レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

レイキャビクの大晦日

2012-12-31 05:00:00 | 日記
クリスマスイブが過ぎて一週間。大晦日です。って、これはどこでも同じか?クリスマスイブと25日(Joladagurと言います)がどちらかといえば厳粛というか真面目な時間なのに対して、大晦日は「うるさい」です。

アイスランドの大晦日は何と言っても花火が中心です。町のあちらこちらに特設花火売り場が設けられ、花火を「する側」になりたい人々が買いに走ります。面白いのはこの花火売り場、運営しているのは地方自治体のレスキュー部隊で、大切な資金集めだそうです。

花火そのものは日本と同じなのですが、こちらでは様々な打ち上げ花火も売っていて、普通の市民がそれを打ち上げることができます。もちろん、家庭用花火セットもあり、これは小さな打ち上げものや、手に持ってする式の花火が入っています。

何についてもマニアックな人たちはいるもので、この大晦日の打ち上げ花火に執念を燃やす人たちの中には、このために十万とか二十万クローネを費やすとか。家は子供二人がいつも家庭用のパックを買い求めますが、だいたい7.000クローネくらいですね。けが防止用の大きなプラスチックのメガネも売っています(解剖とかで使うようなもの)。

さて、花火の前には夜の八時くらいからでしょうか?「ブレンナ」という大きなたき火があちことで炊かれます。もうこれくらいから一杯入り始める人たちが大勢いて、賑やかな集いになります。

その後みんな家へ帰り十時半からの「Aramotaskaup」という年末風刺ギャグのテレビを見ます。これ、紅白のような国民的年末番組。

それが終わると、みなまた外へ繰り出し、いよいよ花火の準備です。

打ち上げ花火はサッカーのグラウンドとか、郊外の広場とか、指定された場所に参集して行われます。大体夜中の11時くらいからポンポン始まります。
11時45分くらいから国営テレビの局長が年末の挨拶を話し始めます。誰-も聴かないスピーチのナンバーワン。これを合図に花火に拍車がかかっていきますから。そして12時がピーク。



Myndin er ur heimasidu ,,gerpir.123.is“

私はどちらかというと街中のごみごみした区域のアパートの4階に住んでいます。ですからこの打ち上げ花火はかなり得して見ることが出来ます。花火は「たまやー!」っと見るものであって自分でやるものじゃない。モットーです。

ところがです。この時間、酔っぱらいも大勢いるわけですよ。そういう輩が通りに出て来てポンポン打ち上げ - それほど大きなものではないにしても - 始めたりします。あっちでも、こっちでも。裏の猫の額のような庭や、すぐそこの十字路で打ち上げたりされたらたまったものではありません(実際にあるんです)。しかも酔っぱらってるから方角が定まらない。下手をすればアパート直撃になります。ベランダで向かいの花火を眺めていたら、脇をゲリラ花火がかすめたりして。内戦か、ここは?酔っぱらいに花火を与えるのはやめましょう。

零時半ともなると落ち着いてきます。そしたら日本の両親に明けおめコールをするのが私の習慣です。ちょうど日本は朝の九時半で、良い時間ですから。

ボーン.....「行く年来る年」のお寺からの中継は退屈だと思っていた時がありましたが、今では恋しい。
ボーン...... 「鎌倉の建長寺です」 あのナレーションが懐かしい。
ボーン.....新年は心静かに迎えたい。

良い大晦日でありますよう。また良い新年をお迎え下さい。
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和風お好みバスケット

2012-12-28 05:00:00 | 日記
皆さんは何をクリスマスプレゼントにもらいましたか?何をあげましたか?日本でのクリスマスプレゼントを考えると、どうしてもラブラブのカップルの間でのプレゼント交換をイメージしてしまいます。固定観念。反省。m(_ _)m

私は今年は12、3ヶ用意しました。子供が小さかった頃は13人のサンタクロースのせいで、それだけで13ヶ、掛ける子供二人で26ヶを用意したものです。それに比べると楽にはなりましたね。

さて、たかが10ヶのプレゼント、と言っても、町の商業線に捕まったら瞬く間に銀行口座が空になります。高価なプレゼントが必ずしも喜ばれるわけでもないですし。安く出来て、その人に合うもので、多少はうれしくなってもらえるもの。そう考えて頭に浮かんだのが日本食品の「詰め合わせ籠」です。

