レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

BLM アイスランドでの独自展開 – の続き –

2020-06-28 00:00:00 | 日記
六月の最終週を迎えています。始めに、昨日の土曜日はアイスランドの大統領選挙の投票日でした。今現在(土曜日の正午)、まだ結果は出ていませんが、現職のグビューズ二大統領の再戦は間違いありません。




大統領選の支持率アンケート
Myndin er ur Visir.is


レイキャビクの今年の夏は、昨年のような「奇跡の夏」にはなりませんでしたが、それなりに夏っぽい日々を与えてくれています。レイキャビク界隈では、気温は十二、三度か「もうちょい」くらいまでは達してくれます。

気温はそんなものですが、雨と風の日がこの夏は少ないと実感しています。まあ、統計的というか、実数値を取ると違う結果になるかもしれませんが。あくまで生活実感。

さて、今回は前回の続きです。前回は、アメリカはミネアポリスでの黒人男性に対する警察暴力に端を発したプロテストが、世界に波及する中で、どのようにアイスランドにもやってきたか、ということをお話しいたしました。

当初は、そのような状況がどういう風に私自身の仕事に影響しているか、ということを仕事目線でお伝えするつもりだったのですが、長くなりすぎたため、持ち越しとさせていただいたわけです。

さて、私は教会の牧師ですが、もう二十年以上もアイスランドでの移民の人たちと関係する分野で働いています。ここ五、六年は、活動の中心が難民の人たちへとシフトしてきました。

この分野で仕事をする以上、人種民族的偏見、外国人ヘイト(ゼノフォービア)、「Iceland for Icelanders」的スローガン、文化的な相違による嫌悪と侮蔑、そして様々な形で現れる差別と向き合うことは避けられません。

私も、この仕事に就いて以来、ずっとこれらの問題とは隣り合わせでやってきました。

今回のBLM運動の中で、特にアメリカからよく聞かれる意見が、警察組織の中に組み込まれている黒人への差別と偏見の構図でした。個々人の問題のレベルを超えて、黒人を犯罪者として疑ってかかる図式が、これまでの社会の歴史の中で出来上がってしまっている、というようなことだと理解しています。

そのように、差別偏見がシステムの中に組み込まれてしまっていることを、英語ではなんと言うのでしょうか?Systematic discriminationかな? アイスランド語ではKerfisbundin mismunun ケルビスブンディン・ミスムーヌンと呼びます。

Kerfi(system)+ Bundin(bound)+ Mismunun(discrimination) です。「システムにくくり付けられた差別」ということになります。例えば「同じオフィスワーカーの中で、一律に女性の給与が男性よりも低い」というようなものが、このシステムに組み込まれた差別の典型です。

このシステマティック差別のもうひとつの典型は、法律や規則、公的な事務処理の過程などに差別が盛り込まれている場合です。私の考えでは、「戸籍制度」は日本でもっとも日常に浸透している「差別付きシステム」(あるいは「差別助長システム」)ですが、今回は深入りしません。




教会のチームが国会に送った意見書の第1ページ


アイスランドですが、実は年明けから「外国人法」の改正がアルシンキ(国会)の日程に載せられました。この改正法案は、実際には「改悪法案」で、赤十字をはじめ多くの団体、有識者が問題視するに至っています。

例えば、すでに他国で「保護」を受けている難民の再難民申請を不可能にする、こと。すでに保護を受けた難民は、もはや「難民」ではないので、そのような申請は原則受け入れられません。

それでも現行法では「相当な事由がある場合」には申請を受理することができる「お助け条項」があるのです。

ギリシャ、イタリア、ハンガリー等の国々での「難民保護」は、事実として実体がないものであることは、ヨーロッパでは誰もが目に耳にしているところです。家なし、仕事なし、ヘルスケアなし、では生活できません。

難民の人たちが、「保護」を受けながらも第三国へ逃れてくるには、それなりの理由があります。ですが「改悪案」では、今ある「お助け条項」から、この「難民再申請」をはずすことを謳っています。

この他にも、様々な点で難民や外国人の権利の削減が、この法案には含まれています。

で、私自身、この改悪は黙って見ているわけにはいかない代物だったので、教会のSeekers Ministryという、難民問題に取り組むチームに進言して(ありがたいことに、今はひとりではないのです!) 、国会への公式な意見書を取りまとめる作業を始めました。

それなりに時間と手間がかかるのですが、その真っ最中に、あのBLM運動が広まってきたのです。

アイスランドでの、外国人法「改悪」法案とアメリカから広がってきたBLM運動。別個なものなのですが、「システムにくくり付けられた差別」という観点からは多分に共通するところが多いのでした。

というわけで、アルシンキへの意見書の取りまとめをしながら、私は横目で次々と一歩踏み出して、自らの差別、偏見の体験をメディアで赤裸々に語る外国系アイスランド人や移民の人たちを見ていました。いや「横耳で聞いていた」と言うべきか?

