レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

サッポロ北街ひとり日誌(7)- 新婚さんまた来てね

2012-09-13 05:00:00 | 日記
しつこくブライダルのお話しの続きです。

日本からわざわざアイスランドまで結婚式をあげるためにいらっしゃるカップルがあります。私自身そのような式を年平均して一、二回は担当させていただきます。

「どうして遠いアイスランドまで来て式をあげたいんですか?」とこちらも毎回のようにお尋ねします。「日本で式を計画すると、ゲストへの気配りばかりで自分たちの望む式ができない」「式はふたりだけで遠くで挙げるのが夢だった」というような答えが平均的でしょうか?

ところで日本からのカップルの方がアイスランドで式を挙げることを計画される場合、ふたつの仕方があります。第一は旅行会社やブライダルサービスを仲介してこちらに連絡してくる仕方。第二にご自分たちで直接連絡されてくる仕方です。代理店を通して連絡される場合は、こちらとしては準備の手間が省けて楽は楽なのですが、その分事前にカップルの方と知り合う機会が少なくなります。多くの場合、式の前日のリハーサルで初めてご挨拶をして翌日の式に臨むということになります。

直接連絡されてくるカップルの場合は、式場となる教会の選定や、オルガニスト、コーラスの希望や手配、その他お花から何からと手間はかかりますが、準備の段階から人間関係ができてきて、アイスランドへいらっしゃった時に「ようやくお目にかかれましたね!」という雰囲気になることさえあります。

いずれの場合でも非常に限られたやり取りの中での関係になります。このような機会が単なる「いちげんの客」的なもので終始するか、それとも「一期一会」と呼べるようなものへ昇華できるか。これは私のように迎える側としては大きな違いになります。「一見」の連続になるか「一期一会」の連続になるかでは人生そのものが変わってきてしまいますからね。

もっとも「一見」を「一期一会」とする特別な方法や秘訣があるわけではありません。「一期一会」の条件には来られるカップルの方の側の姿勢もありますから、こちらがそう願っても叶うものでもありません。ただ、「一期一会」を願う者として、少なくとも心がけていることはあります。

それは月並みですが誠意を持って式にあたるということです。もちろん教会の結婚式にはマニュアルがありますし、式でする「勧めのお話し」にも基本パターンはあります。ですが、マニュアル通りにしてパターン通りのお話しをするだけでは誠意にはなりません。「誠意」とするには、そのカップルだけのこと、特別なものを付加する必要があります。

実際にはそのような「特別なもの」が見つからないこともあります。しかし、探すことは必ずできます。その探す過程で、当事者のお二人に対する思いが深まっていきます。そういう思いがなければ誠心誠意を持って式に臨むということは難しいでしょう。

私のようにアイスランドの教会で奉職している者にとっては、邦人の方の式のお世話は別に「ビジネス」ではありません。それによって収入が増えるという問題でもありません(いただける報酬は4.000円程度です)。それでも邦人の方の式のお世話は楽しいですね。緊張して多少不安気にいらっしゃるカップルの方に、式後に幸せに満ちた表情で「来て良かったです」と言ってもらえれば、こちらもうれしい限りです。良いご家庭を築いてくださいますよう!

コメント
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