実はこちらでは様々なチーズや生ハム、サラミなどを籠に詰め合わせたものがクリスマスプレゼントとして人気があります。当たり外れが少ないというのが人気の秘訣ではないかと思っているのですが。

それのトーマバージョンを作ることにしました。家の長男がここ数年、チーズ屋さんで年末バイトをしていて、「ご苦労さん」でもらってきたチーズバスケットの籠が余っていました。みっつゲット。

私は普段からインスタントラーメン、ふりかけ、だし、調味料、その他生ではない日本の食材をかなりストックしています。それらを使えば出費もないし。

で、この和風食材籠、というか「和風お好みバスケット」、対象は三人の若い邦人女性です。立派に成人した方々ですが、まだそれぞれに階段を昇って行く最中でよく頑張っています。その応援コールを兼ねての贈り物になればと。

みんな同じでは個性がないので、料理大好きな姪のMちゃんにはだしや調味料を多く入れました。ただ「かさ」が必要だったので底には「行列のできるラーメン屋 担々麺」のカップラーメン。

料理そんなに得意でないを自任している若奥様のTさん、 和歌山出身の日本語教師Nさんにはカレーのルー(ちょっと賞味期限切れてる)とか、成田限定のレトルト「鰻の蒲焼き」、「のりたま」、最近買ったばかりの「味噌煮込みうどんDXインスタント」等々。

そうして出来上がったのがこれです。



和風お好みバスケット第2号


みんな優しいので一応喜んでくれていました。

今回発見できたことは、これ作る方がかなり楽しめることです。ハジがちらっと見えるように詰めて期待を持たせたり、全然見えないようにして全くのサプライズにしたりとか。

しかも今回に限って言えば、籠、内容物、包装用のセロハン等全て手の届くところにあったものばかりで、直接の費用ゼロ! ちょっと気分いい。

小さな子供だった頃、クリスマスの時期にはお菓子屋さんでいろいろなお菓子が詰まった長靴を売っていました。本当の長靴ではなくて、お菓子用のですよ。あれをもらうのは本当に嬉しかったです。詰まっていたのはお菓子よりも「夢」だったような...


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もう少し「グレイリヨール」

2012-12-26 05:00:00 | 日記
クリスマス第二日を迎えています。今日もアイスランドでは祝日です。日本ではすでに年末とお正月モードに切り替わっていることでしょうが、以前書きましたように、こちらではクリスマスは一月の六日まで。ご理解あれ!

クリスマスの挨拶は「Gledileg jol」(グレイリヨール)。英語になおすとDelightful Christmas, という感じでしょうか? 「喜びのあるクリスマスを」ということで、Merry Christmasとは少しニュアンスが違う気がします。

ちょっと真面目な話しになりますが、クリスマスはキリスト教の大切な祭日であり、もちろん根底には単なるサンタクロースやクリスマスギフト、あるいは色とりどりのネオン飾り以上の意味があります。

楽しくロマンチックなクリスマスもいいのですが、その雰囲気を味わえる人はやはり限られているのではないでしょうか?

私たちの誰もが知っていることですが、楽しいクリスマスのBGMの届かないところもあります。シリアの内戦は続いています。フィリピンではハリケーンの大被害で家も財産も無くした人が多くいます。コネティカットの犠牲者の家族の人たちも同じクリスマスの時期を生きています。

身近なところを見ても、ホームレスの人や闘病生活を続けている人、事故や病気で近親者を亡くした人、その他心が滅入るような状況にある人は大勢いることでしょう。

実際、私がこちらで家族の付き合いをしてきた女性の方のお母さんが、おとといのイブの日のお昼に亡くなりました。ご高齢ではあったのですが、急なことでその女性の方もショックだったようですし、「特にこの時期にはつらい」と言っていました。

そのような悲しみやあるいは他の苦しみの只中にいる人に向かって「メリークリスマス」はなかなか気後れして言えない気がします。「それどこじゃないだろ!」と一喝されてしまいそうな。

