レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

フライト・エンターテイメント

2012-09-20 05:00:00 | 日記
日本へ帰る時など長旅には必携のものがありますね。昨今は機内での映画のビデオなども充実してきて、以前ほど退屈することがないように思います。
それでもやはりどんな映画が見れるか、その時によって当たり外れがあるので、常にアルコーの小さなミニDV器をバッグに入れてあります。入れてあるのは「相棒」とか何度も見たことのある日本のテレビばかりです。

なぜか長いフライトの最中は英語とかのものを見る気がしません。機内のエンターテイメントで映画を見る時でも、できるだけ日本語に吹き替えてあるものを見るようにしてしまいます。

今月帰省した際にはかなりラッキーで、日本へ行く便では「Men in Black 3」を見れましたし(面白かったので二回見てしまった)、帰りのフライトでは「Promedeus」「Night in the museum」「Avengers」「The battle ship」とSFもの四連発となりました。全部日本語吹き替えで。

英語でもストーリーそのものは追えると思うのですが、日本語で見たいのは多分、なるべく「努力」をしないですまそう、なるべく自然に眠れる体勢を取ろうというケチな根性の現れだろうと思います。まあ、眠れればそれが一番の時間の過ごし方だと思いますので。

もうずいぶん前ですが、パキスタン航空の安いチケットで旅行した時のこと。もちろんアルコールは出ないし、フライト・アテンダンスは皆おっさんだし、映画は前方のスクリーンのみ、ということがありました。無理矢理?見せられた映画が「Bat 21」というベトナム戦争もので、しかも飛行機が見事に撃墜されるシーンで始まるんです。少しは客のことも考えて欲しかった。

昔と比べて、機内食の質はどこの航空会社でもずっと下がってしまったと思うのですが(エコノミーの話しです。すみません)、その他のエンターテイメントでは本当にいろいろ選べる自由が増えましたね。

でも、今の子供たちはここから始まって、これが当たり前なんだなあ。ああそうか、でもこちらもホノルル経由で西海岸へ飛んでいた時のことは全然知らないし、アンカレジ経由でヨーロッパというのも記憶の片隅に押しやられつつあるか....結局、みんな平等ということでしょうか?

今の子供たちが熟年になる頃にはどんな旅行になっているのでしょうかね?「どこでもドア」ができて旅行というものがなくなってるかも。「昔はね、みんな飛行機という空を飛ぶ船のようなものに乗ってね、何時間もかけて移動したんだよ...ヒマだったんだねえ...」

ヒマなんでしょうね。でもそのヒマに「Men in Black 3」を思いがけず二回も見れる喜びはなくなるんだろうなあ。へへ)



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たまにはブランド・ニュー?

2012-09-19 05:00:00 | 日記
急に思い出したので、ちょっと古い話しをします。

4年前の2008年の秋、リーマン・ショックに続いてヨーロッパ全域も金融危機に陥りました。アイスランドは特に危機の度合いがひどく、国家財政は事実として破綻しました。主要銀行は即国営化され、外貨建てローンなどで車や家を買っていた人たちは軒並み破産(レートの激変で、支払いが三倍近くに跳ね上がりました)、失業者も一気に膨れ上がりました。

怒った市民は(それはそうです。危機の原因は一部の金融業者のめちゃくちゃな投資でしたから)、連日デモや抗議集会を持ち、レイキャビクも町中は騒然とした日々が続きました。その冬は....つまらなかったですね。めちゃくちゃ雰囲気が悪かったです。

で、自分用の憂さ晴らしのために何か面白いことをしようと思い、髪の毛を金髪に染めてみることにしました。思いつくと即実践。たまにですが。ダウンタウンの美容室でティンナという若い女の子に頼んで脱色と染色。二時間かけて終了。齢五十にして初めての金髪体験でした。

私の金髪は結構周りの人々を明るく照らしたみたいで、会う人が皆笑っていましたから、暗い世相の中で多少は良いことをしたのかと...へへ)
(新聞やラジオでも取り上げてくれたんですよ)





髪の毛の色って、人のイメージに大きな影響があるんですね。知人の人が私に気がつかずに行ってしまう、というようなことが何度もありましたが、それはそれで面白かったです。

困ったことは主として三つ。

第一に、髪の毛が思った以上に早く伸びてくるので、プリン化を防ぐためにはまめに美容院へ通わなければならない。時間もお金もかかります。

第二に、似合う洋服というものがすっかり変わってしまいました。これは完璧に予想外。いつも着ていたグレイのスーツなどがどこか間が抜けてしまいます。ダーク・ブルーや黒は大丈夫なのですが。髪の色は装いにも影響大ですね。

そして第三に、話しをしている相手が何となくこちらをまじめに取ってくれないような気がして。まじめな話しをしようとしても、どこかお笑い芸人の背後霊がついてきていて、バーッと笑いを取ろうとしているような...

