もうまもなく、新年の最初の月が過ぎ去ってしまいます。ハヤッ! 雪がない冬を楽しんできたレイキャビクですが、先週一週間はまるまる雪漬けの日々となりました。
私のカッコイーマツダCX-3(しかもAWD !)は屋根のない駐車区域に止めてありますので、朝出かける前にせかせかと雪を振りのけるのが嫌な私は、前の夜に車に積もった雪を始末したりします。
すると夜のうちにまた雪が降って結局朝の余計な労働を強いられたりします。前夜分と合わせてダブルか?という悔しい思いもありますが、それでも一度除雪してあるのとないのとでは大違い。
日本の雪深い地方の皆さんと違い、家の屋根の雪下ろしとかはほとんどすることはありませんので、それを考えれば車の除雪くらいで文句を言ったらバチが当たりますね。
さて、前回、前々回と趣味的に教会の話しが続きましたので、今回は社会面に目を移して移民と労働に関してです。
移民の増加と文化の多様化は表裏一体 母国語の維持を図るカフェリンガルという活動
Myndin er ur Borgarbokasafn.is
2008年の経済恐慌で、国がマジで財政破綻した国アイスランド、はその後奇跡的に経済復興を果たしています。経済破綻で失われた様々な資金のプール -老齢年金等々- などは、依然として破綻の傷を背負っていますし、必ずしもすべての面で復興したというわけではありません。
しかしながら、一般の民間の経済状態が良好な状態にも戻っていたことは肌で感じますし、多くの人たちが -特に邦人の方々は- 「ミニバブルよね」とかここしばらく口にしてきました。
「バブルよね」という言葉の裏には常に「いつ破裂するのか?」という危機感あるいは不安感があるのですが、昨年末くらいから、多少「やばいんじゃねえの?」みたいな兆候が出てきているようです。
いくつかの名の知れた企業でまとまった数の授業員が解雇されたりしているのです。格安路線で業績を伸ばしてきた、かに見えたアイスランドの航空会社WOWは、昨年のクリスマス前にアメリカの投資会社INDIGOに身売り。それを受けて111人がバッサリ。
今年に入っても、自動車部品関連のセールス会社Bilanaustが倒産宣言。従業員数はなぜか不明です。また外資系のノヴァマティックというソフト関連の会社もアイスランドからの事業撤退を発表。アイスランド国内では11人が四月付で解雇とのこと。そんなニュースがあちこちに散見するのです。
経済回復の立役者だった観光業ですが、ここにきて観光客数も減少に転じたとか。Icelandic Excursions という会社は、アメリカのGray Lineという大きな会社に経営を奪われてしまい、やはりドライなスタッフの入れ替えが行われたようです。日本人の方で仕事を失ってしまった方もあるとか...
そのように「バブル」に?がつき始めているアイスランドですが、全般的にそれでもまだバブルってるようです。
景気が良くなると必ず現れる現象が「外国人労働者の増加」です。これは十年前の2006〜7年バブルの時も同じでした。
先日1月23日のモルグンブラウジィズ紙に統計局の資料を基にしての記事が載りました。アイスランドの労働市場における移民の数と割合についてです。ここでの「移民」とは「アイスランドの市民権を持たない外国籍の人」のことを指しますので念のため。
それによると、2018年9月の時点で、国内で労働をしている移民の数は40.500人。これは2014年の数から比べて二倍、2016年の1月と比しても50%の増加だそうです。
さらに言うと、その半年ほど前の2018年4月と比べると4.600人の増加となっています。これは人口約35万人の国の労働マーケットにおいてはかなり急速な増加と言っていいでしょう。
急速な移民労働人口を伝えるモルグンブラウジィズ紙の図
確かこの間「アイスランドに住む人々」として人口数などを書いた時にチェックした時は、2018年の始めの時点での外国籍者数は3万人くらいでしたから、それから九ヶ月で1万人も増加していることになります。
アイスランドに住む人々
あっ、違うか。3万人はすべての外国籍者数。今回の40.500人は「労働市場にいる外国籍者」だから、「外国籍の人すべて」だったらその上を行くはずです。すごいな。
で、この働いている40.500人のうち、男性は23.115人、女性が17.379人で、全体の57%が男性とのこと。
同時点で、アイスランドの労働市場には164.000人の「アイスランド人」労働者がいるということですので、移民労働者数の割合はなんと全体の20%に達し、つまり働いている五人に一人は外国人、ということになります。
アイスランドはEUには加盟していませんが、EEAヨーロッパ経済共同体には参加しているため、EU内の市民はアイスランドに自由にやってきて仕事に就くことができます。その逆も然り。
そのために「仕事がある」という時期になると、仕事を求める労働者たちが容易く移動してこれるわけです。「容易く」というのは法律上のことで、実際には例えばアパート探し等の難題はあるのですが。
