レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

アイスランド2020年前半の人の流れ

2020-07-26 00:00:00 | 日記
心地良い天気の続くレイキャビクです。先週は強風警報が久々に発令されましたが、その後また15˚C程度の穏やかな日々に戻っています。

この15˚Cは公式の気温なのですが、実際には日差しの下などでは20˚Cくらいにはなっているのだろう、と思います。家のベランダに据え付けの温度計では、いつも公式温度よりは高めの気温が表示されています。




アイスランドの自然 私の写真ではありません 多少なりとも清涼感が出るように願いつつ
Myndin er eftir Jonathan_Auth @Unsplash


前回書きましたように、私はこの二週間を夏休みとして過ごしました。文字通り「な〜んもしない」二週間で、頭や身体を使うことはまったく、なにもしませんでした。したことといえば、ネットで日本のニュース、バラエティやお笑い番組を見ること。

決してクリエイティブではないのかもしれませんが、今年のように心が沈むようなニュースのオンパレードの日々の中では、「お笑い」というのは実は非常に大切なものだな、と認識を新たにさせられました。

ちなみに最近ハマっていたのは「太田上田」とか「あちこちオードリー」でした。これらの番組、ご存知の方はご存知でしょう。「太田上田」って、見始めると止まりませんよ、本当に。(*^^*)

こちらへ移ってから、再来年で満三十年となりますが、「心の底から笑う」ということに関しては、いまだに日本のテレビに頼っています。なんというか、感性?が違うんですよね、こちらとは。大笑いするのは日本の番組を見る時です。お笑い関係者の皆さん、日々のお働き、感謝いたします。m(_ _)m

その他のニュースは相変わらずヘビーですね。コロナの逆襲、大雨洪水被害、アメリカの不安定な社会情勢、GoToを巡るドタバタと国と小池都知事の確執等々。コロナ や大雨はまだ自然災害の範疇でしょうが、GoTOドタバタや、国と東京の喧嘩なんかは、側から見ていても「いいかげんにしてくれ!」と言いたくなります。




我が家の寒暖計は20˚C到達!


さてアイスランドですが、こちらではコロナは収まってくれていますが、周囲の世界にコロナが居続ける以上、負の影響は残っている、というよりは波のように繰り返して押し寄せてきます。

先週の金曜日のニュースですが、アイスランド大学の国際関係オフィスの長であるフリズリーク・ソウルさんが「少なくともこの秋学期(八月末からの新年度の前期、年末まで)には、交換留学のプログラムはキャンセルされる見通しです」とメディアに語りました。

すでに日本を含む各国の提携大学とも話し合い、相互決定がなされているようです。前回、高校生のホームステイ留学がサスペンドされたということを書きましたが、同じ内容の決定が大学レベルでも確認された、ということですね。留学に向けて準備をしてこられた皆さんには、とても残念なことだろうと察します。

このように「人の移動」ということを、大きく妨げているコロナ禍です。そんな中で、今年2020年の前半、1月始めから6月末までの、アイスランドでの居住人口の統計が発表されました。

発表は統計局によるもので、今年の上半期での、移民を含むアイスランドでの居住者の「国内外への」住居移動の数を示すものです。私が目にしたのは、モルグンブラウジィズ紙Morgunbladidの記事のみで、もとの統計局の資料ではありませんので、ごく簡単な数値のみとなります。

まずアイスランド人を見ますと、今年の上半期に国内へ戻ってきたアイスランド人は670人。このうち660人はノルウェー、スウェーデン、デンマークからのご帰還組です。その他の国からが10人程度あるようです。

フィンランド以外のスカンジナビア国からの帰還は、第一四半期に320人、第二四半期に340人とほぼイーブンなのですが、経済学者のマグヌス・アルトゥニさんの説明では「留学生の多くがコロナの発生の故に、授業がリモートになったりしたのと、加えて身の安全を考えて帰還したのでは」とのこと。

実は私の息子もスウェーデンに留学中でした。スウェーデンは、ご承知の方も多いかもしれませんが、コロナに対してノルウェー、デンマーク、フィンランドそれにアイスランドの他の北欧国とはまったく異なった対処法を選びました。

