レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

最近あった、アイスランド関連のみっつのいいこと

2015-08-30 05:00:00 | 日記
今回はアイスランドを巡って他人様のしたこと、していることを紹介してのブログです。あら探し、ではなくいいことばかりです。(*^^*)

その一。先日某国営放送で 「体感!グレートネイチャー 極北の巨大滝~アイスランド 氷と火のミステリー~」という番組が放送されたはずです。ご覧になりましたか?

その番組のためにいろいろな資料をあたったり、扱ったアイスランドの地名や人名のカタカナ表記をチェックしたり、というサポート的な役割をしたのが私の友達のIさんでした。Iさんは大学院在学時に一年間アイスランドに留学していました。「石」の専門家です。

詳しくは書けませんが、Iさんは誤った表記を「粘り強く」交渉しながら訂正したそうです。Iさんにワンポイント! 迷惑がかかるといけないので、それ以上は書けません。悪しからず。

番組ではアイスランド大学と共にちゃんと名前が出されたそうです。当然のことなのですが、きちんとクレジットを受けたことを嬉しく思います。これを機会にどんどんアイスランド関連の番組作りのサポートを、Iさんがしていってくれれば、と願っています。頑張れ、Iさん!

その二。アイスランド在住で、ネットショップ「Meet Iceland」のオーナーの大丸智子さんが素敵なアイスランドのガイドブックを出版しました。おめでとうございます!

大丸さんも、Iさんのように日本のテレビ局や雑誌の取材や収録を影でサポートする仕事を、何度もされてきました。でも、今回のガイドブックで名前も顔も(美人です)陽の下に出てきましたの、これも嬉しいこと。




買わないと絶対損する「マスト」本
-Myndin er ur FB hofundar-


大丸さんがFBで紹介していたキャッチを勝手に引用してみます。

「 この度、イカロス出版さんからアイスランドのガイド本「大自然とカラフルな街 アイスランドへ (旅のヒントBOOK) 」を発売することになりました!そしてアマゾンにて予約販売受付がスタート致しました。(注:8月28日にすでに出版されています)

大好きなアイスランド、これもいれたい、あれもいれたいと思い悩んだ末、厳選したスポット(レイキャビク&自然スポット)をご紹介しています。また、読み物としてもお楽しみいただけるよう、ファッションのことやデザインのこと、音楽のことなども盛り込んでいます。

アイスランド旅行を計画されている方、予定はないけれどアイスランドに興味がある方などなど、ぜひお手にとっていただければうれしいです!」

皆さん、ぜひ買ってください。私も買いました。まだ届いていませんが。

アイスランドのガイドは良いものが長らく絶えていましたので、これは貴重なものになるはずです。初版早期売り切れ必至ですので、よろしく。

アマゾンで購入する、はこちら。


大丸さん、気がついたら印税で大金持ちになってるかも。ウラヤマシイ。

その三。これまで三回続けてブログのネタにさせてもらった、「アイスランドツアーの七戒」のもとのエッセイを発表したGuide to Iceland。観光業界が協力し合って立ち上げた情報団体らしいのですが、前回ちょっと触れましたが、なんとそこに知り合いの邦人女性Kさんが働いているのです。

そしてGTIのメインのサイトには、ちゃんと日本語のページも加わっているではありませんか! Kさんにワンポイント!

これはもう説明するよりも、実際のページを見ていただいた方が早いですね。
リンクはここです。

Guide to Iceland


かなり網羅的な情報サイトで、さすが観光業界が寄り合うとここまでできるか、という感じです。こういうものができてしまうと、これまで小さなネタでコツコツやっていた私のブログのようなものは「用無し」になってしまいそうです。

まあ、ワタシのとこは観光ブログではないので、いいか?(^-^;

というわけで、他人様に頼りきった今回ですが、アイスランドに来ていた人、住んでいる人が良い成果を生んでくれると、こちらも励まされます。それぞれに頑張ってください!