しかしです。本当は「グレイリヨール」はそういう状況にある人たちのための言葉なんです。もともとクリスマスはイエス ・キリストの誕生を感謝する祭儀です。そしてそのキリストが世に来られた理由は、この世にあって様々な悪癖や、不遇、社会によって負わせられた不正義等々から人を解き放すためでありました。決して世で既にはぶりのいい人たちにさらなるエンターテイメントの機会を与えるためではありません。

「グレイリヨール」という挨拶は「クリスマスは楽しいねえ」という挨拶ではありません。もしそうであれば、それは楽しいクリスマスをエンジョイしている人たちの間での挨拶にしかなりえないでしょう。

「グレイリヨール」という挨拶は「神があなたにクリスマスの喜びを与えてくれますように」ということを意味します。そしてその挨拶の中には、私たちがクリスマスを楽しめないような状況にある人たちのことを忘れてはいないこと、クリスマスの喜びがその人達まで届くことを願っていること、そして神が必ずそのようにして下さるということへの信頼が含まれているのです。

ですから世の現実の中で悲しんでいる人、嘆いている人、うずくまっている人に対しても「グレイリヨール」は場違いではありません。それどころかそういう人たちのもとから「グレイリヨール」は始まっているのです。

そういう意味で、改めて「グレイリヨール」をレイキャビクから。

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Gledileg Jol!

2012-12-24 05:00:00 | 日記
24日になりました。

アイスランドでは今日は普通の商業活動や行政窓口も半日だけで、午後からお休みになります。お休みは翌日の25日のクリスマス、翌々日のクリスマス第二日まで続きます。大きな商店や、モールの店も大方はこの期間はお休みになります。

もちろん、病院や警察、その他休むことの出来ない仕事もありますが、大体の場合はそれでも当直のローテーションを組んでいます。日本のお正月のようなものですね。

クリスマスのイブは午後6時からということになっています。それまではまだ一仕事残っています。それは親戚や親しい友人たちにクリスマス・プレゼントを配って歩くことです。

「?」と思われる方もあるでしょうが、この小さな田舎町立国のアイスランドでは、レイキャヴィクでもそう巨大都市ではありません。プレゼントは自分の手で持って行く習わしがあります。もちろんお互いにあげる場合には、双方が出向くわけではなくて、一方が出かけて一方が迎える、ということになります(打ち合わせができているのか、阿吽の呼吸なのか、疑問に思うことがあります)。

多くの場合、多数を訪問するので玄関先で失礼と いうことになるようですが、 時間があればもちろんコーヒーでも、ということになります。

この儀式というか習慣で困るのは、意外な人からプレゼントをもらってしまって、その人が目の前にいるのにこちらでは何も用意していなかった、という状況です。くれる相手の方が「私は意外な人でしょうが」と自身で心得ていてくれる場合はそれでいいのですが、「あげるかあげないか思案して、結局あーげない」の人だったりするとバツが悪いです。誰でも用にふたつみっつスペアを用意することも考えましたが、正直に応対するのが一番と思うようになりました。

午後6時には全ての教会でイブの礼拝が行われます。普段は教会へ足の遠い人でも、クリスマスだけは家族で出かけるという向きも多いです。実際、ほとんどの教会では人でいっぱいになりますから。

教会へは行かれないというお年寄りの方々はラジオの礼拝中継で監督のお話しを聞いたりもします。これくらいからは本当に静かな時に入って行きます。キリスト教国でも中南米などでは「ミサまでは厳粛でも、その後はThe Festivalだ」とこの間お話しをしたペルーの人が言っていました。そのやり方でクリスマスを楽しんでいた移民の人がありましたが(大きな音で賑やかな音楽)、近所のヒンシュクを買ったとか。アイスランドではクリスマスは「真面目な」雰囲気が強いようです。

礼拝がおわると、夜の七時過ぎ位から各家庭の晩餐が始まります。クリスマスの挨拶は「Gledileg jol」(楽しいクリスマスを)。発音は大分くずれて「グレイリヨール」と日本人の耳には聞こえます。


Myndin er úr heimasíðu TM


イブまたは25日に親戚一同が会しての食事をする、というのがかなり強い伝統としてあります。そのため、親戚とかが少ない外国人や留学生の人たちには、むしろ「ブルークリスマス」っぽくなってしまいますが、外国人同士が互いに招き合って、というように対抗策を打ち出す人もあります。