「確かにそうだ」「あるある」と頷けるものも、「まさか!」と、私の知らないような話しもあったので、もう少し深入りしたかったのですが、今は改悪法案への意見書が先。

意見書は無事に取りまとめて送ることができました。ですが、それだけでは不十分。意見書が目的ではなく、法案がそのままで通過することを止めることが目的です。

そのためには、この法案の欠点を広く世間に知らしめ「反対」の声を集めなくてはなりません。そこで、前回にも書きました、メディアでのオピニオン・コーナーに頼ることになります。

私個人は、この法案について、まずもってふたつの意見記事を投稿しました。加えて、国会への意見書を、少し噛み砕いて普通の記事にして、これもメディアへ投稿しようということになりました。これはSeekers Ministryでのグループ作業。

私のオピニオン投稿のサンプルはこちらです。




教会のSeekers Ministryの面々


これはこれでまた結構な作業で、改めてグループ作業の大変さを思い起こさせられました。ひとりでやる方が簡単なこともあるよね、フ〜...

オピニオン一回分としては「長過ぎる」から、三回に分けることになりました。グループでの署名記事だし、それが三回続くというのは、それなりにインパクトも増すでしょう。

大切だったことは、これらの「外国人法案改悪」に反対するオピニオンが、BLM運動で言われている「システムのくっついた差別」と関連するものであることもわかってもらうことでした。

この点に関しては、長さの問題とかもあり、オピニオン記事そのものには組み込めなかったので、Facebookとかでネット記事をシェアする際に強調したのですか、まだちょっと足りないですね。改めて記事をひとつ書き足すことが必要だろう、と考えています。

というような感じで、今回のBLM運動と私自身の職務と重なるようになっているのが、ここのところの私の仕事の状況でした。幸い?なことに、改悪法案はすぐには審議入りしない模様です。

政府が悔い改めたからではなく、コロナで諸々の国会審議が遅れに遅れているのが現実だからです。そのことを法務大臣が認めたので、今現在、久しぶりにホッとしています。先週の金曜日は六月に入って初めてのデイオフにしました。そしてもう七月突入。なんか、やっぱりヘンな夏だ〜!!

日本ではコロナは去りそうで去らないコロナですね。「さあ、もう行かないと...」と言い出してから、さんざんしゃべくっているアイスランドのおばちゃんたちを思い起こさせます。

不自由な現実はありましょうが、それでも十分気を付けながら、楽しんで夏をお過ごしください。


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Black lives matter アイスランドでの独自展開

2020-06-21 00:00:00 | 日記
先週の水曜日は17. juni でした。「ソイテャンディ・ユニ」と読みます。これはアイスランドの独立記念日で、もちろん国民の祝日です。なぜか「独立記念日」という呼び方よりも、ソイテャンディ・ユニの方が日常的に使われます。

今年は例によってCちゃんの影響で、祝祭典は控えめだったとのこと。子供たちが大きくなって以降は、まったく参加していない私にとっては、ほとんど関係ありませんでした。 でも、ひとつ特別に良かった、と思えたことがあります。この日は毎年大統領が国に貢献した人に対してFalkaorda ファウルカオルザという勲章を授与します。




左からヴィーザル、アルマ、ソウロウブルの御三方 おめでとうございます
Myndin er ur Visir.is/Sigurjon


その受勲者の中に、ヴィーザルというお巡りさん、アルマとソウロウブルというふたりのお医者さんがありました。

この御三方、コロナの騒ぎの間、毎日記者会見を開き、現状のわかりやすい説明をし、さらに記者からの質問にも丁寧に答えてくれていたのです。相当の仕事だったろうと想像します。「昼帯」を担当しているようなものですから。国民のほとんどが彼らに感謝しているのではないでしょうか?