他の国が「集会規制」「外出自粛」「営業自粛」を中心にして、感染封じ込みを測ったのに対して、スウェーデンは特に何の規制もせず「国民総免疫」化を図りました。結果は惨残で、スウェーデンでのコロナ死者はノルウェーなどの二十倍(ノルウェー255人に対しスウェーデン5676人: 7月23日現在)、今、国内外から厳しい批判の言葉がスウェーデン政府に浴びせられています。

さすがに私も息子の心配をしましたが、幸い感染を免れて学校を修了。七月に一時帰国していましたが、職探しでまたスウェーデンに戻って行きました。




上半期の人口移動を報ずるモルグンブラウジィズ紙の記事


統計に戻りますが、逆に上半期にアイスランドを離れたアイスランド人もあり、計430人が他の国へ移って行きました。帰還組と出発組をトータルすると、240人のプラスとなります。「プラス」というのは変な表現ですが、要するに「アイスランドに居を構えるアイスランド人が増えた」ということです。

ただ、昨年2019年の同時期の統計を見ると、スカンジナビアから帰還したアイスランド人の総数は630人、出発組は530人でしたので、今年の統計とほぼ同じ。必ずしもコロナは影響していないのでは?という気もします。

ついで外国人、つまり移民ですが、今年の上半期にアイスランドへ移ってきた外国人の増減は1190人の増加となっています。移ってきた数、出て行った数の各々は明記されていません。すみません、ザックリです。

ですが、この数にはかなりはっきりとコロナの影響が出ていると思います。というのは、過去三年間のアイスランドの移民の増減数を見てみると、2017年プラス7888人、2018年プラス6621人、そして昨年2019年がプラス5020人、とかなり大きな数で増加してきていたからです。

それが今年は年の半分を終えて1200人弱というのは、やはり国境封鎖や、コロナ禍での営業休止等の故だと推察して間違いないだろうと思われます。

さらに過去を振り返って見ても、移民数の増減がマイナスになったのは稀で、経済恐慌直後の2009年から2011年までの三年間だけなのです。それも2009年はマイナスが2369と大きな数だったものの、2010年は400人余り、2011年は93人のマイナスで留まっています。




内容とは無関係 これは私のホーム教会の前の原っぱのタンポポ


言うまでもないことですが、移民の増減は、アイスランドの経済が伸びているか、縮んでいるかに直接左右されます。ここのところ数年はアイスランド経済は、経済恐慌直前の時期と同様に好況を保っていましたので、経済の底辺を担う移民労働者も増加傾向にありました。

現在の移民総数は五万人以上となっています。コロナにより経済生活もめちゃめちゃになってしまいましたが、その実態がどのようなものであるのかは、徐々に明らかになってくるだろうと思います。その中で移民総数がどのように変化していくのか、それも明らかになってくるでしょう。

私自身は、移民牧師ですが、現在の仕事の比重は難民の方にシフトしています。その難民の流れも一時期ストップして(させられて)いたのですが、国境が再オープンして以来、すでに難民申請者数は増加しつつあります。

二週間の強制「コロナチェック隔離」がありますので、まだ私の仕事そのものには影響が出ていませんが、八月には、またそのような新しい状況に相対しなくてはなりません。

冒頭に「暗い時期だからこそ『お笑い』が必要」みたいなことを書きましたが、お笑いに頼り切っているのは情けない話しで、私ら教会関係者も社会に光を提供すべき立場です。心してかからないと。

いずれにせよ、このコロナはそう簡単には消えてくれそうもないですし、「コロナがそこにいる」ということを前提条件として、これからのプランを立てる必要がありますね。面倒ですが、それにアジャストしていかなくてはいけませんね。

日本の皆様も、十分に気をつけながら、それでも良い夏休みをお過ごしください。


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浜のアザラシ、陸のナマケモノ

2020-07-19 00:00:00 | 日記
こんにちは。七月中旬のレイキャビク西街からご挨拶です。今、これを書いているのは16日の金曜日なのですが、レイキャビクでは、風が強いですし、黒っぽい雲の合間から太陽が時々見え隠れするような、あのいかにも「不安定」という天気になっています。

アイスランド北部を中心として、昨日、今日、そして明日にかけて、久しぶりに強風荒天の警報が出されています。

こちらでは、ボチボチと外国からのツーリストも戻り始めているので、警報が出されている北部ではトレッキング中のツーリストが不用意に荒天の中に取り残されることなどがないように、注意を喚起しています。それでも、キャンピングカーが強風に煽られて横転したり、山の斜面が崩れたりと、多少の被害も出てしまったようです。




