絵を描くことは多かれ少なかれ自分の内面と対峙することであります。ここで展示される作家の作品はほとんどが無名の人たちの作品ですが、その作品は自分自身との真剣勝負の末に生まれたもので気が狂うほどの内面でのやりとりを経たものもあるかもしれません(ないかもしれませんが)。そんなことは別にしても、絵を見るということは自分の嗜好の傾向を見極めることにもつながります。実際に作品を目にしてみて、改めて自分はこんなのが好きなんだ(嫌いなんだ)と感じることが自分を見つめることのきっかけにもなります。普段は触れることのないものにふれてみて自分の内側へのトリップをしてみてはいかがでしょうか。絵が美術とか芸術とか西洋の考え方で言われる以前、江戸期に絵師といわれる以前、もっと前にはおそらく呪術的で祈りとかマジカルなものであったと思われます。描くことは本来マジカルなことなのです。一人の絵描きが対峙したマジカルな内面トリップの結果が一枚の絵となって現れていることになるので、うまくすれば(自分に合うものがあれば)その追体験ができるはずです。