年が明けてから5か月間、成り行きまかせで復元をしてきて、三枚の田圃がようやく揃った。
形状が整い過ぎて面白味に欠けるけれど、V字浸食溝だらけの薮原だったとは、小生だって信じられない出来栄えである。
築くだけ築いても「実効支配」は出来ない、ボランティアへのボランティア活動なので、後は眺めるだけだが、「ロンリーワン」としての自己満足感は十分に味わえる。
復元田全てに田植えをするかどうか知らないけれど、近日中に就学前の子ども達が田植えをするとの事だ。小生にとっては「田植え」してくれると言うより「トンボの餌植え」が心情に近い。おそらく稲穂は猪の腹に納まるだろうが、水稲に発生する虫は、カエルやトンボ、クモ、カマキリたちの食料として活きる。誰かが満腹になる「それが望み」なのである。
ただ、大きな懸念事項が出てきた。くだんの田植えをしたいと話を持ってきたグループは「中干し」を予定しているようなのだ。仲介をする前に、「稲田」ではなく「生物保全」の水辺だと伝えたのだが、環境教育のスタッフでさえこの意識だから、「あーあ!」と「排田的」思考が出てくる。とかくこの世は難しい。
ササユリが開花した。記憶を頼りに自生地点を尋ねたが、昨年の半分以下だ。数本が群生している個所は無くなって、全体で4株しか確認できなかった。ようやく増えたと思ったヤマユリは全滅の様だ。
獣害より盗掘で、盗掘者は再度来るのは「お約束」みたいなものだから、たった数株も風前の灯、もう移植して保護も考えねばならぬ時期になったかもしれない。昨年までは、開花時に人工授粉をし、花びらは切り取って、人目に付きにくいようにしてきたが「鵜の目鷹の目」には負ける。
今季は、種子を作らせないで球根の充実を図ってみるために、花も蕾もすべて外してしまった。落ち葉の下に埋もれさせる鮮やかな花びらは、はっとするほど瑞々しくオフェリアのようで、なんとも哀れだ。