レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

ヴァイキングウェザー 強風·雪·みぞれミックス

2017-02-26 05:00:00 | 日記
暖かくわりと静かな冬を過ごしていたアイスランドですが、先週の後半、金曜日には久々の「バイキングウェザー」となりました。強風に雪、みぞれ、あられなどが地域ごと、時間ごとに加味されたようです。

前日の木曜日から気象局が荒天の警報を出していましたので、私なんぞはもう自宅勤務を決め込んで、アポなどを変更していましたが、そういうことのできない仕事の皆さんは、さぞかし大変な一日だったろうとお察し申し上げます。

仕事を捜している難民申請者の若者の手伝いをしているのですが、彼はバスで40分ほどの郊外に滞在しています。「明日はひどい天気になるらしいから、町には出てこないように」と言ってあったのですが、実際には私の自宅では午前中はそんなにひどい天気には感じられず「ありゃ、早まったかな」と思いました。

ところがネットでニュースを開いてみると朝からあちらこちらでトラブルが続発していることが判明。隣りの町のコーパヴォーグルでは、建築現場の大型クレーンが強風で倒壊する恐れがある、とかで近辺の道路が封鎖。

ともかく秒速20メートルから30メートルを記録する場所がそこらにいっぱい出てきてあちらこちらで道路が「通行不能」として封鎖されました。後のニュースによりますと、この大規模な道路閉鎖は、「ヴェーガゲルジィン」という国土交通省の下部機関のようなところが判断したものだそうです。

普通は本当に「通行不能」になってから閉鎖を実施するのだそうですが、今回は放っておくと大きな事故や被害が予想されるClear & Present Danger  が存在したことによったようです。「一般の人の通行の自由を侵害することになるのはよく承知している」と担当者は語っていました。このような「転ばぬ先の杖」の施策は二年前に次いで二回目とのこと。

また、空の足も国内線は全部キャンセルされ、国際便でも欠航または遅延が相次いだようです。



閉鎖道路を通知するニュース
Myndin er ur Visir.is


南海岸の沖にあるヴェストマン諸島では、なんと秒速50メートル以上が記録されたそうです。海岸沿い、そして「ハイランド」と呼ばれる人が住んでいないアイスランド内部の高原地帯では風の力がまったく違います。

(というのは数字を見てのことであって、実際にそこで強風を体験したことはありませんが。ワイルドなアウトドアは苦手なもんで。考えてみれば、トロピカルカクテルを飲みながら海辺の水着美女を眺めるのが大好き、というワタシのような者が、アイスランドに住んでいるというのは「不適材不適所」の見本なような気もします)

脱線しました。町中では、特に雪の降った高台の地域を中心にして、多くの車が雪にはまってしまい動けなくなりました。

全部のニュースをまとめたわけではないのですが、田舎のあちらこちらでは(「田舎」というのはレイキャビク近郊以外のすべてですが)相当数の「走行中」の車が、風で道路から吹き飛ばされて道を外れました。

強風に雪などが巻き上げられ、視界がゼロ化したところも多かったようで、その故の立ち往生車もかなりあったようです。

ヴァトナヨクトゥル氷河の近くのフレイスネスでは十五人の乗客を乗せたバスが強風に煽られて、道路外に転落しました。

ここのところ毎度のことなのですが、こういうようなトラブルに巻き込まれてしまう人の多数が外国からのツーリストの人たちです。地元の人は警報に注意を払っていますし、加えてある程の「経験」があります。

ツーリストの人たちは、警報には気がつかないこともあるでしょうし、また日程の都合からついつい無理をしても進もうとしてしまうこともあるでしょう。ですが、何度も繰り返して言ってきたことですが、アイスランドの天候は山の天気です。特に車の運転には意を払っていただきたいと思います。

幾つかの学校のような公共施設が「シェルター」として立ち往生の人たちに開かれています。ただ、その場合にはそこへ水や食べ物、寝具などを提供するために多くの人が働かなければなりません。道を外れた車から人を移動するに関しても同様です。

避けえない状況でトラブルに巻き込まれることもありますし、そのような場合に救援を送るのは当然のことでしょうが、十分に警報がなされている中で、敢えて台風の中に飛び込んでいくような向きには、私は首を傾げざるをえないですね。




強風を警告する天気図
Myndin er ur Vedur.is


当局もこの「外国人旅行客トラブル」の頻繁さは認識しており、荒天についての周知徹底や、危険を伴う観光スポットでの安全対策の徹底などを、観光業関係者に強く求めているようです。