結局、この最後の点が牧師としては命取りということになり、金髪体験は僅か三ヶ月で終了しました。もう少し続けていれば本田人気にあやかったかもしれなかったです。ちょっと諦めるのが早すぎたか?

でも、これは振り返ってみてもいい体験でしたね。時々は自分の何かを変えてみるというのは、自分の視野も変わるし、相手のこちらを見る目も変わったりしてプラスになること多いのではないでしょうか?

この次は金髪ではなく、メタルのパープルににてみようかと。小学生の頃見てショックだった「謎の円盤UFO」のエリス中尉みたいな。(^-^;



エリス中尉 (ガブリエル・ドレーク)

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隣りのエルバちゃん

2012-09-18 05:00:00 | 日記
私の住むアパートは6世帯が入いる、そんなに大きなブロックではありません。各階2世帯なのですが、私の隣りには若夫婦が住んでいて、エルバちゃんという3歳の女の子がいます。お父さんお母さんはアイスランド人ですが、エルバちゃんは髪の毛も瞳も真っ黒な中国系の顔立ちです。

そうです、エルバちゃんは養子なんです。

去年の夏、引っ越して来た当時は玄関先でなど顔を合わせると、じーっと不思議そうな顔で私を見つめます。日本人の私を見て、子供心にも「この人はなんか仲間っぽいな」と感じていたのでしょうか?へへ)

ちょっと調べたのですが、アイスランドでは毎年40-50件の養子縁組みがあるようです。そのうちの半数が国外から養子を迎えるケースです。どこから来るのかと言うと、やはり中南米やインド、中国などが多いようです。経済的な理由から子供を適切に育てられない、ということが、これらの養子縁組の大きな理由として存在するようです。

もちろん、これらの養子縁組は誰でも勝手にしていいわけではなく、法律に則り、公的な機関が申請の受理や受け手の審査を行います。年間で多い時には50人近い赤ちゃんが養子としてアイスランドに迎えられています。平均すれば20人程度とのこと。

体外受精など赤ちゃんの出産に関しては、大きな変化が訪れており、この地でも盛んな議論が持たれています。ただ、その一方でこのように養子を迎えるという選択肢を取る夫婦も少なくはないわけです。

私はこの辺はアイスランド人の偉いところだと思うのですが、子供の授かりがない場合に照らうことなく養子を迎え、しかも傍目にも「養子」と分かる肌の色の違う子供を毅然として自分の子として生活をしています。また周囲でもそういうことを特別な問題として見ている風はありません。

私は移民の人を相手にした牧師ですので、ティーンの歳に達した養子の子から相談を受けたこともあります。決して全てが容易なわけではないのでしょう。ただ、それでも知っているいくつかの例を見る限りは、それぞれにアイスランド人として成長していっているように思われます。

国籍とか、自分の生い立ちのルーツとか、人はどういうところに求めるのでしょうかね。国籍や母国を軽んじるつもりはありませんが、あまりにそれらに囚われ過ぎることも望ましいことではないように思います。



エルバちゃんが描いてくれたトシキ


日本へ行く度にキティちゃんなどのお土産を隣りのエルバちゃんに買ってきます。エルバちゃんは大きくなって、生まれた国である中国をどのように自分の中に位置付けるのでしょうか?私がとやかく言える問題ではありませんが、できればポジティブな方向で受け止めてもらいたいものです。

その時にはもう、今のような「センカク」のごたごたは治まっていますように。
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憧れの直行便

2012-09-17 05:00:00 | 日記
今月から来月にかけてJALが日本 - アイスランド間に4便の直行チャーター便を飛ばすとのこと。出発地は成田、名古屋、関空、福岡ということですが既にこの直行便を利用してこちらにいらっしゃっている方々もあります。

私自身は乗ったことがないのですが、直行便ならやはり11時間くらいで到着するのでしょうか?いいですね。

定期の直行便はありませんので、通常は日本-アイスランド間を行き来するにはヨーロッパのどこか一カ所で乗り換えをする必要がああります。(安くあげるために南から周遊してくるのは別にします。) メジャーなところではロンドン、コペンハーゲン、アムステルダム、フランクフルトといったところの空港経由になります。