「癒し」のアザラシちゃん
Myndin er eftir Zdenek_Machacek@Unsplash


ところで、先々週の半ばから私の生活に変化がありました。夏休みに入ったのです。で、今回は夏休みについて触れざるを得ないのですが、これってわりと書きにくいトピックなんですよね。

社会の仕組み、または文化の違いで、こちらでは誰でもガッツリ「まる一ヶ月」夏休みを取ることになっています。そういうところから日本向けに夏休みのことを書くと、なんというかイヤミに取られかねないかと心配してしまうからです。

短い間でしたが、私自身「新橋のサラリーマン」でしたので、日本での夏休みの短さは体験していますし、こちらへ移って以降も、旅行に来られる方、特に結婚式などでいらっしゃる邦人の方にお会いする度に、いかに「休みを取るのがしんどいか」を伺い続けています。

ですが、こちらの生活をご紹介していく中で、やはり夏休みは避けられない生活の一部分です。私の書きますことは決して嫌みでもあてこすりでもありませんので、まずはそのことのお断り書きです。

さて、私の夏休みなのですが、前回書きましたように七月の最初の日曜日に、私の娘の娘の洗礼式がありました。その日は朝から式後のお茶会等の準備、式とお茶会の後は後片付け等々で座る暇がありませんでした。

で、その夜は「マジで疲れた〜」となりました。肉体的なこともありましたが、やはり精神的なものの方が大きかった気がします。赤ちゃんに関することは、やはり気遣いで疲れるんですよね。

その週明けの月曜、火曜あたりはそれでもウダウダと仕事をしていたのですが、水曜日になって「もうダメ〜」となりました。集中できないし、ささいなことでイライラしてくる。それで夏休みを取ることにしました。「でも、そんなに急に休みに入れるのか?」と思いでしょ?

今回は大丈夫な状況だったのです。もともと七月は「休みの時期」なので、周囲が皆いません。教会へ行っても、いるのは私と、サバチカル明けのシフトの牧師さんだけ。仕事をするにしても、非常に制限された枠内でのこととなるのです。

それでも、私の職務内では七月は忙しくなることもあります。昨年は結構忙しかったように記憶しています。私は難民の人たちの関係の仕事に従事しているのですが、難民の人たちは七月にもやってくるからです。例年は。

ところが今年の場合は、あのコロナの影響で、ヨーロッパ間でも行き来が途絶えました。その結果、難民の人たちの行き来も制限され、結果、新規難民申請者がいない、という空白期が生まれたのでした。

実は6月末に国境がオープンして以来、すでに難民申請者の人たちは来始めているのですが、「二週間の隔離期」がコロナのためにあるため、まだ私のところへ来る人はいないのです。

そうなると、私の職務内での「絶対にしなくては」の部分も相対的に少なくなり、急な夏休み宣言をしてもOKとなったのでした。本当は、休みは七月の最後の週の前後十日間、と予定していたのですが、疲れたし、休むなら今のうち、というのが正解のように思われたので予定変更です。

考えてみると、二月以降絶え間なく忙しい日々でしたし、忙しいだけでなく自分が最終責任を負うような課題が多かったのです。コロナ自粛中も、むしろすることは増えた感がありましたし、まあ、初老のおじさんなら疲れても当然の状況ではあったですね。

そう言いながら、日本の同年輩の諸氏はもっと疲れてんだろうな、という思いはありますが...

とにかく、それで9日の木曜日から夏休み。それ以降一週間でしたこと...

何もなし。

自慢ではないですが、眠ること、(息子が帰省していたので)食事を作ること、洗濯、週一ブログ、ネットでテレビ。これで全部。自分でも驚くくらい何もしませんでした。




ナマケモノは英語ではsloth この顔もまた癒し系ですね
Myndin er ur Ja.wikipedia.org.jp


読書すらせず。まさしく陸のナマケモノ(Sloth)か浜のアザラシちゃん。ちなみにワタシ、アザラシちゃんに究極の癒しを見出すタイプです。

朝起きて、運が良ければ「Nスタ」のライブをまず見ます。これ、毎日は見れないんです。ライブをアップしてくれる人がいる日だけ限定。これはライブですよ。生(なま)。同時進行中。