そうした対策の中のひとつが、外国からのツーリストの人たちがちゃんと理解できる形で情報を提供しよう、ということであり、英語やその他の言語での警報やニュースを発信するようになってきています。

で、私が思うのには、このことが実はアイスランド社会のこれまでの基盤を、大きく変えつつある要素になってきています。あるいは基盤がおおきく変わりつつあることの現れ、と言ってもいいのかもしれません。

その点は、また機会を改めて書いてみたいと思います。

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そして来ました、日曜朝のドカ雪。市街地一部では51cmの降雪で、これは二月の降雪量の新記録だそうです。
レイキャビクの最多降雪量は1937年一月の55センチだそうです。
「みんな、車で出かけようなどと考えずに、なるべく自宅にいるように」と警察が「泣き」の呼びかけをしています。(^-^;




Myndin er ur RUV/Steinunn Thorhallsdottir

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青空の広がる良い天気の日曜日です。気温はマイナス1ー2度ですが、人々が通りへ出てきて雪かきを汗だくになってやっています。

あちこちに動けなくなった車が取り残されています。

レスキュー隊のスポークスマン、ソルステインさんはラジオのインタビューに答え「レスキュー隊は、夜通しで病院などへの道の確保に努めてきた。自宅の前の車を引っ張り出すのは我々の仕事ではありません」とコメント。

「私自身、今、自分の車を雪の下から掘り出そうとしているんです。これが自分の車であることを願いますよ。みんな、どの雪の小山の下に自分の車があるか、わかりませんからね」ごもっとも。




Myndin er eftir Bjorgu Palsdottur



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Madam Secretery

2017-02-19 05:00:00 | 日記
アイスランドは相変わらず暖かい冬を満喫しています。先週一週間も、レイキャビクでは気温は5—8度くらいあり、札幌のユニクロで14900円で買った冬本場用のダウンを着ていると暑いくらいです。

このまま春になればいいのですが、何年か前に同じような冬がありました。「雪なしで冬が終わるか?」という期待を持ったのが浅はか。三月に入ってから四月のパウスカまで雪が降り通しとなりました。

さて、また日本のバラエティ中毒にかかっていた私ですが、先週からピタリと日本の番組が途絶えました。理由は簡単で飽きたからです。またしばらくしたら見ます。

その代わりに見始めたのが、アメリカのテレビシリーズの「Madam Secretery」です。日本でもやっているんじゃないかと思います。アメリカの国務長官を主人公とした「政治もの」です。はまりつつあります。




Madam Secretery でのティア·レオーニ
Myndin er ur TvGuide.com


私は洋の東西を問わず、テレビドラマはポリスものしか見ません。例えばNYPDものの「Blue Bloods」や海軍に関連する「NCIS」、日本では「相棒」「捜査一課9係」などです。

刑事物に属さないもので気に入っていたものは本当に例外的な少数しかありません。アメリカの番組に関して言うと、やはり政治ものでホワイトハウスを舞台にした「West Wing」がありました。

これは相当によくできたドラマで、シーズン7まで行きました。何というか、本当の政治の重みを伝えるようでいながら、エンターテイメントでもあり、見ていると勉強になるシリーズでした。

ついでながら、シリーズの主人公はマーティン·シーンが演じたジェド·バートレット大統領なのですが、この人が本当にアメリカの大統領だったらいいのに、とつくづく思い入ってしまいます、今。

「Madam Secreteriy」ですが、まず目につくのが製作指揮で、あのモーガン·フリーマンがふたりの総指揮者のひとりに入っています(その本人はシーズン2の第1話で判事役で出演もしています)。 主人公の女性国務長官、エリザベス·マッコードを演じるのはティア·レオーニ。きっとヒラリー国務長官を意識して、女性の設定だったのでは?さらに言えばヒラリーが初の女性大統領になることを。

どうもティア·レオーニという名前に馴染みがあったのですが、すぐ思い出しました。「ジュラシックパーク3」で行方不明になった息子を探すお母さん役で出ていたんです。この間見たばっかだった。(^-^;

このティアさん、はっきり言ってかなりタイプなのですが、ジュラシックパークのイメージがあるのと、少し口を開いて向こうを見る傾向があるので、多少「バカっぽい」(失礼)印象があります。いやそれが魅力なんですが。




ジュラシックパーク3でのティア·レオーニ
Myndin er ur Movieactors.com


で、どうもその彼女が合衆国国務長官、というのは大丈夫かなあ、なんていう心配がありました。まあ、今のアメリカの現実を考えてみれば、むしろ適役と思うべきなんでしょけどね。

