レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

「捲土重来」のないアイスランド政界

2020-08-30 00:00:00 | 日記
突如飛び込んできた安倍首相の辞任ニュースで、日本ではビックリの週末ではないかと想像します。安倍さんの首相、あるいは政治家としての働きをどう評価するかは、多様な意見があることでしょうが、それはそれとして病気の進行が治り、健康を回復されることを願います。

「安倍首相、辞任の意向を固める」の速報は日本時間の金曜日の午後2時くらいに流れたと思います。その時間はこちらでは同じ金曜日の未明の午前5時。実は私はこの日は夜中の3時前に目が覚めてしまい、一度起きて仕事をしていました。




本文とは無関係 清涼感アップ用写真
Myndin er eftir Cassie_Boca@Unsplash


生でニュースを見ていたわけではないのですが、わりと準生(じゅんなま)くらいのテンポでニュースに接しました。記者会見も録画で後から見ましたが、辞める決心をしたからか、普段からとは一変して、きちんと丁寧に自分の言葉で、記者さんらの質問に答えていましたよね。なんで普段からこうしないのかな?

実はこのニュースに接する直前に、「ブログで日本とアイスランドの政治家の違いを書こう」と思っていたのです。たいしたことのない偶然の一致ですが不思議に感じました。

アイスランドの政治家については、以前にも書いたことがあるのですが、今回「また書こう」と思ったきっかけがあります。これまたたいしたことではないのですが。

木曜日の午後でしたが、車で行きつけのスーパーへ向かっていました。私がかつて居候していた西街のネス教会の近所を通った時、その近所に住むご婦人を見かけました。そのご婦人はご自宅で庭仕事をされていたように見受けました。

その方はかつてアルシンキ(国会)の議員をされていた方で、私が属している「緑の党」の方です。1999年から2009年まで十年間勤められました。2009年に選挙への候補を決める党内選挙で破れ、政界を程なく引退されました。

アイスランドでは国会議員選挙はすべて、いわゆる比例代表制で行われます。アルシンキの仕組みについては、こちらも参照してくださると幸いです。

アルシンキ - 民主主義の原点?

アルシンキ - 小さくとも国会


この方、コルブルンさんというのですが、もともとは舞台女優さんで、政界を引退してからは、また演劇の世界へ戻り劇場の支配人かなにかをされているように記憶しています。




議員も十年間務めた舞台女優のコルブルンさん
Myndin er ur Visir.is


私はコルブルンさんとは、難民関係の仕事で何度かご一緒させていただき、良いご協力をいただいたたことがあったので、2009年の党内選挙の結果は残念でした。ただ、別に個人的な友だちではないので、その後はお会いする機会もなく過ごしていたのです。

で、先日庭仕事をされているのをみかけて、元気なんだ、と安心した次第です。

そして、ふと思い出したのですが、アイスランドの政界では「再選を目指す」とか「復活」「捲土重来を期す」とかいう風潮がありません。一度、議席に達しなかったらそれでおしまい。ピリオド。

余談ですが「捲土重来」って、知ってますか?「けんどじゅうらい」と読み、「一度失敗した人が、再び勢いと取り戻してくること」を意味します。

学生の頃、選挙の手伝いをしたことがあるのですが、候補者が「捲土重来を期す」と何度も演説で言っているのを聞いて、「なんでもっとわかりやすい言葉を使わないんだろう?」と不思議に思ったものです。結局、その方は何度も「捲土重来」を期すままで終わってしまいました。「案の定」と言ったら失礼かもしれないですが、人との距離の取り方にもっと意を払って欲しかったような。

アイスランドに戻りますが、なぜアイスランドでは「再選を期す」がないのか、いまだにはっきりとした理由はわかりません。多分、そういう精神風土というか文化がないのだろうと思います。

なぜ、そういう政治文化がないのかというと、これは多分「職業政治家」という考えがあまりないからではないか?ということに考え当たります。

周囲のヨーロッパの国や、スカンジナビアの国を見ても、職業政治家は普通にいるように見受けますので、これはアイスランドに固有の事象かも。

思うに、アイスランドはついこの間まで、農村酪農または漁業国家でしたので、なんでも「自分でやる」という気風が強いことは確かです。皆さん、大抵のDIY仕事や、それよりも一歩踏み込んだ大工仕事、はたまた芸術関係の趣味も良くこなします。周りにそんなに人がいない農村では、自分でやるしかないんですよね。

もしかしたら「政治」というものもそのような事柄のひとつに並んでいるのかもしれません。商売、というよりは「パブリック・サービス」的なものとして認識されているように感じられます。