その後、昼過ぎから「バイキング」と続いて「グッディ」。これらは十二時間程度の遅れで見ることになります。一時期、ネットから姿を消してしまったこれらの番組ですが、最近、また見れることが多くなりました。

面白いもんで、「バイキング」とか昼から見始めると、生で見ているかのような気分になってきます。実際は半日遅れなんですけどね。

ただ最近は「豪雨災害」「コロナ復活」「ユッキーナ電撃引退」とかで、気が滅入るようなことばかりですよねえ。でもこれが現実か〜... (それに土曜日の三浦春馬さんの突然の訃報。ビックリしました。まだ三十歳だったとか... ご冥福をお祈りいたします)

そのような怠惰な毎日。でも、あの朝、目が覚めた時の「ああ、今日は何も予定がないんだ」という思い。いいですよねえ! 至福のメゾン一刻だなあ。今の状況下限定ですが。(いつまでもこうでは退屈します)

私の場合は、例年は真夏になるより前に日本へ二週間くらい帰省し、それを夏休みとしていたのですが、今の状況ではそれは無理ですね。日本へ戻っても、コロナ対策で「二週間隔離」となったら、それだけで休みが終わってしまいます。

アイスランドでは、東京のようなぶり返しは起こっていないものの、コロナの影響はまだまだ残っています。例年なら、大挙してスペインだとかにバカンスに出かけるアイスランド人ですが、今年はもっぱら国内旅行。

観光業サポートのために、日本のGo Toトラベルと同じように、政府は国民全員に5000クローナのクーポンを発行。国内旅行先の主な観光スポット、ホテル、飲食店等で使えるそうな。自分で使わない人は、他者に譲渡できるそうで、私も誰かにあげようと考えています。




かわいい... アザラシちゃん
Myndin er eftir Brendan_Hollis@Unsplash


今の時期はまた、例年だったら留学生が最終準備に入る時期なのですが、今年は高校生のホームステイ留学の斡旋元が「秋からの留学」中止を決めたそうです。毎年日本からの高校生を受け入れた家庭の方から「残念だ」と聞きました。

大学でも留学生予定の方々は、アイスランドへ向かう方も、アイスランドからどこかへ向かう方も、様々な予定変更や、あるいはキャンセルに直面していることでしょう。

誰かが意地悪しているわけではなく(米移民局の『留学生帰れ』政策は限りなく意地悪に近い気がしますが)コロナのせいですから、他者を責めることは難しいでしょう。とにかく、できるだけ当初の目的がかなうように願います。

コロナの影響といえば、リモート・ワークがとにもかくにも導入され始めたのですから、これを機会に、日本のお勤めの皆さんがもう少しゆったりとした夏休みやお正月休みを取れるような、システム改革が起こるといいですね。

「休ませられない」ということは、実際にはそんなにはないんじゃないか、と以前より考えています。実際により長い休暇を組み込んでいる先進国は多数あるのですから、可能なはずです。

コロナはとんでもない災害となりましたが、何かしら「ポジティブ」なものが、そこから生まれてくるように願いますし、また、そのように努力しないといけないでしょうね:

と、のたまうレイキャビク西街のアザラシでした。


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アビとおじいちゃん、それにモアファア

2020-07-12 00:00:00 | 日記
それなりに夏らしい天気が続いているレイキャビクです。「暑い」と感じることはまずありませんが -それでもたまに外で日差しの下にいると「暑い」こともあります- 「寒い」ことがないだけで、心持ちが良くなります。

日本のニュースにもついていくようにしていますが、大雨の被害は尋常ではないですね。コロナ の後でこれでは、本当にたまったものではないでしょうし、被災地の皆様にはお見舞い申し上げます。

一方、東京では木金と二百人を超えるコロナ新感染者ですか?困ったものですね。このタイミングで集会規制の緩和や、国内トラヴェルの支援が行われるとか。「これが正しい」という答えがない問題なので、為政者にとっても舵取りは難しいだろうと察します。

さて、本来のしょうもない話題に戻ります。

前回「ホンマでっか!? TV」に触れましたが、その続きから。八王子の話題の後、番組の後半ではさんまさん、所さん、そして郷ひろみさんが登場。なんでも当日がさんまさんの六十七歳の誕生日だったそうで、それにちなんだ企画。この御三方、みなさん同い歳なのだそうです。