私もこの受賞は、とても的を得ていると思いましたし、珍しく私でさえ喜ばしく感じるものとなりました。おめでとうございます。

実は、今回は天気も良かったし「街中へ歩いて行って写真でも撮ってみっか?ブログのために」と、思ったりしたのですが、結局自宅での仕事になってしまいました。ここのところかなり忙しかったのです。

今回は、昨今のアイスランドの様子を、私の仕事目線でご紹介してみたいと思います。

アメリカの Black lives matterの波は世界の各地へと波及している、とニュースで見ています。その波はアイスランドへもやってきています。数年前の#Metoo運動の時と似ている面があります。

もっとも、黒人の人たちの絶対数がとても少ない事実がありますので、アイスランドでは、BLMは黒人の人たちへの差別反対という点では、例えば「アメリカでの運動を支援する」というようにして現れています。

ただそれだけではなく、アイスランドでの関連した問題として、「非白人の移民、住民に対する差別の告発」というものがここのところ頻繁になされています。

「告発」というとちょっと言葉がきついかもしれませんが、#Metooの時と同じく、差別や偏見の体験を持つ人たちが、表に出てきてそのことについて話しをするのが目立つようになりました。

ここで、先へ進む前に、アイスランドと日本のメディアのシステムの違いについて少し説明しておきますね。

Youtubeやその他のSNSの発展に伴い、一般の個人が自分の考えやパフォーマンスを、既存のメディアに頼らずに自由に発表できるようになったことはアイスランドも日本や他の欧米諸国と同様です。敢えて「欧米諸国」と言いましたのは、そうではない国も実際にアジアではあるようですので。

ただ、アイスランドではこの発展とは別に、普通の個人がメディアに個人としての意見を発表する場が「伝統的に」保証されてきました。




伝統的な紙面の中でのオピニオン・コーナー モルグンブラウジィズ紙


日本の新聞では、読者のオピニオンなどは本当に数行のものが、日にふたり分くらい掲載されるだけですよね?こちらでは、私が移ってきた三十年前ですら、毎日紙面の数ページを費やして普通の読者からの意見が掲載されていました。

昔は、紙面以外には意見表明の場がなかったので、私も二十年くらい前から定期的に新聞へ自分の意見を発表してきました。簡単ではなかったですよ、もちろん。アイスランド語ですから、助けは必要でした。

十五年くらい前から、徐々にネットが並行して意見表明の場を設けてきましたし、今ではネットの方がメインになっています。印刷版よりも、シェアできるネット版の方が好都合なことが多いのです。

これらオピニオンの場が、Facebookやインスタ、トゥイッターのような個人ベースのものではなく、ネットのニュースサイト、例えば日本やアメリカで言うならば、ヨミウリ・オンラインとかCNN.Comのような公共サイトの一部に設けられているわけです。

これは、意見の交換を公明正大にできる、という点ではかけがいのないシステムだと、私は高く評価しています。もちろん、大臣や著名な人も意見を送ってきますが、その隣りにそこらのおじちゃんや学生さんの意見が並ぶこともあります。というか、それが普通です。

大切な点はこれが「裏チャンネル」ではなく、まさにメインのメディアの一部であることです。その点に関わるのですが、匿名寄稿はNGです。それと、何か事情がない限り、必ず顔写真を添えなくてはなりません。つまり、意見は言えるけど、身元を隠してこそこそということはできないわけです。

このメディアの仕組みをまず理解していただきたいと思います。でないと、次にご紹介しますことが良くわかっていただけないでしょうから。

さて、最近、このメディアのオピニオン掲載の部分に、多くの移民、あるいはルーツを外国と分け合っている人たちが、自らの体験や意見を公開してくれているのです。それなりに勇気と覚悟がいることですし、敢えて一歩踏み出してものを言ってくれる人に、私は敬意を感じます。

で、どんな体験があるのでしょうか?