さらに言うと、そのために国内の苦しい住宅事情がさらに苦しくなっていくわけです。あちらが出っ張ればこちらがへこむ、というやつですね。
移民労働者の多くがこうして働いています
Myndin er ur Eirikurjonsson.is
年齢的な観点から見ると、当然でしょうが働き盛りの二十代から三十代末までで、25.115人と全体の62%を占めています。ちなみに六十歳代で働いている移民数は1.311人。ワタシはここに入ります。七十代以上でなお働いている方も86人いるということで、お元気で何より、です。
多くの移民の人たちは建設現場等で働いていますので、私は日常的に接する機会はそう多くはありません。「外国人の多さ」を実感するのは、たまにレストランなどで外食する時です。
注文を取りに来るウェイター・ウェイトレスはほとんど外国人のような気がします。もう十年以上前ですが、ダウンタウンのカフェパリスへ行った時、ウェイターのお兄さんが、こちらがアイスランド語で答えているのに、しつこく英語で話してきて「なんだこのヤロウ」と思ったら、そのお兄さんが外国人だった、という経験をしました。
今では、こちらの方が始めから「外国人だろう」と当たりをつけていきます。ちなみに、そういう際には自分が外国人であることはコロリと忘れています。(^-^;
ですから、もし皆さんがアイスランドへ来られる/来られたとして、「せっかくだからアイスランド語を話そう」と、飛行機の中でガイドブックのアイスランド語会話帳を一生懸命勉強し、レストランで試してみたのに通じなかった、としてもがっかりしないでください。きっと、外国人だったんです、その係りの人。
私は仕事上、移民とは関係が深いので、情報には意を払っているつもりですが、それでもこの移民数の増加には驚かされました。それ自体は悪いことではないのですが、早すぎる変化というのは往々にしてのちにトラブルを引き起こしますので、多少心配の種である気もします。どうなりますやら...
これらは大陸の方ではもう二十年も前から顕著になってきていることです。「移民社会」の波は、遅まきながら氷の島にも届いてきているようです。問題はこの波が、どこかで凍てつくか、凍らずに流れ続けるか、ということかもしれません。
***
追加 28日月曜日のニュースによると、昨年末の時点でのアイスランドに居住する外国籍者総数は44.310人で、割合としては12,4%になるということです。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
私のカッコイーマツダCX-3(しかもAWD !)は屋根のない駐車区域に止めてありますので、朝出かける前にせかせかと雪を振りのけるのが嫌な私は、前の夜に車に積もった雪を始末したりします。
すると夜のうちにまた雪が降って結局朝の余計な労働を強いられたりします。前夜分と合わせてダブルか?という悔しい思いもありますが、それでも一度除雪してあるのとないのとでは大違い。
日本の雪深い地方の皆さんと違い、家の屋根の雪下ろしとかはほとんどすることはありませんので、それを考えれば車の除雪くらいで文句を言ったらバチが当たりますね。
さて、前回、前々回と趣味的に教会の話しが続きましたので、今回は社会面に目を移して移民と労働に関してです。
移民の増加と文化の多様化は表裏一体 母国語の維持を図るカフェリンガルという活動
Myndin er ur Borgarbokasafn.is
2008年の経済恐慌で、国がマジで財政破綻した国アイスランド、はその後奇跡的に経済復興を果たしています。経済破綻で失われた様々な資金のプール -老齢年金等々- などは、依然として破綻の傷を背負っていますし、必ずしもすべての面で復興したというわけではありません。
しかしながら、一般の民間の経済状態が良好な状態にも戻っていたことは肌で感じますし、多くの人たちが -特に邦人の方々は- 「ミニバブルよね」とかここしばらく口にしてきました。
「バブルよね」という言葉の裏には常に「いつ破裂するのか?」という危機感あるいは不安感があるのですが、昨年末くらいから、多少「やばいんじゃねえの?」みたいな兆候が出てきているようです。
いくつかの名の知れた企業でまとまった数の授業員が解雇されたりしているのです。格安路線で業績を伸ばしてきた、かに見えたアイスランドの航空会社WOWは、昨年のクリスマス前にアメリカの投資会社INDIGOに身売り。それを受けて111人がバッサリ。
今年に入っても、自動車部品関連のセールス会社Bilanaustが倒産宣言。従業員数はなぜか不明です。また外資系のノヴァマティックというソフト関連の会社もアイスランドからの事業撤退を発表。アイスランド国内では11人が四月付で解雇とのこと。そんなニュースがあちこちに散見するのです。
経済回復の立役者だった観光業ですが、ここにきて観光客数も減少に転じたとか。Icelandic Excursions という会社は、アメリカのGray Lineという大きな会社に経営を奪われてしまい、やはりドライなスタッフの入れ替えが行われたようです。日本人の方で仕事を失ってしまった方もあるとか...