私自身はいつもコペンハーゲン経由でアイスランド航空、SASスカンジナビア航空を利用しています。乗り継ぎ時間がスムースなのと、昔からジャンボを使っていなかったこと、比較的安いことが主な理由です。ロンドン、フランクフルトでは行きか帰りのどちらかで長―い待ち時間になってしまいますし(最近はチェックしてないので、変わっていたら悪しからず)、ジャンボの5人席の真ん中とかに座ったらそれこそ悲劇です(大体あんなに人を乗せて飛べるのがおかしい。ジャンボ引退、万歳!)。

私の自宅から日本へ着くまでの様子を簡単にご紹介しましょう。アイスランド発の便はとんでもない早朝が多いのです。コペンハーゲン行きの便は(これは一日に何便かあるのですが)朝7:45発です。これに間に合うために、朝は4時半に起床。5:20にタクシーで家を出発。タクシーは贅沢ですが、54の年齢を加味して許す。6時に空港着。

コペンまでは約3時間かかります。夏期はデンマークはアイスランドより2時間進んでいるので、午後1時頃の到着。成田行きのSASは15:40の発。軽い昼食を取って、トイレ休憩してちょうど手頃な時間です。

コペンから成田へは約10時間半かかります(成田からコペンへ戻る際は11時間半)。デンマークは夏期時間で7時間日本より遅れているので、成田着はこちらを出発した日付けの翌日の朝9:30頃になります。

私はいつも飛行機に乗り込むとすぐに時計を目的地の時間に合わせてしまいます。コペンから成田というのは、機内でちょっと飲んで、眠って、目が覚めたら着いた、という感じなので楽な気がします。(成田からコペンというのはひたすら長い一日ですよ。昼に出て、12時間もフライトして、着いたらまだ夕方の4時ですから。)
私の場合、成田からまた札幌までがあるのでもうひとがんばりなのですが、それは略します。アイスランド時間で計算すると、朝5時過ぎに家を出て、成田に着くのが同日の夜の12時半くらいになっていることになります。まあ、ほぼ丸一日ですね。

直行便だったら多少は楽になるんですけどねえ。帰路ですが、シベリアの上を通過してコペンまで降りて、そこからまたアイスランドへ行くというのは、実は通り越してまた戻るような感じなんです。だから無駄な時間ですよねえ。

直行便、憧れます。何と言っても「隣りの駅が日本/アイスランド」というのがうれしい!




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平らな社会

2012-09-16 05:00:00 | 日記
以前、アイスランドでのカルチャー ・ショックのひとつとして年少者が年長者に対して対等なことば遣いをするということを書きました。これはもちろんこの国の言葉が日本語のように複雑な敬語や謙譲語の仕組みを持たないことから、私たち日本人の目には多少強調されて写るのでしょうが、それでも年齢差による高低が日本より平(たい)らに均されていることは確かだと思います。

平らなのは年齢についてだけではありません。一般にアイスランド人自身は「アイスランドは平らな格差のない社会だ」というような自負を持っています。(この自負は2008年のリーマン・ショックに続いた経済恐慌の中でかなり揺らいだようですが。)これはどういうことかというと、例えば片田舎で農業を営むおじさんが大臣と会ったとしても、二人は対等な立場で話しをします。
これはそう当たり前のことではなく、社会的立場の違い云々だけではなく、ある程度の共通の教育の土台というものが前提となってきます。

これは人づてに聞いたことで、確かめたことはないのですが、例えばアメリカではトラックの運転手をしている人とウォール街に務めている人が食事で同席したとしても、会話はなりたたないとか。良い悪いの問題ではなく両者に共通項がないのだそうです。

アイスランドは超小さな国ですから、共通の話題がないということはありえませんし、ある程度基礎教育が行き届いているので、社会の「職種」間での断絶ということはないようですし、それが上下の「階層」になってしまうということも和らげられているようです。

カフェの隣りのテーブルに大臣が座っていることもありますし、だからといってそれで大騒ぎになることもありません。日本でも人気のあるビョルクのようなスターを通りで見かけても追っかけが始まるわけでもありません。

私自身経験したことがあるのですが、前大統領のビグディス夫人が一人でスーパーで買い物しているのに行き会って挨拶を交わしていただいくことも当たり前の事柄なのです。

一般に北欧はこのような「平ら」な傾向があるようで、政治家にしても随行員が周りをぐるりと取り囲んでいることは少ないようです。それだけ周囲の「一般人」と距離がないのですが、残念ながらそれが仇になることもあります。スェーデンでの1986年の街頭でのパルメ首相暗殺、2003年のデパート内でのリンド外相刺殺事件などは残念な例です。

それでも、この「平らさ」を人々は投げ出そうとはしないようです。この「平らさ」は単に偶然の諸物などではなく、ある意味北欧国民のプライドのようなものが込められているように思われてなりません。
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