十一月の最後の日曜日の週を迎えています。教会ではいつもですと、この十一月最後の日曜日から –正確に言うと、その前日の土曜日の日没からなのでしょうが- 待降節という期間に入ります。
待降節はまた、降誕節とかアドヴェントAdventとも呼ばれるものです。何を待つかというと、キリストの誕生を待つわけです。ということは、要するにクリスマスを待つ期間であるわけです。
大方の場合は、この十一月の最終日曜日がアドヴェント入りの第一日曜日になり、第二、第三、そして第四の日曜日を迎えた週にクリスマス·イブとクリスマスがやってくるわけです。
ちなみに、なぜクリスマス·イブとクリスマスの日というように二日間にクリスマスの祝いが分断されているかというと、昔のユダヤの一日の勘定の仕方は、今のように午前零時から翌日の午前零時まで、というのではなく、日没から翌日の日没までだったからです。
つまり、昔のユダヤ式の一日の区切り方でいうならば、クリスマス·イブから新しい一日が始まっており、翌朝以降の明るい時間までが同じキリストの生誕の祝いの日であったわけです。ですから、「イブ」は前夜祭とはまったく違います。
ところが、今年はちょっと定番のサイクルが狂わされてしまっています。十一月の最終日曜を迎えても、まだアドヴェントは始まっていません。アドヴェントは来週の日曜日、十二月の3日、あるいはその前日の2日の土曜日の夕方まで待たなくてはなりません。
その理由は、今年はたまたま、というか、必ず定期的に回ってくるものなのでしょうが、12月24日が日曜日だからなのです。で、この24日の日曜日がクリスマス·イブ前の第四日曜日として勘定されますので、結果的に「実際は三週間しかないアドヴェント」と化してしまったわけです。
先ほど書きましたように、日没が一日の境い目ですので、24日は夕方まではアドヴェントの第四日曜日。そして夕方からはユダヤ式の新しい日、クリスマスの祭日に入ることになるわけです。
ですが、これは「そういう理屈」ということなわけで、別に文句はないのですが、実際の気分としては「第四日曜日のないアドヴェント」という感が漂ってしまします。
ちょっとマックのカレンダーを覗いてみたのですが、一昨年の2015年は12月25日が金曜日でしたので、アドヴェントは、(日曜から勘定するとして)第一日曜日から第四日曜日までの22日間プラス4日間(24日を含みます)ありました。
昨年の2016年。12月25日は日曜日でしたので、アドヴェントは第四日曜日までの22日間プラス6日間ありました。これが最大級に長いアドヴェント、ということでしょうね。...間違ってないですよ、ね。
で、今年はその反動?で、最短のアドヴェントです。第四日曜日までの22日間プラス「ゼロ」。(^-^;
「だから何なんだよー?」と思われるかもしれませんが、教会でクリスマスに色々仕事をしたり、奉仕をしたりする方々には影響があります。だいたいどこの教会でも「定番」のクリスマスのイベントというものがあります。
アドヴェント入りの家族向けの集いのようなものから、クワイヤのコンサート、子供向けの「ヨーラ·バル」という、歌ったり踊ったりしているうちにサンタクロースが出てくるイベント等々です。
これらはだいたい「アドヴェントには日曜日は四回ある」という前提のもとで考えられています。ですから日曜日が三回になってしまうと、どうにかして四回分の出し物を三回に詰めてしまうか、何かを泣く泣くボツにするかということになります。
アドヴェントのクランツ
Myndin er ur Tru.is
皆さんも「アドヴェント·クランツ」というクリスマス時期用の木の枝と柊やモミの木の葉等で作った飾り物を目にされたことがあるかと思います。あれにもキャンドルが四本つくようになっています。
教会では、アドヴェントの日曜日ごとにキャンドルを一本ずつ点灯して行くのです。こちらではキャンドルにちゃんと名称も付いています。
一本目は「預言者のキャンドル」キリストの生誕が預言されたことを記念しています。二本目は「ベツレヘムのキャンドル」キリストが誕生した町ですね。
三本目は「羊飼いのキャンドル」キリストの生誕に居合わせた羊飼いたちを記念します。そして四本目が「天使のキャンドル」キリストの誕生を讃美した天使の群勢を記念するものです。
ちなみに、アドヴェント·クランツの木の枝は「キリストの生命」を表し、柊の葉や刺々しいモミの木の葉は「キリストの苦難」を象徴するのだということ。
いずれにせよ、この四本のキャンドルに順繰りに点灯する四回の儀式。日曜が三回の場合はどのようにパーフォームするのでしょうか?