今現在、アメリカでは第3シーズンに入っているようです。私が見ているのはまだ第一シーズンの半ばに過ぎません。始めのうちはやはり国務長官としては「薄っぺらい」感がしてしまいましたが、十話くらいからかなり持ち直してきました。

ストーリーそのものの構成も、始まりにくらべるとしっかりしてきたように思えます。「West Wing」の時はホワイトハウスのスタッフがいわゆる「主人公チーム」でした。今回は国務省の中での長官付きのスタッフがそのような主人公チームになっています。

「West Wing」があれほど面白かった理由のひとつは、見ている人が自分もその「チーム」の一員になったかのような気にさせるところにあったと思います。テレビ見ていると、自分がホワイトハウスのスタッフになったかのような気になっちゃうんですよ。

「Madam Secretery」はまだそこまでは行っていないですね。「West Wing」の時はかなりシビアにスタッフの役の交代がありました。それで飽きが来なかったこともあるでしょう。マダムの方ではどうなるでしょうか。

今のところ、「West Wing」が星五つとしたら、「MadamSecretery」はまだ星三つの域だと思います。これからもっと進化して重みのあるエンターテイメント·ドラマになってくれたらと思います。

ところで現実のトランプ政権での国務長官はレックス·ティラーソン氏です。実はGoogleしないと名前を書けませんでした。エクソンモービルの会長兼CEOだったそうで。

正直言って、ティラーソン国務長官、まったく印象に残っていないのですが?この人だけじゃなくて、トランプ氏のあまりの度を越したはしゃぎ過ぎのためか、他の人がまったく見えてこない気がするのですが...日本の皆さんはそうでもないのでしょうか?

なんとなく、テレビの中の大統領、国務長官に救いを求めるような時代になってきてしまったようです。


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ネットの進化で変わるもの、変わらないもの

2017-02-12 05:00:00 | 日記
私がアイスランドへ移ったのはもう二十五年前、いやこの四月二日で二十六年も前になります。なぜ日にちを覚えているかというと、前泊した成田のホテルで「入社式」のニュースを見たからです。

新しい門出に立っている多くの若い人たちを画面で見ながら「こっちもそうだな」と思いながらも、なぜか心重いものがあったのも覚えています。

さて、いきなり「昔はなー」的に始まりましたが、これは老人の特権ですのでご容赦。今日書きたいことはコミュンケーションの発達と、それに付随するいろいろな生活スタイルの変化のようなものです。一般論は世に満ちていますので、ここでは私の実体験バージョンに限らさせていただきます。

始めの数年は、東京の両親が月に一二度送ってくれる新聞と「ニュースステーション」などのビデオが、日本からの唯一の情報源となりました。ちなみに「ニュースステーション」は久米宏と小宮の悦ちゃんのコンビでしたから。

こういう環境では得られる情報は限られています。結果、私は90年代に日本で何があったか、誰の歌が流行ったか、どの野球選手が活躍したか、等々の知識がまったく欠如しています。ZARD坂井泉水さんさえ、亡くなって初めて知ったほどですから。(亡くなってから大ファンになりました)

もちろん私だけそのような状況にいたわけではなく、「庶民の国際コミュニケーション」一般というものはそのようなものだったのです。




No borders
Myndin er ur heimasidu No Borders Iceland


1997,8年頃から、仕事で難民申請者の人々とのコンタクトするようになってきました。その頃サポートしていた人で、クルドから来た兄弟を覚えています。クルドはイランからイラク、トルコにまで及ぶ広範なクルド人居住の土地なのですが、独立国となっていないのはご承知の通りです。

しばらくしてお兄さんの方の婚約者(この人もクルド難民)も加わったのですが、何年も家族と会えていないとのこと。ちょうどクリスマス前の時期だったので、多少のクリスマスプレゼントになるようにと、教会のビショップのオフィスの許しをもらって、クルドまで国際電話をかけさせてもらいました。

ロンドンの電話局経由だったと記憶していますが、通話できたのは十五分くらいだったと覚えています。それでも、それなりに喜んでもらえて、多少のサンタさん気分に浸りました。私が電話代を払ったんでもないのに。

その頃は難民申請者の間では、「家族と何年も連絡できていない」というのが当たり前のような定番でした。

しかし、時を経て、ネット交信が高度に発達した2016,7年ともなりますと事情は違っています。今では難民申請者といえども、相当数がスマートフォンを持っていますし、フリーWiFiを使ってスカイプだの何だので、かなり頻繁に故国の家族と連絡が取れていたりします。ただもちろん、シリアのような激戦地ではそうはいかないようですが。