そのように「バブル」に?がつき始めているアイスランドですが、全般的にそれでもまだバブルってるようです。
景気が良くなると必ず現れる現象が「外国人労働者の増加」です。これは十年前の2006〜7年バブルの時も同じでした。
先日1月23日のモルグンブラウジィズ紙に統計局の資料を基にしての記事が載りました。アイスランドの労働市場における移民の数と割合についてです。ここでの「移民」とは「アイスランドの市民権を持たない外国籍の人」のことを指しますので念のため。
それによると、2018年9月の時点で、国内で労働をしている移民の数は40.500人。これは2014年の数から比べて二倍、2016年の1月と比しても50%の増加だそうです。
さらに言うと、その半年ほど前の2018年4月と比べると4.600人の増加となっています。これは人口約35万人の国の労働マーケットにおいてはかなり急速な増加と言っていいでしょう。
急速な移民労働人口を伝えるモルグンブラウジィズ紙の図
確かこの間「アイスランドに住む人々」として人口数などを書いた時にチェックした時は、2018年の始めの時点での外国籍者数は3万人くらいでしたから、それから九ヶ月で1万人も増加していることになります。
アイスランドに住む人々
あっ、違うか。3万人はすべての外国籍者数。今回の40.500人は「労働市場にいる外国籍者」だから、「外国籍の人すべて」だったらその上を行くはずです。すごいな。
で、この働いている40.500人のうち、男性は23.115人、女性が17.379人で、全体の57%が男性とのこと。
同時点で、アイスランドの労働市場には164.000人の「アイスランド人」労働者がいるということですので、移民労働者数の割合はなんと全体の20%に達し、つまり働いている五人に一人は外国人、ということになります。
アイスランドはEUには加盟していませんが、EEAヨーロッパ経済共同体には参加しているため、EU内の市民はアイスランドに自由にやってきて仕事に就くことができます。その逆も然り。
そのために「仕事がある」という時期になると、仕事を求める労働者たちが容易く移動してこれるわけです。「容易く」というのは法律上のことで、実際には例えばアパート探し等の難題はあるのですが。
さらに言うと、そのために国内の苦しい住宅事情がさらに苦しくなっていくわけです。あちらが出っ張ればこちらがへこむ、というやつですね。
移民労働者の多くがこうして働いています
Myndin er ur Eirikurjonsson.is
年齢的な観点から見ると、当然でしょうが働き盛りの二十代から三十代末までで、25.115人と全体の62%を占めています。ちなみに六十歳代で働いている移民数は1.311人。ワタシはここに入ります。七十代以上でなお働いている方も86人いるということで、お元気で何より、です。
多くの移民の人たちは建設現場等で働いていますので、私は日常的に接する機会はそう多くはありません。「外国人の多さ」を実感するのは、たまにレストランなどで外食する時です。
注文を取りに来るウェイター・ウェイトレスはほとんど外国人のような気がします。もう十年以上前ですが、ダウンタウンのカフェパリスへ行った時、ウェイターのお兄さんが、こちらがアイスランド語で答えているのに、しつこく英語で話してきて「なんだこのヤロウ」と思ったら、そのお兄さんが外国人だった、という経験をしました。
今では、こちらの方が始めから「外国人だろう」と当たりをつけていきます。ちなみに、そういう際には自分が外国人であることはコロリと忘れています。(^-^;
ですから、もし皆さんがアイスランドへ来られる/来られたとして、「せっかくだからアイスランド語を話そう」と、飛行機の中でガイドブックのアイスランド語会話帳を一生懸命勉強し、レストランで試してみたのに通じなかった、としてもがっかりしないでください。きっと、外国人だったんです、その係りの人。
私は仕事上、移民とは関係が深いので、情報には意を払っているつもりですが、それでもこの移民数の増加には驚かされました。それ自体は悪いことではないのですが、早すぎる変化というのは往々にしてのちにトラブルを引き起こしますので、多少心配の種である気もします。どうなりますやら...
これらは大陸の方ではもう二十年も前から顕著になってきていることです。「移民社会」の波は、遅まきながら氷の島にも届いてきているようです。問題はこの波が、どこかで凍てつくか、凍らずに流れ続けるか、ということかもしれません。
***
追加 28日月曜日のニュースによると、昨年末の時点でのアイスランドに居住する外国籍者総数は44.310人で、割合としては12,4%になるということです。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
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