ブドウの苗を植えて2年目。まだ花は咲かず枝葉を伸ばしているだけなのだが今年になってスズメガの幼虫が付くようになった。とんでもなく葉っぱを食べるので、最初のうちは除去していたが、気まぐれで育ててみることにしてみた。
これは緑色タイプのコスズメの幼虫と思われる。スズメガの幼虫はある日突如大きなのが現れるので、どこからかやってくるように思うけれど終齢に近くなると突然巨大化するらしい。(それまでは小さいので見つけにくい)
暫くすると簡素な繭を作って蛹へと変化し始めた。
幼虫から蛹への変化というものを観るのは初めて。色が緑色から褐色系に変化して体に節が出来てくる様子が見え
お腹と翅、口と目が出来てくる。
そして色が段々黒ずんでくるのです。
蛹というものは「動かない」という印象をもっていたのだけど意外と良く動く。丁度人間が寝ているときに寝返りを打つようなものか。蛹の中でどんな夢を見ているのだろう。ある本で読んだのだが、蛹の中身はどろどろの液体らしい・・・。何故こんな劇的な変化を伴う生態を選び取ったのだろうか?不思議である。ほとんど動けなくなること自体、生命にとって危険で危機的状況を作り出すというのに。
そしてある日、蛹を観たら何か様子がおかしい。残念。羽化に失敗したかと思ったら
知らぬ間に羽化していた!。
羽化の瞬間を見ることが出来なかったのは残念だが、無事成功したのは良かった。この翅の形、「未来少年コナン」に出てくる巨大飛行艇「ギガント」を彷彿させる。昆虫の中では飛ぶスピードが最速の部類に入るそうだ。幼虫の時に小さかった目が大きくなり、足は華奢で弱弱しく見える。なんといっても体に生えている毛がヌイグルミのようで虫らしからぬボディも魅力的。
それにしても緑色の芋虫がこんなに美しい蛾になるなんて。まるで中二病の中学生が高校デビューするかのように同一の生き物とは思えない。卵から幼虫、蛹から成虫と一生に二度生まれるみたい。 写真を撮りまくった後、庭で解放した。
餌に入れていたブドウの葉っぱを利用して簡素な繭をつくっていたが、これを瓶からとりだそうとすると意外と頑丈に作られていることに気づく。糸を網目状にして葉を固定している様子が見える。雑な繭とバカにしていたが命を守るためのシェルターなので考えてみればそんなに粗雑につくるはずもないだろう。これはこれでオブジェのようで美しい。
蛹の抜け殻。実はこの後あと3匹幼虫から育てたのだが、いづれも羽化の瞬間を見逃している。だが蛹がどんな状態になれば羽化が近いかということを知ることが出来たので次の機会があれば羽化を観察できる可能性が高いだろう。コスズメばかりなので今度は違う種類のスズメガも育ててみたい。