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今日の筆洗

2017年05月31日 | Weblog

 英語の「ワイズマン(WISE MAN)」は「賢人」。では「ワイズガイ(WISE GUY)」は? 正反対の「知ったかぶり」の意味になる▼ほぼ同じ言葉なのに、なぜこれほど意味が異なるのか。その人工知能(AI)システムの開発でまず、苦しんだのは言葉の問題だった。人の使う矛盾もある自然言語をどう理解させるか▼恋する女性がお相手に「バカ」とささやいてもそれはバカの意味ではない。その手の言葉を教えるとしたらと空想する。その高い壁を乗り越え、完成したのがIBMの「ワトソン」。二〇一一年、クイズ番組のチャンピオンを打ち倒し一躍有名に。最近は医療分野でも成果を上げると聞く▼「ワトソン」に新しい仕事である。ソフトバンクが新卒採用の選考にその頭脳を借りることにした。「ワトソン」に応募者のエントリーシートを判定させるというから最初のふるいである▼さまざまな辞書や文学作品、新聞記事、ウェブページなど約二億ページ分のデータを集積するAIに手抜かりはあるまい。えこひいきもない。作業も大幅に短縮される▼時代とはいえ、ひっかかるのはそれが就職という人生の分かれ目に使われること。若者が祈りを込めて書いたシートを最初に見るのが人ではなくAI。古いやつだとお思いでしょうが、大切な何かが失われていないか。賢人、ワトソンよ。君はどう思う。