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アイスランドツアーの「七戒」(3)

2015-08-23 05:00:00 | 日記
さて、前々回、前回とご紹介してきました「アイスランドツアーの七戒」の最後、第一戒です。これはGuide to Icelandという観光業界が皆手をつないで作った情報団体が、アイスランドへ観光ツアーにやってくる皆さんに向けて、アイスランドを正しく鑑賞し、満喫してもらおうと喚起を促したものです。

今日、ご紹介用に残っているのは第一戒のみなのですが、それが多岐に渡っています。その第一戒はこれです。

「汝、アイスランドの自然を傷つけるなかれ」

「何だ、当たり前じゃないか」と思われる方が多いでしょうが、残念ながら人間というのは「自分の都合」によってはその当たり前度が小さくなったり、消えてしまったりするもののようです。

この第一戒、原文ではVandalism「破壊行為」というかなり強い言葉を使っています。そのはしりともいうべきVandalismは二年ほど前に起こりました。アイスランド北部のクレーターにCRATERと塗料で巨大な「タイトル」が書かれたり、洞窟の壁はCAVE、溶岩壁にはLAVA、苔の原野にはMOSSなどと次々と出現したのです。

これは後にドイツのユリウス•フォン•ビスマルクという芸術家が限りなく黒に近い容疑者として浮かび上がってきました。他の国でも同じような「作品」を残しているからです。

今年に入り、同じ芸術家のマルコ・エヴァリスティという人が、ストロックルという有名なゲイシルの兄弟分にあたる間欠泉にピンクの染料を投げ込み、ピンク色の間欠泉の噴水を演出しました。

染料そのものは植物性のもので、何の悪影響も与えず、今ではきれいになくなってしまっていますが、この芸術的演出はアイスランド人の目にはVandalismとしか映らなかったようです。私もそうですが。

芸術家の皆さんにはそれぞれのモチーフがあり、言い分があるのでしょうが、何の論議も許可もなしにやったら、やはりダメだよね、と言いたい。イスラム過激派が仏跡像を破壊したり、シリアの遺跡を破壊するのにも一応の言い分はあるのと同じで、言い分だけでは正当化され得ません。

その他の例でVandalismと糾弾されたのは、シンクヴェットリル国立公園内にキャンプした連中が、テントの隙間を埋めるために、貴重な苔を辺りからむしり取ってきて詰めた、という事件がありました。

これも相当のひんしゅくを買いましたし、ショックを受けたアイスランド人は多かったと思います。私もショックを受けました。苔はとても繊細で、かつ大切な自然です。愛でることはしても、むしり取るのはダメです。ちなみに「お土産用にちょっと」も犯罪行為ですので、観光に来られる方は気をつけてくださいね。



苔をむしり取られた後の無残な光景... 
-Myndin er ur Facebook Thingvellir National Park-


その他、悪気はないのだろうな、と思われるけども、やはりしてはいけないのが、原野で適当に石を積み上げて石塚を作ることです。前からある石塚も多数あるのですが、これらは古から旅のルートなどを示すために残されてきたもの。意味なく石を積み上げて、土地が痛んだり、石塚ラッシュになった地域もあったようで、これは景観も損ないます。

もうひとつ楽しいからやるのだろうと思われるのが、オフロードでの車のめちゃくちゃな走行やスピン遊びです。「周りに誰もいないんだから」と思っているのでしょうが、やはり地面が破損され、砂地などもめちゃめちゃにされてしまいます。加えて原野や草地には、アイスランドに土着する「フルダフォルク」という妖精のような目に見えない人たちもいますから、危険です。

さらにもうひとつ、無邪気な行為なんだけども、と思わさせられるのが、温泉や滝のほとりにコインを投げ入れる行為です。トレビの泉の真似っこは相当しつこくはびこってきていますね。シンクヴェットリ国立公園内には、もうこれは公認されてしまいっているコイン投げ入れの「ほとり」があります。

水がとってもきれいなので、何メートルも下の底に並ぶコインが見られます。でも、そこだけにしてくれ、とGTIは呼びかけています。「コインを投げ入れると、思いがけない出費をせまられる運命に取り憑かれるぞ」とか、勝手に都市伝説を作って流布させれば止まるんじゃないかと思うのですが...ダメかな?(^-^;

というわけで、自然を破壊したり傷つける行為は、芸術的動機であっても、寒いからであっても、憂さ晴らしのためであっても、ロマンチックムードのためであっても、ダメです。

自然を壊してもいいのは、ダムやアルミ工場を作ってお金を儲ける時だけで、その際は政府公認で認められます。それ以外は、ダメ!


追記:
もとネタを提供してくれていたGuide to Icelandに、なんと日本の方が働いていることが発覚‼ もちろん知り合いなんですが、そこで就労されているとは存じませんでした。m(_ _)m

で、ご紹介した「七戒」の原文も日本語に訳されています。リンクをご紹介しますので、ぜひ私がいじくりまわす前のテキストも読んでみてください。英語が得意な方は原テキストもどうぞ!