さて、そのようなコミュニケーション手段の発達の中で、私自身の難民の人たちとの仕事の仕方、というよりはポリシーのようなものも再考を余儀なくされています。

昔も今も変わらないのは「強制送還」デポテーションです。これには失望感、怒り、不安、無力感というようなネガティブな感情がまつわりつきます。別に私が送還されるわけではないのですが、やはり心に重くのしかかってくる出来事です。

で、以前は、それでも一度誰かが送還されてしまったら「それでおしまい」という区切りの付け方がありました。実際に連絡が取れなくなってはどうしようもないですし、こちらもすべての問題を際限なく抱えていくことはできないので「国外へ出てしまった人に関しては、その国の人に頑張ってもらう」ということに決めていました。

ところが気がついてみると、今はFacebookなどで送還されてしまった人たちの「その後」をフォローすることが可能です。実際、私のFacebookフレンドの中には、送還された難民申請者の人が大勢いるんです。実際にいまだに連絡を取っている人も何人もいます。

十日ほど前に、私の担当している祈りの会のメンバーふたりがイタリアへ送還されました。イタリアというのは、その国がいい国かどうかという問題ではなく、難民の生活状況が著しく悪いところなのです。中東、アフリカからの玄関口になってしまっていますからね、これは仕方ないでしょう。

で、そのメンバーふたりもイタリアの路上へ放り出されることとなってしまいました。




Refugees are human beings


ふたりのうち一人は、今はミラノに滞在しているのですが、アイスランドの支援者たちが連絡を取りつつ、彼のために家を探したり、カンパを募って送金したりしています。最終的にはこちらへ呼び戻そうとしているのです。

これは「繋がっていること」がポジティブに作用している場合で、良い結果をもたらすかもしれないものです。ですが、そうではない場合もあり得ます。

昨夏に、アイスランドからやはり強制送還されたイラクの少年がありました。実際は十六歳だったのに十八だと偽っていました。彼は入国したノルウェーに送還され、そこで難民申請への拒否を受け、イラクへと本国送還になりました。

いろいろな理由があるのですが、彼がアイスランドでキリスト教に改宗したこともあり、彼は現在バグダッドの近郊に住みながら、家族から勘当されたような状態に置かれています。

この少年も時折メッセージを送ってきます。彼は英語ができないので翻訳アプリを使っていることもあり、なかなか会話を実のあるものにすることができません。結局「Please,help.Help」というような言葉の繰り返しに終わってしまうのがオチなのです。

正直言ってこれは私にとってはしんどいものがあります。私は国連職員ではありませんし、事実問題は手の届く範疇にはありません。その状況で泣きつかれても辛いのですが、それでも交信を切ってしまうと、彼にはさらに追い討ちをかけるような仕打ちになってしまいます。

というわけで、こういう場合にどのように対処すべきかを考えている最中なのです。

以前なら自然に「終了」の区切りを付けられたものが、今ではその区切りの付け方が難しくなったといいううか、ズルズルと引きずっていってしまうことができるようになってしまったわけです。

牧師というのは、医者や弁護士とも違い、相手を「クライアント」としてみることをしません(少なくとも私はしません)。ですから人間関係上で区切りをつける、というのは本当に難しくなることがあります。

とは言いながら、私は「無礼な奴」「自分の都合でしかものを考えない奴」に関してはかなり冷たく切り捨てますが... (^-^;

コミュニケーションの手段と度合いは驚くほど発展しても、根本にある「人と人との関係」のあり方には、まだまだ考える余地があるようです。


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カトラさん、ヘクラさん、女性の大爆発?

2017-02-05 05:00:00 | 日記
先日、アイスランドの日本大使館からメイルが届きました。内容は「カトラ火山の噴火が予想されるとアイスランド当局が注意を喚起しています。カトラ火山方面を旅行さる方は、十分に情報に留意し気をつけてください」とうようなものでした。

大使館はわりとマメにこのような「注意メイル」を送ってくれます。大抵の場合は「ヨーロッパでのテロが懸念されています。お出かけの予定のある方は気をつけてください」とか「アメリカへのテロが懸念されています。不用意に米大使館などに近付かないように」というようなものです。

テロも実際にあり得ることですが、それだけでは漠としていますし、注意も普段している以上のことはしようがないような気もします。対して火山の噴火はより現実的というか、実際にそこにあるものを専門家が観察しつつ「要注意」と言っているのですから、これはそれなりに受け止めなくてはなりません。

そこで大使館からの情報のお裾分けです。三ヶ月以内の滞在予定で観光に来られる方などありましたら、緊急情報の連絡用に外務省が用意した「旅レジ」という登録サイトがありますので、ぜひ登録しておいてください。渡航先の最新安全情報や,緊急時の大使館又は総領事館からの連絡を受け取ることができます、とのことです。

