レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

イチタカのカラス

2022-08-25 21:43:24 | 日記
こんにちは/こんばんは。

コロナのおかげで、先週はまるまる一週間を棒に振ってしまった -というよりは、まるまる一週間のエキストラなおまけの夏休みをいただいた- ワタシでした。




清涼感アップ用ピック1 ウミベのパフィン
Myndin er eftir Yves_Alarie@unsplash.com


バイデン大統領や岸田首相のように、コロナにかかっても自宅で執務をこなす方々もいらっしゃるようですが、ワタシにはそのような不屈の精神がないことがよくわかりました。

始めの二日間は、微熱が出て、寒気はするわ頭は痛いわで、フツーに病気っぽかったのですが、その後の一週間はテレビと昼寝三昧の「ていたらく」な生活を楽しみました。

余談ですが、国語の説明によると、「ていたらく」はネガティブなニュアンスで「このありさま」を表す名詞なので、「な」を付けて形容詞のように使うのは間違った用法とのこと。

ワタシも「だらしがない」という意味の形容詞みたいに勘違いしていました。国語を舐めてはいかんぜよ、ですね。前文なら「テレビと昼寝三昧の『ていたらく』を楽しみました」とすべき。

ところで、一応こちらでのコロナ対応基準は、「症状が消えてからの五日間が隔離下での自宅療養」プラス「二日間のなるべく対人接触を避ける生活」となっています。この間、特に医療関係者からの指示とかもなし。

ちなみに「症状が消える」というのはお薬なしでも熱が出ない、とか、頭痛がない、ということだそうです。

もちろん、これは症状が軽い場合の話しで、具合がもっと悪い方の場合は入院その他の必要な措置となります。

ワタシ、アイスランドへ移ってからは本当に病気知らずで、二十五年間くらいインフルエンザにもかかったことがありませんでした。熱を出して寝込んだ、なんていうのは、最後に覚えているのは1990年の春先くらいまで遡る気がします。もっと若い頃は定期的に扁桃腺が腫れる病弱な子だったのですが。こちらへ来てストレスが減ったのかな?

とにかく、後遺症もなく元気に回復することができました。もっとも多少の間接的な後遺症はあります。予期せぬ追加の「ていたらく」がやってきたため、スタンバイしてあった「仕事モード」が崩壊してしまいました。

お休み明けから仕事に戻る「しんどい」シフトをもう一回通らないといけません。再開していた筋トレも休止してしまったし...




清涼感アップ用ピック2
Myndin er eftir Einar_H_Reynis@unsplash.com


さて、そういう冴えない夏休み明けの中で、ワタシが「仕事モード」に戻ろうとあがきつつ楽しんでいるのが「イチケイのカラス」です。コロナ感染直前にアマゾンで注文しておいたDVDです。

ご存知でしょうが、浅見理都さん原作の漫画を、テレビ化したドラマで昨年の春からフジ系列で放映されたもの。主演、竹之内豊さん、黒木華さんら。

「また、古いテレビシリーズ持ち出して」とお思いになるでしょうが、皆さんにとっては古くとも、私にとっては新しいのです。来春には劇場版も公開されるとか聞いてるし。

で、コミカル調&人情噺的な法廷ものなのですが、破天荒な裁判官、入間(いるま)みちおとエリート官僚的な裁判官、坂間千鶴を中心として物語りは進みます。面白いですよね、このドラマ。ご覧になっていない方は是非とも。

中卒で自由闊達な入間裁判官と、東大卒のエリートで「出世のための保身」を厭わない坂間裁判官のコントラストは、いかにもステレオタイプで、「Hero」の時の久利生検事と雨宮事務官の焼き直しみたい。

入間裁判官は、ラフで普段からノータイで、裁判官席から被告人席へ降りてきて語りかけたり、黒の裁判用の法衣をまとったままでお弁当を買いに行ったりします。納得できる判決を求め、そのためには「(関係者の)話しを聞いて、聞いて、聞きまくる」ことを信条とします。