アイスランド人も怒り心頭!観光客の迷惑行動7つ

7 things Icelanders hate about tourism in Iceland


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アイスランドツアーの「七戒」(2)

2015-08-16 05:00:00 | 日記
さて、前回に続いてのアイスランド観光での「七戒」です。今回は第五戒から。

前回も書きましたように、これは「アイスランド人がツアービジネスで嫌う七個条」なるものを、Guide to Icelandというツアービジネスが参集して作った団体がホームページに掲載したものです。

増加の一途のツアー客の皆さんにアイスランドではしてはいけないことになっている事柄を、きちんと理解してもらおう、という趣旨で書かれたものです。

第五戒。「どこでもトイレはやめなさい」臭い話しでスミマセン。これは冗談のように聞こえますがそうではありません。考えてみれば、排泄行為は誰でも避けえない必至の行為ですので、人が増加する状況であればいの一番に考えなくてはならない出来事でしょう。

私の考えでは、もともとアイスランドには公共のトイレが少なすぎます。街中でもそうなのですから、田舎の様子は推してはかるべし。余談ですが、札幌に行った時に「トイレ事情が素晴らしい!」と感じ入りました。そこのデパートでもトイレは清潔でしかも100%ウォシュレット。アイスランドではそうはいきません。

Guide to Icelandの教え。「街中では最寄りのバーやレストランに頼めばトイレを使わせてくれます」これは本当ですし、それが公共トイレの少ない理由でもあったようです。しかし、最近は「当店のお客様以外のトイレ仕様はお断りします」という向きも結構あるようです。日本でならこれが普通でしょうが、ここでは最近の現象です。

ランドマーク的なハットルグリムス教会などはトイレをクローズドにしてしまっていました。今でもそうだと思いますが。理由は「掃除が大変」「近所に有料公共トイレがある」だって。はっきり言って無責任。観光名所化しているのですから、トイレくらい掃除の人を雇っても開けるべきだと思います。

GTIの教えの続き。「山の中や原野に行く場合はポリ袋を持参し、コトが終わった後はちゃんと回収してゴミ箱のあるところまで持って行ってください。犬の散歩と同じです」これは確かにその通り。

ただ準備よくトイレットペーパー持参の人が、きれいにした後でその紙の始末に困り、火をつけて燃やそうと試み、火が草に引火してしまったことがあるそうです。原野での「火」は厳禁です。山火事はここでもあるのですから。

自然の中へ足を踏み入れて「自然が呼んでいる」状態になった場合でも、「なるべくならトイレで用を足してださい」とGTIは呼びかけています。

第四戒は「どこもかしこもホテルにするべからず」
第三戒は「ツアー人気に便乗して値上げするな」

このふたつはツアー客用ではなくて、内部向けですので割愛します。

第六戒も微妙なところです。「汝ネイチャーパスと言うなかれ」
もっともこれは「ネイチャーパスを忘れなかれ」かもしれません。この点GTIさんもはっきりYesかNoか述べていないからです。

「ネイチャーパス」というのは要するにデズニーランドの一日パスと同じように入場券のことです。観光要所では入場料というか見学料というかお金を取ろうという試みなのです。

これまでアイスランドの観光地はマイナーな存在でした。そのため例えば危険なところに柵があるわけでもなく、警告の標識があるわけでもなし。滝に至る道は狭くて未舗装の小道が当たり前でした。

ところがツーリスト増えるとそうもいきません。ゲーシル(間欠泉)の周辺は熱湯が吹き出す区域があったりして、きちんとロープを張り巡らせないと危険ですし(それでも簡単なものですが)、グルフォスの滝へ至る道はきちんと木材を使用して整理されました。すべてお金がかかります。

そこで「入場料を取ろう」という意見が出てきたのです。ワタシ的には当然の理屈だと思います。ところが頑強に反対する人たちもいます。「アイスランドの自然は無料なのだ。誰も今までお金を払って自然を鑑賞した者はいない」

要するに一括してネイチャーパスを作られてしまうと、外国からのツーリストもアイスランド人も同様にお金を払わねばならない。それがけしからん、というわけです。確かにそれも理屈です。で、この問題は議論になり、私の理解する範囲ではまだ決着がついていません。

テレビの街頭インタビューなどを見ていると「外国人ツーリストからお金を取るのは問題ないと思う」という声が優勢のようでした。私もそう思いますが、ネイチャーパスなどという仕方ではなく、観光客には納得出来る範囲の一定の観光税を課し、また同様の税を観光業者にもかけるべきだと思います。
儲ける人はそれに見合う税を拠出すべきです。それによりさらに充実した観光が保証されるのですから。