旅レジ

ご承知のようにアイスランドは日本と同じく火山国です。特にここ数年来は年中どこかの火山が噴火しているような気がしてきました。

今回注意報で挙げられているカトラ火山ですが、アイスランドの地図を見た場合、一番下の南の海岸線近くにあるミルダール氷河という氷河地帯の中にあります。ここで地震を含む活発な地下活動が観測されているのです。

2014年の秋から長きにわたって溶岩を噴出していたバウザールブンガ火山群(正確に「火山群」なのかどうか知りませんが、噴火口があちこちにありましたので、そう呼んでおきます)は、このミルダールヨクル氷河の右横にある、アイスランド最大の氷河ヴァトナヨクル氷河の北西の部分にあります。この火山群でも現在また地震が観測されています。




1918年カトラの大噴火
Myndin er ur Landogsaga.is


さてカトラですが、先にも言いましたようにミルダールヨクル氷河の下にある火山です。(ちょっと細かい話しですが、「ヨクル」というのは氷河のことですので、「ミルダール氷河」とした方が正確です。ですが、山や川などの名称にはそれだけで固有名詞のようになっているものもありますので、なかなかすっきりと呼称を確定できません)

カトラは海抜1400メートルで、火口の直径は30キロもあります。火口内に100平方キロで深さが700メートルもあるカルデラがあります。火口内の、何と言うのでしょうか、火口内火口?は16確認されていますが、おそらく20以上はあるだろうと推測されています。

これまでカトラは40−80年の周期で噴火を繰り返してきています。一番最近の噴火は1918年でしたので、すでに99年前。このことからここ数年、カトラの大噴火が何かにつけて噂になっていました。

カトラの噴火は国民生活に非常に大きな影響を与えると言われています。カトラのあるミルダールヨクル氷河の下方を、国内を一周する国道のリングが通っています。もしカトラが噴火すると、その熱で溶け出した氷河の雪や氷が濁流となって氷河の「下」で流れます。

そしてその濁流は氷河の下方のどこかの地点で地表に噴き出すわけです。この濁流の行き先を予測するのが難しいらしく、「水は上から下へ流れる」ことから下方のどこかで噴出する、以上のことは実際に水が出てくるまでわからないのだそうです。

ですから、国道が寸断されることになる可能性は高いですし、そうなると今が稼ぎ時の観光業にも大きな打撃となるでしょう。まあ、一時のように逆に「溶岩見学ツアー」なんていうのも復活するでしょうが。

ところで、この「カトラ」Katlaというのは女性の名前です。アメリカではハリケーンがよく女性の名前で命名されますよね、カトリーンとかサンディとか。なぜそうなったかというと、なんでも「固有名の方が関係者内で間違いなく迅速にコミュニケーションできるから」とか「軍関係の気象学者たちが自分の奥さんやガールフレンドの名前をつけた」とか色々と説はあるようです。

ちなみに1979年以降は男女平等の精神で、男性名も付けているんだそうです。でも、思いつくものは何もないんですよねェ。

アイスランドの火山の中には他にも(すべてではありません)女性名を持ったものがあります。一番有名なのはカトラの西隣りにあるヘクラHeklaです。




普段は女王の気品 ヘクラ
Myndin er ur Skarpi.is/Skarphedinn Thrainsson


ヘクラは海抜1491メートル、「アイスランド火山の女王」と呼ばれています。前回の噴火は十七年前の2000年の2月のことでした。噴火のようやく15分前になって、噴火するとわかったという、ウソのようなホントの話しが残っています。

ヘクラも定期的に噴火を繰り返し、最近では1970年−80年−91年−2000年というサイクルになっています。大体十年サイクルですから、今回の「休養」は十七年と長いですね。そろそろかも...

カトラさんもヘクラさんも、わりと周りに普通にいます。私が知っているカトラさんは、以前マルチカルチュアル関係の仕事で協力していた方です。黒髪の美人で胸も豊かな方でしたが、そういえば怒れば怖かったなあ。私が怒らせたわけではなかったので幸い。

そういう、女性に関する国民の共通的体験から火山が女性となったのでしょうか?こういうことをうかつに口にするとフェミニストから吊るし上げをくいますからね。それもコワイ。「〜だ」という断定ではなく、「〜でしょうか?」という軽い疑問ですのでご容赦を。

カトラとヘクラ。噴火しないで欲しいものです。酪農業、交通、観光、飛行機、警察、レスキュー隊...誰もトクしない「ダレトク」の見本ですから。


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