「いや、待て。日曜日はちゃんと四回あるではないか?たとえそれがイブと同じ日だとしても」という正論を吐かれる方もありましょうが、そこが理屈と現実の乖離が現れるところで、こちらではクリスマスは相当に大きな祭日ですので、24日の午前中から日没までには、皆さんがやらねばならない準備作業がぎっしりと詰まっているのです。
夜のディナーの準備はもちろんのこと、家の最終片付け、クリスマス·プレゼントを親戚友人に配布すること等々です。このプレゼントの配布はアイスランドでユニークな習慣だと思います。以前に書いたことがあるので、ぜひそちらを参照してみてください。
Gledileg Jol!
この「アドヴェントに日曜日が三回しかない」年は定期的に巡ってくるはずですし、おそらく以前に経験したことがあるはずなのですが、まったく覚えていません。
という風に曖昧にしておくのは良くないと思ったので、またカレンダーで遡ってみると、ありました。前回は2006年。それでも、どんな具合だったか全然覚えておりませぬ。その頃は、クリスマス時期には特に何の責任もなかったから、意識が低かったのでしょう。何という牧師。スミマセン。特別職なので、ご容赦。
札幌でのアドヴェント時期の楽しみ ミュンヒェンクリスマス市
今年はどうするのか、何人かの牧師さんに訊いてみます。おそらく教会としては、無理をしても24日の朝に礼拝を持つのだと思いますが... でもこちらの教会って、礼拝の持ち方に関しては、結構現実的になるからなあ。あんまり「ここで礼拝休んだら、神様に申し訳が立たない」的なメンタリティはないですしね。
最後に、この「短いアドヴェント」教会外の巷には何か影響するのでしょうか?たとえば札幌では毎年、このアドヴェント時期に姉妹都市のミュンヒェンと提携して「サッポロ·ミュンヒェン·クリスマス市」なるイベントを開いています。一度覗いてみる機会があったのですが、とても綺麗で楽しくなるイベントです。
こういう商業的なイベントは期間が短くなると困るだろう、と想像してウェッブで調べてみたのですが、やはりイベントは今年も十一月の最終週末、つまり昨日くらいから始まっているようです。でしょうね、これは納得できます。
で、アイスランドの教会ではどうなるのか。今回は興味を持ってこの「日曜が三回しかないアドヴェント」を迎えてみようと思います。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
待降節はまた、降誕節とかアドヴェントAdventとも呼ばれるものです。何を待つかというと、キリストの誕生を待つわけです。ということは、要するにクリスマスを待つ期間であるわけです。
大方の場合は、この十一月の最終日曜日がアドヴェント入りの第一日曜日になり、第二、第三、そして第四の日曜日を迎えた週にクリスマス·イブとクリスマスがやってくるわけです。
ちなみに、なぜクリスマス·イブとクリスマスの日というように二日間にクリスマスの祝いが分断されているかというと、昔のユダヤの一日の勘定の仕方は、今のように午前零時から翌日の午前零時まで、というのではなく、日没から翌日の日没までだったからです。
つまり、昔のユダヤ式の一日の区切り方でいうならば、クリスマス·イブから新しい一日が始まっており、翌朝以降の明るい時間までが同じキリストの生誕の祝いの日であったわけです。ですから、「イブ」は前夜祭とはまったく違います。
ところが、今年はちょっと定番のサイクルが狂わされてしまっています。十一月の最終日曜を迎えても、まだアドヴェントは始まっていません。アドヴェントは来週の日曜日、十二月の3日、あるいはその前日の2日の土曜日の夕方まで待たなくてはなりません。
その理由は、今年はたまたま、というか、必ず定期的に回ってくるものなのでしょうが、12月24日が日曜日だからなのです。で、この24日の日曜日がクリスマス·イブ前の第四日曜日として勘定されますので、結果的に「実際は三週間しかないアドヴェント」と化してしまったわけです。
先ほど書きましたように、日没が一日の境い目ですので、24日は夕方まではアドヴェントの第四日曜日。そして夕方からはユダヤ式の新しい日、クリスマスの祭日に入ることになるわけです。
ですが、これは「そういう理屈」ということなわけで、別に文句はないのですが、実際の気分としては「第四日曜日のないアドヴェント」という感が漂ってしまします。
ちょっとマックのカレンダーを覗いてみたのですが、一昨年の2015年は12月25日が金曜日でしたので、アドヴェントは、(日曜から勘定するとして)第一日曜日から第四日曜日までの22日間プラス4日間(24日を含みます)ありました。