その中で話題になったのですが、さんまさん、所さんが共通して口にしていたのが「六十七歳になっても、若い頃『六十後半はこんなやろうなあ』と考えていた有様とは、全然違う』ということ。 「昔は六十歳とかは、もっとこう悟ったようなもんだろうと想像してたけど、全然今までと同じや」とのこと。

これ、私の周囲を見渡しても、ほとんどの人が口にすることのように思われます。私自身もそう思います。今現在六十一歳になったのですが、若い頃、その辺の歳の人はこうだろう、と思っていたのとは雲泥の差がある自分です。

「オレ、セイチョウしないからなあ...」と感じていたのですが、同じようなことをあっちからも、こっちからも聞くようになって「ああ、これはワタシ限定のことではなく、みんな同じなんだ」と気が付かされました。

ということはですね、皆さん。もし皆さんがまだ四十歳かあるいはそれより若い世代としたら、あなた方が心に思っている「六十台はこうだろうイメージ」は、すべからず「ハズレ」だよ〜、ということなのです。(*^^*) 六十台とはまだそんなに「熟成」してはいないのでした。




先週の日曜日、洗礼式の様子


さて、これが今回のお話しの前提となります。これからが本題。

実は先の五月に娘に赤ちゃんが生まれました。女の子。で、先週の日曜日にその赤ちゃんの洗礼式(キリスト教に入るための教会の儀式)が行われました。この洗礼式、アイスランドではこの機会に赤ちゃんに名前を命名する習慣があります。また、親戚や友人に赤ちゃんをお披露目する機会でもあります。

この赤ちゃん、愛称をドラミちゃんと言いますが、私にとっては初孫です。そういうことから、周囲の邦人の方々が「トーマさんも、いよいよ『おじいちゃん』ですねえ」とか言い始めたのです。

ギョギョ! おじいちゃん!? これこそ「ホンマでっか!?」です。

なんというか、「娘に赤ちゃんが生まれた」というのは事実です。おめでたいことで、なんの抵抗もありません。その孫から見た続柄が「祖父」であることも事実です。これらは客観的な事実関係。

しかしです。それが「おじいちゃん」と連携するとなると、そう簡単には受け入れられない。何せ、先に述べましたように、私自身はまだ熟成していない「万年青年」なのですから。それが「おじいちゃん」と呼ばれると「いやいや、まだそんな歳じゃないから」と言いたくなってしまうのです。

アイスランド語では「祖父」のことはafiアビ、「祖母」はammaアンマと言います。このアビ、アンマは孫から見ての「親の親」「祖父祖母」という続柄を示す意味しかなく、一般的な意味での「老人」「高齢者」という用法で使われることはありません。

こちらでは、割とよくあることなのですが、例えば女性が二十歳で娘を産んだとしましょう。そんなに特別なことではありません。その娘が、今度は自分が二十歳になった時に子供を産んだとします。すると、生まれた子供の母親の母親は、四十歳にしてアンマとなります。

アイスランド語では「アンマ」と言ってなんら問題も違和感もありません。だって「祖母」という族柄だけを指す言葉で、年齢は関係ない言葉ですから。

ですが日本語だと「おばあちゃん」となり、どこか違和感が出てきます。四十歳はどう考えても「高齢者」ではありません。だからおそらく日本では「若いおばあちゃんねえ」とか注釈を付ける羽目になるだろうと思うのです。




洗礼式用のケーキ 中央に名前が書かれていますが、式終了まで「砂糖の皮」で秘匿


問題は何か、というと、日本語では「おじいちゃん」「おばあちゃん」という言葉には二重の意味があり、一方で「祖父」「祖母」という続柄を示しながら、同時にそれは「高齢者」を指す言葉になってしまっていることです。

多分、昔はそういうものだったのでしょう。孫ができる年齢というのは、社会的に見ても高齢者に属する年齢だったのだろうと思います。

ですが、平均寿命が九十歳近辺に達している昨今では、これはもう事実から乖離している面があるのではないでしょうか?さんまさん、所さん、郷ひろみさんたちだって、どうみても「おじいちゃんズ」ではないではないか。

で、ワタシは強く訴えたい! 「孫との関係」を指す意味において、従来の「おじいちゃん」「おばあちゃん」に替わる言葉を創るべきだ、と! 