さて最後の第一戒が残ってしまいました。これが最大の問題となっていますので、次回改めて取り上げてみたいと思います。


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アイスランドツアーの「七戒」

2015-08-09 05:00:00 | 日記
もう何度もいろいろな観点から扱ったことがあるのですが、またアイスランドの観光業についてです。といっても今回は観光「業者」や観光「業」についてではなく、ツーリストの側の皆さんに理解していただきたいことになります。

昨年は史上初めて、観光客数が百万人台に乗った、ということがニュースとして流れました。ところが今年はさらに輪をかけて六月あたりの時点で、昨年をの30%増しの数のツーリストが訪れているということでした。

確かに先日もダウンタウンに出ると、歩いているのは外国人ばかりで、アイスランド人は見つけようとしないとどこにもいない、という感じでした。ちなみにそういう時は、自分も外国人であることはコテッと忘れています。

さすがにいくつかの場所では観光客数の密度が高くなりすぎて、様々なトラブルが生まれてきてしまっています。いくつかは設備が追いつかない、などの構造的な問題ですが、いくつかはツーリストの側が気をつけるべき問題です。

そこで観光業界が総コラボ的に協力している、Guide to Icelandというツアーインフォの団体が、ホームページで「アイスランド人が観光業に関して嫌う七つのポイント」というエッセイを掲載して、ツーリストの方々の注意を喚起しました。

いわばアイスランド観光客に対しての十戒ならぬ「七戒」です。まあ、人気の観光地ならどこでもありえそうな話しなのですが、知っていて損はないのでご紹介してみたいと思います。

まずは第七位で嫌われていることで、第七戒です。「アイスランドにセックスパーティツアーを求めて来るな」

あー、これは一昔前の日本から東南アジアへのツアーでよく言われたことですよー。

なぜか知りませんが、アイスランド、特にレイキャビクのパーティ文化が変に歪曲された情報が流布してしまっているようです。映画監督兼俳優のクエンティン・タランティーノが「ケビン•オブライエン•ショー」に出ていたのを見ましたが、彼は自分のアイスランドでのおおみそかの体験を、相当誇張して面白おかしく話していました。こういうのを真に受ける人もいるのでしょう。

この「七戒」を出したGuide to Icelandの記事によると「アイスランドはまた何年もの間、最も美しい女性たちを有する国として知られてきました」となっています。私は個人的にはこの一文には相当引っかかります。はっきり言ってウソだと思います。いや、もちろん麗しい女性はいますよ、ここにも。でも、平均値的にそれが多いかのように言うのは、ウソかよっぽどの自惚れか、精神錯乱のいずれかでしょう。

それはともかく、その後で「七戒」は「一方でアイスランドは相当リベラルな男女同権社会なのです。ですからアイスランド女性は強く、独立心に富んでおり、パーティーのつまみのように扱われることを嫌います」と言っていますが、こちらは当たっていると思います、平均値的に。

その後の解説の中で実際の例が挙げられているのですが、勘違いしたツーリスト男性の中には、レストランなどで女性を見るとそそくさと、かつしつこくモーションをかけてくる連中があるのだそうです。

まあ、男女の関係がイジイジしているとは思いませんが、「セックスツアー」的なものを期待してくるのは相当な勘違いだろう、と私も個人的に思わざるをえません。特に男性のみなさん、ロマンスはあり得ると思いますが、セックスツアー的なノリは止めたほうがいいかと思いますよ。

次いで第六戒です。「キャンプはキャンプ場でしなさい。勝手にいろいろな場所をキャンプ場にしてはならない」

これはテレビのニュースや新聞でも取り上げられていました。ホテルの予約が取りにくく、また値段が高いこと、あるいは自然を楽しみたいから、等の理由があるのでしょうが、テントとスリーピングバッグを持参してのツーリストが相当数にのぼっています。

市内を含め、要所にはキャンピングエリアが設けられているのですが、そこに入りきれないのか、勝手に駐車場や学校の校庭でテントを張り始める人たちがいるのです。

これははっきりいって他の人々の生活に不都合を与えますし、重罪ではないにしても法律違反のはずです。飲料水やトイレの問題もありますので、キャンプはきちんとキャンプ用の設備があるところでしてください、とのことです。

さて、まだあと五戒残っていますが、今回はここまでです。次回また残りの五つをご紹介したいと思います。ああ、来週はもうお盆の最終日ですね。帰省される方も多いと思いますが、交通にはくれぐれも気をつけてくださいね。