アルシンキ国会議事堂
Myndin er ur Althingi.is


そのことのひとつの現れは、「再選を求めない」ことと並んで、国会議員の皆さん、わりとあとぐされなく、きっぱりと辞めることが多いのです。

なにか、スキャンダルを起こして非難を浴びて辞めざるを得ない、というのではなくて、評価される良い仕事をしていて、人気もあるのに「次の選挙にはもう出ない」とのたまわった方はひとりふたりではありません。「えっ?なんで?」と思ってしまうこともありました。

多分「ひと仕事できた」「自分の務めは果たした」というところからきているのはないかと思います。この辺は、私はアイスランドの政治家あるいは政界の良いところだと考えています。

ちなみに国会議員の給与ですが、一般の議員の給与は月額約110万クローネ。大臣が約182万。首相は200万ちょっと。ついでに大統領は300万弱です。え〜と、100万クローネは、今のレートで約76万4千円ですね。仕事の厳しさに比して、それほどの高給ではないように思えます。

もっとも日本と同じで、これらの公職の人々にはいろいろな名目での「手当て」が付きますので、実際は給与以上の収入があることでしょう。交通費がメチャ付いている議員についてのニュースを見た覚えがありますが、ここで掘り返すつもりはありません。

さらに言うと、国会議員を務めると各界に繋がりができますし、人脈というか、要人とのパイプもできるので、それはそれでその後の人生に役立つはずです。財力を蓄えるという意味では、議員はそこそこで切り上げておいて、もっと身入りのいい民間のポストへ就いた方が得、ということもあるのでしょう。

ですから、たとえ議員バッジ(こちらではそういうものはないと思います)に執着がないからといって、必ずしもアイスランドの政治家連がみんなクリーンで奉仕精神に満ち満ちている、というわけではないと思います。

実際、国会議員在職中から、特定の企業、例えば身内関係の会社などに便宜を図って利益誘導をしているような輩はいますし、以前書きました「クロイストゥル(修道院)・スキャンダル」を起こしたようなゲスもいます。このゲスたちは辞めないですね、しょうこりもなく。

修道院の夜の惨劇




クロイトゥル惨劇のゲスの面々
Myndin er ur DV.is


にもかかわらず、アイスランドの政界の透明度は、日本の政界との比較においては相当にクリーン度が高いといって良いでしょう。っていうか、こちらのクリーン度が高いというよりは、日本の政界が濁り過ぎている、というのが正解かもしれませんが。

まあ、国が大きくなるにつれて政治の不透明度が増す、というのはある程度普遍的な法則みたいなものかもしれないですね。

どなたが日本の次期首相のポストに就かれるのかわかりませんが、多少なりとも透明度の増加に寄与される方であることを願います。

と、書きつつも「無理だろう」というのが本心...


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

弱った時は... 自分に優しく、周囲にも優しく

2020-08-23 00:00:00 | 日記
酷暑お見舞い申し上げます。どれだけ暑いかということは、ネットの報道バラエティでイヤというほど見ていますが、実感は持てないですよね。すみません。

こちら、アイスランドでは先週は時折北部では二十度に達することもありましたし、レイキャビクでも十五度を超えることがありました。十六、七度ですら暑く感じます。

それでも夏は着実に盛りを超えてしまいました。今年の夏の特徴は、暑いか寒いかにかかわらず、「季節感のない夏」ということになってしまった点にあります。




本文とは無関係の「清涼感写真」その1
Myndin er eftir alex_he@unsplash


前々回、そしてその前の回でも触れましたが、例年ならイベント詰めのこの八月、Cちゃんのおかげで根こそぎそれらの催しがキャンセルまたは縮小されてしまいました。イベントというものが、自分で自覚していたよりも、それぞれの季節と強く結託していたようです。

そういえば、Cちゃんの第一波が来た春先には、パウスカ(イースター,復活祭)とかの大きな祭日も「Stay home」になってしまい、春らしさを欠いていたことを思い出しました。

季節感の喪失は「イベントなし」ということだけによるものではありません。パウスカの前後にはFermingフェルミングと呼ばれる、十四歳の若者たちを対象とした「堅信礼」という儀式が持たれます。

レイキャビクのお大きな教区では70〜90人ほどの若者たちがこの堅信礼に参加します。普通、一回の式で20人くらいが堅信します。よって、このフェルミング、時には日曜日あるいは土曜日の三回くらいにまたがることになる大きな催しなのです。

このフェルミングが、Cちゃんの影響で春から夏に延期されていました。その延期されたものを、この八月でそれぞれの教会が消化しているわけです。これも季節感的には、なんというか馴染みのない現象なのです。八月にフェルミング...

