林道の擁壁から垂れているホトトギスの食痕を見ていたら脇を抜けて苔にくっついた物体がある。「何だ⁉」と思って見れば菌糸のようにも見える。菌糸だけ風に乗って飛んで来る訳もなく更に遠視を近づけ乱視の眼で捉えてみれば蛾だったのだが以前にも見た記憶があるが名前は浮かばない。S先生が近くに居たから教えてもらったものの帰宅したら名前が出てこない。手元の図鑑を開いても同種は見いだせず名前不明のままである。
まあ、小生的には同定そのものより多様性の方が嬉しいのであって、正直に言えば昆虫や植物の判別なんて既に無理な年齢なのでもある。昆虫は姿形に多様性はあるのは承知でも記憶に留まっているのは蛾の仲間ならビロウドハマキが筆頭である。過去3回しか見てはいないのだが全て別種の様に色彩が異なっていてとても蛾とは思えない虫だった。今回の写真の彼も保護色なのか擬態なのか判断はつきかねるけれどファッションの好みは「虫それぞれ」なのだろう。だから無視する事にしたのだがこの夜の彼、きっとファックション!が止まらないはずだ。
台風の影響で自宅軟禁中。特に出来る事も無いので「蛾の図鑑」をスクロールしてみた。最初の画像でヒットはしなかったものの似た様な蛾を見つけ「もっと見る」をクリックしたところ、その中に入っていたのだった。名前は「セスジナミシャク」。体中央部にスジが通っているから間違いないだろう。
S先生から伺った名前は何だったか照合が出来なかった。こんなところに短期記憶の劣化が如実に表れている・・・。短期記憶が薄れている世代や症状の人々に「回想療法」と言って昔を思い出させるような取り組みは更に短期記憶を阻害するのではないか、と一抹の疑問。まあ、人生黄昏のあがき、であって歌にもあった。「人生たそがれ お山のボッチ・・・」。