クリスマスの食卓には、七面鳥や、薫製豚肉のローストなども最近は人気がありますが、伝統的な料理は何と言っても「ハンギ・キョート」。半燻製のラム肉の固まりを煮たものを、グリンピース、じゃがいも、赤キャベツと共にホワイトソースでいただくものです。新聞の調査では八割近い家庭ではこのメニューを作るそうです。

27日からはまた仕事が始まりますが、大晦日と元旦はまたお休みですので、年が明けるまでは「みーんな半分休暇」的なまったりとしたペースになります。

「日本ではクリスマスイブも25日も普通の日で、仕事に行くんだよ」と言うと、ほとんどのアイスランド人は「へえー?」という顔をします。祝祭日というのは、確かにその国の文化を一番大掛かりに反映しているものかもしれませんね。

大晦日、元旦は逆に日本よりもずっと軽い乗りの騒ぎになります。それについてはまた後日。

レイキャビクの西街より、Gledileg jol!

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クリスマス前夜祭?

2012-12-21 05:00:00 | 日記
12月23日はソルラウクス・メサ(聖人ソルラウクスのミサ)と呼ばれ、臭―いスカウタ(アンモニア発酵のエイ)を食べる習慣があること、メサ(ミサのこと)と言いながらも、教会の儀式ではなくこの日そのもののことを指すことは前回ご紹介いたしました。

もう少し付け足しです。この日をクリスマスの前夜祭と呼ぶのは聖ソルラウクスには失礼なのでしょうが、実際そのような雰囲気がないわけではありません。って言うか、かなりその雰囲気です。

まず家庭の中から例を挙げますと、この日になって初めてクリスマスツリーを飾り付けする、という家庭も少なくはありません。昔日はその方が一般的だったとか。「いよいよクリスマス」と言うテンションが上がってくるわけです。

世のご多分にもれず、商業主義が前倒しのクリスマス商戦の波が押し寄せる中で、昨今では11月始めから「クリスマス」という言葉が広告に出るようになりました。それに連れて飾り付けもびっくりするくらい気が早くなってきています。

これに「待った」をかけるかの如く、「ツリーは23日になってから」に固執する方々がいらっしゃるのです。アイスランドや他の北欧諸国ではクリスマスは年が明けての6日まで続きますので、23日からでも十分楽しめることは楽しめるのですが。12月26日からガラッとお正月飾りに様変わりしてしまう日本よりはゆとりがあるとは言えます。

さて、街中に目を移しましょう。23日はプレゼントの買い込みの最終日ということもあり、町の商店は夜11時くらいまで開いています。確かに日中働いているかたぎの人たちに取っては、そのような機会がないと困るかもしれません。

で、23日の晩はレイキャビクの市内、特に旧商店街(モールではない)は人でごった返しています。旧商店街の目抜き通りは幅も狭く(一方通行の道幅プラス両側歩道)「芋を洗うよう」というスポットも出てきます。まさしく前夜祭の雰囲気。座れるカフェを探すのにも苦労します。

買い物は済んでしまっていても、その雰囲気を楽しむために出てくる人もわんさかいます。小さい都市ですので、そんな人ごみに出て行けば、誰かしら知っている人に出くわします。そこで「グレイリヨール!」(メリークリスマス)と挨拶をし、お茶したりするのがアイスランド式生活エンジョイ方式なのです。

もうひとつ付け加えておきましょう。毎年23日の夕方、レイキャビクでは「平和行進」と呼ばれる集いがあります。旧商店街の通りの東の端から行進が始まり、西の端にある広場まで約二キロを歩き終えると、その広場でその年のスピーカーが平和についての短いお話し。コーラスのグループが最後に「きよしこの夜」を歌って散会するという、全部で一時間足らずのイベントですが市民の間には定着していて、よく人が集まります。

さりげない自慢話しです。一度この集いの司会を頼まれたことがあります。広場中埋め尽くす群衆の前で話しをするのは、とても気分いいものでした。うーん、ヤザワになりたかったな。

という、賑やかな(そして臭い?)ソルラウクス・メサを経て、翌日は静かなクリスマス・イブがやって来るのです。


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