後から糾弾されないように、この辺で断り書きをしておきますが、別に「高齢者」が悪いとか、マイナスだとか言っているわけではないですよ。高齢者の方々は、人生への見識も知恵も豊かでしょうし、一方では肉体的な強さでは弱り始めているでしょうから、それにふさわしい敬意といたわりを社会から受けて然るべきだと考えます。

言いたいことは、「六十台では、まだその途上であるだけだよ〜」ということ。 人には歳相応の対応というものが必要なのです。幼稚園児に三角関数を教えることはしないでしょうし、高校生に年金相談窓口は必要ないでしょう。つまり、そういうことです。

孫ができたからといって、「おじいちゃん」「おばあちゃん」の冠を被せて、無理やり高齢者の範疇に押し込むのはヤメロー! 無理強いしなくたって、いずれ自然とその範疇に入っていくのだ、ワレワレは。




洗礼式は、こちらではけっこうなお祝いになります


よろしい。それでは、アイスランド語のアビ、アンマに相当するような「高齢者」の意味を含まない「祖父」「祖母」を表す言葉を創るとしましょう。どんな言葉が良いでしょうか?

ウ〜ン... こちらに住んでいると、「アビさん」とか「アンマさん」とか横文字流用で済ませられるのですが、日本語を創るとなると多少のセンスが必要ですね。新語造成は圧倒的に若い世代の方々の方が得意でしょうから、ここはやはり一般公募か?

ちなみにデンマーク語ではfarmorファアモア(父の母=父方のアンマ)とかfarrfarファアファア(父の父=父方のアビ)、morfarモアファア(母の父=母方のアビ)、mormorモアモア(母の母=母方のアンマ)とか呼びます。単純。

でも、ファアファア、モアモア... ... パンダか!? (*^^*)

というわけで、今回はなんとか「おじいちゃん」入りに抵抗するワタシの必死の抵抗と悲痛な叫びの回でした。こんな内容のブログを書いているワタシは、どうやっても高齢者の域には達していないのでした。論より証拠。

もし、皆さんに良い新語の案がありましたら、是非ともご提示を。m(_ _)m


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八王子市民人生相談!?

2020-07-05 00:00:00 | 日記
六月末から七月初めにかけて、アイスランドではレイキャビクを含んで全国的に「夏」っぽい天候に恵まれています。「レイキャビクでも20度を超えるぞ!」という予報が、二度三度とニュースに流れました。

公式的な記録は20度には及ばなかったと思うのですが、外を歩いているときに限っての気温だと、まあ20度は行っていただろう、という気がします。願わくば、もうしばらく続いて欲しい「夏日」です。




20という数値を見ることは「稀」
Myndin er ur Visir.is


ここ何回か真面目な内容が続きましたので、今回は通常に戻り、しょうもない内容のブログになります。

先日久しぶりに「ホンマでっか!? TV」をネットで観ました。「八王子市民人生相談」とかいうタイトルだったので目に入ってきたのです。八王子出身のタレントさんとかが集まっての回となりました。

ああ、そうだ。なぜ「八王子」が目に入ったかというと、八王子がマイ・ホームタウンだからです。西八王子駅前にあった南多摩病院が私の出生場所。まだあるかどうかは知りませんが。

(ネットで検索したら、ちゃんとありました。スミマセン。m(_ _)m しかも、以前より数段上のモダンな建物になっている)

トウキョウ港街ひとり日誌(18-1)– ハチオウジの復活


「ホンマでっか!?」ですが、集まったのはヒロミさん、高橋みなみさん、フワちゃん、マキシマム・ザ・ホルモン(ゴメン、全然知らない)のナヲさん、ファンキーの加藤さん、それにアンジャッシュの大島さん... コジマだよー!

ついでに児嶋さんの相方の多目的トイレ王も八王子なんですよねー。それにゲストではないのですが、コメントレギュラーの池田清彦先生も三十年以上も八王子の住民とか。




私が生まれた「南多摩病院」 立派な建物になりました
Myndin er ur Minamitama.jp


で、いろいろ八王子出身者の悩みというか不満をトークしたわけですが、まあ八王子出身者には「あるある」のオンパレードでした。

自然発生的に八王子組の頭領はヒロミさんになったわけですが、まず悩みというか不平のナンバーワンは「都民からバカにされる」「八王子のクセに『東京出身』って言うな!」というようなこと。

TOKYOだよ! 八王子は。

それの関連で話題になったのが高尾山。言うもまでもなく、今では人気の観光スポットなのです –実は、ワタシ的にはそれがいまだに良く理解できないのですが– 。

ファンキー加藤さんから緊急お知らせがあり、高尾山はこの「ホンマでっか!?」の収録があった前日の六月某日に「日本遺産」に認定されたとのこと。東京都からでは初の快挙とか。

(ちょっと不思議なのは「父島とか母島とかはどうなの?」ということ。東京都でしょう、小笠原諸島は?)