タイ人のお母さんとアイスランド人のお父さんを持つ二十代の女性は、小中学校時代にさんざん自分の容姿をからかわれたそうです。「冗談だから」と教師も見て見ぬ振り。いじめですね、もう。

別の中東からの両親を持つ女性は、アイスランドで生まれ、ずっとこの国で暮らしてきているにもかかわらず、なにかあると「自分の国へ帰れ!」といまだにののしられることがあるそうです。「私はアイスランド人ではないの?」と彼女はネットの記事で問うています。




ネットの中でのオピニオン・コーナー 「私はアイスランド人なのか?」
Myndin er ur Visir.is


あるアイスランド人の男性は、このオピニオンのコメント欄にこう書いてきました。「両親がアイスランド人でないならば、あんたはアイスランド人ではない。両親がアイスランド人なら、たとえ中国で生まれ育ってもアイスランド人さ」

私は、このネットの「コメント・システム」に関しては否定的で、こんなに人を誹謗中傷するだけのシステムなど、取り去られるべきだと考えています。当然、普段は無視するのですが、今回だけはこの男性にコメントを残しました。

「それは大変に面白い意見ですね。(スマイル) では、アイスランド人とは一体誰なのでしょうか?そもそも、アイスランド人のお父さんと、お母さんを持って生まれてきた『最初のアイスランド人』って誰?(スマイル二回目)」

この男性の見解に従えば、アイスランド人は消滅します。祖先は皆、移民なのだから。

ちょっと変わっているのは?黒人でゲイという大学生が、いかにアイスランド人のゲイの人たちが自分に対して期待というか、肉体に関する先入観的願望?を突きつけてくるか、とか。なおかつ、この人が「ものすごく支配的なキャラクターと決めつけてくる」こともあるそうで。

彼はこれを「ゲイの仲間世界での人種差別」と捉えているようです。そうかもしれないけど、いまいち私の理解を越えてしまっています。すみません。

この他にも、様々な人がそれぞれの体験、生活から多くを公表、共有の場を与えてくれています。私は、これはとても良い方向への発展と考えますし、一時(いっとき)のブーム事象ではなく、恒常的になって欲しいと願っています。

こうした意見を聞いていくと、アイスランドでの人種的、民族的、文化的差別というもの輪郭が浮かび上がってきます。直接的暴力の事例も増えてきているのですが、メインはやはり「いじめ」「侮蔑」「仲間外れ」等々の陰湿な日常的行為の中にあるようです。

これも真のアイスランドですから。

ああ、それで、そのようなアイスランドの昨今の状況が、どのように私の仕事に直接あるいは間接的に影響しているのか?ということを書くつもりでいたのですが、途中でネットの仕組みを説明しなきゃ、とか思いついたこともあり、長くなってしまいました。

この線に沿って、もう一回お話を続けさせていただきたいと思います。


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コロナ明けのピントの合わない生活

2020-06-14 00:00:00 | 日記
こんにちは。ここのところ、いくつか芸能界で話題がありましたね。ようやくコロナ以外の話題がバラエティに出てきてくれたのでホッとさせられる一面もあります。ああ、それからアメリカの騒乱ニュース以外ということで。

清野菜名さんと生田斗真さんが結婚したということで、おめでとうございます。私、清野菜名さんという方はまったく知らなかったのですが、つい二三週間くらい前に、オペンホウセのCMを目にして「ああこの可愛い女性は誰だろう?」と思いGoogleして見たのでした。わりとよくあるパターン。

で、清野菜名さんという女優さんだと知ったわけです。その途端にこのハッピーウェディング宣言。まあ、お相手が生田斗真さんということで、私としてはファミリーの延長と考えていますので、Welcomeですね。




清野菜名さん、おめでとう! トーマファミリーへようこそ
Myndin er ur News.yahoo.co.jp


その反面で、残念というかあきれたというか、なんですか?あのアンジャッシュの渡部氏(「さん」とは呼べませんね)の行動は?「不倫」「不倫」って次から次へと話題になりますが、今回のは「不倫」の「域」にも達していないのではないか?とまで感じてしまいます。かつてのトランX氏の域には達しているようですが。

世間の同情が奥様の佐々木希さんに向いているようですが、どうなるんでしょうかね?よそ様のご家庭内のお話しですので、干渉したくはありませんが、少なくともこれが希さんのトラウマにならないことを願います。

ピンチヒッターでラジオの代役で登場した「コジマだよー!」の児嶋さんの話しもYoutubeで聞きましたが、泣いてましたよ、彼。児嶋さんにも同情いたします。まさに青天の霹靂でしょうね、相方としては。

渡部氏は「完全自粛」とか言っているようですが、一体復帰できるものかどうか?あそこまで「ゲス」の振る舞いが公になってしまうと、なんというか「一線を越して行っちゃった」感があります。