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プロ? アマ? アイスランド報道の実態

2015-08-02 05:00:00 | 日記
前回は三回目のホエールウォッチングに関連して、頼りにしがたい天気予報のことを書きました。実はそのブログはホエールウォッチングから帰ってきて、その晩すぐに書いたものでした。疲れてたんですが「やっちまおうー」という感じで。

ところがその間に、ネットのニュースをチラ見していたら、気になるニュースが入ってきました。実は午後から出ていたニュースだったのですが、クジラツアーの準備にかまけて、ちゃんと読んでいなかったのです。

ニュースの見出しはかなり扇情的で「知ってた上で、HIVウィルスを二十人の女性に感染させる」というようなものでした。さらに小見出し的に「ナイジェリアからの難民」とあります。この「ナイジェリアからの難民」は夕方になってから出てきたものらしく、もしそれが始めから出ていたら、その時点で私も気がついていたはずです。

ニュースの概要は、自分が保菌者であることを承知の上で、複数(二十人?)の「アイスランド」女性と関係を持ち、彼女らに感染させたナイジェリア男性で難民申請者が、警察により拘禁される許可を裁判所が認め、男性は拘禁された、というものでした。

「知ってた上で」「二十人もの」「アイスランド女性に」「ナイジェリア人の」「難民申請者が」感染させた、というのがいたくアイスランド人の気に障ったようです。

故意に感染させた、というのであれば確かにひどい話で激昂する人が出てくるのは当然だと思います。私だって「何という奴だ」と思いました。しかも二十人を感染させるとなると、ちょっと普通じゃない。

ところが「ナイジェリア人の」「難民申請者」という部分がどう問題の核心に関わってくるのか、という点になると「ちょっと待てよ」という気にさせられました。「フランス人の」「金持ち旅行者」だったら問題は変わるのでしょうか?

案の定、ネットの書き込み欄は炎上。「難民申請者などは全部即刻送り返せ」「全部まとめてキャンプに収容しろ」的なことを「ざまあ見ろ」と得意げに書き込む連中がわんさか出てきたのです。

ナイジェリア人の難民申請者の友だちは何人もいます。問題の男性は、拘禁された時の写真も掲載されていて、顔は覆われていて見えませんが、身長がかなり高く、私の知っている人物ではないと思われました。

しかし、このようなニュースが及ぼす負の影響というのは大きなものになりえます。他のナイジェリア人や難民申請者はいい迷惑どころか、すでに「バッシング」の標的にされてしまっています。

翌日の午前中は休みにしようと思っていたのですが、やはり反論しておかないといけない、と決心し昼までかかって「難民申請者の大半は普通の良識のある人たちだし、『ナイジェリア人の難民申請者』という情報は不必要なものだと思う」という意見を書き上げました。

ネットに土曜の昼から掲載されたのですが、幸いなことに賛同してくれる良識のある人たちがかなりいました。ただ残念なことに、HIVポジティブの人たちへの偏見を正す意見はあちこちに見られたのに、難民申請者に対する偏見を正す意見は他には見られませんでした。この辺はまだ課題です。

ところでニュースの続報ですが、調査の中で本人は「自分が保菌者であるとは知らなかった」と主張しているとのこと。さらに、なぜかその人物は義務つけられている血液検査をしておらず、監督が不行き届きであったことも伝えられてきました。

本人が知っていたかどうかはいずれわかると考えています。知っていたなら何らかの薬品の購入や治療の記録が出てくるでしょうから。何もなければ知らなかったと判断していいのではないでしょうか?

さらに実際に感染していたことが確認された女性は、現在のところふたりだということ。ふたりならいい、ということではありませんが二十人とは違います。

というわけで当初の「知っていて二十人を感染」というのは、今のところ事実確認からは大きく遠のいたものになっています。いったいどこからこの見出しは出てきたのでしょうか?

はっきり名前を出して書きますが、DVとFrettabladid/Visir(同じ経営母体)は最近特にネット版はいいかげんな取材でニュースを流していることが、多々見受けられます。

ひどい時にはですね、誰かがFacebookで不満を述べているいるを、事実確認をせずにそのままニュースとして掲載したりしているのです。これはもうプロのジャーナリズムからはかけ離れています。

私が応援しているアイスランドデザインのネット販売 MeetIceland の創設者の大丸智子さんが、「箱庭」というライフスタイル作りマガジンにインタビュー登場しているのですが、彼女が言うには「アイスランドには、プロとアマの垣根があまりないんです」

全然コンテキストは違いますが、マスコミに関しても「当たってる」と言わざるを得ないようです。

MeetIceland 大丸さんの「箱庭」インタビューはこちら


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