勤め先で長年勤務されてきた方が退職されるので感謝の気持ちを何か形にしてプレゼントしたいと思って、さて何を作ろうかと思案していた時に偶然見たテレビ日曜美術館の正倉院展で紹介されていた宝物「撥鏤飛鳥形(ばちるのひちょうがた)」という染め象牙の鳥形かざり
を見て、これはいい、これにしようと決めました。この画像をその時に探しておけば良かったのですが、作り始めた時は一切資料なしだったので、全く違うものになってしまいました。
彫りはじめてしばらくして羽のところに節があるのを発見。仕方ないので穴をあけて何かをはめることにします。
真珠をはめることにしたのでバーナーで焼いて黒くしてコントラストを際立たせよういう魂胆でしたが、火力が強すぎて、吊り下げる用に開けておいた穴が焼け落ちて形が変わってしまうという失態。それに焼いて磨くだけでは思ったほどきれいにならない。苦肉の策で漆を塗ることに。しかしまたこの後、首が折れるという悲劇に見舞われることに。材質が栗の木で非常に硬いので強度を過信しすぎていました。首が折れると同時に心も折れてしまいがちですが、そんな時間的余裕がなかったので、木工ボンドで修復し、念入りに漆をかけて補強し、ついでに焼き過ぎてできたひび割れも漆で埋めて平滑にすることを心がけました。
そしてようやく完成
真珠のパーツに糸を通す用の穴が開いているのに気が付かずそのままですが、目玉みたいでいいかと自分に言い聞かせました。
無計画な故に何とも中途半端なものが出来上がってしまいました。まぁ気は心ということで受け取っていただければと思います。