さて、気がつくと六月も中旬となっていました。私の周囲には同調してくれる人が いく人かいるのですが、コロナ禍の際のStay home 期間のおかげで季節感が狂ってしまい、なんとなくいまだに四月だか五月だかであるかのような気がしてしまっています。

六月というのは、こちらではもう夏休みの入り口です。それまでに労働シーズン(九月から五月まで)の決算をしておかなくてはなりません。

私も大方のことは終えて、季節感の再アジャストを終えていたはずなのですが、周りの人が「来週から夏休みだから」とか言って職場を出ていくのを見て唖然。「休みって、終わったばっかじゃん... 」

いや、コロナ自粛は夏休みじゃないから。

まだピントが合っていない部分が残っているのでした。夏休み気分になれないだけなら罪がないですが、季節感ズレがもとで先週はミニパニックに陥ってしまいました。

6月15日という期日は、私の仕事では重要な意味を持っています。この日が次年の援助金申請の締め切り日なのです。こちらの国民教会には、毎年活動の援助金を支給する基金があります。

私は難民の人たちや移民の人たちとの集会や活動をメインにしているのですが、この人たちの多くは国民教会のメンバーではないために、活動資金というものが固定された予算枠には入っていない、という現実があります。

きちんと定例の予算が付くように努力をしている最中なのですが、過去五年間はこの援助金に助けてもらってきていますし、今年も続けなくてはなりません。ところが、この援助金の申請をコテッと忘れてしまっていたのです。

先週の火曜日、これもコロナで延期になっていたレイキャビク東地区の教会の牧師会がありました。「退屈だなあ...」と眠い目で座っていた私は、地区長の長老牧師さんの「援助金の申請ももすぐ終わるから」という言葉に目がパチクリ。ギョッ!

それまで、まったく一片の意識も頭の中になかったのです。パニクって翌日は朝七時からオフィスに出頭。大急ぎで資料をかき集めて申請の下書きを作りました。

その後、アイスランド語を同僚の牧師さんにチェックしてもらい、二三の事項を確認した後で、金曜日に無事にオンライン申請を済ませることができました。一安心です。




修繕工事が耐えることのないハットゥルグリムス教会 写真は2008年
Myndin er ur Visir.is


えっ?いくら申請したのか?絶対額はそんなに大きな額ではないのですが、個人が申請する範疇では大きめの額になるくらいです。ちなみに、教会堂の建築や修繕に関係する支出用の基金もあるのですが、こちらの方はケタが違います。

あのランドマークになっているハットゥルグリムス教会。年がら年中修繕をしていますが、そのかかりたるやOMGoogle! の世界です。そこまでの価値があるんかいな?と思ってしまう私でした。

建物は教会堂ではあっても、教会そのものではないですからねー。入れ物よりは「中身」にもお金を注いで欲しいのですが...

今回は内容がないブログなので、ちょっとだけ真面目な注釈を付けておきますと、カトリック教会では「教会」というのは建物を含みますす。オーソドクス教会でも同じだと思います。教会堂そのものが「聖なるもの」なのです。

そういう考えから、例えば警察等も教会内への立ち入りを制限されることもあるのです。

対してプロテスタント教会では、教会とは人々の交わりであって、建物は特に一日中「聖なるもの」になるわけではありません。建物までも「聖なるもの」になるのは、そこで礼拝等の集会が持たれている間だけのことになります。

二年ほど前に実際にあったことですが、オランダのあるプロテスタント教会が、強制送還に直面した難民の家族を教会内に匿うために、二十四時間体制で礼拝を続けたそうです。

プロテスタント教会では、建物と敷地は礼拝行為の間だけ「聖なる場所」として、警察が立ち入ることができないため、二十四時間礼拝を続けて家族の連行を防ごうとしたのでした。結果がどうなったかは、残念ながら私は知りません。




視力の回復を祈ります 松本光平選手



最後になりますが、前回お伝えした失明の危機にあるサッカー選手、松本光平さん。

ネットで治療費支援の活動を展開しましたが、無事に目標額を得ることができ、先週の月曜日に日本の病院で手術を受けたそうです。

視力を回復できる可能性は、ほとんどゼロに近いのだそうですが、結果が明らかになるのはまだ一週間あまり先のことだそうです。それまでずっとうつ伏せでいなければならないそうです。なぜかは良くわからないのですが。

