さ夜中と夜は更けぬらし御不浄の仰ぐ空には渡る月あり
さ夜中と夜は更けぬらし雁が音の聞こゆる空に月渡る見ゆ 柿本人麻呂
蒸すし夜寝返るままにカネタタキつれづれに鳴く夜の明けるまで
夏の夜の臥すかとすればほととぎす鳴く一声に明くるしののめ 紀貫之
浮きことを思いつらねて借りた金鳴き言鳴き寝秋のなよなよ
憂きことを思いつらねてかりがねの鳴きこそ渡れ秋のよなよな 凡河内躬恒
起きもせず寝もせで夜を明かす身は呆けし身ゆえに事はわからず
起きもせず寝もせで夜を明かしては春のものとて眺め暮しつ 在原業平