レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

アイスランド、グリーンランド、そして北極

2016-03-27 05:00:00 | 日記
Gledilega paska! グレージィレーガ パウスカ!

英語のHappy Easter!のような意味ですが、今日の日曜日は復活祭で、アイスランドではこの挨拶が飛び交います。

先週は「聖週間」で木曜と金曜が祭日(キリストの十字架刑を偲ぶ日なので「祝日」というのは合わないと思います)でお休み。今日の日曜は復活主日でもちろん祭日。ついでに明日の月曜日が「パウスカ二日目」という祝日。

聖週間についてはこちらも



タマゴ、ヒヨコ、黄色いラッパスイセンラッパスイセンはパウスカのシンボル
-Myndin er ur gottimatinn.is-


さて、ですが今日のトピックはパウスカではありません。明石書店から最近出版された「アイスランド·グリーランド·北極を知るための65章」という新刊本を今日はご紹介します。

明石書店ではこれまでも「エリア·スタディーズ」というシリーズで「どこどこを知るためのXX章」という書をすでに141巻世に出しています。私個人は一冊も読んだことがありません。悪しからず。(^-^;

やっぱりアイスランドとかグリーンランドは142巻になるのを待たなければいけないのかあ、という気持ちも正直ありますね。他の場所は訪ね尽くして、他にはもう行くべきところがない?のでしょうね。トホッ...

この本ですが、タイトルが示す通り65の章立てでアイスランド·グリーランド·北極について紹介をする内容です。しかし、ガイドブックではありません。学術書とまではいかないでしょうが、学術書になる得るだけの内容を、普通にスラスラ読めるくらいの文に平易化したような感じです。

アイスランド、グリーンランド、北極という地理的な区分が横軸とすると、縦軸は「地理、歴史」「政治、経済、社会」「生活、文化」「言語、文学」の五つの区分になっています。これらのテーマに沿って、みっつの国と地域を考察していくわけです。

ざっと数えてみたのですが、北極に関わる章が9、グリーンランドに関わる章が16、アイスランドに関わるものが残りの章で40になります。ちなみにアイスランドとグリーンランドは隣同士なのだから、普段から年中行ったり来たりしているんだろう、と思われる方がありましたら、それは違います。

確かにグリーンランドまでは、レイキャビクの空港から二時間で行けると思いますが、私はまだ行ったことがありません。北極も行ったことはありません。行く予定もありません。寒いのは嫌なのです。




というような装丁の新刊本


章が六十五もあるのですが、執筆者も四十一人と大人数です。平均して半数くらいの人がふたつの章を担当していることになりましょうか?

執筆者の中には私も懇意にしてもらっている、アイスランド大学の日本語科の先生の溝口さんや永井さん、また赤十字ボラをかれこれ十年くらい一緒にしてきた、本職は栄養学者のグビューズルンさんらも入っています。

私自身も「移民事情」と「国民教会」のふたつの章を担当したのですが、これにはアイスランド的な前史があります。編集者三人の中のひとり、立教大学准教授の小澤先生は以前デンマークに留学していました。その際に夏休みを利用してアイスランドにも足を伸ばして勉強されていました。

その時期に共通の知人の紹介で我が古アパートへも足を運んでいただき、一献傾けたことがるのです。もう十年以上前のことですが、その頃は東大の大学院の研究生だったと記憶していますが、「東大」のタイトルが私のアパートの門をくぐったのはそれが最初で最後ではないかと思います。

編集者として、四十一人という大執筆者グループの指揮を取るのは、小澤先生には難儀なことだったのではないかと想像します。 それぞれに自前のタッチというか、語り口がありますので、下手をするとバラバラな原稿の寄せ集めになってしまうでしょうから。小澤先生、お疲れ様でした。

手元に届いたばかりで、まだきちんと読んではいないのですが、網羅的で、かつ読みやすいことは見て取れます。コンパクトながら多彩な情報源であることは間違いなさそうです。

ちなみに価格は2000円です。巻末にはかなり詳細な参考文献一覧も添えられていますので、これも好事家の方がさらに知識を深めたい時には役立つことでしょう。

この本だけでももちろん有用ですが、さらに旅行用のガイドブックと「併せて」読めば非常に得るところが多いのではないかと思います。旅行者の方、またはアイスランドに関心のある方には是非一読されることをお勧めいたします。

それでは最後にあらためましてGledilega paska!!


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アイスランドと言えばローパペイサ...?