自分がそのような状況になったことがないので、想像の域を出ないのですが、とても苦しく、不安な時期であろうと思います。なんとか、この難しい局面を乗り切っていただきたいと願います。

松本光平さんの支援サイトはこちら。

『 失明の危機 』を乗り越えて競技復帰を目指す - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)


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失明の危機 もう一度フィールドへ!! サポートお願いします

2020-06-07 00:00:00 | 日記
日本の皆様、あるいはその他の地球のどこか?にいらっしゃる邦人の皆様、こんにちは。

このマイナーブログは普段は毎日曜日ごとに定期的に更新するように努めているのですが、先週から今週はちょっと例外となりました。それには少々理由があり、今回このブログを追加で更新したかったため、定期の日曜日分を前倒しで金曜日に更新したのです。

今回のお話しをする前に、ちょっとだけ「前史」をお話しいたします。

まる四年前の2016年の春のことです。当時の私はレイキャビクの隣り町のコーパヴォーグルのヒャットラ教会という教会にオフィスを持っていました。

その日の午後の教会は閑散としていて、教会にいるのは私だけ。午後三時くらいだったか、アジア人と思しき青年がひょっこり現れました。彼は私に「Is this church open?」と英語で尋ねてきました。




プロサッカー選手 松本光平さん


実は青年が入ってきたのは、教会のメインの大玄関ではなくて、普段用に使っている実用門だったのです。おそらく大玄関が閉まっていたので、こちらへ周ってきたのでしょう。

顔を見た瞬間に「日本人かな?」と閃いた私は「日本の方ですか?」と日本語で答えました。すると「えっ!! あっ、そうです」やっぱり、でしたが双方かなりびっくりしました。

ハットゥリグリムス教会のような観光スポットならいざしらず、このヒャットラ教会は、いたって地味な教会で、用のない人がひょっこり立ち寄る、ということのまずない教会なのです。

そんなところに、ひょっこり立ち寄ってくれたのが日本人の青年で、しかも日本人牧師の私(現役では私ひとりだけ、つまりこの教会です)がたまたまそこにいたのですから。

聞くと、その青年はニュージーランドでプレーしている、プロのサッカー選手だそうで、ニュージーランドがシーズンオフになった機会に、アイスランドでプレーするためにやってきたのだそうです。

ところが、プレーする予定だったクラブとの契約を終える前に、ビザだか労働許可の問題とかでトラブルがあり、いまだ無所属。それでヒャットラ教会の近くにあるクラブで練習に参加させてもらっていたとのこと。三週間前に来たそうですが、アイスランドでは私が初めて会った日本人だったそうです。

その青年 −松本光平さんと言いますが− は、教会堂でしばらく心沈めるために黙想させてください、ということで教会堂へ向かいました。そのあとしばらくお茶を飲みながら雑談したように記憶しています。

その時は知らなかったのですが、この松本さんはかなり優秀な選手で、世界の大きな大会にも参加されていたようです。まあ、プロサッカーですからね。J1やJ2、その他でもおそらく紙一重で多くのプレーヤーがひしめいているのでしょう。

私はその頃はまだ、在留邦人の溜まり場、じゃなくてコミュニティにもなっている子供たちのための「日本語教室」に参加していましたので、「日本人に会いたくなったら教室へ遊びに来てください」と伝えて別れました。

その後、松本さんは実際に教室へ遊びに行かれたりして、他の邦人の方とも親交を持たれたようですが、結局契約がまとまらず、数ヶ月してニュージーランドへ戻られた、と聞いていました。




全日本代表の選手たちと
Myndin er ur Supporting-page@Camp-fire


それ以降、特に音信はなかったのですが、先週ご連絡をいただきました。それが、今回ブログでお伝えし、お願いしたかったことなのです。

松本さんは、相変わらずニュージーランドのクラブでプレーをされています。で、そこでも例に違わず、コロナの影響でリーグはストップしていましました。その間、松本さんは筋トレ等のトレーニングを続けていたのですが、ある日、トレーニング機器が転倒した際に、なにかの部品が直接目に当たるという不運に遭遇してしまいました。

結果はシリアスなことになり、右目は現在視力がなくなってしまい、左目も徐々に弱まっているとのこと。私の理解では、右目もまだ完全失明ではなく、治療によっては視力が戻る可能性もあるのだそうです。