復活祭の都市伝説とフェルミング


しかもタイミングの悪いことに、こちらでもCちゃんの第二波の真っ最中。集会規制のレベルが上がってしまい、百人が限度。

ということで、各教会でのフェルミングも一回の式で堅信を受けることのできる若者の数も8人程度に制限されているようです。堅信礼には牧師さんの他、クワイアやオルガニストも入りますし、それぞれの若者のゲスト(親戚縁者)を10人と制限したとしても、トータルでは、え〜と、若者8人、プラス家族80人、プラス牧師ふたり、オルガニストひとり、クワイア8人、ハウスキーパーひとりとしても計100人。マックスとなります。

一回の参加者が少なくなるということは、全体としての式の回数が増えることとなります。私の友人の牧師さんのところでは、今日の日曜日から三回に渡って、それぞれの日曜日毎に三回のフェルミングの式を行う、と言っていました。

「計九回。すごい労働だな。それぞれのグループでリハーサルが必要でしょ?それも九回?」と訊くと「ウイ」

「エクストラ」な消化事業?(失礼!)に、各牧師さん方、相当時間を取られているようで、ご苦労様です。いやいや、オルガニストやクワイアのメンバーにとっても同じこと。お疲れ様です。

また、基本的に八月は翌年の春のフェルミングへ向けての準備が始まる月でもあるので、牧師さん方は一方で旧年度の堅信礼を行いながら、一方で新年度のクラスを受け持っているわけです。これまたご苦労様。




清涼感シリーズ その2 これも教会
zak_boca@unsplash


幸か不幸か(「幸」です、圧倒的に。私はこれらのガキンチョの相手が苦手)、特別職牧師の私は、フェルミングの義務からはフリーです。それでも先週の木曜日には、請われて丸一日新年度のフェルミングの集中クラスに手伝いに出かけました。

ネス教会という、十年間居候していた教会からの頼みだったので、例年断り切れないで「出向」しています。私にとっては毎夏、年一回の「勤行」(ごんぎょう)です。

まあ不思議なもので、終わってみれば、それなりに満足感がありますし、子供たちもそれほどひどくはなかった。っていうか、結構まじめだったな。BLM(BlackLivesMatter)運動とか、言及しても関心持ってたし。決めつけは良くないですね。反省。

ところで、その第二波中のアイスランドなのですが、前々回の続報があります。ちなみに、日本と同じく、こちらでも重篤者の患者さんの比率が、春先からはずいぶん顕著に下がっていますので、このCちゃんの再来を「第二波」として位置付け始めたようです。Cちゃんの性質も変わったような。

それでもCちゃんはCちゃんですので、政府当局は慎重に対応しています。先週の始めから、また入国時の検査が厳しくなりました。

一時は、入国時にPCR検査を受けるか、もしくは二週間の自主隔離生活。アイスランド在住の人は五日くらいにPCR二回目の検査。それまで自宅待機。ツーリストの場合は、PCR検査を受ければ、普通に観光にでて良い、とされていました。

ところが、先週からは、ツーリス トも含めて五日後にPCR再検査、そしてそれまでは自宅、もしくはホテル待機が義務付けられました。

この決定には、観光業会から失望と文句の声が上がりました。そりゃ、そうですよね。アイスランドまでやってきて、入国後五日間もホテルに缶詰にされるのを良しとする観光客はいないでしょう。

案の定、観光の予約はキャンセルの洪水。せっかく持ち直し始めていた観光業会は、再び夏の「真冬」と化してしまいました。

ニュースで見た、空港でのインタビューでは、五日間の隔離があっても、それでもアイスランドに来たツーリストは例外なく「長い休暇だから、五日くらいはOK」という皆さんでした。

観光業界の文句と言いながら、実は国民全体にとっての利益の損失ですからね。国だって税収入が減るし、財源の確保ができない。そのツケは我々みんなに回ってきます。困ったもんです。

本当に、毎回Cちゃん関連の愚痴になってしまい、こちらもイヤなのですが、はっきり言って、それ以外にはあまり、巷で話題になるようなことがないんですよ〜。悲しいかな。

そうだ、ひとつだけ。結構かわいい観光及び産業大臣のソルディスさん。たまの休暇で女友達の皆さんとはじけてしまい、「女子会」の集合写真をSNSにアップしてしまいました。




はじけて、うっかりしてしまったソルディス観光及び産業大臣
Myndin er ur DV.is


それを見た国民、急に総自粛警察化して「密!」と非難の大合唱。ソルディスさん、「ずーっと待っていた休暇だったんで...」と多少フテながらも、最終的には謝罪。ワタシはこの「フテる」正直さがむしろ気に入っていて、ソルディスさん弁護派です。

さて、実のないブログの最後に、ワタシ自身の身の周りのことを付け加えておきましょう。

私自身が責任を持つ集会も再開されましたが、春からの集会規制によるZOOMミーティングや、その後もソーシャルディスタンス集会、夏休み等々の後ですので、やはり集会そのものがダメージを受けています。