対する坂間裁判官は、キャリアウーマンらしい隙のないスーツ姿が常で、裁判官の威信と威厳を保つことに留意するタイプ。「案件をすみやかに処理することが大切で、裁判は基本的に検事局の起訴を確認する手続き」のようにみなしています。そういう二人の絵に描いたようなコントラストなのです。




面白い「イチケイのカラス」


もともと竹之内豊さんは私のお気に入りの俳優さんで、ああいう気取っているのに嫌味がない人って羨ましくなります。黒木華さんという女優さんは別にまったくタイプではないのですが、このドラマでは役にはまっていて良いですね。「嫌われ役」の前提で入ってきて、そこに埋もれてしまわない魅力がある、というのは素晴らしいです。

真逆のキャラである入間裁判官と坂間裁判官が、小競り合いと、助け合いと多少のいちゃつきを絡めながら、感化し合い「より良い」判決に辿り着く、とうのがドラマの筋です。

洋の東西を問わず、テレビの「ポリスもの」が好きな私は、実は「裁判官」とか「判事」には相当な偏見を持っています。特にアメリカの判事とかって、これ以上はないような尊大な人間として描かれていることが多いですね。

もちろん、実際はどうなのか知りませんが、そういう偏見の「もと」はすでに私の中にあります。

そういう中で、今度は裁判官中心というか、裁判官の側から見たお話しを見るのは、それなりに新鮮なものがあります。たとえそれがフィクションであるとしても。本当の部分もあるかもしれませんし。




なりたくてもこうはなれない 竹之内豊さん
Myndin er ur Fujitv.co.jp


ですが、私がこのドラマを面白がって見ているのは、この「裁判官事情」を通して私自身が属している「牧師さん事情」を見る思いがあるからなのです。

さっきアメリカでの判事は「これ以上はないような尊大な人間」のイメージがあると書きましたが、多くの人が牧師や神父についても同じようなイメージを持っているのではないでしょうか?

実際、中にはそのような尊大な連中もあるには違いません。が、牧師さんについて言えば、大多数の人はそういうことはない、という気がしています。たいていの場合は、私たち牧師の多くが「入間裁判官と坂間裁判官の『あいだ』のどこか」をふらついているのではないかと思うのです。

牧師のタマゴ事情についてはこちらも:「はみ出し?神学生の未来 遡って見る」と


まあ、他の皆さんについては、周囲にいる方々とのやりとりを通じて「推察」している域を出ないのですが、自分自身について考えてみるならば、「ある部分では入間的、別の部分では坂間的」であることは否めない事実ですね。

入間ー坂間のステレオタイプ的対比を前にすると、普通私たちは入間タイプは肯定的に、坂間タイプは否定的に捉えるのではないかと思います。好意的ー非好意的と言い換えてもいいでしょう。

自分で自身の牧師としてのあり方を考える時、常日頃から「自分は非伝統的なタイプの牧師で、四角四面ではない」と考えていたのですが -考えたい!- 実際に、具体的に吟味してみるとそうでもないことがわかります。

礼儀をわきまえないで接してくる輩にはつっけんどんに答えるし、無責任な仕事をする同僚はシカトするし(これって死語?)、寛大な様子でお話ししていても、マジで突っ込んでくるヤツがいると鉄仮面が降りたりと、坂間裁判官も結構活躍しているのがワタシの実態であったりします。






上) 「ニタカのカラス」
下) 「イチタカのカモメ」



裁判官と私たち牧師さんで、ひとつ極めて類似してると思えることは、「どれくらい同情してあげて、どれくらい厳しくすることが、その相手のためになるのだろうか?」というシチュエーションに日常的に接することです。

牧師さんの場合は、別に「裁き」「判決」を下すわけではありませんが、助けを求めている相手に対して、どのように答えるかというのは、その当人にとっては事実としての「裁き」と受け取られかねません。

