅について辛口のコメント。「三重県までわざわざ来る観光客は、東京では味わえない空間やもてなしを求めてやって来るんだよ。ところがさ、駅を降りた途端に外食チェーン店が目に入ってきたんじゃ、とたんに幻滅を感じるだろう・・・・・。」

こんな調子で、対談の本番でもドンの独壇場になるんだろうなと思っていますが、私は、大学人の立場からドンのコメントにセカンドを出すことが役目かな、なんて思っています。



 

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明日の七夕はドン小西と会食予定

2011年07月06日 | 日記

日経新聞の記事の途中なのですが、明日の七夕は、中学校の同級生のドン小西との会食の予定なので、皆さんにご連絡しておきます。何のために会うかというと、今年の11月に三重県で「地域イノベーション学会」の第一回目が開催される予定で、ドンと豊田が対談をしてはどうかという案があり、その打ち合わせをします。


でも、会食をする所がドンのマンションのある白金台の、プラチナ通りにある、とあるフレンチレストランということで、ちょっと私のお小遣いが苦しくなるなあ、ということもありますけどね。

ちなみにドンのアドバイスで、この前メガネのフレームをロイドに変えました。日経の記事の私の写真は、メガネのフレームを変える前の写真です。

 

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イノベーション力強化急務ー私の日経新聞投稿記事より、その2

2011年07月06日 | 日記

今回は、私の日経新聞投稿記事のその2で、中身についてご報告することになっていましたね。

まずは新聞の見出し。

質高い論文、日本シェア低下

イノベーション力強化急務

研究に数値目標設定

人員・時間の確保を

概要説明では

『国立大学財務・経営センターの豊田長康理事長は、大学予算の削減などで日本のイノベーション力が急速に低下したと指摘、国にイノベーション力強化のための数値目標設定と大学の人的インフラの強化を訴える。』

これらは、日経新聞の方で書いていただいたところですが、私の言いたいことを実に的確に、そして簡潔に表現していただいています。さすがに、記者さんというのはすごい能力というかセンスをもっていらっしゃるなあと感心しました。(ただし、昨年某テレビ局の記者さんには、言葉の端をとらえられて、都合の良いように編集されてしまった経験があるので、大きな不信感も持っていますけどね。)

さて、今日の午前中は「今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議」という会議が学術総合センターであり、私もその委員の一人として出席しました。この会議では、厳しい財政状況の下、今後の国立大学法人等施設の整備に関する基本的な考え方をとりまとめており、今回は、東日本大震災を踏まえた見直しの方向性について議論することが目的でした。

委員の構成は、国立大学関係者以外に、私立大学の先生方や民間の方々もたくさん入っておられ、その中に、元読売新聞記者でジャーナリストの勝方信一さんがおられます。

会議が終わると、私を待っておられて、話しかけてこられました。「あなたの日経の記事は説得力があるよ。特に数値目標を設定することに大賛成だ。」

元読売新聞記者の勝方さんのようなその道のプロに投稿記事をほめていただくなんて、たいへんうれしく思いました。読売新聞だけでなく日経新聞にも目を通しておられるのだな、と思ったのですが、そういえば、勝方さんは「朝日・日経・読売よみくらべサイト」というサイトに「新聞案内人」としてコラムを担当しておられるんですね。

この数値目標設定については、私が親しくしている民間のコンサル会社のO社長さんからもほめていただきました。「key performance indicator (KPI)による数値目標設定は民間では当たり前のこと。それがなぜ国にはできないんですかね?」



 

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イノベーション力強化急務ー私の日経新聞投稿記事より、その1

2011年07月05日 | 日記

7月4日(月)に、私の投稿記事が日本経済新聞の教育欄に載りましたので、すでにお読みになった方もいらっしゃると思いますが、ご報告しておきましょう。

1か月ほど前ですかね、国立大学財務経営センター主催の研究会で、世界の主要国が軒並み学術論文数を増やしているのに、日本だけが減少し、国際競争力が急速に失われつつある、という私の発表を聞いていた日経新聞の記者さんが、私にぜひ記事を書いて欲しいとおっしゃったんです。その記者さんは教育関係の担当をしておられるのですが、今は東日本大震災に関する記事ばかりで、教育に関する記事はなかなか載るチャンスがないのだが、豊田の主張していることは大変重要なことなので、震災後の教育欄の記事として載せたい、とのことでした。

文章1900字と図1枚で、と言われたので、いいですよ、とお引き受けして書いたのが、この新聞記事なんです。1900字というと、けっこう新聞の紙面を占めるものですね。思ったより大きな記事になっていました。

原稿を書く時には、まず、書きたいことをどんどん書いていきます。そうすると、たいていは、予定の文字数を大きく超えた文章ができあがりますね。次にはそれを、内容を変えずに短くすることを試みます。ちょっとした言葉づかいの工夫で、相当短くなるものです。

そして、1文1文、ちゃんと根拠に裏付けられているか確認します。確実な根拠のある事柄は断定的に表現し、ある程度根拠があって、自分が推測している事柄については、「思う」とか「だろう」とか、推測していることがわかる表現にします。学術論文を書く時にはあたりまえのことですけどね。

論文数の分析は私自身でもやっており。ある程度データも持っているのですが、今回は文部科学省の「科学技術政策研究所」が昨年報告した資料192の学術論文数の分析データを使わせていただくことにしました。阪さんという優秀な研究員の方が、被引用数Top10%の論文数で、しかも分数カウント法で分析しておられます。被引用数は、その論文が他の研究者に引用された数のことで、通常、質の高い論文数のカウントに使われます。分数カウント法とは国際共著論文の場合に、各国に貢献度分を割り当てるカウント法で、例えば2つの国の著者が論文を書いている場合は、それぞれの国のカウントを1/2を割り当てます。質の高い論文数がイノベーション力を最もよく反映すると考えられており、阪さんのデータが最も説得力が高いと判断しました。

次のステップは、何人もの方にチェックをしてもらうことですね。自分で完璧な文章が書けたと思っていても、他の人の目を通すと、気づかなかった点がいっぱい出てくるものです。それを、素直に受け入れて直すと、いい文章ができあがりますね。今回も、6人の方々にチェックをしていただきました。

私の原稿では、被引用数Top10%の論文を、「高注目度論文」というふうに表現しています。ほぼ「質の高い論文」と同じ意味になるのですが、厳密にいうと、100%合致しないかもしれないので、より正確な表現として「高注目度論文」という表現にしました。これは、たぶん私の造語だと思いますが、阪さんにも相談をさせていただき、賛同を得ました。

私のブログ等にいつも鋭いアドバイスをいただく三重のYさん。三重大学の産学連携にご尽力いただいている民間企業出身の方ですが、Yさんには、図だけでなく、文章の中にもデータをできる限り挿入した方が良い、とアドバイスいただきました。やはり、数字があるのとないのとでは説得力に雲泥の差が出ますからね。

ほかの皆さんからも有用なご意見をいただき、すべて反映した結果が、今回の記事の文章です。

前置きが長くなってしまいましたね。

下に記事のコピーを張り付けたのですが、読み取ることが困難だと思いますので、次回からは、中身について説明をしていきますよ。

 

 

 

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