人の集まりは生き物ですし、そこに集まってくるひとりひとりがCちゃんの不利益を被っていますので、当然全体としてのロスの和も無視できないものになります。

もう、これは嘆いても仕方ないので、集会に関しては一から積み直すつもりでいます。失ったものだけ眺めてると、仕事が楽しくなくなりますからね。

私自身がそうですし、皆さんの多くが同じではないかと思うのですが、やはり私たちの中に、相当のがっかり感、フラストレーション、疲れが鬱積しているはずです。

そのことを無視せずに「自分は今は弱っているんだ」ということを覚えながら生活していくのが大切だと考えます。自分も弱ってるけど、あの人も、この人も、状況は同じなんだ、と理解することが大切だろうと考えます。

自分に優しく、そして周囲にも優しく。今週はこのスローガンでやっていきたいですね。




今週の清涼感シリーズ その3
Myndin er eftir nathan_hulsey@unsplash



*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「どろどろヒュー」のない夏

2020-08-16 00:00:00 | 日記
お盆休みの最終日をお迎えのことと思います。ネットでの報道バラエティを観ている限りでは、これだけ「帰省すべきか否か」「行楽へ出かけて良いか悪いか」の議論が渦巻いたお盆休みは以前に例がなかったのではないか?という気がします。

皆さんはどのようにお過ごしになったのでしょうか?多少なりとも「休みらしい休み」を楽しまれたことを願います。もし「今日自宅への帰り道」という方がありましたら、くれぐれも運転等にはお気を付けください。




本文とは無関係 清涼感アップ用です
Myndin er eftir Tanja_zollney@Unsplash


さてお盆といえばお墓参りが付きものと思います。実際に行くか行かないかはともかくとして。今まで、そういう風にはあまり考えたことがなかったのですが、「お墓」というのも万国共通、しかも歴史を通しての現象というか、習俗というか、事物ですね。

そしてお墓といえば幽霊?? でもないか?? (^^'

でも、お盆というものは、先祖の霊が浄土から地上の故郷へと戻ってくるのをお迎えし、共に過ごす機会だと理解していますので、幽霊とは違うかもしれませんが、まあ、共通する部分はありますよね。

「浄土から」と書きましたが、Wikiでちょっと調べた限りでは「地獄から」という記載もあったような気がします。なんでも「地獄の蓋が開けられる」というのもお盆の祭儀の中に入っているとか。

浄土からお戻りになる方は、それなりに落ち着いていらっしゃるのでしょうが、地獄から仮釈放になられる方がいらっしゃるとしたら、ちょっと怖い気もするのですが...

というのは、正直に言いますが、ワタシは幽霊が苦手なのです。「牧師のくせになんじゃ!」と言われる方もありましょうが、これは「幽霊の存在を信じますか?信じませんか?」というレベルの話しではなく、もっと原初的な、心の底に巣食ったような心情なのです。

もうちょっと細かく言いますと、妖怪は大丈夫なのです。「東海道妖怪百物語」とかああいうのはむしろ好きです。

それに西洋もののお化けUMA類もOK。ドラキュラ、フランケン、狼男、ミイラ男、チュパカブラ、それにおばけのホーリー(なんて知ってる人は化石です)。すべからくwelcomeです。

ダメなのは日本の幽霊。お岩さんとか、番長皿屋敷とか、いわゆる白い着物着た女の人がどろどろヒュー... っていうやつ。




きれいに整備されたレイキャビクの墓地
Myndin er ur Kirkjugardar.is


小学校三年か四年の頃、年に一二回、学校の近くの市民会館で無料の映画会とかがありました。夏だとこれがだいたいそっち系の映画なのです。で、小学生とかだと、友達同士誘い合って観に行くわけです。よせばいいのに。

まあ、その頃は、今のように娯楽がいやというほどあった生活ではなかったですからね。嬉しいわけですよ、ただで映画に行けるとかいうと。

観てる間はいいのです。問題はその日の夜になってから... トイレに行こうとすると、「ドアを開けたら、そこに...」みたいなことになってしまうのでした。感受性の強い子供だったのですねえ、ワタシは。

小さい子供の頃は「まあ、かわいいもんじゃ」ということでしょうが、成人してからも基本的には同じような部分は残っていると思います。繰り返しますが、これは理屈ではなくて、もう少し本能的な部分に属するもので、イヤなものはイヤなのです。

というわけで、今でも確固とした決まりが私の中にはあります。「日本のお化け映画は絶対に見ない!」仲間由紀恵さんは結構好きな女優さんですが、誰があの「貞子さん」を観に行くのか、ワタシには理解できません。

日本の幽霊に関連してよく思うのですが、幽霊やそれにまつわる民俗伝承の物語とかは、やはりチョー日本文化ですよね。日本文化の真っ只中かも。

あの「どろどろヒュー」にしても、なんというか、うっそうとした木に囲まれた、日本の墓地で、夏のむっとする夜の空気とカエルの鳴き声、ぼんやりしたお月様、というような「風土」だからこそ、あれがあるように思われるのです。