牧師の場合は、傍に検事も弁護士もいないですからね、客観的な材料が不足していることも多いですし、そういう面での判断の難しさもあります。

そういう中で、私もそうですが、同僚の牧師さんたちも「納得できる結論、アドバイス」を求めて日々右往左往しているのではないでしょうか?「納得」というのが、自分自身、相手、神、と誰を納得させるものであるのか?という点も右往左往に拍車をかけるものであるかもしれません。

最後に、みょうちくりんなタイトルの「イチケイのカラス」ですが、「イチケイ」というのは裁判所の第一刑事部の略。「カラス」の方は日本神話の「八咫烏(ヤタガラス)」からきているそうです。

この八咫烏は足が三本あり、神武天皇を大和の橿原まで案内したとされ、よって導きの神として信仰されている、とのことです。

ドラマ中の説明では「神ではないが、自由闊達なインスピレーションを与えることができるもの」とか言われていましたね。「人々を法の下に正しい方向を導く役目」という意味が、ここでは込められているようです。

私は日本神話とは別の世界に身を置いていますが、「イチケイのカラス」とは面白い言葉ですね。ある意味、私ども牧師連にも当てはまるべきものがあるような気がします。

そういえば、ウチの教会の屋根にもよくカラスが止まっています。屋根の上の十字架の天辺に。一番高いとこが好きなヤツだ、としか思っていませんでしたが、あれはあれでなにかのお告げなのかも... 「イチタカ」のカラスか? (^-^;


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

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貪欲は道を開く? 進化する「焼き魚」

2022-08-15 22:46:58 | 日記
こんにちは/こんばんは。

今日は8月15日。お盆休暇の真っ最中ですね。っていうか、もう終わりか?地域によっては雨も激しくなるそうですし、また別の場所では暑さが激しくなるとか。お盆明けで、渋滞の中を長距離ドライブという方もあるかと思います。くれぐれも気をつけて運転されますよう。




清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Rostyslav_Savchyn@unsplash.com


そういうお盆とはまったく関係のないレイキャビク。シーズン開始前にしては月並みな日々を重ねています。が、ひとつ特別なことがありました -  あります。現在進行形です。

ワタシ、コロナに感染しました。ついに捕まったか。という感じ。土曜日の夜にチラッと喉がひりついたのですが、夜明けになって頭痛と発熱。過去二十年以上、まったくインフルエンザにもかからないできた私も、「これはコロナかも」と認めざるを得なくなり、簡易キットで調べると陽性。

日曜の朝でしたので、まずもって教会関連のウェッブで「日曜日の礼拝中止」のアナウンスをし、そのあと人が絶対に起きているだろう時間を待って個別に連絡をしました。

特に大切な行事や重大な課題もない週なので、それほど打撃はないのが幸い。昨日の日曜日は、それなりに頭痛と寒気の連続で、まともなことはなんにもできませんでしたが、今日はかなり回復しています。

皆様も大雨&猛暑のかたはら、コロナにも気をつけてお過ごしくださいますよう。

さて、前回はレイキャビクでどうやって焼き魚を喰らうかという、実に誰にもなんの得にもならないトピックについて書かせていただきました。

ここ二週間以上、私は「焼き魚」に取り憑かれて過ごしています。四年前に日本へ帰った時にコンビニで売っている「サバの塩焼き」「しゃけのなんとか焼き」の「半レトルトパック」を初めて食しました。

その頃はケト・ダイエットにはまっていて、お米やパン、麺類を断っていまいた。容易に摂取できる良いタンパク源は?と探していて出会ったのですが、この、なんというか「半レトルト」的な焼き魚が、思った以上のクオリティだったことに感激。さすがニッポン!