2016-03-20 05:00:00 | 日記
今日はまたツーリスト関係のトピックです。先週の水曜日にモルグンブラージズ紙に「ツーリストへの売り上げ、新記録」という記事が載りました。

商店関係のリサーチをする「商業店舗リサーチセンター」というところがあるのですが、そのセンターの調べによると、昨年2015年に外国からのツーリストが、アイスランドで衣料品の購入に使ったクレジットカードによる決済の総額は、46億クローネに上るというのです。

ちなみに2012年は27億クローネだったそうですから、いかに商売が繁盛しているか伺えますね。しかもこれは「カード決済」だけの話しで、キャッシュで買った場合の売り上げがこれに加算されます。

商業店舗リサーチセンターの所長のエミール·カルトゥスソンは、「いかにツーリズム産業がアイスランドの商業店舗にとって重要かということの例です」と言わずもがなのコメントをした後で、こういうことも言っています。

「売れ筋のメインはアウトドア用の衣料品です。外国人は、他の国でも手に入るような、伝統的なファッションの衣料品を買いにアイスランドに来ているわけではありません。ツーリストの増加は、衣料品店舗にとっては生き残りの絶好のチャンスです」

実は、以前書いたことがあるのですが、アイスランドの衣料品は高額な消費税のおかげで、国民からそっぽを向かれていたのです。最近ようやく日用衣料品は税額が下げられましたが。

衣料品店舗の窮状についてはこちらも


もっとも儲けているのはいわゆるツーリスト用の店舗が主なので、これが衣料品店舗全体にプラスなのかどうか、多少エミールさんのコメントには引っかかります。

アウトドア用の衣料品を扱っている五つのメジャーなチェーン店はいずれも店舗の増加を計画中だそうで、この夏には全部合わせて39店舗、従業員総数265人プラスアルファになる予定だとか。

さてその反面で次のようなニュースが金曜日に伝わってきました。

ラグンヘイズル·エリーン·アウルトゥナアドティールという産業大臣がシカゴを訪問しています。木曜日にシカゴのエマヌエル市長を訪問した際に、アイスランド名物のローパペイサ(よっていない毛糸で、アイスランド特有のデザインを編み込んだセーター)をお土産に贈呈しました。

ところが66˚ノルズルという名門メーカー(先のメジャーな五大衣料品店チェーンのひとつ)のマーケティング主任のファンナールさんが、「あのローパペイサは中国の我々の関連会社で生産されたものです」と告白?したのです。




中国製のIcelandicローパペイサに見入るエマヌエル·シカゴ市長
-Myndin er ur Visir.is-


そう言われてみると、デザインはなんとなくアイスランドの伝統的なものとは違っていて、「いい」と言う人もあれば「ダサイ」と言う人もあるようです。

手編み協会連盟は声明を発表し、「我々のところではすべてのローパペイサは手編みで作られており品質も高い。あんなローパペイサを持っていくとは心外だ」

ファンナールさんは「毛糸はすべてアイスランド産だし、デザインだって伝統のものからインスパイアされています。もともとのアイデアは『Of Monsters and Men』のアルトゥナが我々を訪問してくれた時に生まれたんです」これはデザインに関しての弁解。

なんか、Of Monsters and Men を引き合いに出せば避難をかわせるという感じのコメントですが... (^-^;

ところがさらにビックリの事実は66˚ノルズルは国外数カ所に「生産所」を有しており、ラトビアの工場で「Icelandic」ローパペイサの70〜80%が生産されているとのこと。

これは「中国で編まれたローパペイサを『アイスランドのローパペイサ』と言っていいのか?」という記者の問いに対する答えだったのですが、質問そのものに直接の答えはなかったようです。

アイスランドと言えばローパペイサですが、皆さん、こちらで買う機会がありましたら、ぜひ「生産国」を確かめてください。私としては、せっかくのアイスランド土産には、アイスランド生まれのローパペイサを選んでいただきたい気持ちです。


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Star Wars mass

2016-03-13 05:00:00 | 日記
今年はパウスカ(イースター 、復活祭)が三月二十七日と早いため、今の時期の教会活動はかなり多忙期に入っています。ちなみにイースターは陰暦によって決められますので、毎年一定の枠の中(3月22日-4月25日)で移動します。

このパウスカそのものが大きなイベントで、パウスカを迎える一週間は「聖週間」と呼ばれ、特別な祭りの週となります。今年は三月二十日の日曜日からの週です。

「聖週間」についてはこちらにもブログがあります


さらにこのパウスカの前後にはフェルミング(献信式)が行われるの普通で、レイキャビクの大きい教区では少年少女数が多いために、このフェルミングが二週間ほどの期間に四五回に分けて執り行われます。

このパウスカとは別に、アイスランド国民教会では毎年三月の第一日曜日は「若者の日」と定められています。この日曜日には多くの教会で、牧師さんではなく、若者の代表が代わってお話を担当したり、いろいろ若者的な趣向をこらして礼拝をプログラムしたりします。

今年の場合は先週の日曜日、六日がこの「若者の日」だったわけですが、私の居候しているヒャットラ教会でも趣向をこらした礼拝が持たれました。「Star Warsミサ」です!