松本さんとしては、ともかく左目だけであってもプレーを続けたいという強い願いを持っているとのこと。

それでも、とにかく最善の治療を受ける必要があり、一時帰国して日本で治療を受ける予定なのだそうです。多分、今はもう日本に戻られているでしょう。

その関連で、松本さんと、ニュージーランド及び日本のサポーターの方々が、治療費を含む支援金集めを始めています。そして、そのことを広めるための手助けをしてもらえないか?ということでした。それで、ここで松本光平さんへの支援をお願いしたいと思うわけです。

松本さんの詳しいプリフィールや戦績、ニュージーランドのクラブの紹介、さらに事故の経緯と支援金の目的や使途の内訳は、サポート用のこちらのサイトでご覧いただけます。

『 失明の危機 』を乗り越えて競技復帰を目指す - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)




ニュージーランドのチームメイトと


私は松本さんとは別に「マブダチ」でもありませんし、昵懇(じっこん)の仲というわけでもありません。ですが、非常に稀な出会い方をしたことと、さらにはニュージーランドのシーズンオフに、はるばる地球の反対側にあるアイスランドへプレーをするためにやってきた、ということに松本さんのサッカーへの情熱を感じたことははっきりと覚えています。

そして、まだ先もあるし、夢もある、才能もあるような青年が、今現在、大きな試練の時に直面しているのであれば、できるだけの援助はしたいと思います。

「視力が戻るかどうか」「選手としてフィールドへ戻ることができるかどうか」ということそれ自体は、松本さんだけしか対処のできる問題ではありません。松本さんが心と意思を強く保って進んでくださることを願います。

同時に、たとえ本質的には周囲から眺めている以上のことは出来ないとしても、試練に立ち向かっている青年にエールを送り、つながっていることを示すことは、無駄なことでも無価値なことでもないと思っています。

そのような機会がない人生だったら、とても寂しい気がします。そういう意味では、今回、窮地に際して連絡を取ってくれたことを、私は松本さんに感謝したい気持ちです。

是非、上記のリンクからサポートサイトを閲覧してみてください。そして、できれば実際的な支援を、それが無理としても口コミ、ネットコミでこの支援活動に触れてくださればありがたいと思います。

よろしくお願いいたします。m(_ _)m


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I Pray For USA

2020-06-05 00:00:00 | 日記
六月に入り、レイキャビクでは好天の日が多いように思われます。この夏も昨年ののような「奇跡の夏」になってくれるのではないか?という期待感が出てきました。まあ、期待を裏切ってくれるのがアイスランドの天気ではあるのですが。

好天にもかかわらず心は晴れないですね。アメリカからのニュースを見ていると悲しくなってきます。ここまで騒乱がエスカレートするとは誰もが予想できなかったのではないでしょうか?

私自身は、デモには賛成しています。警察権力による弱者へのアビューズは許されるものではありませんし、さらに社会の底辺にある黒人や他のマイノリティの市民に対する差別ももちろん許容すべきものではないでしょう。

今回の抗議運動がここまで、アメリカ全土にまで広がったのは、多くの評論家の方々が言うように、コロナ禍によるうっぷんが蓄積されていたことや、偉大なるトランプ大統領の言動 –今回の出来事に関してだけではなく、ここに至るまでのマイノリティ軽視の「つぶやき」や諸政策– への不満の蓄積が、「火に油」となったのでしょう。




現アメリカ大統領とは異なり、真の人徳と指導性を持っていたキング牧師
Myndin er ur Britannica.com


私はアメリカの研究家ではありませんので、通り一遍のことしかわかりません。それでもアメリカは多くの問題を抱えている国だとは了解しています。今に始まったことではなく長ーーーーーい間そうですよね。

私の父は出征直前に終戦となった「戦中派」でしたので、基本的にアメリカ嫌いでした。兄弟が戦争で亡くなっていましたから、まあ、そうでしょうね、としか言いようがありません。

私自身は昭和の半ば、戦後の混乱が収まって、高度成長が始まった時代の生まれですので、アメリカの文化の影響大という生活環境でした。実際には文化だけではなく、政治や経済でも影響大だったわけですが、子供の頃はそこまでわかりませんでした。

少年期、青年期を通じて、やはり一番身近な外国はアメリカであり続けましたね。プロスポーツ、音楽、映画、その他諸々。もちろん歳が行くに従って、アメリカという国が病んだ大国であることも学びました。