これは番外編 イワシとワカサギの唐揚げ


そのことを思い起こして気がつきました。「だったら、同じような焼き魚をアマゾンで買えるのではないか?」そしてネット通販に没頭。

「骨まで丸ごと食べられる焼き魚」的なものがいくつかあることを学びました。だいたい干した魚の焼き魚を真空パックにしたもののようで、常温保存で三ヶ月くらいは大丈夫だとのこと。

アジ、サバ、サンマ、ホッケ等々、種類もかなりあるし、値段も安いのでいくつかを試験的に注文してみました。まだ手元には届いていません。アジ、サンマ、ホッケとかは、他の方法では手に入らないですからね。楽しみです。

前回のブログの更新の後、何人かの知人の方々から、Facebook等を通じて「フライパンにクッキングシートを敷いて焼けば?」とか「アルミに包んでオーブントースターで焼いたらいいよ」とか、アドバイスをいただきました。ありがとうございます。

実は、前回書いている最中から進展していることがありました。前回は「スモークしたサバを、オーブンで炙り直して食べると、かなり焼き魚に遜色ないサバ焼きになった」というところまででした。

その後の展開は、Ninjaのグリル&エア・フライヤー用の調理器具を購入したことによります。Ninjaという、いささかいかがわしいブランド名はどれほど日本で知られているのでしょうか?

私もNinjaのちいちゃななミキサー -あの、プロテインとかミックスして、そのまま容器から飲めるやつ- を数年前から持っていましたが、メーカーそのものについては、去年までほとんど無知でした。去年の夏に圧力鍋とスロークッカー等に使える調理器を購入したのですが、調べてみると、一応アメリカの会社とのこと。






かなりゴツイ調理器 Ninjaの室内グリル器


そのNinjaの圧力鍋調理器具製品にも、一応グリルとかも付いてはいるのですが、おまけのように私に目には見えます。

Ninja圧力鍋についてはこちらも - デジタル化とテクノロジーの発展 そして老人


そこで、もう一台「グリル!」に特化したタイプを購入したわけです。安くはないんですけど、クレジットカードのサービスポイントが27000クローネも溜まっていたので、それを投入。

まずやってみたのが、前回ご紹介しました「肉厚のサバのスモーク」を、このグリル機で焼き直して食してみることです。

ちょっとだけ前史を付け足しますが、一番初めに開いたサバを電子レンジで温めた時には、変に水っぽくなってしまいました。どういうことなのか、いまだに理由はわかりません。スモークト・サバは干物ではないので、水分はもちろんあります。温めると水が出てくるのかな?

二回目、普通のオーブンで炙り直した時のことが、前回のブログでご紹介したものです。味は十分美味しいし、スモーク臭もほとんど気にならないくらい。ただ、「焼きあと」はつかなかったです。

そしてNinja登板の三回目。今回は「炙り直す」ではなくて、「グリルする」感じでトライ。

結果は...? これはですね、言うことなし。焼き魚ですよ、まったくの。






これは「焼き魚」でしょう? 


スモーク臭は気にならない、のではなくて、まったく消えてくれました。スモーク好きの人には気に入らないでしょうが、私には朗報。

今回もたっぷりの大根おろしでいただきました。もともと大きなサバなのですが、今回きちんと「焼いた」ことによって、脂身もきちんと溶け出して、トロトロ感があります。しかも、皮はパリパリになって、これも美味しい。

大きな骨を残して、ほとんどが私のお腹の中に消えていきました。シ・ア・ワ・セ。満足、満足。

ここで突如現れたのが「貪欲」。貪欲は身を滅ぼす、と言います。貪欲は誘惑の呼び込み役です。ですが、それだけではなく「貪欲は道を開く」こともあります。満足感の中で、私は思いました。「これなら、生の魚を焼いてもいけるんじゃないか?」

実は、スモークのサバと同じサイズの丸々冷凍サバも購入してあるのです。これを焼いてみない手はない。

しかしです。それにはひとつの越えるべき山があります。それは魚を捌くことです。私は料理好きですが、魚の捌きはまったくのトーシロ。八王子育ちのシチー・ボーイの私にとって、肉とは部位別に分かれて鎮座しているもの、魚とは刺身になっているか開きになって横たわっているものなのです。