アイスランドへ移ってよかったことのひとつは、そのような「どろどろヒュー」的な環境がなくなったことです。




クリスマス時期の墓地の様子
Myndin er ur Visir.is


もちろんアイスランドにも墓地はありますけどね。雰囲気は日本とはまったく違います。

まず第一に、夏は暗くなりません。これだけでもだいぶ違いますよ。加えて、夏でも空気はクールで爽やか。あのボワっ、ベトっとした空気ではないのです。それがいつでもいいものとは限りませんが、「幽霊除(よ)け」の点ではポイントが付きます。

さらにうっそうとした木もなければ、カエルの鳴き声もなし。田舎に行くと例外も多数ありますが、レイキャビクでは墓地はきちんと管理され、清掃も行き届いています。

ちなみに、アイスランドの人がお墓参りに行くのは、クリスマスの時期と、春のイースーターの時期です。必ずしも皆が「マスト」で行くわけではないのですが、それでも多くの人が家族のお墓を訪れます。

こちらではお線香は使いませんが、キャンドルは墓参で多用されます。戸外で灯しっぱなしにできる専用のキャンドルというものがちゃんとあります。

さらに、これは特にクリスマスの時期ですが、お墓を色とりどりのネオンのようなライトで照らすのも盛んです。日本の方にはちょっと違和感があるのではないか、と想像します。

話しを元に戻して、とにかく、ここには「どろどろヒュー」をサポートする環境がないのでした。ラッキーミー! (*^^*)

とはいえ、アイスランドにも、もちろん幽霊のお話しはありますし、幽霊もいます。「幽霊もいます」というのはちょっと言い過ぎですが、そう信じている人はいます。

こちらの幽霊はイギリスなどと同じで、必ずしも「恨めしい」がってるわけではなく、その家を守ってくれるような奇特な方もあるらしいです。会ったことはありませんが。




お口直し用にもう一枚清涼感ピクチャー
Myndin er eftirJonathan_ybema@Unsplash


十年以上前ですが、国営放送RUVのニュースで、幽霊が住む家を真面目に扱っていました。確か、その幽霊はそれほどの善玉ではなかったように記憶しています。女性の家主はうるさがっていたような。ですが、それよりもRUVがマジでそのニュースを流したことの方にびっくりしましたね。

同じ頃、こちらにある「幽霊博物館」の依頼で、アイスランドのゴーストストーリーを日本語に訳し、ガイド用MP3に吹き込んだことがあります。

短い話しが十五くらいあったと思います。結構面白いお話し集で、人情話し的なものもありました。それらをここで紹介できたら、と思うのですが、訳したテキストを紛失してしまい、かないません。PCに保存してあったはずなのですが... もしかしたらゴーストのいたずらかも。

ド素人ナレーター


そうですね、アイスランドの幽霊のことは別に怖いとは思わないですね。別に好みもしませんが、いるならそれもそれなりに情緒があっていいのではないか、とさえ感じます。ゴーストストーリーのナレーションをした時にそう思いました。

私にとっての天敵は、やはり「どろどろヒュー」なのでした。お岩さん、お菊さん(皿屋敷)、禎子さん、med fulli virdingu メズ・フットゥルリ・ビルジィング「敬意を表しつつも」Nei, takkノーサンキューです。m(_ _)m


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

C-chan Strikes Back!! 「C帝国の逆襲」

2020-08-09 00:00:00 | 日記
八月中旬に入ろうとしているレイキャビクからこんにちは。もちろん日本でも同じ時期なのですが、そちらではお盆休みの真只中ですね。Cちゃんのおかげで、休みでも思い切り羽を伸ばせないストレスを、皆さんお持ちのことと察します。

アイスランドでもCちゃんは盛り返してきています。これを書いている、7日金曜日の時点では、隔離されている感染者数は109人、その十倍近い914人が自主隔離の生活に入っています。

「なんだ、そんあもんか?」とお思いになる方もありましょうが、アイスランドの全人口は八王子市の半分しかありません。人口比での感染者率で見て、アイスランドはヨーロッパでの「コロナレッドマーク国」リストに載せられる寸前だとか。

そのような中で、先週の木曜日にはヒロシマ、ナガサキを偲ぶ「キャンドル流し」が予定されていたのが、今年は「ビデオ配信」形式に変更されてしまいました。さらにレイキャビクマラソンも中止を決定。いよいよ「イベントゼロ」に近着いています。




本文とは無関係 清涼感をあなたに届けたい!
Myndin er eftir Sigurdur_Fjalar_Jonsson@Unsplash


Cちゃんのこの盛り返しがいわゆる「第二波」なのか、あるいは規制緩和による「第一波の残党」なのかは、まだはっきりと見解が出ていないみたいです。日本と似ているのは、感染者の過半数が「自覚症状なし」で比較的若い年代なのです。