それはとにかく、「高尾山は八王子だぞ!」と言うと、「いや、高尾山はタカオザンだから」という人が多いのだそうな。この部分は私は個人的には体験したことがありません。ですが...

HACHIOJIだよ! 高尾山は。

八王子は東京から締め出したい。高尾山は高尾山で切り離して賞味したい。こういうのを「都民... いや23区エゴ」というのだ。

だいたい、その23区の成り立ちは完璧な外部依存ではないか! 先日のコロナ関連のNスタのニュースによると、埼玉県からの東京への日毎の移動人口は百万近いということです。

(*追記: このブログをいつも読んでくださっているという、大変慈愛深い女性の方がメイルで教えてくれたのですが、「埼玉都民」というのだそうです、埼玉に住み、東京へ通勤されている方々のこと。知りませんでした。ご教授、感謝です。m(_ _)m )

つまり、埼玉からだけでも、百万人が出てこなければ、都心の生活は成り立たない、ということ。これに千葉や、多少は少なくなるかもしれないけど神奈川からの労働移動人口を加えたら、いったいどれくらいになるやら?

ネットで調べられるでしょうが、そこまではしません。要は鼻高々の23区民さんの生活は、外国人..じゃない23区外の住民サマサマということなのですよ。足元の氷はテッパンではないことをお忘れなく。




八王子は東京都のここにあります
Mydin er ur ja.wikipedia.org


ところで「ホンマでっか!?」では、レギュラーコメンテーターの牛窪恵さんから、いじめられっ子八王子についての、意外なポジティブなトピックも紹介されました。

それは若い世代の方々の間での最近の「住みたい街」リサーチです。一位はウォーターフロント勝ちどき。わかりますよね、私だって住めるものなら... 二位は恵比寿。三位が三鷹。そして、我が街八王子がなんと六位に入ったとのこと! これには私もちょっとビックリ。

牛窪さんの説明によると、ここにもやはりコロナの影響があるそうな。テレワークの普及により、毎日オフィスへ出向く必要のなくなった勤労者が増えたのですが、そうなると、今までは「遠距離」のイメージが強かった八王子でも「週、二三日ならいいか?」という人が増えているのだそうです。

加えて、八王子には「遠距離」でも強みがあります。JRの中央線は高尾発が多く、時間帯によっては八王子発もあります。加えて京王線も新宿直通で通っていて、こちらも八王子が始発。つまり座って行ける。これは出勤に際してはものすごいメリットです。

レイキャビク 通勤時間と公私「混合」




私の実家方面からの八王子風景 中央の十字架は私の出身教会「ルーテル八王子教会」
ちなみに富士山の右が高尾山
Myndin er ur hachiojishi_facebook


さらに八王子は関東ローム層という、戸建てには良い土壌なのだそうで、マイホームを建てよう、という中堅層には魅力が出ているらしいのです。まあ、この辺はワタシには120パー関係ありませんが。

レギュラーコメンテーターの門倉貴史先生(?)は、もうひとつ付け加えてくれて、人口五十万人以上の市町村を対象とした調査で、八王子は2018-19年のゴミ排出量が日本最小だったとのこと。これも私は知りませんでした。

ゴミの分別がかなり厳しかったことは覚えていますが。ちゃんと分別していないと、持ってってくれないんですよね。一度、ワタシがだしたゴミ袋だけ、通りの角にぽつんと寂しげに残されているのを回収した覚えがあります。

八王子は歴史もあり、旧甲州街道の宿場町でしたので、歴史的にもいろいろ蘊蓄を語ることはできましょうが、つまらないのでやめておきます。

事実として長らく斜陽都市であった八王子ですが、ヒロミ頭領が元気なうちに、できるだけ盛り返してもらいたいものと願います。全国的な知名度はないでしょうし、まあ、ローカル都市ではありましょうが、皆さん、これから八王子は全国区となります。

いっそ「高尾市」に変えた方が早いんじゃないの?... ってか?


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