でも、その批判が他ならないアメリカの中から聞こえてくるんですよね、いつも。スプリングスティーンのBorn in the USAみたいに。多くの問題にもかかわらずアメリカ嫌いにならなかった理由だと考えています。その点は今も同じですね。

もし誰かに「アメリカのこと、好き?嫌い?」と尋ねられたら、私は「好き」と答えます。

だから現在のようなデモだけでない騒乱と暴動のような状況を、毎日ニュースで見る羽目に陥っているのは嫌ですし、悲しくなります。

悲しくなるだけではなく、残念に思うのは、あの破壊、放火、強奪等の蛮行です。デモが警官隊との小競り合いになり、多少の力の行使を伴う騒ぎになることがあるのはわかります。私自身、デモに参加したことは何度もありますので。

ですが、この数日LAやNYで多発したような、破壊行為と略奪はデモとはまったく関係のないことですよ。「怒りが溜まっているんだ」ということを言う人もありましょうが、それはダメですね。

略奪行為をしているのは、おそらくはデモ自体には関心がなく、自分の不正の利益だけが始めから頭にあるのでしょう。側から見ていて勝手に思うことは、警官隊は平和的なデモ隊よりは、どさくさに紛れて略奪をする連中の取り締まりに集中すれば良いではないか、ということ。まあ、そんなに簡単にはいかないのでしょうが。

このブログでも何度か書いたことがありますが、私はテレビのポリスものの大ファンで、特にNYPD関連のテレビは大好きです。もちろんテレビや映画で描かれているNYPD と実際のNYPDを同化するようなことはしませんが、それでもNYPDは9・11以来頼りになる存在として巷の人気は高いのです。




ワシントンDCから中継する、お気に入りのレポーターのエミリア・アダムス
Myndin er ur 9News.com.au.


大ファンであるテレビシリーズのBlue Bloodsでも、警官によるアビューズ、Police brutality は良く取り上げられています。市民から見る目と、現場の警察官から見る状況が対峙され、いつも興味あるストーリーになっています。

繰り返しますが、それはもちろんテレビの中の話しであって現実ではありません。それでも私には、すべての警察官や警察機構が差別意識を持ってアビューズの機会を窺っているとは信じられません。

そういうことをする輩が、少数であっても紛れ込んでいる、というのは事実でしょうし、そのような連中と事例は徹底的に糾弾されて然るべきです。

警察の場合、難しくなるのは、たとえマジョリティはまともな人たちの組織であっても、何かの騒ぎに直面した場合には警察は「体制を守る」側の力にそもそも組み込まれているということです。

ですから、今回のデモの抑止というか、監視というか、警戒というべきなのか、良くわかりませんが、デモにストップをかけているかのような「体(てい) 」にならざるを得ないわけです。

実際、デモ隊に相対している警察官の中のどれだけが心中ではデモ隊に参加しているものか、わからないものがあると思いますし、個人的にはみんなデモ隊の側に周りたい、と思っていてくれることを願っています。

この騒乱が早く平和的に静まってくれることを祈りますが、静まるだけではダメなんですよね。警察権力の悪用の抑止や差別警官の取り締まり、さらには社会の中で、いまだに存在する黒人やマイノリティ市民に対する差別構造の是正に手が着けられないと。

まあ、そこから先は、私には「外国のお話し」のようになってしまい、自分ではなにもできないのですが、問題がどのように扱われるか?ということは、参考になりますし、フォローしていきたいと思っています。




レイキャビクで水曜日に持たれた連帯集会
Myndin er ur Visir.is/EGILL


アイスランドでも、先週の水曜日には「連帯を示し、差別に反対する」ことを主旨とした集いがアルシンキ(国会)前で持たれました。コロナ故の集会規制はまだありますし、上限は二百人なのですが、水曜日の集会は明らかにそれを上回っているように見えました。誰も文句言わなかったようですが。

今のアメリカでの騒乱、これをアメリカだけの問題と考えるのか、アイスランドにも関係のある問題と考えるのか、それはアイスランド人各人によって異なるようです。

私は「ある」と考えています。アメリカとは表れ方が異なるでしょうが、ここにも差別はありますしレイシズムもあります。放っておけばおくほど、後になってそれが溜め込む「ウミ」も大きくなります。

差別を暴き出し、それをなくすように努めることは、万国共通の人間の課題だと考えます。もちろん、日本でも必要なことですね。お互いに頑張りましょう。

I pray for USA.


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

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