そして「それ故に」、と言い切る自信はないのですが、入院者数はひとり。重症者でICUに入っている人もひとりです。実は先日までずっと入院者ゼロだったのですが、昨日三十歳台の男性が重症化し呼吸器をつけているそうです。

この方は病状が急に重症化したらしく、コロナ関連の公式ホームページでの現状統計では、まだ入院者ゼロ、ICUゼロのままになっています。

陽性反応が出た人で、軽症であっても自宅での隔離生活が不便な人は、Cちゃん用に借り上げたホテルに滞在できるようです。

日本の様子はネット経由のテレビ番組で見ているだけなので、皆さんの実際の生活現場がどのようなものであるのかはわかりません。だいぶ緊張感が緩んでいる、というような嘆きをよく耳にするのですが、本当にそうなのでしょうか?

レイキャビクではどうか?というと、まったく「緩みっぱなし」というのが実感です。

前回書きましたように、七月の末から、規制が再び強化されました。集会は100人マックス。飲み屋は営業23時までに短縮。2メートルのソーシャルディスタンスが強調され、屋内等でその距離を取れない時はマスク着用が義務化されました。

とたんにマスクは売り切れ。私も何軒かドラッグストアを回ったのですが、マスクはすべてUppselt (Sold out)状態でした。その割には、周囲でマスクをしている人を見るのが少ない気がするのですが... マスクはどこへ行った?

八月の第二週以降は、アイスランドでは人々が夏季休暇を終えて、九月よりの新年度に備える時期となっています。六、七月には休みになっていた教会の活動も、現在再開される軌道に乗っています。

私のホーム教会では、毎週水曜日のお昼に、シルバーエイジの人々が大半を占める祈りの会があります。これは祈りの会であると共に、高齢の方々が集まって、おしゃべりをする社交の機会でもあり、参加する皆さんは楽しみにしている集まりなのです。

この会は夏休みがなく、六月七月も通して持たれてきました。ですが、その期間は国内旅行や家族との別のプランもある人も多く、参加者はやはり半減していました。

先週の水曜日には、夏休み明けで久しぶりにいつものレギュラーメンバーが再会を果たしたようでした。ちょうどその会の終了直後に教会にいたのですが、様子を見てちょっとビックリしました。

みんなコーヒーを片手に固まって座っていたり、立ったまま大きな声で話したり。まあ、久しぶりに会ったので、積もる話しを楽しんでいたのでしょうが、「あんたら、一番気を付けなきゃいけない人達でしょー!?」

あれで、仮に誰かが感染していたとしたら、一蓮托生というやつですよ。やっぱりアイスランド人だな。




清涼感 伝わってますか?
Myndin er eftir Martin_Sanchez@Unsplash


その翌日、用があって久しぶりにKringlanクリングランという町の真ん中にあるショッピングモールに行きました。

そこでまたビックリしたのですが、2メートルの間隔をテープなので示してある、お店のレジ前などはさておいて、エスカレーターなどではみんな固まって動いています。モール内の小ちゃなカフェでは、三十人はいるお客さんが「袖触れ合うも」というような距離で座っていました。カフェだから当然でしょうが、マスクをしている人はいませんでしたね。

春先のCちゃん厳重警戒の時には、お店の中に入る順番待ちで、小雪の中に立っている人たちまで、きちんと「自主的に」2メーターの距離を取っていたものですが、そんな記憶は遠い過去のものになってしまったようです。

どうしてだろう?と考えてみたのですが、おそらく理由は日本でと同じで、感染者数の増加に比して、重症化する人が少ないのを横目で見て「Cちゃん、畏るるに足らず」みたいな自信を持っちゃっているのではないか?と思われます。

もし、この時期にまた「ICU満室」「呼吸器の数が足りない」というような状況が生まれたとしたら、おそらく人々の態度はまた一変することでしょう。

やっぱりアイスランド人だな。根本的に臆病なんですよね、こいつら。自分に利があると思うとおかまいなしの強気になるのですが、ちょっと酷い目に逢うと途端に引っ込んでしまう。

まあ、敢えてポジティブに語るなら「自分に正直」ということなのでしょうが...

私としてはですねえ、ショッピングモールなどではかまいませんが、教会ではもう少しきちんとマニュアルにのっとってもらいたいものです。感染者が出たら、オラたちが責任問われるんだから: 「ちゃんと感染予防措置を取っていたのか?」って。

なんというか、お店の人とお客さんでは予防措置に温度差ができてしまうみたいな... 教会はお店でないのですけどね。

ちなみに、先に述べたシルバーエイジの皆さんの集会を担当しているのは、別のシルバーエイジの牧師さんで私ではありません。だから、あまり横から口出しするのもはばかられるのでした。




清涼感series その3
Myndin er eftir Robert_Lukeman@Unsplash


でもこういうことを書いていると、「気が付くと自粛警察」っていう感じがしなくもないですね。でも「自分のお店」「自分の集まり」があると、自粛警察と言われようがなんだろうが、やらなきゃならないこともあります。

オラは自分の集まりでは、もっときちんとソーシャルディスタンスとマスク着用はお願いするつもりです。でもマスクは売り切れだから、どうしようもないか?