はじめ聞いたときは「何をするんだろうか?」と思いましたが、「それほどのことはないだろう」と大して興味は湧きませんでした。ヒャットラ教会という教会は、閑静な住宅地にあり、主任牧師のシグフスさんの性格もあって、これまであまり「人寄せ興行」的な催しには縁の遠いところだったのです。

ところが人とは意外な点を持っているもので、スターウォーズの大ファンだというのです。以前からこのスターウォーズをキリスト教的な観点から扱おう、と考えを温めていたようです。

ちなみに私は「チョー」は付かないかもしれませんが、スターウォーズファンです。特に「ジェダイ」ファンです。クワイ·ゴン=ジンとオビ·ワン=ケノビはMy Personal Heroです。




Star Wars Mass のポスター「フォースと栄光」


スターウォーズは私が高校を卒業した頃に日本でロードショー公開されたのを覚えています。はじめの三部作もその頃大好きでした。一休みして次の三部作の一つ目「エピソード1」はこちらでは1999年に公開されました。

私はこの話しは相当好きで、その時期に通算十二回映画館へ足を運びました。これは今でも私個人としては記録です。「お客さんひとりだけ」ということも何回かありましたね。(^-^;

さて「Star Wars Mass」ですが、ヒャットラ教会の聖歌隊に加えて、二十五人編成のレイキャビクブラスバンドが参加することとなりました。アマチュア楽団ですが、結果から言うと素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたのです。

プログラムは単純でスターウォーズの音楽を鑑賞しながら、合間にシグフス牧師がスターウォーズのエピソードと聖書の話しの類似点を、軽い調子でお話しするという線で行くことになりました。

それだけではつまらないので、オルガニストのグビューズニーさんは若い女性ですが、髪をプリンセスレイア的に両側に丸くまとめたり、スグフス牧師はガウンにライトセーバーをぶら下げたり(もちろんおもちゃ)と衣装をそれっぽくすることで一致。

ルーテル教会の牧師さんのガウンは、もともとジェダイの騎士のローブのように見えるのです。もうひとりいるアッタさんという女性牧師も後ろ髪を丸く結い上げジェダイっぽくすることに。

さらにミサにやってくる子供達も自由にスターウォーズの格好をしてくるように勧め、さらに「武器持ち込み可」ということになりました。子供は喜びますよ、これは。

当日はミサは夜八時からだったのですが、六時くらいからクワイヤとバンドが練習に入り始め、どんどん雰囲気が盛り上がっていきましたね〜。クワイヤとブラスはもちろん、これまでに練習を重ねてきています。教会の中でスターウォーズのテーマを聞くというのは、やはり不思議な感じがします。

はっきり言って、子供はもちろんですが、さらにその上を行って大人たちが喜んでいたと思います。ワタシもですが。(*^^*)

私は茶色のフード付きのローブ(礼拝助手用のもの)を買って持っていましたので、それを使うことにしました。正確には同じではないのですが、イメージ的にはジェダイのローブのような感じに見えたので。

ミサが始まる三十分前からもう人が入り始めるという、普段の礼拝ではありえない光景が見られました。八時前には補助席も含めて満席。三百席以上はあるはずです。




大人も子供も楽しんだ礼拝


そして始まり。ご丁寧に「二十一世紀FOX」の「パンパカパーン」というテーマの前奏から始まり、テーマ曲へ入ります。相当すぐれた演奏で、やはり「生バンド」ですから迫力があります。

その後、シグフス牧師のトークを交えながら、クワイヤとバンド、そしてオルガニストのグビュズニーさんがスターウォーズから五曲を演奏披露してくれました。

特に「Duel of the Fates」は非常に見事でした。クワイ·ゴン=ジンとオビ·ワン=ケノビがダットマウルと戦うあの場面で流れる曲です。素晴らしいので興奮しましたよ、ファンとしては。