アイスランドにも切り身になっている魚はあります。タラとか、シャケとか。でも種類は限られていますし、必ずしも焼き魚に適した形態には切られていません。サバを喰らいたかったら、自分で捌くしかありません。幸いなことに、サバに関しては大きな丸々冷凍があるではないか。サンマやホッケはこうはいかない。

なら、やってやろうではないか! 捌きにトライ! 今どき、庶民にはYoutubeというつよ〜い味方があるのだ。しかも拾い見したYoutubeでは、講師の和食の板さんが「サバは比較的捌きやすい魚です」とおっしゃっておられるのです。

とうわけで、次のステージは魚を捌いて焼き魚を試すことです。「貪欲」は道を開くのです。この新チャレンジについては、次回以降にご紹介してみたいと思います。進展があれば、ですが。(^-^;


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かりそめ天国の「焼き魚定食」

2022-08-10 05:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。

八月の第二週に入りました。八月初めのVerslumannahelgiヴェルスルマンナへルギ「商人の週末」を越えると、突如「晩夏」になるのがいつものアイスランドです。

ちなみに、国語の得意な皆さんはお気づきだったと思いますが、私はこれまで「月のはじめ」をいう時には、いつも「初め」ではなく「始め」と書いてきました。普通には「初め」であることはもちろん承知していましたが、「理屈から言って『始まり』だろ?」と考え、逆らってきたのです。

ちらっと調べたところ「時に関連する『はじめ』は『初め』を用いる」というのが国語の正論であるようです。「『はじまる』ということはすべからず時に関係しているだろうが?」と納得はしていないのですが、べつに執着する理由もないので、流れに身を任せることにしました。老化... (^-^;




清涼感アップ用ピック
Mateusz_Klein@unsplash.com


それはともかく、八月のレイキャビクは太陽が雲隠れ。気温も肌寒くなり、夜も10時を回るとしっかりと暗くなり始め、まさしく「晩夏」です。ワタシはこの時期から「晩夏ブルー」というメランコリーに取り憑かれたりします。気をつけないといけないですね。普通はも少し遅い時期 -九月くらい- からなんですが、今年は「晩夏化」が特に早いみたいです。

この時期、周囲には先日のGay Prideフェスティバルやケフラビク近郊での火山の再爆発(というかマグマの再噴出)とか、いろいろニュースネタはあるのですが、今回私が書きたいと思っているのは「焼き魚」についてです。

もう一月以上前になりますが、「マツコ有吉のかりそめ天国」で、「魚の食べ方はいろいろありますが、『煮魚』ってメインにならないですよね」みたいな投稿がありました。

マツコさん、有吉さんともキレ気味で反論。マツコさんなどは「金目鯛の煮付けは、魚料理全部の中で一番美味しいわよ!」 

番組が実施した「どんな調理法で魚を食べることが多いか?」というアンケートでは、焼き魚がトップで、二位は刺身でした。三位はたしかフライだったかな?

でも、まあ、これはわかりますよね。刺身で食べられる魚よりは、焼いて食べられる魚の種類の方がずっと多いでしょうから。どちらが美味しいという問題は別として。私は両方好きです。

この番組で「焼き魚」が頭にインプットされたのと同じくらいの時期に、今度は「有吉くんの正直さんぽ」で、有吉さんが昔行ったという定食屋さんで、サバの塩焼きが紹介されました。これを見て、完璧に「焼き魚が食べたい」という私的願望に火がついてしまったのでした。




こちらでの最近のホットニュース マグマ再び
Myndin er ur Visir.is/VILHELM


あとひとつ伏線がありました。大根おろしです。私の行きつけのスーパーでは近年大根も入れてくれています。時々買って煮物に入れたりしていましたが、常食というわけではありませんでした。そのかたはら、昨夏、料理熱が再発した時にフードプロセサーを買っていたのですが、なんだか使い方が複雑で「置きっぱなし」になっていました。