昨年の2016年。12月25日は日曜日でしたので、アドヴェントは第四日曜日までの22日間プラス6日間ありました。これが最大級に長いアドヴェント、ということでしょうね。...間違ってないですよ、ね。
で、今年はその反動?で、最短のアドヴェントです。第四日曜日までの22日間プラス「ゼロ」。(^-^;
「だから何なんだよー?」と思われるかもしれませんが、教会でクリスマスに色々仕事をしたり、奉仕をしたりする方々には影響があります。だいたいどこの教会でも「定番」のクリスマスのイベントというものがあります。
アドヴェント入りの家族向けの集いのようなものから、クワイヤのコンサート、子供向けの「ヨーラ·バル」という、歌ったり踊ったりしているうちにサンタクロースが出てくるイベント等々です。
これらはだいたい「アドヴェントには日曜日は四回ある」という前提のもとで考えられています。ですから日曜日が三回になってしまうと、どうにかして四回分の出し物を三回に詰めてしまうか、何かを泣く泣くボツにするかということになります。
アドヴェントのクランツ
Myndin er ur Tru.is
皆さんも「アドヴェント·クランツ」というクリスマス時期用の木の枝と柊やモミの木の葉等で作った飾り物を目にされたことがあるかと思います。あれにもキャンドルが四本つくようになっています。
教会では、アドヴェントの日曜日ごとにキャンドルを一本ずつ点灯して行くのです。こちらではキャンドルにちゃんと名称も付いています。
一本目は「預言者のキャンドル」キリストの生誕が預言されたことを記念しています。二本目は「ベツレヘムのキャンドル」キリストが誕生した町ですね。
三本目は「羊飼いのキャンドル」キリストの生誕に居合わせた羊飼いたちを記念します。そして四本目が「天使のキャンドル」キリストの誕生を讃美した天使の群勢を記念するものです。
ちなみに、アドヴェント·クランツの木の枝は「キリストの生命」を表し、柊の葉や刺々しいモミの木の葉は「キリストの苦難」を象徴するのだということ。
いずれにせよ、この四本のキャンドルに順繰りに点灯する四回の儀式。日曜が三回の場合はどのようにパーフォームするのでしょうか?
「いや、待て。日曜日はちゃんと四回あるではないか?たとえそれがイブと同じ日だとしても」という正論を吐かれる方もありましょうが、そこが理屈と現実の乖離が現れるところで、こちらではクリスマスは相当に大きな祭日ですので、24日の午前中から日没までには、皆さんがやらねばならない準備作業がぎっしりと詰まっているのです。
夜のディナーの準備はもちろんのこと、家の最終片付け、クリスマス·プレゼントを親戚友人に配布すること等々です。このプレゼントの配布はアイスランドでユニークな習慣だと思います。以前に書いたことがあるので、ぜひそちらを参照してみてください。
Gledileg Jol!
この「アドヴェントに日曜日が三回しかない」年は定期的に巡ってくるはずですし、おそらく以前に経験したことがあるはずなのですが、まったく覚えていません。
という風に曖昧にしておくのは良くないと思ったので、またカレンダーで遡ってみると、ありました。前回は2006年。それでも、どんな具合だったか全然覚えておりませぬ。その頃は、クリスマス時期には特に何の責任もなかったから、意識が低かったのでしょう。何という牧師。スミマセン。特別職なので、ご容赦。
札幌でのアドヴェント時期の楽しみ ミュンヒェンクリスマス市
今年はどうするのか、何人かの牧師さんに訊いてみます。おそらく教会としては、無理をしても24日の朝に礼拝を持つのだと思いますが... でもこちらの教会って、礼拝の持ち方に関しては、結構現実的になるからなあ。あんまり「ここで礼拝休んだら、神様に申し訳が立たない」的なメンタリティはないですしね。
最後に、この「短いアドヴェント」教会外の巷には何か影響するのでしょうか?たとえば札幌では毎年、このアドヴェント時期に姉妹都市のミュンヒェンと提携して「サッポロ·ミュンヒェン·クリスマス市」なるイベントを開いています。一度覗いてみる機会があったのですが、とても綺麗で楽しくなるイベントです。
こういう商業的なイベントは期間が短くなると困るだろう、と想像してウェッブで調べてみたのですが、やはりイベントは今年も十一月の最終週末、つまり昨日くらいから始まっているようです。でしょうね、これは納得できます。
で、アイスランドの教会ではどうなるのか。今回は興味を持ってこの「日曜が三回しかないアドヴェント」を迎えてみようと思います。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is