結局、ミサ終了後アンコール演奏二回。聴衆は総スタンディングオベイションでした。大成功の巻でした。

二日後のこの火曜日、スタッフミーティングでハウスキーパーのおばさんが、「トシキ、孫たちの意見ではトシキが一番カッコよかったって。ローブがそれらしいのと、両手を前で交差して袖に隠すのと、お辞儀の仕方がよかったって。

『何か意味があるのか?』って訊いたけど教えてくれなかった」

ムフフ... 意味があるのです。それがジェダイの仕草なのです。通館十二回は伊達ではないのでした。v(^^)


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厳しい冬と温暖化、そして半魚人

2016-03-06 05:00:00 | 日記
もうこれを口にするのがバカバカしくなってくるのですが、日々が早く過ぎて行きます。早すぎます。三月ですよ、もう。一年の六分の一が経ってしまいました。この間クリスマスだったのに。

この時期になってくると、さすがにアイスランドでも春の気配がしてきます。気温や天候はまったく当てになりませんが、「日の長さ」は着実に春の到来のカウントダウンをしてくれます。

ちなみに 昨日の土曜日のレイキャビクでの日の出は8:20、日の入りは18:59でした。三月の終わりになりますと、夜の八時でもまだ明るいくらいになります。それを考えるとウキウキしてきます。夜でも明るいのは大好きで、だいいち車の運転がずっと楽です。

こちらの気象専門家にトロイストゥル·ヨンソンという人がいます。天気予報とかでよく出てくるのですが、個人のブログでも天気に関して書いていて、なんというか天候に関することが本当に好きな人のようです。

ところで、アイスランドは昨冬はそうとう厳しい冬でした。北部とレイキャビクのある南部では降雪などずいぶんと違いがあるのですが、レイキャビクのみの生活感覚で言わせてもらうと、とにかく雪が絶え間なく降り、風の強い日がやたらと多かった、という感じでした。

ところが今年も大同小異なのです。雪は多分去年ほどではないでしょう。風は去年以上でしょう。で、先のトロイストゥルさんがブログの中でこの冬のことを書いていました。

まず去年の十二月、今年の一月、二月の三ヶ月間だけをとってみると、1995年以来の寒い冬だったということです。確かに休みなく寒い日が続いてた感じはしますね。ちなみにこの三ヶ月のことを「国際冬期」と呼ぶようです。これはアイスランドでは九月から四月半ばまでが「冬期」ですので、そういうローカルな冬と区別しての呼び方のようです。

今年一月の平均気温はレイキャビクで0,2度、アクレイリでマイナス2,6度だったそうです。これはほぼ昨年の平均気温と同じだったとのこと。

ここで面白いのは、この気温は1961年から1990までの長い期間の平均気温ともそう差がないのだそうです。ところが過去十年間の平均気温と比べてみると、1,3度も低いのです。

さらに付け加えると -私がではなくて、トロイストゥルさんのブログによるとですが- 「国際冬期」の平均気温はアクレイリではさらに1,8度低く、過去十年平均よりは3.0度低いのだそうです。

話しがごちゃごちゃしてきましたが、要するにアイスランドの「国際冬期」の平均気温は、1961年から1990年の三十年間の平均とは大差ないが、過去十年間の気温よりは低い、ということになります。

早い話が最近の十年間は平均気温が高かったということです。昨年と今年は元に戻りましたが。

ところが不思議なのは、アイスランドで唯一北極圏内で人が住んでいるグリムスエイというちいちゃな島では一月の平均気温が0,8度とレイキャビクよりも高かったのです。

これにはトロイストゥルさんも首をひねったとうで「この暖かさはどこからきているのだろうか?」と問いかけています。

だから北極圏内では去年も今年も休みなく温暖化が進行しているということでしょうか?地球は「海の星」になっちゃうんでしょうかねえ?

で、今思い出しましたが、小学生の頃、「半魚人」の漫画がありました。「将来地球は海だけになる」と信じた科学者が自分の息子が生きながらえるように手足に水かきをつけたりして訓練(虐待)するというよなホラーものでした。

息子の有人がその企みに気がつき、助けようとするのですが、最後では結局息子は半魚人と化して海へ去っていく、というような内容だったと記憶しています。

アイスランド在住でいながら、寒いの大嫌いのワタシとしては暖かくなってくれるのは嬉しいのですが、陸がなくなって半魚人化するのはもっと嫌です。

どこか度を越さないところで止まってくれることを願います。


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