実は私のホーム教会は、上下二階建てなのですが、上部の教会部分は屋根の修繕のためしばらく使えないのです。そのため集会はすべて下の部分の集会ホールで持たれています。

ホールは教会よりもずっと小さいため、ソーシャルディスタンスを保つと、おそらく三十人でいっぱいになるでしょう。

しかも、教会というのは歌を歌うのがベーシック。でも、この状況で歌を歌うのは、たとえそれが讃美歌であっても飛沫拡散は必至。歌うのはしばらくやめたほうがいいかも。

こうしてみて思うのは「やりにくい」 トホッ...

いやいや、こうやって負のスパイラルに陥ってはいけない。もう嘆きの時期は終わったのだ。坂井泉さんも歌っているではないか: 「今、何ができるかを考えよう」あれ?これ、前にも書いた覚えがあります。でもいい歌はいい歌なのです。

皆さん、へこたれないで、共に頑張りましょう。


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

八月の濡れた砂... というか国

2020-08-02 00:00:00 | 日記
八月の最初の週末を迎えました。八月の声を聞くと、こちらでは総じて天気が不安定になってきます。気温はまだまだ10˚C前後ですし、時には15˚Cくらいにまで達することもあるのですが、雲、風、雨が今までよりも頻繁に現れるようになります。

今、これを書いているのは実はまだ七月末の金曜日なのですが、天気予報ではやはり曇りと雨マークが並んでいます。実際、目の前の窓は雨で濡れています。

アイスランドではこの八月の第一週末は「商人の週末」と呼ばれ、国民の祝日となっています。明日の月曜日まで祝日で、例年金曜日の夕方から祝日の週末が始まり、月曜の夜まで続くのです。

なかなか休みが取れない商店の従業員がゆっくり休めるように、という理由で始まった祝日であるようです。

夏休みの最後の砦 の週末


楽しみ方としては、あちらこちらで「ワイワイ野外パーティー」を開き、テント持参で「飲めや歌えや」「踊れや飲めや」の大騒ぎをするのがメインです。中でも1973年の火山噴火と島民総脱出で有名なヴェストマンナ諸島のThodhatidショーズハウティーズ「国民の祭り」は、外国からの観光客も呼び込んで一万五千人という参加者を得ています。

... ... いました。近年は。

日本や世界の各地と同じく、ここでも「例年なら...」という枕詞を述べたうえで「今年は様変わりしています」ということになります。

今年はこの「国民の祭り」は早々とキャンセルされてしまいました。言うまでもなくCちゃんのおかげです。それでも「なんとか規模を縮小してでもできないか?」という努力はもちろんあったようですし、完全になにもしないのかどうかは、これを書いている今現在では明らかではありません。と言うか、私は知りません。




本文とは無関係 清涼感を味わえますよう!
Myndin er eftir v2osk@Unsplash.com


この「国民の祭り」に加えて、八月のビッグイベントである「Gay Pride」も、早々に開催を見合わせる旨が発表されていました。

これも近年では八月第二週を彩る、一週間を通してのイベントに成長していましたし、外国からの観光客を巻き込む、文字通り「アイスランド最大のイベント」となりました。

Gay Pride プライドとは人の在りようを映すもの?


以前にも書いたことがありますが、レイキャビクに限って言いますと、八月はイベントが目白押しの月です。ゲイプライド以外にも、8月6日(あるいは9日)のダウンタウンのチャルトゥニ(池) でのヒロシマ、ナガサキを偲んでの「キャンドル流し」、月後半のレイキャビク・マラソンとそれに続くカルチャーナイト等がイベントのローテーションを組んでいます。例年ならば。

マラソンはそれでも行われる予定だったようですが、カルチャーナイトについてはあまり聞いていないなあ...

というわけで調べてみると... ... ありました。

カルチャーナイトは、今年は形式を変えて開催するそうで、8月13日から23日までの足かけ十一日間行われるということ。おそらく一時(いっとき)に多くの人が集まらないように分散する意図があるのでしょう。うまくいくといいですが。




例年なら... こんな感じのこの週末のヴェストマンナ諸島
Myndin er ur Visir.is





今年はこんな感じ
Myndin er ur Eyjafrettir


「Go to トラべル」を巡る、日本での混乱と相通じるものがあるかもしれないのですが、実はアイスランドでもコロナを巡る混乱というか、「再アジャスト」の必要がここで急に浮かび上がってきました。