この夏、一念発起して、その使い方を調べた結果、チョー微塵切りというか、野菜とかをめちゃ細かくするには単純な扱いで良いことが判明。さっそく大根おろしにトライしたのですが、大成功。もちろん、手でおろしたって大根おろしはできます。でも、けっこうな労働。プロセサーの方が、楽に大量におろせます。

そして、大根おろしを目の前にすると、やはり「焼き魚」が頭の中で輝いてしまうのでした。

ところがです。焼き魚なんて、日本の皆さんには日常生活の一部でしょうが、こちらではそう容易いことではないのです。こちらのキッチンでは直火を使いません。全部電気。

直火を使うとしたら、グリル用のコンロがありますが、これはBBQ用のでかいもので、基本戸外での使用です(それにワタシは持っていないし...)。 使い捨ての簡易グリルもありますが、これも屋内使用は危険です。一度つけたら、燃え切るまでどうしようもないですから。加えて煙も大変。

キッチンの標準設備で魚を焼くとしたら、オーブンで焼くことになります。ですが、オーブンでの魚焼きは、まず「熱源」と魚の距離が短くないので美味しく仕上げるのが難しいです。さらにオーブンに魚の匂いが付いてしまったりして、あまり好ましいことではないのです。

日本から魚焼き用のロースターを買おうか?ということも考えました。ところが運の悪いことに、今現在、日本からアイスランドへは、大型の航空郵便を送ることができないのです。大型というのは重さでいえば2キロ以上のもの。




これが救い主 スモークト・サバ


これ、もしかしたら皆さんにも関係するかもしれないので、気をつけてくださいね。航空輸送手段が諸々の事情で不足しているからだと思うのですが、日本からアイスランドへ、EMS、航空便荷物、SAL便荷物を送ることは、8月9日現在ではできません。アイスランドに限ったことではありませんので、詳細が必要な方は日本郵便のホームページでご確認を。

小型の2キロ以内のものであれば、E-packetという小型航空便で送ることができます。大型の荷は船便で送る以外の方法はありません。DHL、FedEx等はもちろん代替手段ですが、値段がすごい。自分で持っていく方が安いかも、と思うくらい。

いろいろ考えながら、アジアの食材も多く扱っている魚屋さんをうろついていると、見つけました、サバの燻製。結構大きいサバが二尾、冷凍になっています。値段も1000クローネちょっと。試してみっか?

実を言うと、燻製魚はあまり好きではありません。スモークサーモンはまだいいのですが、一度試したニシンの燻製(英国産)は、スモークが強すぎて美味しくなかったです。

今回もたいして期待していませんでした。解凍し、パックから一尾取り出すと... やっぱりスモークの匂いがぱっと広がってきました。だろうな...

ですが、肉厚なので、とにかくお腹から開いてみると、身は柔らかく美味しそう。頭と大きな骨を取り除くと、かなりいい感じの開きになりました。そして、驚いたことに開いちゃうと、そんなにスモーク臭がしないでではありませんか!

これを、200度のオーブンに十五分ほど入れて温めるというか、炙り焼きのようにしてみました。大きめの皿に移して、醤油といっぱいの大根おろしで実食。

美味しい。本当の焼き魚のようなパリパリ感はありませんが、箸で目一杯つまめるほどの身があります。これは嬉しい。そして、大根おろしとともにいただくと、ほとんどスモークの匂いは感じられないほどでした。






これがサバのスモークの開き形 美味しい


これは結構いいものを見つけた。焼き魚ではありませんが、「焼き魚欲」を鎮めるくらいの満足度はあります。っていうか、相当満足しましたよ、ワタシは。まさしく「かりそめ天国」。

難を言えば、大き目のサバが二尾入った冷凍パックなので、買いだめするには相応の冷凍庫のスペースが必要。そして「買いだめ」は必要なことなのです。これは経験から学んだことですが、アジア系の食材をはじめ「マイナー・ストリーム」にある食材は、年に何度か仕入れるもので、在庫が尽きるとそれっきりになってしまうものが多いのです。

だから、「食」を確実にするにはある程度の「買いだめ」は必要悪。そういえば大使館スタッフのNさんは四国出身だそうなのですが、地元産の半生うどんをアジア系スーパーで見つけ、涙を流しながら「買い占めた」と激白し、懺悔していました。いや、激白止まりで懺悔はしていなかったか?(^-^;

私の西街の古アパートの冷蔵庫の冷凍室には、大きなスモークト・サバを何尾もキープしておくようなスペースはありません。しかし教会の大きな冷凍庫にはあります。時々使う裏技です。ということで、しばらく教会に預かってもらうことを当て込んで、買いだめに走る予定です。

ドイツとかでは、魚のスモークはごく一般的だということを聞きました。ドイツはやっぱり海洋国家ではないから、魚は酢漬け、塩漬け、燻製等で保存する文化があるのでしょうね。

また、別のソースから聞いたところでは、スモークにもいろんな種類があって、燻製度の高いものから浅いものまであるそうな。私が食したサバの燻製は、わざわざ冷凍にしてあるくらいですから、多分燻製度が浅いものだったのでは?と思います。前に食べたニシンの燻製は普通の冷蔵保存でしたから、燻製度も高かったのでしょう。

というわけで、焼き魚って、決して当たり前のメニューではございません、ここでは。食べるにはそれなりの覚悟が必要です。でも、その価値はありますよね。

この顛末、まだ続きがありますので、それはまたの機会にご紹介したいと思います。


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夏休みのKeyword - 「笑い」

2022-08-03 01:56:16 | 日記
こんにちは/こんばんは。

今、これを書いているのは8月2日の午前中です。日本のお昼のニュース配信をネットで見ましたが、今日はものすごく暑くなったようですね、全国的に。復活のコロナに加えて、熱中症にも気をつけてお過ごしください。

ちなみに、今は午前十時過ぎなのですが、ネットでの「みなとみらい」からの、花火のライブ配信を横目で見ています。こんなのもあるんですね。便利なものです。まだ花火は始まっていません。十時半(日本の午後七時半)か十一時からなのでしょう。




清涼感アップ用ピック1
Myndin er eftir Katarzyna_Gonsior@unsplash.com


さて、アイスランドでは、八月の第一の週末がVerslumannahelgiヴェルスルマンナへルギ「商人の週末」という祝日に定められています。「商人」というのは広義の意味で「商業に従事する人全般」のことです。土日はもちろん、もとより休日ですが、これに月曜日も祝日として加えられ、週末そのものが祭日化しているのです。

今年の場合は、7月31日が日曜日で、月曜日は8月1日でした。「商人の休暇の週末」がこの週末なのか、それとも8月6日から7日の週末なのか、と疑問に思ったのですが、前者の方でした。

この週末はウェスターン諸島での「野外ドンチャンワイワイフェス」等の、お祭り騒ぎがあちこちで開かれ、大勢の人が集まります。コロナでだいぶ抑圧されていたわけですが、去年より徐々に復活し、今年は完全復帰となったようです。

その一方で、私自身はこの一週間(明日まで)は夏休み。六月末に一週間のお休みを取りましたので、二回目の夏休みとなります。これでもまだ、夏休みの消化率は50%以下です。(もとよりの土日と祝日を除いた実質休暇日数は11日間)

私の夏休み消化法は、周囲の人たちとはだいぶ異なっています。もちろん「野外ドンチャンワイワイフェス」とかには行きませんし、サマーハウスに行くようなこともありません。ただひたすら、自宅でのんびりします。





こちらの午前十時半に始まったみなとみらいの花火のライブ


これには理由があります。まず第一は -特に六月の第一回目の夏休みの一週間がそうだったのですが- 本当に疲れ切っていて、休む必要があるのが普通だからです。休暇に先立つ「休養」が第一というわけです。

そのために必要なことは、国外へ出るか、自宅に引きこもるか、です。お医者さんや、その他にも同じような境遇の方はあるでしょうが、牧師なども、のべつまくなしに相談事を受ける立場にあり、人とのコンタクトをオフにしないと休みにならないのです。


(*あれっ?はやっ!みなとみらいの花火終わっちゃいました。三十分足らずなんですね。)


日本へ帰省することができれば良いのですが、財政的な問題や、日本の事情もありますので、今年もまだ問屋がおろしてくれませんでした。日本の事情というのは、コロナもありますが、猛暑やフライトやホテルの空き等々、様々な要素。

というわけで、二回目の夏休みも自宅での「巣篭もり休暇」となりました。ワタシ的にはそれでもぜーんぜんかまいません。もともとナマケモノなのです。

で、自宅にいてなにをするかというと、まずもってすることは日本のバラエティ番組をネットで観ることです。お気に入りの有吉さんの「有吉クイズ」「かりそめ天国」を始め「あちこちオードリー」やかまいたちの諸番組等々...

「なんと、つまらないヤツだ。もっとクリエイティブになれないのか?」とお思いになられることでしょう。




みなとみらいよりもう一枚


たしかにー。ですが、これは休暇中の大変重要な部分なのです。それはですねえ、日本のバラエティ番組は面白いものが多いですし、笑えるのです。心の底から。そして「笑う」ということは、疲れを癒す特効薬なのです。

以前にも書いたことがありますが、「笑い」というのは相当に「文化」に強く結びついていると思います。アイスランドにも、もちろん「笑える」ことはたくさんありますが、それはアイスランド人の「笑い」なのです。

日本のバラエティ番組を観ていて笑うような意味での「笑い」は、私はアイスランドでは経験できません。「笑いのセンス」が違うのですよ、もとより。

そのことを、時々アイスランドの人にも話すことがあるのですが、「それはわかるな。ボクがアメリカ映画のコメディを観ても、ピンとこないことが多いよ」と答えてくる人は結構います。

さらに言うと、日本の文化の中でも「笑いの文化」は変化するものですよね。ある時代に「笑い」として良しとされていたものが、時代の移ろいの中でNGとなってしまう、というのは、皆さんも現在直面されている現実だろうと思います。

「笑いのセンスの違い」「笑いの文化の違い」というのは、ですから、日本にいようと国外にいようと、いつでも存在することなのでしょう。それでもやはり、私はアイスランドの生活の中で、そのことを強く感じます。




清涼感アップ用ピック2
Myndin er eftir Lorenzo_Castagnone@unsplash.com


で、これって、実を言うとかなり日常生活に深く関わる問題だと思います。「笑い」「笑える」というのは、人間生活の基本にあるものですからね。

海外在住の日本の人たちが、どのようにして自身のための「笑い」を確保できるか?というのはその人の日常生活に関わる問題です。それによって、その人がその地で楽しく過ごせるか、つまらない生活になるか、ということさえ左右するかもしれません。

中には、その地の文化に適合し、「笑いの文化」さえ自分自身のものとしていくようなたくましい人もあることでしょう。そういう人はすごいと思うな、ワタシは。

私自身は、三十年以上になるこちらの生活で、こちらの文化の相当な部分には適合してきたつもりですが、「笑いの文化」は「不適合」で終わっています。

だから、日常生活の大部分では「バカ笑いしないヤツ」「冗談を言わない人」と見なされていますし、実際こっちももうあきらめていますよ、そういうことは。

そしてその「補償」が夏休みのバラエティ視聴なのでした。ですから、これはこれで私なりの「笑いの文化の違い」に対する対処法なのです。

「アイスランドでは夏休みはガッツリ一ヶ月」とか書いているのをご覧になって、「気楽な生活ですなー」と思われる向きもあるかもしれません。ですけどね、それとは別のところで別の苦労があるのです、ちゃんと。

夏休みのKeywordは「笑い」。これも「移民生活」の一部です。


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