こちらでは五月中旬より、コロナ感染はグッと下火になり「第一ラウンドは収束」の安心感が広まりました。

一時は「二十人」を限度とした集会規制も、順を追って緩和され、これまでは「五百人」まで上限が上がっていましたし、さらに緩和する準備がなされていました。

しかしながら、国境が開かれ人の移動が再開(まだ100%開放ではありません。EU諸国と「安全」認定された特定の国のみ)し、さらに人と人との接触が緩和されると、やはりどうしても新感染者が現れてしまうようです。

先へ進む前に、外国からの訪問者、帰国者が入国時にどういうプロセスをとるかを簡単にご紹介します。現在、外国からアイスランドへ入国する人は、到着時にPCR検査を受けるか、あるいは14日間の自主隔離生活に入るか、のどちらかを選びます。検査結果が出るのは4~5日かかります。

ちなみにPCR検査は無料ではなく、一回11000クローナかかります。事前に払込すれば9000クローナ。安くはないですよね。

ツーリストの場合は、それでも、まず間違いなくPCR検査を選択するでしょう。検査後は普通に観光に出かけられますから。ただ検査結果が陰性となるまでは、他者との接触に気をつけるようにと勧められます。ツーリストは「外貨」ですから、流通を妨げないように配慮?されているのです。

アイスランド人、またはアイスランド居住者がPCR検査を受けた場合は、結果が出るまでの五日間を、他者との接触を避けて過ごすように要請されます。さらに、五日ほど経った時点での、二回目のPCR検査を受けることになります。

ツーリストの人で、PCR検査で陽性の反応が出た場合には、すぐに通知が行き、国が用意した隔離ホテルへ収容されます。残念ながら観光はそこでおしまい!となります。

そんな中で、過去二週間内に31人ほどが新感染者として報告されました。トータルで50人が隔離状態にあり、287人が自主隔離期間にあります。

半数以上が国内感染者らしく、クラスターも生じています。ここではしばらくの間「感染ゼロ」が続いていましたので、当局はかなりこの数を深刻に受け取っています。




例年なら... こんな様子のReykjavik Gay Pride
Myndin er ur Common.wikimedia.org


先週水曜日に、カトリーン首相を始めコロナ関連の責任者が集まって記者会見を開きました。そこで「警戒感を高め、集会規制を元へ戻して厳しくし、また必要な安全確保措置を再確認する」こととなりました。

まず集会規制は、これまでの五百人を百人へと厳しい方向へ戻されました。飲食店等の営業時間をこれまでの午前1時までから夜11時までへ短縮。バス等の公共交通機関ではマスク着用を義務化。

さらに個人間のソーシャルディスタンス2メートルを厳守するよう要請がなされました。屋内等でどうしても2メーターの距離が取り切れない場合は、マスクを着用すること、となっています。

で、これらの「規制再強化」が、国民の祝日の週末の直前、さらに八月というイベント月の直前に発効されたため、いろいろドタバタが湧き上がった面もあるようなのです。もちろん、当局はそのような時期の前だからこそ、この規制再強化を決めたわけですが。

先にも述べましたように、大規模イベントである「国民の祭り」や「Gay Pride」は六月くらいに早々と開催見合わせを発表していたのですが、取り敢えずのコロナ収束を受けて、もう少し規模の小さいイベント関係者は「なんとか工夫して開催を」とトライしてきたわけです。

例えば、北の都アクレイリでは、今、この週末に「I Love Akureyri」とかいう町を挙げてのイベントを企画していました。ですが、この時点での「百人規制」を受けて、担当者は「アクレイリの人はともかく、今年はレイキャビクとかからの人は別の場所へ行ってくれた方がいいと思います。ここの住人だけで一杯になっちゃうからねえ」

ニュースによると、この他にも結局開催の取りやめや、開催方法を急遽変更したイベントは多数あるということです。




北の町アクレイリの赤信号はすべて愛が満ち満ち
Myndin er ur Common.wikimedia.org


まあ、私はイベント当事者ではないので、その方々のご苦労は察するだけなのですが、この「規制再強化」が良い意味でのウォーニングになってくれれば、と思っています。

町の様子とか見ていても、もうみんな、すっかり「コロナは終わった」感に浸っている感じを受けていましたから。固まって食事したり、歌ったりして、マスクなんて誰もしていない。

ちょっと気を抜き過ぎだろう。と、思わざるを得ませんでしたよ。

幸か不幸か、私は毎日日本のニュース バラエティを見続けているので、アイスランドが「コロナ収束」になっている間も、「東京460人」「岩手県でも初感染者」「石垣島等離島でも感染者」とかが頭に入ってきているので、「終わった」という感じはまったく持っていません。次に、いつ日本へ戻れるのかもわからないし。

皆さん、「コロナで計画が狂った」「夢がだいなしになった」という気持ちは、誰しもおありだろうと思います。でも、そうじゃない人はいませんから。互いに支え合って切り抜けたいものです。


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする